知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞

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35 番

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無事入学式を終え、教室に向かう途中、仄かに甘い香りがした。しかし、甘さの中に言いようもない臭いも混じっていた。

俺が顔をしかめているとルージュが気付き、俺に声をかけようとしたとき、

「きゃー!私の番見つけた!しかも、ドラグ国の王子様じゃん!ラッキー!」

前の方から逆走してくる、ネズミの獣人の女の子が叫びならが向かってきた。
女の子が近づいてくるに従い、匂いも強くなった。

「くっ。ジュジュ、あの子を遠ざけて。早く!」

俺は腕で鼻を押さえ、ジュジュにお願いした。
ジュジュはすぐに動き、少し強引に、女の子を同じラビー国の獣人に引き渡した。

引き渡された獣人の女の子は何度も頭を下げ、何かを叫んでいる女の子を2人がかりで引きずっていった。

しかし、甘い匂いと異様な臭いの混じった香りにやられた俺は、駆け足でトイレに駆け込んだ。

「うー、城下街以上のにおいだった」

トイレでもどして、そのまま寮へと帰った俺は、ベッドで横になっていた。
そして兄上達に、シュシュとジュジュに伝言を頼んだら、一緒に帰ってきた。

「ルイ大丈夫か?番が見つかったって聞いたけど、何があったの?」

アッシュ兄上は、部屋に入ってくるなり質問してきた。
俺は体を起こしてベッドに寄りかかる

「アッシュ兄上。まだ少し辛いけどどうにか。そして番だけど、俺自身はまだなんとも言えない。番かどうかわかんないんだ」

俺が番かわからないと言うと、兄上達は顔を見合せ、そんなことがあるのかと言い合っていた。

「とりあえず、今はルイを休ませよう」

レーナ姉上の言葉に、兄上達は俺の部屋を後にした。兄上達が居なくなると、すぐに俺はベッドに横になった。

「ルージュ、少し寝る」

「はい。ごゆっくりお休みください」

俺はそのまま眠りについた。しかし数分後、神様からの交信で起こされた。

『ルイス、ルイス。起きてくれ!お前の番の事で話がある!起きてくれ』

(うんー、なに?)

起きるには起きたけど、なかなか目が開かなかった。それでも、何とか神様に返事をした。

『本当に起きてるか?大事な事なんだが』

(目が開かないけど、起きてる起きてる。それで)

神様は訝しみながらも

『そうか?まぁいい。それでな、前に異世界の邪神が来て暴れたと言っただろう?捕まえるには捕まえたのだが、移送中に邪神の体が突然崩れたらしい。どうやら魂を一部が切り離し逃げたみたいだ。そして、こちらの下界に逃げ込んだ事がわかった。邪神の行方を探している時に、さっきお前にやった加護に反応があった。念のためお前の番を調べたら、邪神に取り憑かれていた。しかも、邪神は時を遡り、今より幼い時に番に取り憑いたため、完全に番と邪神の魂が混じりあってしまっている。ルイスは俺の加護を持っているため、邪神の臭いを感じ、異臭を感じたのだ』

起きているとは言ったものの、夢心地で話し半分に聞いていた俺は、神様の言葉で完全に目が覚めた。

(はぁ?あの異臭、邪神の臭いなの?それと、俺の番はどうなるんだよ!)

『だから言ったではないか、大事な事だと。今のところ完全に混ざった魂を切り離すことは出来ない。それどころか、番ごと消滅させるしか邪神を倒す方法はない。幸いと言うか、ルイスは獣人。番を亡くしても竜人ほど狂うことはないだろう』

(そんなこと、幸いとは言わないよ)

それ以上、言葉が続かなかった。どのくらい時間が経ったのか、ルージュ達が起こしに来るまでベッドで呆然としていた。

明かりをつけたら、俺が呆然と起きていた事にジュジュ以外が驚いた。

「わっ!ビックリした。起きていたのなら明かりぐらいつけてくださいよ。、、殿下?」

何の反応も示さない俺に何度か声をかけ、それでも反応しない俺の肩を軽く叩いた。

「あっ、ルージュ。え?外くらっ!今何時?」

ルージュ達はホッとしながら、

「19時です。夕食の時間なので起こしに来ました」

「19時、、。戻ってきたのって昼前だったよね?」

どんだけ呆然としてたのか。

「アッシュ兄上達は?」

「すでに食堂へ」

「じゃあ、急いで行こうか」

ルージュ達に軽く身だしなみを整えてもらい、食堂へ行った。

しかし、神様の言葉が頭の中で繰り返されていて、心ここにあらず状態で食事をし、兄上達に挨拶もそこそこに部屋へと戻った。

部屋に戻り、番を助ける方法を探すため知識スキルを使った。

ーーーー
検索対象ありません

ーーーー
再度検索

ーーーー
検索対象ありません

ーーーー

神様が無いと言っていても、なにかないかとあがいたけど、結局助ける方法はなかった。

「・・シュシュ。番と思われる子を調べて。王族に嫁いでも大丈夫かどうか」

「えっと、、、はい。すぐに」

シュシュが転移していった。第一印象があれだったので、たぶん無理だろう。
そう、番であっても、王族の番に相応しくなければ番う事は出来ない。

邪神云々を抜きに、番えないとわかれば諦めもつく。諦めれば、、、番が死んでも喪失感はそこまでないだろう、、、。

「ルージュ、ジュジュ。今日はもう休むから、部屋に戻っていいよ」

俺は部屋に戻ってから一度も、ルージュ達を見てはいない。自分の事でいっぱいで、いつものようには振る舞えなかった。

「わかりました。でもなにかありましたら、いつでもお呼びください。お休みなさいませ、殿下」

たぶん、一礼してから二人とも部屋を出ていったと思う。いつもルージュ達はそうしているから。

二人の気配が無くなったら、俺は防音結界張り、泣いた。唯一の番を認識したとたん、失う事になった。

番を助ける事が出来ない自分が、無力な自分が情けなくて泣いた。

そして、泣き疲れていつの間にか俺は寝ていた。

『・・地球の神と約束した。絶対にお前に幸せな人生を与えると。一度、番を失うかもしれない。しかし、俺の全力を持って番の魂を救う。それには邪神の完全消滅が絶対条件だから、どうしても番は亡くなってしまう。でも、必ず、、』

神様の声は、深い眠りにあった俺の耳には届かなかった。
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