一人、辺境の地に置いていかれたので、迎えが来るまで生き延びたいと思います

菻莅❝りんり❞

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18 夢の続き

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願いが届いたのか、俺達はまた全員揃って夢を見た。今度はジャンとアレイも居た。

「これは驚きました」

「突然強い眠気が来たと思ったら。まさか我々まで」

どうやら、いつものように明日の準備をしていたら、急に抗いきれない眠気に襲われて、気がつけばここに居たとの事だ。

「おそらく、あの場に居た事で呼ばれたのかもしれないな」

父上がそう予想を立てた。

「あっ!父上、リックです!」

俺達が話している間に、場面はリックを映していた。
どうやら昨日の続きらしく、休憩所で寝ていたリックが目を覚ました所らしい。リックが起きると同時に、ブランケットは休憩所の椅子にかけられた。

「う~ん、りりー、おしっこ」

「!!リック様、りりーはここに居ります!」

と、リリーがリックを抱っこしようとして、昨日のレイナのようにすり抜けた。

リックは目を擦りながら、今自分のいる場所に気づくと、目に涙を溜めだした。

「リック、、、」

俺も、すり抜けと分かってはいるけどリックを慰めたくて、リックの頭に手を置いた。

「いまはにゃくときじゃにゃい!ぼうこうの、きき!」

と言って、ゆっくりと立ち上がり、トテトテと音がしそうな足取りで休憩所を後にした。

俺はリックの頭に手を置いた形で

「どこであんな言葉を覚えたんだ?」

「・・・あらあらあら。まだ早いけど、リックに言葉遣いを覚えてもらわないと」

「わかりやすい教本をご用意致します」

リックよ。お前の知らぬ所で、早々とマナーの練習が決まってしまったぞ。

リックはどうやら自分の部屋へ向かったようだ。

部屋の入り口は開けたままだったので、そのまま入ったけど、トイレのドアはステッキで少し開けたと思ったら、バン!と音がするくらいに勢いよく開けた。

「追加の教本も探しておきます」

レイナの笑顔が深くなったのに気づいたセバスがすかさず言った。

トイレをすませたあと、また余計な言葉を言ったけど、俺はスルーした。レイナの笑顔は深いままだが

「ああ~、そんなチョンチョンとしただけで顔を洗ったことにはなりません~。服も床もビチョビチョ~。え~!そんなちょっと含んだだけで、歯磨き終わりなんですか?」


と、セバスの隣でリリーが叫んでいた。
当のリックは満足したような顔で部屋を出ていった。

部屋を出て、また休憩所へ向かい、手洗い場の水をコップに入れ、昨日の残りのお菓子を食べた。

「あしゃからおかし。おかしゃまにばれたらおこられるあんけんだね」

と言いながら食べている。怒られることは分かってるんだな

「確かに、朝からお菓子なんてだめだけど。今回は非常時ですからね。大目に見ますよ」

とレイナは、さっきとは違い優しい顔でリックを見ている。だけど、俺が気になったのは

「昨日は気付かなかったが、あの水。普通の水なのか?」

普通の水は無色透明だ。だが、あの水は薄く水色の色が付いているように見える。まるでポーションみたいに

「そういえば昨日、洗い場の水を見てリック様がポツリと何かを言ってましたね?」

セバスの言葉に、全員の視線がセバスに集中した。

「ああ、❝エクサリー❞と言ってましたね」

「・・・・はあ!エクサリー?」

俺達はジャバジャバと手洗い場の水でコップを濯いでいるリックを見た。

「あれが、エクサリー、、、、」

俺達が呆然とその様子を見ていたら、

「うーん。これいじょう、しようにんのおかしを、もらうわけにはいかにゃい。だけど、ぼくがたべられるもののこってにゃい」

「リック様!そんな事はありません!全部食べていいですよ!使用人全員、そんな事で怒ったりはしませんから!」

リックに聞こえるはずはないのに、リリーはリックに必死に訴えた。

でも確かに、リックが食べられるものは使用人達のお菓子しかない。だけど

「リリー、お菓子の在庫はどのくらいあるんだ?」

