初恋音物語

海音

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初恋音物語#5再び

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#5再び

「ただいまー」

未来は玄関のドアを開けながら言った

「おかえりー、どこ行ってたの?」

お母さんの声が聞こえた

未来は

「友達と横浜に遊びに行ってた」

っと答えた。

「ふーん、最近よく友達と遊びに行くわね」

お母さんはそう言いながら夕飯の支度をしている。

(そういえば海音とデートに行った事をそんなふうに誤魔化したっけ)

美来はそう思いながら手洗いうがいをして階段をのぼり、自分の部屋に入り着替えもせずベットに倒れ込んだ。

(今日が楽しかったことに嘘はない、本当に心の底から笑った、海音の時もそうだったけど笑うって事がこんなにも楽しい事なんだって改めてそう思った。)

(でも、この笑顔は凛が私のために...私を笑わせるために私を遊びに誘って、私に沢山の笑顔を見せてくれたからだ、だからこの笑顔は私の心に芽生えた物なんかじゃなくて...他人に植え付けられた偽物の感情なんだ...海音もきっと....)

頭の中でそんなふうに考えてしまう。

「なんで私っていつもこうなんだろう?」

口に出したところで分かるはずもなく

未来は自分をコントロールできなくなっていた。

「凛とも海音とも....」

「海音との思い出なんていらない」

未来はスマホ手に取りカメラロールを開いて海音の写真や一緒に撮った写真も全て削除した。

「これで良いんだ」

涙まじりの声で言う

「凛との写真も消さなきゃ」

未来は凛と一緒に撮った写真を全て削除した。

「これで良いんだ」

そう言って未来は顔を伏せた。

数時間後

「あっ、いつの間にか寝ちゃってた、今何時だろう?」

未来はまだ上手く開かない目をこすって時計を見た。

「えっ!深夜3時!」

「変な時間に寝ちゃったせいでこんな時間に起きちゃったよ」

未来はげんなりした声で

「取り敢えずお風呂に入ろう」

未来は着替えを持って部屋を出た。

洗面所で服を脱いでお風呂に入ってシャワーを浴びる

髪と体を洗い終わったら湯船に浸かる。

気がつくと未来は自分がした事を思い返している。

「もういいんだ」

そう心で唱えても頭から離れない、未来は思いっきり息を吸い込んで湯船に顔を沈めた。

(もう一回、考え直してみようかな)

未来は心に決めた。

お風呂からあがり体を拭いて、ドライヤーで髪を乾かし自分の部屋に戻る。

(夜も遅いし今日はもう寝よう)

そう決めて未来は布団に潜った。


「未来ー朝ごはんだよー」

お母さんの声で目が覚めた。

「はーい」

ちょっと不機嫌そうに未来は応える。

階段を下りリビングの椅子に座る、ふとスマホを見ると海音からメッセージが送られていた。

「いきなりごめん、今日暇?もし暇だったら勉強教えてほしいんだけど次のテスト点数あげたいから」

と、書いてある。

どうしようか悩んでいると

「ふふーんこれが未来の彼氏とか言うやつか」

お母さんが後ろからニヤニヤしながら覗いてきた。

「えっ!」

とっさに声がでた。

「そんなに驚くって事はやっぱり彼氏さんなんだー」

お母さんはニヤニヤしながら言う

「そんなんじゃないって!海音はただの友達!」

必死で誤魔化す未来を見て

「未来が下の名前で呼ぶって事は相当仲が良い友達なんだね~」

また、ニヤニヤしている。

「もー!」

未来は頬を膨らませて言う。


朝食後。


未来はスマホ手に取りメッセージアプリを開く

「良いよ!」

「どこでする?」

海音にそう送った。


数分後


「ありがとう」

「まじで助かる!」

「どこでするかは頼む側の俺が言うのもなんだから未来の好きなところで良いよ」

(どうしよう?こういう時って何て返せば良いの???)

