お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞

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生まれ育った国を出て二年。様々なトラブルもあったけど、どうにか根を下ろせる場所(国)を見つけることができた。

そして、この二年で旅の連れもできた。

「リシュー、早く魔力を頂戴!」

と、妖艶な女性

「あなたは昨日もらったでしょう!今日は私よ!」

と、黙っていればクールビューティな女性

「ずるいわ、私も欲しい!」

と、かわいい系の女性。

この姦しい女性達改めて、ドライアドの三人娘。

この国は、生まれ育った国から3つ離れている。

一国一国の間には大きな森、樹海がありそれぞれの樹海から1人づつ増えた。

と言うか、私が宿にした大木がことごとく、このドライアドの本体だったのだ。

そして気がつくと、私の旅に付いてきていた。

本体の木から枝分かれして、分身を本体に残し、差し木の形で私の髪に、簪よろしく刺さっていたのだ。

髪にも魔力は宿るので、こっそり髪から魔力をもらってここまで付いて来た。

私がこの三人に気がついたのは、この国の入り口で魔力切れで倒れ、たまたま近くにいた冒険者に助けられたからだ。

それから10年後、その冒険者は今は私の愛する旦那様である。

三人娘のドライアドは、私から離れなかったので街外れに家を建て、庭に差し木をして今に至る。

「どらちゃんちゃち、あしょぼー」

「ミアまって、はしったらあぶないよ」

開けてあった家のドアから、二歳の女の子が出てきて、その後を五歳の女の子が追って出てきた。

その後ろから、二人を見守るようにガタイのいい男性も出てきた。

「こら、二人とも。挨拶は?」

私は怒ったふりをして、二人の前に立った。

二人は慌てて私の前に止まり

「「おかあさん(しゃん)、どらちゃんたち、おはようございます(ましゅ)」」

「おはよう、二人とも。レイア、いつもミアの面倒を見てくれてありがとうね。すぐに朝ごはんにするから、ドライアド達と遊ぶのはほどほどでね」

そう言って、庭で育てていた野菜の入ったかごを持って家に向かった。その途中で

「おはよう、リシュー。子供達は俺が見てるよ」

「おはよう、ダン。お願いね」

私が家に入った後、ダンがある方向を見ていた事に私は気づかなかった。

その視線の先に一羽の鷹がいて、ダンの視線に気づくと、その場で一度旋回してから、どこかへ飛んで行った。


*****

一羽の鷹は、ある国のある男の肩に止まる。

その男は鷹の足に付いている物を外し、壁に映像を映した。

「もう、俺が見守らなくても大丈夫だな。幸せそうで良かったよ。妹よ」

守ることの出来なかった妹の幸せな姿を見て、男はほっとしたような、寂しそうな顔をした。


      完











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