放課後、秘めやかに

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一月某日【年の初めの】鴫野

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 結局、クリスマスが終わるまで、先輩は家にいてくれた。母親と俺と先輩と三人でささやかなクリスマスパーティーをして、そのあとは先輩をいただいて。最高のクリスマスだった。
「年が明けたら、初詣行こうぜ」
 帰り際。玄関で、先輩が靴を履きながら言った。
「いいっすね」
 それより、先輩と姫はじめしたいんですけど。とは言えなかった。
 先輩を見送ったのは、クリスマスが終わった翌日の夕暮れ前。
 ベッドに先輩が残していった匂いが薄まっていくのを寂しく思いながら、大掃除やらなんやらをして年末を迎えた。
 早く、先輩の匂いをいっぱい吸いたい。
 いっぱい吸って、抱きしめて、キスして、舐めて、蕩けた顔を覗き込みたい。手を握ってシーツに押し付けて、前立腺をいっぱいいじめて、奥まで入って、とろとろにして、ぐちゃぐちゃにしたい。
 俺の下で、甘く喘ぐ先輩を見たい。
 遠く聞こえる除夜の鐘くらいでは、俺の煩悩は消えはしなかった。

 年末年始はメッセージを送り合って、何とか乗り切った。
 すでに正月番組に飽きてしまった元旦の夕方、先輩からメッセージが届いた。
『課題終わった?』
 もちろん終わっていた。
 先輩に会えないフラストレーションをぶつけた結果、瞬殺だった。足りない分は筋トレして、ランニングした。
 完璧だと思う。
『全部終わりました』
『じゃあ明日、初詣行こうぜ』
 初詣、か。なんかデートみたいでいいなと思った。ていうか、初詣に行くようなところなんて近所にあったっけ? あまり近場の初詣には行ったことがないから、どこにどういう神社があるのかよく知らなかった。
 そんなことを考えていると、先輩から地図が送られてきた。
『昼の一時にここの駅に集合な。前に行った、海のとこ』
 目的地は、家からは二駅。前に先輩と行った海と同じ駅だった。こんなとこ、あるんだと思った。
 なんにせよ、新年早々また先輩と出掛けられるのが嬉しかった。
『了解です』
 短いメッセージを打ち込んで送信ボタンを押す。
 アプリの画面に送信したメッセージが表示されたのを確認して、俺は別のアプリを立ち上げる。電車の時間を調べると、ちょうど五分前に到着するいい電車があった。乗る電車は決定。
 早く会いたい。明日が待ち遠しい。
 そんなことを思いながら、俺はアプリを閉じた。

 朝は弱いはずなのに、目覚ましより早く目が覚めた。目覚ましのアラームは十時に鳴る予定になっているのに、今は九時過ぎだった。ベッドからカーテンを捲って外を見ると、青空が見えた。出かけるには良さそうな天気だ。
 目覚ましが鳴るまで時間はあるけど、先輩に会えると思うと嬉しくて、もう布団から出てもいいかなと思えた。
 朝食を食べて、昨日のうちに選んでおいた服に着替える。兄から届いたお下がりの中で、一番良さそうな服を選んだ。アウターは前に着ていったモッズコート、それにニットとキレイめのスウェット素材のパンツ。髭は剃ってない。髪は、下ろしていこう。どうも先輩は、髭ありで髪を下ろしたのが好きらしいから。
 順調に支度を終えて、家を出て駅に向かう。地方都市といった風情の駅には、人は疎らだった。乗り込んだ電車も、そこまで混んではいなかった。
 二駅先の目的地で電車を降りて、改札を出る。待ち合わせた駅も、やはり人は少ない。
 時間はちょうどいいけど、周りに先輩らしき姿はまだ見当たらなかった。
 改札を出たところで後ろから肩を叩かれた。
 振り返ると、先輩がいた。オーバーサイズのロングコートに、タートルネックのニットとトラウザー、足元はスニーカー。今日も先輩はおしゃれだった。
