知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞

文字の大きさ
38 / 45

36 覚悟の決め時

しおりを挟む
翌朝、泣き腫らした目蓋に回復魔法をかけ、腫れた目蓋を治した。

「おはようございます、殿下」

「おはよう、ルージュ、ジュジュ。悪いけど、今日は父上と大切な話があるから、学園は休むよ。そう伝えてくれ」

「かしこまりました」

朝食の席で兄上達にもそう伝えると、自分達も同席すると言って、トーチカ達に休む事を学園へ伝えるよう言っていた。

全員で俺の部屋へ戻り、携帯通信機で父上に連絡をした。皆と共有するために通信機をテーブルに置いた。

〔ルイスか?どうした。学園が始まっている時間ではないのか?〕

「父上、緊急案件です。長くなるので、お時間取ってください」

俺がそう言うと、通信機の向こうで、父上が色々と指示を出していた。それが落ち着くと

〔何があった〕

父上の言葉に、俺は邪神の事。そのせいで今の異常気象があること。そして、番の事を伝えた。

アッシュ兄上達も、初めて聞くことに言葉を失っていた。

「今シュシュに番の身辺調査をさせてます。初対面が初対面だったので、王族の番に相応しくないと報告があるかと。だから、、だから」

突然セレナ姉様に抱きつかれた。

「辛かったね。ううん、辛いよね。番を見つけたと思ったら、失うことがわかるなんて。そんなときに一人にしてごめんね。ごめんね、ルイ」

「セレナ姉様が泣くことないよ。言ったでしょ?王族の番には相応しくないって。どっちにしても、俺は番う事はなかったんだよ」

「ルイ、強がらなくていい。番えないと、番を失うとでは全然違う。心の痛みが違う」

俺の言葉にレーナ姉上が優しく諭した。

アッシュ兄上もリード兄上も、何も言わなかったけど、その顔が、態度が俺を慮っていた。

夕べさんざん泣いたのに、また俺はセレナ姉様の腕の中で泣いた。

俺が落ち着いたとき

〔ルイ、大丈夫?ごめんなさいね、こんな時に側に居れなくて〕

母様の声だった。

〔辛かったら戻って来てもいいのよ?王族や特権階級の人達は、番探しと交友関係の拡大が目的で学園に通うんだもの。無理して通うことはないのよ〕

「ありがとう、母様。でも最後まで見届けるよ。それに、誰かに殺されるくらいなら、俺の手でやりたい。番だもん」

どうしようもないとわかっていても、誰かの手で番が殺されれば、その誰かを殺しかねない。それが番と言うものだから。

〔そっか。いつの間にか大きくなったんだね、ルイも。いつまでも子供ではないのね〕

「いつまでも、それこそ死ぬまで、俺は母様と父上の子供だよ」

〔まぁ、フフフ〕

俺がおどけて見せたら母様が笑った。

〔ルイス。今ラビー国の国王と、番の親と思う外交大臣に話せる範囲で話した。もしも時は国際問題にはしないと、了承を得た。だがそれは最終手段だ。神がなんと言おうと、救える方法をこちらでも探してみる〕

『話し中割り込むぞ。やれるだけやることには反対しない。最後まで足掻けばいい。ただし、時間はない。邪神があの番を完全に取り込んでしまえば、いくら竜人とてかなわない。神を殺せるのは神だけだ。持って、3か月だ』

はは、タイムリミット付きとはね。たったの3か月で覚悟を決めないといけないのか。

「父上、神様から3か月以内に救う方法見つけるか、番を殺さないと完全に邪神が復活してしまい、俺達の手には終えなくなるんだって。神を殺せるのは神だけだって」

〔3か月。短いな〕

神様だってないと言っていた、邪神を番から引き離す方法を3か月以内なんて無理だと父上は悟っただろう。

「父上、、ラビー国の国王と大臣に伝えてもらえませんか。恨むなら俺だけにしてくださいと」

〔ルイス、俺を侮るな。ルイスだけに背負わせることはしない〕

〔母様も一緒よ。子供一人に罪を押し付けるなんてしないわ〕

「ああ、僕達も一緒に戦うし、背負うよ」

アッシュ兄上の言葉に、レーナ姉上達もルージュ達も頷いた。

「ありがとう、、ございます」

家族の絆を確かめあっているなか、身辺調査を終えたシュシュが、所在なさげに立ちすくしていた。

「ルージュ、報告はどうしたら」

「この空気を壊す勇気があるならどうぞ?」

「・・・無理だろう」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

元皇子の寄り道だらけの逃避行 ~幽閉されたので国を捨てて辺境でゆっくりします~

下昴しん
ファンタジー
武力で領土を拡大するベギラス帝国に二人の皇子がいた。魔法研究に腐心する兄と、武力に優れ軍を指揮する弟。 二人の父である皇帝は、軍略会議を軽んじた兄のフェアを断罪する。 帝国は武力を求めていたのだ。 フェアに一方的に告げられた罪状は、敵前逃亡。皇帝の第一継承権を持つ皇子の座から一転して、罪人になってしまう。 帝都の片隅にある独房に幽閉されるフェア。 「ここから逃げて、田舎に籠るか」 給仕しか来ないような牢獄で、フェアは脱出を考えていた。 帝都においてフェアを超える魔法使いはいない。そのことを知っているのはごく限られた人物だけだった。 鍵をあけて牢を出ると、給仕に化けた義妹のマトビアが現れる。 「私も連れて行ってください、お兄様」 「いやだ」 止めるフェアに、強引なマトビア。 なんだかんだでベギラス帝国の元皇子と皇女の、ゆるすぎる逃亡劇が始まった──。 ※カクヨム様、小説家になろう様でも投稿中。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました

竹桜
ファンタジー
 誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。  その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。  男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。   自らの憧れを叶える為に。

処理中です...