知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞

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23 二人のウサギ獣人

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俺はあるお願いをするため、父上の執務室に来た。毎度毎度お仕事の邪魔をしてすみません。

「父上、俺専属で魔道具を作ってくれる人を、一人ないし二人ほど付けてもらいたいです。そして、俺専用の調合場も作って欲しいです」

父上は書類仕事の手を止めて俺を見た。

「理由は?」

「魔術課の人は基本、父上の指示で魔道具を作ってますよね。そこに俺個人のワガママを言うわけにはいきません。彼らはお仕事をしているんですから、一応。なので、俺個人が作って欲しい物を優先的に作ってくれる人が欲しいんです。それ以外は、魔術課でお仕事の手伝いをしてくれていれば、魔術課の人も助かりますのね。そうすると番持ちの人は帰れますよね」

あえて誰が、とは言わない。あれからどうなったかは俺は知らない。

「調合場も同じです。俺個人で作りたい物を医術局の人には頼めないので。どちらも人の役に立ちそうなのは、父上に報告します。だからお願いします」

俺は頭を下げて父上に頼んだ。

「ルイス、頭をあげなさい。しかし、ルイスはタイミングがいい」

そう言うと、父上は一枚の紙を俺に渡した。
それを見ると

ーーーー
カイル (100) ウサギ獣人

魔術課希望。

調査結果 その才能は目を見張るものがあるが、協調にかける。作りかけの魔道具に他の人が触れるのを嫌う。

セドリック (90) ウサギ獣人

魔術課希望。

調査結果 独特の慣性の持ち主。自分がこうしたらいいと思うと、相手の要望を無視して己が思うままに作り、よくトラブルになっている。

以上の結果から、不採用を提案します。

ーーーー
ワァオ。すごいの来たな。
あれ?父上、さっきタイミングがいいって言った?

父上を見るといい笑顔だった。後ろの窓から差す光で、よけいに眩しいね!

「ここに不採用でって書いてるよ?」

俺が抵抗を示すと

「そうだな。でもこの二人の才能を潰すのはちょっとほしいかな?二人を引き取ってくれるなら、調合場も作るぞ」

そうきたか!俺はもう一度紙を見て

「もし俺が引き取るとしても、彼らは魔術課にお手伝いにやれませんよね?」

「それは大丈夫。ちゃんと補給要員は確保してるから」

そう言って、2~3枚の紙を見せた。俺の持っている紙には、二人だけしか書かれていないけど、父上が持つ紙には、一枚に4人くらいの名前があった。

つまり、単純計算で12人前後確保したと言うこと。

「彼らはルイスの専属と言うことで、魔術課よりは給料は下がるけど、ルイスの依頼がないときは好きに魔道具を作る事が出来ると言えば、二つ返事で応じると思うぞ」

俺の完敗。問題児を引き取ることにした。

「ルイスの所に二人の仕事場と、ルイスの調合場を至急作らせる。いやぁ、ルイス。助かった」

俺はシュシュに慰められながら、部屋へ帰った。

俺達のいるお城は広大なので、俺達王族の居住区もかなり広い。家族の部屋が転移で移動しないといけないくらい離れている。

しかも、自分の部屋以外にも未使用の部屋が5~6部屋あるので、その部屋を二人の仕事場と俺の調合場にするようだ。

まさか、居住区に作るとは俺も予想外だった。
シュシュが言うには

「多分ですが、ルイス殿下の無意識のやらかし対策だと思います。不特定多数に無防備に知られるより、まず陛下達が確認してから世に出すか決めるためではないかと」

合っていそうで、反論できない!ちっ!

こうして、父上の指示で早速、部屋の改修工事が行われた。

改修工事から3日、工事が終わった。

俺の部屋から一番遠い場所に、魔道具作りの部屋にして結界も張った。調合場は俺の部屋の近くだ。改修工事の間は、防音の結界が張ってあったので、音に悩まされることはなかった。

そして、父上に連れられて来た二人のウサギ獣人はとても幼く見えた。

獣人も竜人も16~18歳で老化が止まり、ゆっくりになる。
現に父上は見た目18~9歳で、母様は16~7歳だ。

年齢が止まる時期によって、見た目が逆転している番もいる。

しかしこのウサギ獣人の二人はどうみても12~3歳。老化が止まるには早すぎる。

「なるほど、異常者ですか」

ルージュが俺の後ろで小さく呟いた。

ーーーー
異常者

通常より早く老化が止まる獣人や竜人の事。

なぜそうなるかは解明されていないが、異常者は通常より寿命が長くなる。

健康には問題はない。

蔑称でこの名称がついたわけではない。

ーーーー
なるほど。確かにルージュの声に蔑みはなかった。

俺が異常者を知識スキルで調べている間に、父上と二人は俺の前にきた。

「ルイス、彼らが今日からお前の専属になるもの達だ」

「初めまして、ルイス ドラグです。今日からよろしくね」

「カイルです」

「セドリックといいます。初めまして」

とてもそっけない挨拶に、ルージュが切れそうです。
俺も笑顔が崩れそうになった。

「あとはルイスに任せる」

そう言って父上は戻っていった。

「じゃ、付いてきて」

そうして、二人の仕事場に案内した。

二人の仕事場は俺の部屋のある居住区の入口近く。その奥に俺の部屋があるから、父上もそこのところは考えていた。

さほど進むことなく、二人の仕事場について中に入る。

「今日からでもここを使っていいよ。机は二人で話し合って決めてね。あと、ここに泊まることはできないから。ここは王族の居住区内にあるからね。それと、父上からも聞いていると思うけど、俺からの依頼は最優先で。もし、こうしたらいいんじゃないかと思ったら、俺からの依頼の品とそれと二つ作って持ってきて。今の所はこれだけかな?」

そう言って、また何かあったら都度いうことを伝え、後は好きしてと俺はその場を後にした。

その後ろ姿を二人が見つめていることに気づかずに
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