「偉いな、ちゃんと俺より先に着いてる」
「先輩」
 そりゃ、あんたと初詣なんで、遅刻なんてしませんよ。
「あけましておめでとうございます」
「ふふ、あけましておめでとう」
 新年の挨拶をしたところで、先輩は俺の腕を掴んで歩き出した。
「行こうぜ」
 先輩の声が心なしか明るい気がするのは、髪を下ろしてきたせいだろうか。
 先輩を追って、駅からから歩いて五分。
 石段を登った先にある境内には結構参拝客の姿があった。知り合いがいないか少し不安だったけど、幸い、知ってる誰かに会うことはなかった。
 拝殿に並んで、お賽銭を投げて、受験がうまくいくようにと、先輩と仲良くできますようにとお願いをした。
 幸い、今のところ喧嘩はしていない。今年も喧嘩しないで過ごせたらいいなと思う。
 お参りをした後、先輩がふらりと社務所の方に向かった。俺は黙ってついていく。
 先輩はお守りを手に取って、巫女さんに代金を渡した。先輩もお守りとか買うんだなと思っていると、先輩が今しがた手にしたそれを渡された。見ると学業成就のお守りだった。
「やるよ。お前、今年受験だろ」
「ありがとうございます」
 嬉しい。先輩がくれたってだけでご利益がありそうだ。絶対毎日持ち歩こ。
「おみくじは?」
「凶出たら凹むんでやめときます」
「はは、そうそう出るかよ」
 先輩は笑う。先輩は凶とか出ても気にしなさそうだなと思う。そういうところも好きだ。
「じゃあ、いくか」
「っす」
 先輩に続いて境内を出て、石段を降りる。
「なあ、鴫野」
 先を歩く先輩に呼ばれて、先輩を見た。可愛らしい旋毛が見える。
「大学の間は無理かもだけど、そのうち一緒に住もうぜ」
 先輩は何の気なしに言った、という感じだった。あまりに自然で、それでも俺の心臓は大きく跳ねて、思わず聞き返していた。
「は」
 一緒に、住む?
 先輩、さらっとすごいこと言いましたけど。
「っ、今の、なし」
 思わず聞き返したら、まずいことを言ったと思ったのか、先輩は慌てて無かったことにしようとした。
「いや、ちゃんと聞いてましたから」
 足を止めて振り返った先輩は上目遣いで俺を睨んだ。少しだけ顔が赤い。かわいいから、そんな顔しないでほしい。
「先輩、俺と、一緒に住んでくれるの?」
「……そうだよ」
 先輩は目を逸らして再び石段を降りはじめた。耳が赤いのは、寒いからではなさそうだった。
 嬉しすぎる。先輩はすぐ重いって言うけど、全然そんなことないのに。
「嬉しい。俺、受験頑張ります」
「おう」
 嬉しい。先輩がそんなことまで考えているとは思わなくて、また好きな気持ちが加速する。
 石段を降りきったところで、人通りも疎らな道に出た。
「先輩、今日、って」
「なんだよ」
 先輩に並んで、手を掴んだ。先輩の冷えた指先に、俺の体温が滲んでいく。
「あ、の、姫はじめ、しませんか」
 声が震えた。けど、言えた。もっとマシな言い方がある気はするけど、今の俺にはこれが精一杯だった。
「……お前、言い方」
 俺を見上げて、先輩は笑った。
「いいよ」
 その笑みは見たことないくらい甘やかで、胸が震える。人目がなかったら今すぐ抱きしめたいくらいだった。
「今から、うち、来るか?」
「え」
「今日から、親が実家に挨拶に行ってて俺だけなんだよ」
 そんなお誘い、乗らないわけにはいかない。こんなの、チャンス以外の何物でもない。
「あんた、ほんと、そういうの、ずるいっすよ」
「来るだろ?」
 悪戯ぽい笑みを浮かべて言われたら、俺はもう頷くしかない。
「……ッス」
 初めて先輩の家に行ける。いつも俺の家だから、新鮮で少し緊張する。
「飯、雑煮でいい?」
「先輩が作るんすか」
「そうだよ」
「食べます。絶対食べます」
 食い気味に答えてしまった。姫はじめ、先輩の手料理つき。なんだこれ。最高か。

