一人、辺境の地に置いていかれたので、迎えが来るまで生き延びたいと思います

菻莅❝りんり❞

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20 こけっけとこけっけのひな!

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ぼくは今庭にいる。

突然何だ?と思うかもしれないけど、そのまま聞いてください。

スタンピードが起きて3日目。ぼくは妖精達に感謝の気持ちを伝えるため、簡易の祠を作ろうと思ったのだ。ちゃんとしたやつは父達が帰ってきてから作ってもらおうと思っている。

トムが担当している畑と化した裏庭の隅に作ろうと、ディアに抱えられながら裏庭に向かっている途中、見覚えのない小屋から掃除・洗濯担当のラムたちが出てきた。そして、その手には黒い卵があった。

「おはよ。ここなに?」

と、ぼくがラム達に声をかけた。ぼくに気づいたラム達が

「オハヨウゴザイマス、アルジ。ココハ、ヨウセイタチガショウカンシタ、コケッケガイルコヤデス」

ラムの言葉に

「こけっけ?」

と首を傾げると、ディアが

「コケッケハ、シユウ(雌雄)コタイノ、トリノマモノノデス。コケッケノウムタマゴハ、ゼッピンナノデス」

コケッケ=鶏って事かな?でも雌雄個体ならコケッケの産む卵って、有精卵なんじゃ、、

「こけっけのたまごは、こけっけのこども?」

ぼくの言いたいことが伝わったのかディアが

「ユウセイランハ、アカ。ムセイランハ、クロイロノタマゴナノデ、ダイジョウブデス」

ディアの言葉に改めてラム達を見た。ラム達の抱えている籠には黒い卵がある。

「そっか。くれぐれも、あかいたまごは、とらないでね」

「ハイ。カシコマリマシタ」

ラムも無表情なのに、笑顔で答えたように見える。

「アルジ、コケッケヲミテミマスカ?」

「え?」

え?大丈夫かな?だって魔物なんでしょう?まぁ、ディアが居れば、、、いや、数で来られたら戦闘用じゃないディア一人では、、、

とグルグルと考えていると

「ミタメハアレデスガ、コドモヤナカマ二、キガイヲクワエナケレバ、キホンオトナシイマモノデス」

見た目がアレってなに?グロいの?不格好なの?

ラムの言葉に、怖いもの見たさの好奇心が勝ち、ディアに小屋に入ってもらった。

コケッケを見た第一印象は、

「やくじゃ(ざ)、、、」

だった。目付きが悪く、目元が黒でサングラスをかけているみたいな個体もいる。極めつけは鳴き声がまさかの

「ケッ、ケッ、ケッ、ケッ、チッ!ケッ、ケッ、ケッ、ケッ、チッ!」

だった。ガラが悪い!これで大人しい魔物だと言われても、信じられない!

何処から出したのか、ディア達は使用人の制服をいつの間にか着ていたので、その襟を無意識にキツく握っていた。

ぼくが怯えているのに気づいたディアが、ぼくをあやしながら小屋を出ようとしたら、コケッケがすごい勢いでディアの周りに集まってきた。

そして、円になりディアの周りを鳴きながら回りだした。

「にゃんのぎしき?!こあい!でぃあ、はやくでよう!」

あまりの恐怖に言葉が赤ちゃん返りしてしまった。
ぼくがパニクってディアを急かしていると、ディアが

「アルジ、ダイジョウブデス。コレハ、コケッケリュウノ、ユウコウノマイデス。アルジハコケッケ二、ミトメラレマシタ」

なんだろう。あまり嬉しくない。と、パニックから感情が無になった。

いつ終わるのかなぁと、コケッケ達を見ていたら、どこに隠れていたのかコケッケの雛と思われる小さなピンクのフワモコが出てきた。

「え?かわいい」

そう。ヤクザなコケッケの雛とは思えない位可愛いのだ。パッチリお目目に、自分の可愛さを分かってるような歩き方。極めつけは、上目遣いでディアを見上げるのだ。ぼくには目もくれない。なんなら、ディアに抱っこされているぼくを睨んでもくる。それを見て❝ああ、コケッケだな❞と納得した。

「あじゃとい」

かわいいけど、かわいくない。それがぼくの雛に対する最終感想だ。

ちなみに、雛の鳴き声は

「チュ、チュ、チュ、チュ」

の後にウインク。どこまでもあざとい雛だ。

「ヨカッタデスネ、アルジ。コケッケガミトメナケレバ、ヒナヲミルコトハ、デキナイノデス」

いつの間にかコケッケは、ディアの周りから居なくなって、代りに雛が群がっている。

それを見て微笑んでいるようなディアには悪いが、ぼくは見なくても良かったと思った。

自分が一番かわいい!の雛は、幼いぼくを完全にライバルとして見ている。

ディアには媚を売って、ぼくをディアの腕から排除しようとしているのだ。

「でぃあ、ここをでよう。はやく、ほこら、つくらないと」

雛になに対抗しているのかと言われそうだけど、ここまで敵意?を向けられれば仕方がない。

ディアの優先順位はぼくだと、雛たちに知らしめる必要があるのだ。
ディアは決してぼくよりもお前らを優先することはないと

「ハイ、アルジ」

そう言って、ディアは群がる雛を蹴らないように慎重に、だけど素早く小屋から出た。

雛はディアの後を追って出ようとしたけど、そこは親鳥であるコケッケが阻んだ。そして、何やらお説教のように、雛に対して鳴いていた。

へっ、ざまぁ

ぼくは後ろを振り返り、あっかんべーと舌を出した。それに気づいた雛は「チュ、チュ」ではなく「ヂュ!ヂュ!ヂュ!」と目を吊り上げ鳴き出し、またコケッケに怒られていた。
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