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19 王太子様の誓い
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数日後、領主様は王城に行き、約束通り領主様監視の元、王太子様に通信装置を渡した。俺は、グリフォンに乗って各国の王国・帝国に行き、通信装置と転移陣を王太子様に渡した。通信装置の使い方の説明書も渡した。いきなりグリフォンが王城に現れて騎士が出てくる事態になったけど、すぐに王太子様が出てきて、騎士を止めてくれた。そのついでに、渡したのだ。
「ではまた後日、転移陣を回収に来ます。転移陣の管理は王太子様にお願いします」
「ああ、しっかりと預かろう。君の思いに答えられるよう人力を尽くす、各国の王太子達と共に」
「はい。戦争のない、平和な世界にしてください。それではこれで失礼します」
俺はグリフォンに乗ると王城を後にした。
また数日後、全ての王太子様達の通信装置の登録が済んだと領主様から報告があり、またグリフォンに乗って各国に転移陣の回収に向かった。
全ての転移陣を回収して戻ると、自国の王太子様が領主様と一緒にいた。
「おおぉ、これはスゴイ!本物のグリフォンだ!」
子供みたいに目をキラキラさせてた。領主様や領民、特に男共が初めてグリフォンを連れて外に出た時と同じ反応だった。
各国の王太子様達も同じ反応で、国王陛下まで出てきて、触らせてくれと言ってきた。だから多分王太子様も
「触られますか?俺が押さえてるので、襲うことはありません」
「!良いのか!触らせてくれ!」
俺は苦笑いして
「どうぞ」
と、グリフォンを王太子様の前に連れていった。
護衛の騎士の人達は身構えたが、王太子様がそれを制し、グリフォンに手を伸ばした。
「おおぉ、フワフワなのだな」
王太子様、撫でるのうまいな。グリフォンが気持ち良さそうにしてる。満足するまで撫でたのか、
「撫でさせてくれてありがとう」
と、グリフォンをひと撫でして、俺に視線を向けた。
「リュートよ、通信装置や転移陣の事、本当にありがとう。もう戦争で親や子供、夫や恋人を失う人が無い、どこの国にも気兼ね無く行け、笑顔溢れる世の中になるようにしていければと思う」
一旦言葉を止め、周りを見渡した。周りにはほとんどの領民が来ている。まだ幼い子供を抱っこしてる子供の姿もある。
「戦争の傷跡が色濃い今はまだ、他国の人を受け入れられない人達もいるかもしれない。しかし、私の子供、そのまた子供の時代は笑い会える世の中にしていきたい」
王太子様は俺に向き直ると、真剣な目で
「国を代表して謝罪する。済まなかった。戦争がなければ、君は、君達は親を亡くさずに済んだ。戦争がなければ、今もご両親といられたかも知れない。君に誓おう。必ず戦争を止めると」
俺は泣いていた。周りの孤児の子供や、戦争で子供や夫、恋人を失った全ての領民が泣いていた。
王太子様が頭を下げた事を、周りの護衛の騎士たちが慌てて、頭をあげるように促しても、いまだに頭を下げてる王太子様に領主様が、
「頭をあげてください。王族が頭を下げるべきじゃない。あなたはさっき、国を代表してと言った。尚更、頭を下げるべきじゃない。しかし、俺は頭を下げられるあなた様を称賛します。上に立つものの中には、下々に下げる頭はないと豪語するバカばかりですので」
領主様は俺の隣に来ると、王太子様に頭を下げた。
「ここの領主として、お礼申し上げます。私も領民を戦争に行かせなくはなかった。しかしここは国境。ここを死守しなければより多くの人が死にます。その事をここの領民も分かっているし、守りたい人達がここには居る。だから皆、戦の場に行くし、行かせるのです」
俺と領主様の後ろに、領主様の家族が全員並び、その後ろに全ての領民が並んでた。
「だからどうか、一日でも早く戦争のない世の中にしてください。その時まで我ら一同、身命をかけ、この場をお守りいたします」
俺達平民は地面に跪き、領主様一家は貴族の礼をとった。
王太子様はそれを真摯に受け止め、また護衛の騎士達も姿勢を正し、王太子様の後ろに立った。
「そなた達の覚悟、しかと受け取った。今一度誓おう。必ず戦争のない世の中にする。それまでそなた達の命、私が預かる!」