 先輩の家はうちの隣の駅で、そこから十分ほどのところにあるマンションの一室だった。
 遂に先輩のお宅にお邪魔した俺は、キッチンのダイニングセットに座ってお雑煮を作る先輩の後ろ姿を眺めている。
 手伝います、と言ったけど、先輩には待ってろと言われてしまった。手持ち無沙汰な俺は、特にやることもなく、居心地の悪さを感じながら手際良く料理をしていく先輩を見守っている。
 トースターで餅を焼くジージーという音が聞こえる。
 一緒に住んだら、毎日こういうふうになるんだろうか。そう思ったら顔が緩んで、俺は慌てて頬をつねって顔を戻す。
「もうちょっとでできるから」
 先輩が振り返る。
「あ、悪い。何も出してなかったな」
 俺の前に何も置いていないことに気づいた先輩は、冷蔵庫から手早くお茶とおせちの残りらしきものを出してくれた。
 そうしているうちに甲高い音を立ててトースターが鳴った。餅が焼けたらしい。
「餅、二個食えるよな」
「はい」
 先輩がトースターの蓋を開けた。焼けた餅の香ばしい匂いがする。先輩は菜箸で大ぶりなお椀に餅を放り込むと、鍋の方に向き直る。
 出汁の匂いに、空腹が加速する。
「お待たせ。熱いから気ィつけろよ」
 先輩が目の前に差し出した大ぶりのお椀には、澄んだなスープに野菜と鴨肉が入って、餅が二つ入って、紅白の蒲鉾が乗っている。先輩お手製のお雑煮だ。
 続いて箸置きと割り箸が置かれた。
「いただきます」
 手を合わせる俺の正面に先輩が座る。
「先輩、料理するんですね」
「まあな。うちも、親が家空けがちだし」
「そうなんですか」
「おまえんちと同じ感じだよ」
 先輩が笑う。
「ほら、食おうぜ」
 箸を持った先輩に促されてお椀を持つ。サーバーを一口飲む。住んだスープは出汁と鴨の味がした。
「先輩、美味しい」
「ん、よかった」
 人参も大根もちゃんと味が染みていて、上品な味だった。
 まだお雑煮の味しか知らないけど、先輩の料理は好きだ。これ、一緒に住んだら毎日食べられるってこと?
 俺も料理はするけど、先輩の料理が食べられるのは嬉しい。
 頑張ってバイトでもなんでもするから、はやく一緒に住みたいと思った。

 少し遅い昼ごはんの後。
「準備するから、ゆっくりしてろよ」
 お雑煮のお礼に洗い物を終えた俺は、そう言った先輩にリビングのソファに座らされ、リモコンを渡された。準備って、もしかして。
「先輩」
 俺は咄嗟に先輩の手を掴んだ。先輩は大袈裟すぎるくらいに肩を揺らした。
「俺に、させて」
「っ、お前」
 縋るような目を向けてしまった俺から、先輩が頬を赤くして目を逸らす。耳まで赤くして、少し震えている。
「だめ、すか」
「……いいよ、来い」
 先輩は顔を逸らしたまま、ぽつりと答えた。
 そのまま、俺と先輩はバスルームに向かった。二人で裸になって、身体を洗って、先輩のお腹を綺麗にする作業を始める。
 前に教えてもらったときより、先輩は緊張しているみたいだった。
 バスタブの縁に座って脚を開いたおれの前に向き合って先輩が立つ。
「先輩?」
「なん、だよ」
「緊張してます?」
「うるせ、お前が急に、したいって言うから」
 照れてるだけだった。
 前に教えてもらったやり方を思い出しながら、先輩のお尻の洗浄をする。
 シャワーヘッドを外して、ぬるま湯の溢れるホースを先輩の可愛らしい窄まりに宛てがう。
「先輩、痛くない?」
「ん」
 先輩のお腹にぬるま湯を入れていく。
 先輩は息を詰めて、眉を寄せて、何かに耐えるみたいな表情で俺にしがみつく。
「ン、ぅ」
 背中を反らせてお尻だけ突き出したみたいな体勢になった先輩の、引き締まったお腹がひくりと震えた。
「ま、て、ケッチョーまで、入れるから」
「っ、え」
 先輩がずるずると上体を下げ、腰の辺りにしがみつく。待って、こんな格好で?
