お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞

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リシュを送っていった馬車が戻ってきた。
そして御者は怒りの表情をしていた。


「主人よ!あんたあんなロクデナシの所に妹を嫁がせたのかよ!着いた早々、離れに押し込められたぞ!」

俺は苦い顔をして

「俺だって今日聞いたんだ。そして、今日の今日で嫁げって言ってきたのはあの親だ。知っていれば、どんな手を使ったって止めたさ」

俺の周りの人間は侯爵様が揃えてくれた。そして、伯爵家の使用人がこちら側だと分かると、両親に気づかれないように、使用人の教育が行われた。

両親は全く気づいていないが、昔に比べれば使用人の質はぐんと上がっている。

そして、全ての使用人がこちらの味方なのにも関わらず、今回の失態。あの親が周りに何も言わずに即決で決めた事がわかる。

「こんな事なら、俺の卒業を待つ前に追い出すべきだった」

俺の甘さが招いた結果がコレだ。

俺は急いで侯爵様に連絡を取り、両親を本格的に追い出しにかかった。
だけど両親を追い出す前に、リシュが動いた。

学園では、1年目に一生を共にする従魔を一匹召喚する。そして俺の従魔は鷹だ。名前はフォーグ。

そのフォーグにリシュの見守りを頼んでいた。
もし、暴力を振るわれそうになったら助けるよう言って

そのフォーグからリシュが、よく知る質屋へ向かったと思念が送られてきた。

今俺は侯爵様と協力して、両親の今までの行動と、あちらと示し合わせて働いた書類偽装の犯罪の証拠集めをしていたが

「済まない。少し出る」

「こちらは問題ありません。お嬢様になにか?」

俺がフォーグを使ってリシュを見守っていることを知っている執事長が心配そうにこちらを見た。

俺が従魔を使って妹を見守っていることは、全使用人と侯爵様も知っている。

元々の伯爵家の使用人は当たり前のように受け入れていたが、侯爵様を初め、婚約者のルアカと侯爵家から来た使用人はドン引きしていた。
しかもルアカは

「それはもう、ストーカーなんじゃ、、」

と呟いていた。失礼である。
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