「「ははっ」」
その後、王太子様達は領主様に見送られて転移陣で帰って行った。
領民もそれぞれの仕事に戻り、俺も青のダンジョンに戻った。
コア部屋で一息いれたかったのだが、トラブルは突然やってくるもの。
「ではまた後日、転移陣を回収に来ます。転移陣の管理は王太子様にお願いします」
「ああ、しっかりと預かろう。君の思いに答えられるよう人力を尽くす、各国の王太子達と共に」
「はい。戦争のない、平和な世界にしてください。それではこれで失礼します」
俺はグリフォンに乗ると王城を後にした。
また数日後、全ての王太子様達の通信装置の登録が済んだと領主様から報告があり、またグリフォンに乗って各国に転移陣の回収に向かった。
全ての転移陣を回収して戻ると、自国の王太子様が領主様と一緒にいた。
「おおぉ、これはスゴイ!本物のグリフォンだ!」
子供みたいに目をキラキラさせてた。領主様や領民、特に男共が初めてグリフォンを連れて外に出た時と同じ反応だった。
各国の王太子様達も同じ反応で、国王陛下まで出てきて、触らせてくれと言ってきた。だから多分王太子様も
「触られますか?俺が押さえてるので、襲うことはありません」
「!良いのか!触らせてくれ!」
俺は苦笑いして
「どうぞ」
と、グリフォンを王太子様の前に連れていった。
護衛の騎士の人達は身構えたが、王太子様がそれを制し、グリフォンに手を伸ばした。
「おおぉ、フワフワなのだな」
王太子様、撫でるのうまいな。グリフォンが気持ち良さそうにしてる。満足するまで撫でたのか、
「撫でさせてくれてありがとう」
と、グリフォンをひと撫でして、俺に視線を向けた。
「リュートよ、通信装置や転移陣の事、本当にありがとう。もう戦争で親や子供、夫や恋人を失う人が無い、どこの国にも気兼ね無く行け、笑顔溢れる世の中になるようにしていければと思う」
一旦言葉を止め、周りを見渡した。周りにはほとんどの領民が来ている。まだ幼い子供を抱っこしてる子供の姿もある。
「戦争の傷跡が色濃い今はまだ、他国の人を受け入れられない人達もいるかもしれない。しかし、私の子供、そのまた子供の時代は笑い会える世の中にしていきたい」
王太子様は俺に向き直ると、真剣な目で
「国を代表して謝罪する。済まなかった。戦争がなければ、君は、君達は親を亡くさずに済んだ。戦争がなければ、今もご両親といられたかも知れない。君に誓おう。必ず戦争を止めると」
俺は泣いていた。周りの孤児の子供や、戦争で子供や夫、恋人を失った全ての領民が泣いていた。
王太子様が頭を下げた事を、周りの護衛の騎士たちが慌てて、頭をあげるように促しても、いまだに頭を下げてる王太子様に領主様が、
「頭をあげてください。王族が頭を下げるべきじゃない。あなたはさっき、国を代表してと言った。尚更、頭を下げるべきじゃない。しかし、俺は頭を下げられるあなた様を称賛します。上に立つものの中には、下々に下げる頭はないと豪語するバカばかりですので」
領主様は俺の隣に来ると、王太子様に頭を下げた。
「ここの領主として、お礼申し上げます。私も領民を戦争に行かせなくはなかった。しかしここは国境。ここを死守しなければより多くの人が死にます。その事をここの領民も分かっているし、守りたい人達がここには居る。だから皆、戦の場に行くし、行かせるのです」
俺と領主様の後ろに、領主様の家族が全員並び、その後ろに全ての領民が並んでた。
「だからどうか、一日でも早く戦争のない世の中にしてください。その時まで我ら一同、身命をかけ、この場をお守りいたします」
俺達平民は地面に跪き、領主様一家は貴族の礼をとった。
王太子様はそれを真摯に受け止め、また護衛の騎士達も姿勢を正し、王太子様の後ろに立った。
「そなた達の覚悟、しかと受け取った。今一度誓おう。必ず戦争のない世の中にする。それまでそなた達の命、私が預かる!」
「「ははっ」」
その後、王太子様達は領主様に見送られて転移陣で帰って行った。
領民もそれぞれの仕事に戻り、俺も青のダンジョンに戻った。
コア部屋で一息いれたかったのだが、トラブルは突然やってくるもの。
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