知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞

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33 水害対策完了

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魔石の発掘を頼んで1週間。俺の目の前には巨大な魔石が2つある。

確かに魔石を頼んだ。だけど、俺は小粒もしくは、欠片を集めれるだけ集めて、それを魔法か何かかで一つの塊にする。そのつもりで説明した。

なのに今、俺の目の前には巨大な魔石がある、それも2つも

「・・・父上。これを10等分にして、そして一つを、手のひらサイズにするよう、魔術課の人に言っといて。そして、今すぐこれをとって来た魔石洞窟に案内して」

まったく、あの巨大になるまで何万年かかったことか。そんな貴重な魔石を、しかも2つも!
考えなしにも程がある!

ジュジュに抱えられながら、駆け足で騎士団に案内してもらった洞窟は、洞窟内の魔力が乱れに乱れまくっていた。

「だーーっ、やっぱりか!ここにいる竜人全員で魔力の安定化を!早く!」

俺の号令で、竜人全員で今にも溢れ出そうな魔力をコントロールする。

「その状態を維持!俺を含めた獣人と、あとシュシュは洞窟内に入るよ!時間が無いから説明は後で!行くよ!」

そして、俺と数人の獣人とシュシュは洞窟内に入った。

「くっ!かなりキツいな」

シュシュ以外の竜人で魔力をコントロールしているけど、高魔力溜まりのただ中は、体が重く感じる。

俺は、今にも膝をつきそうに重い体を支えながら、辺りを見渡した。
そして、切り取られた魔石の跡を見つけた。

「あそことあそこに、落ちている魔石を欠片でもいい、出来るだけ集めて!今は言うとおりに動いて!時間がない!」

重い体をどうにか動かして、俺も魔石集めを始めた。
見える範囲の魔石を、欠片も残さず二ヶ所に積んだ。

「今から俺がすることを、シュシュはあっちの魔石の山にして」

周りの魔力を集めて、積まれている魔石に注ぎ込んだ。

すると、みるみる内に魔石は一つの塊になった。
シュシュも驚きつつ、周りの魔力を集めて、魔石に注ぎ込んだ。

そうして、溢れていた魔力が全て、二つの新しい魔石塊に納まり、洞窟内の魔力が安定した。

(魔力操作にも魔力を使うなんて聞いてない。魔力無限で良かった。シュシュを連れてきていて良かった)

獣人よりは竜人の方が、魔力操作が上手いと思ってシュシュを指名したけど、大当たりだった。

騎士団が持ってきた巨大魔石には届かないけど、魔力は安定している。ホッとして洞窟の外に出ると、

「殿下!お怪我はないですか?」

ルージュが慌てたように駆け寄ってきた。

「疲れたけど、怪我はないよ。後で父上にも報告するけど、巨大魔石は絶対に取ったらダメ。魔石洞窟は、高魔力溜まりの場所なの。巨大魔石はそんな高魔力を、長い年月をかけて吸収していったもの。つまり、巨大魔石があることで洞窟内の魔力は均衡を保っているの。それを一つでも取ったら均衡が崩れて、、、ボン!と洞窟が爆発して、高魔力が山に広がって、魔獣や獣、自然を不自然に進化させちゃうの。だから、これからは絶対に、巨大魔石は取らないように!」

屈んでもらうべきだった。見上げたまま、長々と説明したから首が痛い。

「あの、発言してもいいでしょうか?」

騎士団の一人がおずおずと手を上げ、発言の許可を求めてきた。

「どうぞ」

「ありがとうございます。ルイス殿下はなぜそのような事を知っているのですか?」

俺は首を傾げて、ルージュ達を呼び小声で

「知識スキルの事って騎士団は知らなかったっけ?」

「全員が知っているわけではないですね」

あれ~?これは、やらかした?

「・・・企業秘密で!さぁ、帰ろ。さっさと帰ろ!」

無理矢理誤魔化して、帰路についた。

お城へ戻り、父上の執務室へ。
騎士団にした説明をもう一度して、父上にも同じ質問をされたので

「知識スキルで魔石を見たら、そう書かれていたので」

ーーーー
魔石塊

長い年月をかけて、高魔力を吸収して出来たもの

魔力塊は、洞窟の高魔力を安定させるために必要なもの。これが無くなれば、安定していた魔力が暴走し、全てのモノに影響がでる。

絶対に、魔力塊は取ってはならない

ーーーー
いやー、これをみた時冷や汗が出たね。
しかも、騎士団があれを持ってきた時、父上達が何も言わなかったと言うことは、今まで知られていなかったと言うこと。

無知って怖いね。

翌日、9つの大魔石と20個の小魔石が出来ていた。

魔石に、頭でイメージした形に魔法で整えた。
9つの魔石には、真ん中に主神である神様、その周りに4大神だ。

20個の魔石は、4大神のみ。

「ふぅー。上手く出来た!後はこれに合う魔道具をお願いね」

「これまた、壮大なモノをお作りに。こちらの4人の方は4大神様ですね。下手なモノは作れませんね」

魔術長の言葉に、魔術課の人達は俄然やる気を出したようだ。

「ルイには驚かされるばかりだな。まさか、神々をモチーフにするとは」

そして試行錯誤を重ねながらも、数週間で魔道具を完成させた。
水不足が深刻化したため、父上から急かされた為だ。

そして、山の山頂に穴を開け、ダムもどきを作る作業になったとき、神様から

『山の地盤強化の為に、世界樹の苗をやろう。だから、そのまま穴を開けても大丈夫だぞ』

折角、神との交信を伝えずにやり過ごせると思っていたのに、、

「父上、耳を貸して」

そうして、加護があることで、神様と直接交信出来ることを父上に伝え、神様の言葉も伝えた。

父上は最初は驚いていたが、後はなにかを諦めた顔をして俺を見た。

穴を開ける時に、崩れないようにするための地盤強化以外は特にせず、予定どおりダムを作り、その真ん中に大魔石を置き、魔道具を起動した。

そして、程なくして魔石の隣に木の苗が現れた。しかし、全員がそれを認識する前に、ダムの水が溜まった。

後は、急速に世界樹の木の根が張り巡り、水の循環を補ってくれた。
その為、ダムと魔石を設置するだけで、世界中に張り巡らされた木の根で、水不足を解消できる。

そして小魔石で、排水の間に合わない水を吸収することで、水害の対策もできる。

父上が各国にこの事を伝え、全ての国に魔石とダムが出来るまで半年もかからなかった。

こうして、神界の気象環境のシステムが復旧するまでの対策が整った。
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