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初恋音物語#14みんなを信じて。
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#14
「ぱ..パパ...ママ....私、二人と一緒に..暮らしてみたい」
両親と話す好亜はとても緊張していた、未来は隣でそっと好亜を見守っていた
好亜が言葉に詰まった時は優しく背中をさすってあげた。
好亜の両親は嬉しそうに笑って好亜に近づこうとしたけど好亜は少し後退りをした、それに気付いた未来は好亜代わりに言った
「好亜はあなた達のことをすごくこわがっています、無理もないです」
「そ..そうだよな」
両親は少し悲しそうな顔をして好亜から離れた
「好亜、ゆっくりで良いからね」
好亜の母親がそう言うと好亜は少し安心したのかちょっとだけ笑みを浮かべた気がした
「それと、初音未来さんだったわよね?」
「はい、そうですけど」
未来は好亜の母親に話しかけられて内心驚きながら返事をした
「初音さん、好亜の事本当にありがとうございました」
そう言って、好亜の両親は未来に向かって深く頭を下げた
未来は何も言えなかった
「私もありがとう、未来」
未来の耳元で未来にしか聞こえないくらいの小さな声で好亜はそう囁いた。
その後すぐに好亜は未来の前に出て
「一緒に帰ろう!パパ、ママ」
そう言って手を差し出した
好亜の両親は嬉しそうに笑って好亜の手を掴んだ。
その手はずっと求めていた物をようやく手に入れたかのような喜びに溢れていた。
好亜は笑っていたけれど、どこか不安な表情にも見えた。
「好亜、また遊ぼうね」
未来は笑顔で好亜を見送った
「絶対だよっ!!」
好亜も大きく手を振り返しながら言った
「私も強くならないとな...」
未来は小さく呟いた。
自分の病室に戻った未来は自分のスマホを手に取りメッセージアプリをタップした
「海音、ごめんね。たくさん迷惑掛けて」
「凛、ごめんね。たくさん迷惑掛けて」
「お母さん、ごめんね。たくさん迷惑掛けて」
と、メッセージを送った。
次に未来は日記帳を開いてシャーペンを走らせた
「今まで何回も次は大丈夫って思っては後悔して、その度にたくさんの人に迷惑を掛けてきた。私なんか生まれてこない方が良かったって思ってた、でもそんな私を"好き"って言ってくれる人がいる、なんだか不思議な気持ちになる。嬉しさでも悲しさでもない、これが"恋"ってやつなのかな?って思ったり。笑っちゃうよね、苛められて独りで泣いてずっと死にたいって思ってた私が誰かを好きになるなんて、でも、もうこの気持ちに嘘はつきたくない。お母さん、凛、好亜、そして海音大好きだよ、あの時勇気を出して海音の下駄箱に手紙を入れて返事が帰ってきた時は本当に嬉しかった、私に生きる意味をくれた。ありがとう、本当にありがとう。きっとこれからもいろんなことがあると思う、でもその時は一緒に手を繋いで乗り越えていきたい。こんなこと恥ずかしくて面と向かって言えないけどね。ねえ海音、一緒に星を見に行こうよ、それでね展望台がある山の近くにあるご飯屋さんのおばあちゃんがすっごく優しい人でね海音にも会わせてあげたいんだ...ってここに書いても意味ないか....」
そこで、ふと未来の手が止まった
「あれ、どうして私泣いてるの?」
手元の日記帳には未来の瞳から零れ落ちた涙で所々文字が滲んでいた
「でも、書きたい。今しか書けない気持ちを全て」
未来は止まらない涙を無視して手を動かした
「意味なんて無くったって良い、それでも私は好きな人に好きと言いたい、抱きしめたい、抱きしめてもらいたい。ねえ海音、好き、大好き。初めて海音が私を助けてくれた時、本当に嬉しかった。苛めっ子達から守ってくれて初めて"好き"って言ってくれた時、胸が熱くなって、顔も赤くなっちゃったっけ、あの時は今以上に自分の事が嫌いで、いっそのこと苛めっ子達に殺されてしまいたいって思ってた。なのに.....」