俺の問いかけに、リリーは考えてから

「リック様のペースだと、10日あるかないかかと」

申し訳なさそうにそう言った。

約10日。スタンピードの終息のおおよそは2ヶ月。どう考えても食料が足りない。

俺達が絶望している中、リックは休憩所を出て、何処かへ向かっていた。その途中で

「ひっく。おとしゃまの、ばかぁ。おかしゃまぁ~、どこ?ににしゃまぁ、ねねしゃまぁ。りりー。うぇ、ひっく、うぅ」

と、泣き出した。多分広い屋敷にひとりぼっちなのを思い出したのだろう。それでも歩みを止めることなく歩いている。だけど

「リック。何で俺だけばかなんだ?」

レイナや子供達、リリーはリックに「ここにいるよ」「大丈夫?」などと声をかけていた。

その中、セバスは冷たい視線を俺に向け

「リック様も分かってらしゃるのですよ。最終的に誰が置いていったのかを」


と言った。その言葉が心の奥深くに突き刺さり、その場に崩れ落ちた。

「ううっ。リック、済まない。俺がちゃんと確認しなかったばかりに。いくらでも謝るから、だから嫌いにだけはならないでくれ」

そんな俺を一瞥したセバスは、またリックに視線を戻した。俺もショックを受けつつも立ち上がり、リックに集中した。
そして、リックが泣きながら向かったのは、書庫だった。

リックは書庫に着くなり、泣き疲れたのかそのまま寝てしまった。そんなリックの元に妖精の光が濡れタオルを持って現れ、そっとリックの目元に置いた。

そして場面は変わり、リックが目を覚ました。
目元に濡れタオルがある事から、誰か居るのかと叫んだ。2回目で妖精の光が見えたのか

「ようせいしゃん?」

と問いかけ、その問いかけに答えるように光が丸を作った。

「何と!リックは妖精と意志を交わせるのか!」

妖精の光自体は見える者は多い。だけど、その光に声をかけても、あのように答えることなど無かった。

「これは、ちょっと大変な事になったな。でも、妖精が手伝ってくれてるみたいだし、大丈夫か?」

と言った側から、

「じゅっといっちょ?」

とリックが聞くと、妖精の光は✖️を作った。

「そんな!それじゃ、幼いリックだけでまた残されるの!」

安堵からの絶望でレイナが取り乱した。

だけど、リックは冷静に魔法に関する本を探し出した。

「?リックは文字を読めましたっけ?」

ジャックの疑問はもっともだ。3歳のリックは文字を読むことはおろか、書くことも出来ないはずだ。案の定、本を見たリックは

「よめにゃい」 「かけなにゃい」

と言って、鑑定に何か言っていたみたいだけど、そこはハッキリとは聞こえなかった。

だけど何を思ったのか、いつも寝る前に読んでもらっている絵本を妖精に頼んだ。だけど、リックの発音が微妙だった為、書庫にある絵本を全部持ってきた。

「リック様の考えは柔軟ですね。何度も読んでもらっているご本なら、読めなくても内容を覚えていればそこだけでも読むことが出来る。素晴らしいです」

どうやら、セバスはリックの行動の意味を正確に理解したみたいだ。だけど

「なぁ、リックが妖精から受け取ったあの袋。もしかしなくてもマジックバッグか?」

リックがお腹すいたと言って、妖精がリンゴを与えた。少し食べたあと、残ったリンゴをどうしようかと悩んでいたら、妖精が今度は袋を与えた。

リックが妖精に袋を開けるのを頼んで開けてもらったら、スッとリンゴが袋に入ったけど、袋に膨らみが無かった。しかも「?ほんちょにはいっちゃ?」と言ったあと「あっ、ちゃんとはいちぇる」と言ったのだ。

俺がマジックバッグに気を取られている間も、リックの行動は続いていて、

「かんちぇいしゃん、ぼくはまほう、つかえる?」

と、言ったと思ったら

「まほうはおーけー。つぎは、ましぇき、、、、どこあるの?」

と呟き、いきなり眠りについた。

「まだ3歳のリックが魔法を使える?鑑定もそうだけど、神はリック本人に自衛させようとしているのか?」

(確かにあそこにはリックしか居ない。だからといって)

俺はここで見ているしか出来ない。その事が歯がゆかった。
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