「鴫野、そろそろストップ」
「はい」
 お湯を止めると、先輩は、はあ、とため息をつく。
「もうちょい入れて」
「はい」
 温度を確認して、もう一度宛てがう。
「っ、ん、ぅ」
 悩ましげな小さな声が聞こえる。
「大丈夫、すか」
「ん、はぁ、へーき」
 先輩はのそりと体を起こした。
「鴫野、キスして」
「はい」
 触れ合うだけじゃ足りなくて、深く重ねて舌を絡めて唾液を混ぜ合う。甘えてくる先輩は可愛くて、もっと甘やかしたくなる。引き締まった腰を撫でると、先輩は身体を小さく震わせた。
 うっすら張ったお腹を撫でると、先輩はびくりと身体を強張らせた。
 唇を離すと、涎が糸を引いて消えた。
「痛い?」
「まだ、へーき」
「いつも、こんなことしてるんすか」
「そ、だよ。汚ねーの、やだし」
「あんたのなら、大丈夫ですけど」
「バカ、俺が、やなんだよ」
「ね、最後の一回は、俺の前で出してみせてよ」
「~~っ、ふざけんな」
 先輩は顔を赤くしてそう言うけど、もう少し押したらしてくれそうな気がする。
「トイレ、いく」
 そうやって三回とも先輩はトイレに行って、最後にローションを仕込んで準備が終わった。

 体を拭いて、下着だけ履いて部屋に向かう。
 初めて入る先輩の部屋は、モノトーンが基調の、シンプルで今風のおしゃれな部屋だった。
 整理整頓されたデスクに、ノートパソコンが置いてある。
 当たり前だけど、先輩の匂いがする。
「鴫野」
 ぼんやりと部屋を見回す俺を呼ぶ先輩の声がして、声のした方を見れば、先輩はベッドに座って手招きしていた。
 年明け二日目。まだ外は明るいのに、カーテンを閉ざした部屋は甘く爛れた空気が漂い始めていた。
先輩のいい匂いがずっとしている。俺の心臓はバカになったみたいに煩く鳴っていた。
 誘われるままに先輩の前に膝立ちになる。
「はは、お前、なんでもうガチガチなんだよ」
「無理っすよ、こんな、ずっと先輩の匂いしてるのに」
「変態」
 下着の上から、すでに臨戦体勢の俺のちんこを揶揄うみたいに指先で撫でて、先輩は目を細めて口角を持ち上げた。
「そうですよ。ずっと、あんたの匂い、いっぱい吸いたかった」
 先輩を抱きしめる。先輩のいい匂いが濃くなって、くらくらする。
「先輩、いい匂い、する」
「お前も、同じ匂いしてる。俺と同じ匂い、だな」
 風呂上がりの先輩とおれは同じ匂いだった。それがまた嬉しくて、先輩の首筋に鼻先を押し付けた。
「せんぱい」
「こうって呼べよ、みきたか」
「あんたほんと、反則ですよ」
 そうは言うけど、名前を呼べるのは先輩の心の少し深いところまで入れた気がして嬉しい。
「こう」
「ん、すき、みきたか」
「もう、あんま、煽んないで」
 髪を下ろして、髭も剃っていないからか、先輩はめちゃくちゃ甘えてくる。そんなにされたら、ほんと、また理性を吹っ飛ばしかねない。もう俺のはすっかり昂って下着の中で堪え性なくしゃくりあげていた。
「一回、抜かせて」
 押し倒してなお俺のちんこに手を添えたままの先輩。下着の前だけずり下げて、先輩の手に擦り付けるように腰を振る。ベッドの上、身体を揺らす度に先輩の匂いがして、どうにかなりそうだ。
 腰を振るたび、スプリングの軋む音がする。なんかもう、入れてないのに、セックスしてるみたいだった。
 先走りは際限無く溢れて、先輩の手を汚している。
 見下ろした先輩は楽しげな表情で俺の動きに合わせて、手を動かしている。
「出せよ」
「っ、ゴム、して、ない」
「いいから」
「っ……!」
 先輩の手の中で跳ねて、脈打って、熱い白濁が先輩の腹から胸にかけて散った。
 先輩は俺のを握って絞り出すみたいに根元から先端に動かす。
 精液が、とろとろと溢れる。
 全力疾走の後みたいに、息が荒い。
「おー、出たな」
 先輩は俺のザーメン塗れの手を嬉しそうに見て、べろりと舐めた。
「みきたか、溜めてた?」
「ん、溜めて、ました。出すなら、あんたとしたくて」