コンコン
病室のドアがノックされた、未来がドアに目をやると、そっとドアが開いた
そこには苛めっ子達がいた
「どうしたの?」
未来は止まらない涙を指で拭おうとしながら言った。
「ごめんなさい、酷い事をたくさんして。この前はちゃんと最後まで謝れなかったから今度はちゃんと謝らせてほしい。本当にごめんなさい。謝って済む事じゃないって事はわかってる。でも....本当に申し訳ない事をしたと思っている」
苛めっ子達はずっと頭を下げている
「なんでさ、私を苛めたの?」
「楽しかった?」
未来は苛めっ子達を質問攻めにした
「それは.....」
「どんな事でも良いから正直に話して」
未来は言葉に詰まっていた苛めっ子達にそう言った。
「嫌い......」
未来は小さく呟いた。
「お前らのせいで私は何回も死のうとした、消えたかった、今もそう思ってる。」
「用が済んだなら早く帰って」
未来は窓越しに空を見上げながら言った。
苛めっ子達も黙って部屋から出て行くしかなかった。
数十分後
「未来、元気か?」
「海音?」
未来が問いかけると
「そうだよ」
「そっか、来てくれたんだ、ありがとう」
「なんかあったのか?」
いつもと様子が違う未来に気付いた海音はそう言った。
「別に」
「未来がそう言う時はなんかある時だろ」
「よくわかってるね、その通りだよ、いっぱいあった」
「ねえ海音、私ね消えたいんだ」
「そっか.....」
海音は未来に近づいて未来を抱きしめた
「ちょっと、やめてっ!」
海音は未来の言う事を聞かずにより強く未来の事を抱きしめた
「未来、何か嫌な事とか不安な事があったら全部僕に話してくれ、もう二度と未来が悲しんでるところは見たくないんだ」
「じゃあ...聞いてくれる?」
未来は優しい声で海音にそう言った
未来は海音の答えを聞く前に話し始めた
「さっきね苛めっ子達が来たの、謝ってくれた、なのに私は"嫌い"って苛めっ子達に向かって言っちゃった、酷い事をしちゃった....本当最低だよね、私」
「そんなことない、未来は...最低なんかじゃない、だって...あいつらは未来を苦しめた、未来があいつらの事を嫌いになるのも無理はない」
「私....」
未来はそれ以上何も言わず、ただひたすらに海音を抱きしめた
「ずっとこうしていたい」
数秒後、未来はそう言った。
長い長い沈黙の後、そっと抱き合った手を離して二人は見つめ合った
二人は思わず笑い出した、たくさん笑った、疲れるくらい笑った。
一区切りついたところで海音が言った
「やっぱり、これが未来だ」
「私もそんな気がする」
不意に病室のドアがノックされた、二人は揃ってドアに振り返った
ゆっくりとドアが開いて見えたのは好亜だった
「あれ、どうしたの?」
未来が首を傾げると好亜は笑った
「言いたい事ができたの!私が行く中学校の話、未来と同じだって!」
それを聞いた未来は嬉しくて自然と笑みが溢れた
「やった!じゃあこれからは同級生だね!」
「えっと..海音君もよろしくね!」
好亜は二人にそう言った後小走りで病院から出て行った。
「僕もそろそろ帰らないと」
「そっか...またね」
「うん、じゃあまた明日」
海音が病室から出た後未来は棚の引き出しから日記帳とシャーペンを取り出した
「やっぱり私ってバカだ、何回も見せてくれたじゃないか、それなのにその度に私は目を逸らしていた、きっと...怖かったんだ、自分が生きたいと思える世界が、自分が嫌いで自分が好きな物も嫌いになった、そんな事はおかしいって解ってたはずなのに、本当にあの時の私は何もかも嫌いでどうでも良かった、でも、海音と出逢ってから変わった、海音の事をもっと知りたかった、だからラブレターを海音の下駄箱に入れたんだと思う、苛めっ子達が海音の事を馬鹿にした時も...許せなかった、どうでも良いって思ってたはずなのに....どうしたのかな?私。またわかんなくなっちゃいそうだよ。でも....もし、そういう事があったら...頼って良いのかな?みんな。」