軽いパニックに陥る未来。

「日曜日だから地区センターも閉まってるし、かと言って海音の家って言うのも厚かましいというか」

(じゃあ私の家しかなくない!?)

(でも、家今日はお母さんもいるし...さっきもお母さんにバレそうになったばかりだし..てかもうバレてるのかな?そんな気がする)

(えーっい!もうどうせバレてるんだから仕方ない!)

未来は内心腹を括り、海音に

「じゃあ家でどう?地区センターも閉まってるし」

震える指で送信ボタンをタップした。


数分後


「わかった、ありがとう」

「何時に行けば良い?」

次から次へと話が進み未来は焦りを感じながらも手速く返事を返す。

「お昼過ぎとか?」

「わかった。」

未来の提案にすぐOKの返事がきた。

(やばい!部屋の掃除しないと!)

未来の頭に真っ先に浮かんだ事だった。

未来は階段を駆け上がる

急いで部屋を掃除してベットの枕元に可愛いぬいぐるみを置いて可愛い服に着替えて身嗜みを整えた。

(海音には可愛く見られたいもん!)

「未来ー」

お母さんの呼ぶ声が聞こえた

「お母さん急にお仕事入っちゃったから、お昼ご飯適当に食べて」

一回のリビングから聞こえてくる

「わかったー!」

未来も自分の部屋から大きい声を出して返答をする。

(ラッキー!)

未来はガッツポーズをする

海音を家に呼ぶ上で1番の問題はお母さんだ、それが居ないとなれば私の勝ちも当然。


お昼過ぎ


ピンポーン。

インターフォンの音が家中に響く。

(海音が来た!)

未来は嬉しさと緊張で今にも張り裂けそうだった。

(今日は海音にお勉強を教えてあげるんだ!私が緊張してどうする!もうデートもしたんだし大丈夫!!)

未来は自分を勇気付けて玄関のドアを開ける。

「いらっしゃい!」

未来は笑顔で海音を見る

「今日は急に誘っちゃってごめんね」

海音も少し申し訳なさそうに笑う。

「入って入って!」

未来は笑顔で言う、正直海音と会えるのが楽しみで仕方なかった。

「お邪魔します」

海音も緊張してるみたいだ。

「私の部屋はこっちだよ」

未来は二階へと海音を案内する。

「ここが私の部屋」

ドアを開けると海音の緊張がより高まった様に見えた。

(女の子の部屋って緊張するものなのかな?)

そこからは、いっぱいお勉強を教えたりしてすごく楽しかった。

(人に頼られるってこんなに嬉しい事なんだ。)

昨夜の事を思い返す。

(自分は弱くて要らない人間なんだってずっと思ってた)

(でも、海音と出逢って。凛と出逢って変わった、変われた)

(私の事を心配してくれる人がいて、私の笑顔で喜んでくれる人がいて、私のことを好きって言ってくれる人がいる) 

(今までの私なら絶対に気づかなかった、でも今はわかる)

「大丈夫?ずっとぼーっとしてるけど」

不意に掛けられた声に自分がずっと黙っていた事に気づかされる。

「あっ、ごめんごめん」

謝る未来に

「大丈夫?体調でも悪いのか?」

海音は心配そうに言う。

「ううん、全然大丈夫」

未来は答えた。

「色々と、ありがとね」

自然と口から出た

「急にどうした?」

不思議そうな海音

「なんでもな~い!」

未来は笑顔で言う。


数時間後


「今日はありがとな」

海音はお礼を言う

「私も楽しかったよ、またわかんない所あったら聴いてね」

笑顔で返す

「うん!じゃあまた明日!」

海音は自宅に向かって歩き出した

未来はそれを見送ってドアを閉じた。

未来は閉じたドアに寄り掛かって

「ありがとう、海音。気づかせてくれて」

そう呟いた時には未来の頬には一滴の涙が流れていた。

「また泣いちゃった」

そう言いながら未来は止まらない涙を両腕で拭った。


次の日


いつも通り海音と一緒に登校して、それぞれの教室に入り席に着く。

何事もなく朝のホームルームが終わり、授業が始まった。

「今日は新しい単元に入ります」

(早く帰りたいな~)