「ふ、ばーか」
 嬉しそうに笑う先輩。笑みの形の唇を奪う。俺のザーメン舐めた後だけど、そんなのどうでもよかった。深く合わせて、舌を絡める。しょっぱいような、生臭いような、青臭いような、そんな味の先輩の粘膜を味わう。
 全部、舐めたい。先輩の全部を味わいたい。そんな欲が、腹の底から湧いてきて、俺は恥ずかしげもなく喉を鳴らした。
 髭が、ざらりと先輩の肌を擦ると、先輩は嬉しそうに笑う。
「ふ、くすぐってぇ」
「跡、付けていいすか」
「ん、いいよ」
 先輩の声が甘く蕩けた。その声に、俺は弱い。
 じゅ、と音を立てて先輩の鎖骨の辺りに吸い付いた。
 けど、跡は付いていない
「もっと強く吸わないと、つかねーよ」
「っ」
 先輩が、おもむろに二の腕に吸い付いた。痛いくらいにきつく吸われて、唇が離れる。
「これくらい」
 先輩の吸い付いたところに、お手本の赤い鬱血の跡が残っていた。
 俺はもう一度、鎖骨の辺りを強めに吸った。先輩が息を詰めたのがわかった。
「ついた……」
 初めてつけたキスマークは、先輩の白い肌に赤くはっきりと刻まれていた。
「気ぃ済んだか?」
「はい」
「続き、しろよ」
「っす」
 先輩の身体を舐めて、キスして、撫でていく。と、先輩の声が上擦る。
「っみき、たか」
 白い胸の上、可愛らしい色の肉粒が震えている。優しく唇で撫でて、舌先でくすぐって、優しく吸い上げる。
「っう」
 先輩の唇から甘い声が漏れる。舌先に触れる肉粒が硬くなった。吸って、舐めて、舌先で転がすと、先輩はその度に身体を揺らした。
「こう、ちくび、気持ちいい?」
「ん」
 涎でてらてらと光る愛らしい肉粒を指先で優しく撫でる。
「っ、ふ」
 何が出るでもない小さな肉粒を優しく吸って、左右平等に可愛がって。唇を這わせながら、臍までおりて、臍の脇にも跡をつける。
 その下、下着を窮屈そうに押し上げているそれに気付く。ウェストのゴムに指を引っ掛けてずり下げると、薄めの茂みからは、頭を擡げた先輩のちんこが聳り立っていた。
 挨拶がわりに先端にキスを落として、そっと舌を這わせる。ガチガチで、先輩も興奮しているのかと思うと嬉しかった。
 そのまま口に含むことに、なんの躊躇いもなかった。口の中で揉むようにして、舌で幹を擦る。しょっぱいような味の先走りが溢れてきて、それを啜る。
 先輩の味だ。先輩の匂いに包まれて、先輩の味をいっぱい堪能して、年明けからこんなにさせてもらっていいんだろうか。
「みきたか、気持ちいい」
 先輩の手がくしゃりと髪を掻き回す。
「なあ、も、いきそ」
 甘えた声を上げる先輩。舌の上でぴくぴくと跳ねて、限界が近そうだった。
「いいっすよ。いって、こう」
 一旦口を離して、もう一度深々と咥え込む。
「っう、ぁ、っい」
 口の中に、熱い、とろりとしたものが放たれる。
 舌の上で脈打って、何度も放たれる先輩の熱いザーメンを、舌の上で受け止めて、飲み込む。青臭くて生臭くて少ししょっぱいような苦いようなそれが、嫌ではなかった。
 吐精を終えた先輩は息を弾ませ、白くて綺麗な肢体を投げ出して、くったりとシーツに横たわっている。
「も、いれろよ」
 淫靡な笑みに誘われるまま、俺と先輩の下着を取っ払う。ゴムをつけてローションを垂らして、力なく投げ出された足を持ち上げて入れやすい体勢をつくる。
 痛いくらいに張り詰めた先端を、ひくついてローションを滲ませている窄まりに押し当てる。
 少し圧力をかけると、簡単に柔らかな肉の中に沈んでいく。
 先輩の、中は変わらず気持ちがいい。熱くて、優しくひくついて、俺を歓迎してくれているみたいだった。
 肉壁越しに触れたしこりを段差で引っ掻いてあげると、先輩は上擦った声で喘いだ。
「っあ、や、あ、なん、か、くる」
 ぶしゅ、と先輩の先端から透明なものが溢れてゴムの中に溜まった。
「っあ、だめ」
「こう、きもちい?」
「ん、気持ちい、けど、へん、ん、っあ」
 ぷしゅ、とまた透明なものが溢れた。
