初恋音物語

海音

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初恋音物語#3初デート

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#3初デート

日曜日当日

未来は、万全の整えていた。

なんてたって今日は、海音との初デート、昨日は可愛い洋服を買いに行き今朝は早起きをして身支度をした。

「完璧」

未来は鏡に映る自分に向かってそう呟いた。

待ち合わせは8時、待ち合わせ場所の最寄駅まで15分、ただいまの時刻7時。

「完璧」

未来はもう一度鏡に向かって呟いた。

そして7時35分。

「そろそろ出よう」

未来は10分前には待ち合わせ場所にいる為にこの時間に家を出る事にした。


15分後


(着いた、海音はまだいないみたい)

未来は緊張していた。

5分ほど経った頃

「あーごめん待たせちゃって」

海音が来た。

「大丈夫ですよ!わたしが早く来ちゃっただけなんで!」

未来はそう言った。

「じゃあ、ちょっと早いけど行こっか」

海音はそう言って歩き出した。

未来は、それに黙ってついて行った。

駅のホーム、電車に乗った。

40分後、江ノ島についた。

電車の中で未来と海音に張り詰めていた緊張感はほとんどなくなっていた、それにたわいもない話をして笑ったりする事もできてお互い嬉しかった

「じゃあ行くか、新江ノ島水族館」

「うん!」

未来は満面の笑みで海音に応えた。

未来は楽しくて仕方なかった、今までこんなにワクワクしたことなんて1回もなかったし、海音いると心の底から笑える。

気付いたら、そんな風に思っていた。

「好き....」

不意に出た言葉。

突然の言葉に海音は驚いた。

未来も自分で言ったにも関わらず言葉に驚きを隠せなかった。

でも..未来はそれで良かった。

「だって、好きだから」

未来は頬を紅くしてそう言った。

さらに続けて、

「お礼を言わせて下さい」

未来は言った。

海音はまだ状況を飲み込めずにいる

「あの時、私を苛めから守ってくれた事、私を救ってくれた事ずっと言わなきゃって思ってたけどなかなか言い出せなくて...ごめんなさい、でも本当に感謝してる。私ね、苛められてる時ずっと助けてほしいって思ってた、でも私を苛めて笑う人達を見て絶望した。死にたいって思ったし、いっその事こと殺してくれとも思った。そんな自分を誰にも見られたくないそう思ってた、見られたら見捨てられると思ってたから、ううん。ただ私が弱かっただけ、心も体もでも海音は違った。見捨てずに助けてくれた...私の事を、本当に嬉しかった、初めて希望が見えた、そんな気がした。だから、本当に本当にありがとうございます。」

未来は今にも涙が滴りそうな瞳で言った。

海音も瞳が潤んでいる。

「こちらこそ、ごめんなさい」

海音は言った。

「えっ....なんで海音が謝るの?迷惑を掛けたのは私なのに....」

「違うんだ!」

海音は強い口調でそう言った。

未来も初めで見る海音の口調に戸惑いを見せた。

「ずっと知ってたんだ...未来が苛められてる事、でも言えなかった!もし苛めを止めたら次の標的は僕になってしまうんじゃないか?先生に相談したとしても、僕がした事がバレたら僕が苛められる...そう思ってたから!言えなかった....好き、だったのに..」

海音は激しい動悸を起こしている。

未来は慌ててすぐ近くにあった公園のベンチに海音を座らせた。

海音が落ち着くまで背中をさすってあげた。でも未来の心は複雑だった

「まさか、海音があんな風に思っていたなんて....」

なんて声を掛けたら良いのかわからない。でも私は強くいなくちゃ

海音のためにも

未来は心にそう固く誓った。

海音には本当にたくさんの迷惑を掛けた、だからこそ今は私が海音を救う番、海音が私にしてくれたみたいに。

「海音、私、今でも苛められてた時の事とか苛めてきた人の顔を不意に思い出して涙が止まらなくなる時があるの、でも、その度に海音の事も頭に浮かんできて私を守ってくれるの、なんていうかこう...海音は今も私を守ってくれてるんだよ、だから海音が自分を責める必要はないんだよ...でも、海音がそんなに私の事を思っててくれたのは本当に嬉しかった...私を助けてくれてありがとう!大好きだよ!」

未来は笑ってみせた。

海音に少しでも元気になってもらえればそれで良い。

そう思ってた

「未来は、強いよ。」

「だから勇気をだして、今の未来なら大丈夫だから。」

海音は苦し紛れにそう呟いた。

その瞬間、未来は今まで感じたことのないような感情が込み上げてきた。

これはあの時と同じ。

当時は理解できなかったけど、今なら理解できる気がする。

これは、正真正銘紛れもない恋心だ。

あの時はわからなかった、毎日辛くて死にたいとさえ思ってたのに誰かを好きになるなんて。信じられなかった。

「どうしたい、デート?」

不意に掛けられた海音の言葉で自分がぼーっとしてた事に気がついた。

「海音が辛くないなら続けたい。」

未来の返事に海翔は、

「じゃあ続けよっか!」

海音は笑顔で言った。

「でも、本当に辛くなったらすぐ言うんだよ!」

未来も笑顔で応えた。

そこからは、水族館でイルカのショーを見たり、海を眺めにいったりして楽しいことばかりであっという間に時間がたった。

「じゃあそろそろ帰ろっか。」

海音が言った。

「そうだね!」

未来は言った。

40分間電車に揺られ、駅に着いた。

「じゃあ今日はここでお別れだねまた明日」

「じゃあバイバイ、明日もよろしくね」

海音と未来はそう言って別れた。

こうして未来の初デートは終わった。

帰宅。

「お帰り、どこ言ってたの?」

お母さんの不意打ちに目を目を丸くした。

(なんて言い訳しよう!)

(彼氏とデートに行ってたなんて恥ずかしくて言えないし、かと言って一緒に遊びに行くような友達もいないし..)

「えーっと、買い物....」

未来な答えは随分と嘘っぽい。

未来自身も

(もっとまともな嘘をつくんだった)

と、後悔した。

でも、お母さんは

「あらそう。」

とだけ言った。

未来は慌てて階段を上って自分の部屋に行った。

「ふー、バレなくて良かった~」

未来は安堵のため息をついた。

でも、今日は本当に楽しかった。

自分の気持ちも伝えられたし、海音の気持ちも知れた。

明日も頑張ろう。


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