そんな事を考えている未来。

「初音!早く教科書を開きなさい!」

先生に注意された、最近はよくある事だ

「はっ..はい!」

返事をした。


今日もなんとか授業を切り抜けた。


帰る準備をしている時、未来は家の鍵を忘れたことに気がついた。

(どうしよう)

そんなこんなで帰り道。

海音に鍵を忘れた事を相談する

「じゃあ家来る?」

思いもしなかった言葉に驚いた。


その時だった。


「今日も二人で楽しそうだねーw」

苛めっ子達だった。

「なんなんだよ!お前ら!」

海音が怒りをあらわにする

「ほんとwお前面白いよなw!」

「苛め甲斐がある」

「やれ」

その掛け声と共に未来は上から冷たい何かを掛けられた。

「水..?」

海音が振り返ると未来はびしょ濡れになっていた。

「お前のその顔が面白くて堪らないんだよ!ww」

苛めっ子達が笑っている。

(花が咲いた)

そう思った瞬間、未来は全身が崩れ落ちるようにその場に倒れ込んだ。


未来が目を覚ました時は学校の保健室のベットの上だった。

「未来、大丈夫か?」

海音の声が聞こえた。

「今、先生が未来の家に電話をしてる」

「目を覚ましたのね」

先生が入ってきた。

「今両親に電話してお母さんが迎えに来るって」

「あの...どうしてここに..」

「海音君が運んで来てくれたのよ、お姫様抱っこでね」

先生が笑いながら言う

未来は一瞬で顔が真っ赤になってしまい、とっさに両手で顔を隠した。

海音も頬を赤らめている。

私は顔を隠したまま

「ありがとう」

震える消え入りそうな声で言った

誰に宛られたのかも分からない、小さな声だった。

その言った未来の目は今にも大粒の涙が流れ出しそうだった。


(泣いちゃダメだ)

未来は必死で涙を堪えた。


数分後


お母さんが迎えに来た

「ばいばい、海音」

暗い声で言って保健室を出た。

帰りの車の中、助手席に座る未来に運転しながお母さんが聞いてきた

「なんかあったら相談してね」

優しい声だった。

「ねぇお母さん」

未来は窓の外を見ながら言う

「なに?」

そう言ったお母さんに

「お母さんは私の全てを知ってるの?」

外を眺めている未来に

「知ってるわよ、だってお母さんだもの」

と、お母さんは言った。

「じゃあ、私が今考えてる事言ってみてよ」

未来の質問に少し戸惑いながら

「海音君のことかしら」

お母さんは答えた。

「やっぱりそう言うんだ」

未来は言った

「正解?」

と、聞くお母さんに

「不正解」

未来は答えた

「じゃあ正解は?」

お母さんの質問に

「このまま事故に遭って私だけ死んじゃいたい」

未来は答えた。

お母さんの目から涙が流れているのは鏡の反射で未来もわかった。

「またか」

そう呟く頃には車は家の駐車場に到着していた。

手洗いうがいもせず、未来は階段を上り自分部屋に閉じこもった。


深夜


「こんな時間にごめんね今日の放課後、海音の家に行って良いかな?」

「なんか、家にもいずらくて」

未来は電気もつけていない暗い部屋の中でそう海音にメッセージを送った。


「良いよ」


深夜にも関わらずすぐに返信がきた。

それを見た未来はいつの間にか眠ってしまっていた。


「う..うぅ..もう朝?」

まだ、寝ぼけている未来にドア越しにお母さんが

「おはよう、学校行ける?休んでも良いよ」

優しい声だ。

「今日は休みたい」

未来がそう言うと

「わかった、無理しなくて良いからね」

と、言ったお母さんに

「ありがとう」

と、返した。

「弱いな、私」

未来はベットに寝転んだまま天井を見つめた。



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