 とろみのない透明な液体が、ゴムに溜まって重く垂れ下がっている。
「しお、いっぱい出たね」
「ーーッ」
 先輩は赤い顔で目を逸らした。
 ゴムを変えてあげる。外したゴムの中にはたっぷりと潮が溜まって揺れる。それすらも飲みたいと思ってしまう俺はちょっとやばいかもしれない。少し勿体無い気がしたけど、口を縛ってティッシュでくるんでゴミ箱に捨てる。
 先輩の中はずっといってるのか、きつく締まって、柔らかくうねって、堪らない。
 まだ奥までしてないのに先輩はもう身体に力が入らないのか、されるがままだった。
 奥に進めて行き当たりにこつんと挨拶すると、甘えるみたいに吸い付いてくる。
 俺しか知らない、先輩の一番奥は、すごく素直だ。
 押し当てると吸い付いて、腰を引くと待てとでも言うみたいに名残惜しげに離れるそこは、俺を楽しませてくれる。
「こう、奥、入らせて」
 たん、たんとやさしく突き上げると、奥の窄まりがひくつきながら少しずつ緩むのがわかる。
「っあ、みきたか」
「こう、奥、開いてきた」
 リズミカルに奥を叩くと、先輩は甘い声を上げて快感を訴える。
 吸い付くそこに一際強く突き入れると。
 ぎゅぼ、と奥で濁った音がして、襞を超えて亀頭が一番奥に潜り込んだ。
「っあ、ひ、ぅ」
 先輩は喉を晒して、身体を震わせる。脚はびくびくと跳ねて、ぴしゃ、と透明な体液がまたゴムの中に溜まった。 
 潮吹くの、癖になっちゃったかな。
 そう思いながら奥を突くと、また出た。
 この体勢だと、ゴム外したら先輩に思い切りかかってしまう。わかっているのに、好奇心という名の欲が頭を擡げ、意識を埋めていく。
 ゴムを外して、潮を浴びてびしゃびしゃになる先輩が見たい。
 怒られるかも。いや、絶対怒られる。
 わかっているのに、止められなかった。
「こう、ゴム、取るね」
「ん、え」
 少しトんでるのか、先輩から返ってきたのは曖昧な返事だった。
 つるりと外れたゴムの口を縛ってシーツに放って、奥を突くと。
 思っていた通り、ぷしゅ、と透明な体液が散って、先輩の胸から顔にかかった。
 あぁ、最高にかわいい。けどこれ、後でめちゃくちゃ怒られるやつ。
「あ、……ぇ」
 何が起きたかわかっていないのか、先輩は呆けた顔で俺を見上げる。
「こう、かわいい」
「や、ぁ、みき、たか、ぁ」
 きゅんきゅんと甘く収斂して締め上げる熱くて柔らかな粘膜が気持ちよくて、中でまた元気になってしまった。
 体重をかけて一番奥をつくと、先輩は泣きそうな声を上げた。
「も、でな、ぁ」
 先輩の言葉通り、先輩の性器何ふるりと震えた。中が一際きつく締まって、俺は先輩の中で果てた。どくどくと脈打って、一番奥に熱い白濁を打ちつけた。
 先輩の中はずっときゅんきゅんと震えて、一滴残らず搾り取られるみたいだった。
 吐精が落ち着いて、潮で濡れた先輩の顔を、胸を舐める。甘いようなしょっぱいような味がした。匂いはない。
「んあ、みきたか?」
「ふふ、こう、トんでた?」
「ん、お前、いった?」
「はい」
「めちゃくちゃよかった」
 先輩は両腕を伸ばして俺の首にしがみつく。そう言ってもらえて良かった。
 怒られるかもって思ったけど、ひとまずは大丈夫そうで、俺は先輩の背中に腕を回した。
「みきたか、お前、潮吹かせるの好きなの?」
「っ、え」
 やばい。ばれてる。そう思ったけど、先輩はしっかりと俺を捕まえていて離してくれそうになかった。
「へんたい」
 耳元で甘く低く囁かれて、背筋をぞくぞくと甘いものが駆け上がった。
「最初から言えよ、バカ」
 耳元に響く先輩の少し掠れた声が堪らなくて、安堵するのと同時に、また腹の底から甘いものが這い上がってくる。
 このままだともう一ラウンド確定してしまう。それでもいいかと思いながら先輩の温かな体を抱きしめ返した。
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