一人、辺境の地に置いていかれたので、迎えが来るまで生き延びたいと思います

菻莅❝りんり❞

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21 ようせいしゃんたちのほこらをつくろう!

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コケッケの小屋を後にしたぼくたちは、予定通りトムの畑に来た。
そうそう、お仕事の無くなった回収組のアルフ達にはトムとテンの部下になってもらったよ。

「とむ、おはよ。ちょっと、いい?」

・・・・名付けのときに来た時よりも広くなってない?

「オハヨウゴザイマス、アルジ。イカガシマシタカ?」

トムは作業の手を止め、ぼくのそばまで来た。

「うん。はたけのすみに、ようせいしゃ、しゃ、、、、ゔ~、、はぁ。ようせいしゃんのほこらを、つくりたいの。いい?」

くっ!なぜ❝さ❞の発音が出来ない!くやしぃ~

しかも、ディアもトムも微笑ましいという顔を絶対してるだろう!その無表情でもぼくには分かるんだからな!

❝さ❞の発音が出来なくて、口を突き出して、拗ねたよう顔をしている事にはぼくは気づいていなかった。

「ハイ、イイデスヨ」

と言って歩き出し、大きな木の前に案内した。

「ココデシタラ、ヨウセイタチモアツマリヤスイカト」

なんで集まる?と頭に?マークがついたけど、ディアに降ろしてもらい、地面に手をついて小さな祠とお供え用の台を作った。

ゴーレムみたいな大きなモノは、魔法陣があった方が安定するけど、小さいものは頭にイメージするだけで作れる。

それに、小さいものは逆に魔法陣があると余計に魔力を取られるから魔法陣はない方がいいのだ。

作ったばかりの祠に、トムが採れたてのトマトを供えた。

すると、妖精のキラキラが何処からか出てきて、トマトに群がった。

「ようせいしゃん。おいしい?よかった!おとしゃまたちが、かえってきたら、りっぱなの、つくるね!」

供えられたトマトは完食され、ぼくの言葉に嬉しそうにぼくの周りを飛んでいた。すると

『ずるいわ!この子たちにあなたの手伝いを頼んだのは私なのに!記憶呼び起こしたのも私なのに!私の祠も作って~、お供えして~』

突然頭の中に声が響いて、頭を抱えしゃがんだ。

「「アルジ!」」

いきなり頭を抱えしゃがんだぼくに、ディアとトムは慌てて、妖精たちは怒ってどこかへ向かった。

《きゃ!ちょっと、なに?え?リックが大変?かわいそう?あら、どうしたの?うん?私がいきなり話しかけたから?それは、ごめんなさい。リック、大丈夫?》

「アルジ?ダイジョウブデスカ?」

頭の中の女の人の声とディアの声が重なった。
トムは何処からかぼくサイズのイスを持ってきて、ぼくを座らせくれた。

ぼくはディアとトムにお礼と大丈夫だよと伝えて

「おねちゃ、だれ?」

と言うと、妖精のキラキラがまた戻ってきてぼくの周りに集まった。

『もう~。そんな怒らないで~、だって羨ましかったんだもん』

と、多分ぼくの周りの妖精たちに言ったんだと思う。

『えっと、始めましてリック。私は、妖精王のエメリアよ。最初にこの地は、私達妖精にとってとても過ごしやすい地なの。だから私達はこの地をスタンピードから守りたかったの。
人や魔物達の血や怨念で穢さない為に、あえて人をこの地から遠ざけるように情報を流させた。だけど、予定外にあなたが取り残されてしまって慌てたわよ
妖精達が知らせに行ったけど、姿も声も聞こえないし、見ようと思わなければ妖精の光も見えないのよ
もしあなたがあのまま死んでしまっていたら、あなたの縁によって、この地に負の感情が蔓延してしまって、私達妖精は近づけなくなっちゃうの。
だから、あなたの前世の記憶を蘇らせて、自己防衛をしてもらおうと思ったのよ
それでね、、、』

よく喋る。ぼくの頭の中で。

「ゔ~、うるしゃい!あちゃまいたいたいよ!」

大切な話なんだとは思う。でも、幼児の頭の中でしゃべり倒すはやめて欲しい。

頭の中で喋り倒され、かつ大声を出したことで、頭がクラクラしてそのまま意識を失った。

どのくらい気を失っていたのか分からないけど、目が覚めた時、仰向けで寝ているぼくの目の前に土下座をしている女の人がいた。

ピンクのゆるふわな長髪に、生地の薄そうなこれまたピンクのワンピース。

「ぴんくだ」

寝起きのぼくの感想がそれだった。

「アルジ、キガツカレマシタカ?」

と、ディアがぼくの上に浮いている女の人をペイッ!として、ぼくの体を起こしてくれた。

ぼくはディアにお礼を言いつつも、ペイッ!とされた女の人の方を見た。すると、妖精のキラキラが女の人を取り囲んでいた。

「ちゃんと謝ろうとしたじゃない!だけど、あのゴーレムが、、、え?私が悪いの?なんでよ!」

うん。妖精達が何を言っているのか分からないけど、女の人の言葉から何となく察した。
結論。妖精達が正しい!

そしてディアに飲み物をもらい、ようやく覚醒した頭で気づいたのは、あの声は妖精王って人の声だってこと

心なしか、妖精王を見ているディアから冷気が出ている気がする。
しかし、このままではらちが明かないので

「ようせいおう、せつめいして」

幼児のぼくに負担をかけたんだ。妖精王の呼び名は妖精王で十分だ!

ぼくが妖精王に話しかけたことで、妖精達から解放された妖精王が、またぼくの前までは来た。すかさずディアがぼくの前に出て、あまり近づけないようにした。

妖精王はちょっと不満そうにしたけど、妖精達から責められたのか、渋々適度な距離を取った。

「まぁ、簡単に言えばね。私達がこの地を守っても、この町が壊れるのは防げないの。出来るのはこの地で血が流されないようにすることだけ。
だけど、予想外でもあなたがここにいる。
まぁ、幼すぎるからあなたの魂を覗いて、おもしろ、、、良さそうな記憶があったから、魂に干渉してみたの」

今、面白いっていいかけたよね?
ぼくは半目で妖精王を見た。

「んっん。私達は人間に深く関わることを禁止されているの。
だけど、大人な記憶があってもあなたは幼いわ。しかも、ここには食料らしきものもない。
だから、出来る範囲であなたを手助けするよう、この子達にお願いしたのよ。
だけど、人間に深く関われないからずっとはムリだったのよ。ごめんなさい。
ああ!ごめんなさいがもう一つあったわね!
まさかあそこまで体に負担がかかるとは思わなかったの。本当にごめんなさい」

と、深々と頭を下げた。けど、ぼくが許す許さないを言う前に頭を上げ

「記憶戻って助かったでしょ?この子達、役にたったでしょ?だから私の分の祠も建てて!お供えして!そうだ!なんか欲しいものない?今なら特別に何でもあげちゃ、、、痛っ!」

頭を上げたと思ったら怒涛のように詰め寄ってきた妖精王。

力技でディアを退けてベッドまで乗ってきた。

ペイッとされ返されたディアは、妖精たちの所へ行って何かを話していた。

(ディア~、助けて~)

とベッドの端に逃げていると、突然青い髪のイケメンさんが出てきて、妖精王の頭に拳骨を落とした。

「お・ま・え・は!何をしてんだ!」

「なっ、何でいるのよ、アスエル!」
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