「未来入って良い?」
「お母さん?」
「そうだよ」
「良いよ」
「ありがとう」
ゆっくりとドアが開いた。
「未来、なにしてたの?」
「秘密」
未来の日記帳にはいろんな思いが綴られている、そんな日記を自分の親に読まれるなんて思春期の女の子にとっては恥ずかしすぎる
「そっか」
「そういえばさ、ずっと気になってたんだけど、海音君とどうやって知り合ったの?」
「えっ!」
未来は不意に海音との馴れ初めを聞かれて顔が真っ赤になったのを感じてとっさに両手で顔を隠した
「可愛い」
お母さんにそう言われて未来はもっと顔が赤くなった気がして深く俯いた
「助けてくれたの、苛められてた私を」
未来は話し始めた、よくよく考えると苛められていた事を自分からちゃんと話すのは初めてかもしれない
「私ね苛められてたの、辛かった、毎日夜な夜な独りで泣いて、死にたかった、いっその事苛めっ子達に殺されてしまいたいと思ってた、でもね海音が助けてくれた、初めて人を信じても良いんだって思った、これが"好き"って事なのかなって思ったりして海音の下駄箱にラブレターを入れたのそしたら私の下駄箱に返事の手紙が入ってて、嬉しかった、嬉しくて自分の部屋で何度も読みかえしていたら突然お母さんが入って来てバレそうになった事をあった。それでも苛められてる時の事が突然フラッシュバックしてきたりして今でも恐怖に駆られる事がある」
「そっか、ごめんね。気付いてあげられなくて」
「そんなことないよ、私も隠してた。でも、これからは....助けてくれる?」
「もちろん、何でも言って」
「そういえばさ受け付けのところに未来と同じくらいの年齢っぽい子が何人かいたけど、あの子達は友達?」
「苛めっ子達だよ」
「えっ?どうしてここに?」
「謝りに来てくれたの、追い返しちゃったけどね」
「無理もないわ」
「でも.....」
「何かあったの?」
「あの子達...脅されてた」
「誰に?」
「よく分からなかったけど、たぶん先輩とかだと思う、お金を要求されてた」
「どうしてそれを知ってるの?」
「えっと...この前学校で道徳の授業があって、自分の事が好きか嫌いかみたいな事を聞かれて、私耐えられなくて、その場は凛が助けてくれて保健室に行ったのそしたら保健室の先生が私の所為で悲しんでて、また自分が嫌いになった、結局その日はずっと保健室に居たんだけど、帰り道に考えてたの"何で生きてるんだろう"ってそしたら偶然苛めっ子達を見つけて、知らない人に追い詰められてて、その知らない人達は今にも苛めっ子達に殴りかかりそうだった、私はもう生きたくなかったからせめて最期ぐらいは人の役に立って死のうと思って止めに走ったのそしたらちょうど相手の殴り拳がちょうど私に当たって....」
「そっか...大変だったね」
「でもさ、私思うんだよね。未来、あなたはすごいよ」
「どうして?」
「だって、自分を苛めてた人を身を挺して助けたって事でしょ」
「嫌...やめて、その話」
「えっ.....」
「やめて!」
未来は手で両耳を塞いで震えていた。
「ちょっと...独りにさせて」
未来のお母さんは黙って病室から出て行った
未来は布団にくるまって俯いていた
(何で.....)
(凛と海音に会いたい....)
未来はそっとベットから立ち上がって入院着のまま病院の出口に向かった
途中、看護師さんに止められたけど無視して歩いた、腕を掴まれて無理やり押さえ込まれそうになっても一心不乱に振り払った
看護師さん一人では手に負えない事がわかり、たくさんの人が未来を抑えに来た。
でも未来は止まるどころかその人達に向かって叫ぶように言った
「私に指一本でも触ったら私はこの刃を首に突き刺す!」
未来はポケットからカッター取り出して刃を見せた
「私は...」
未来は何かを言い残したまま病院を飛び出した
感覚だけで海音の家までの道を辿った。
どれくらい歩いたかも分からないくらい歩いてようやく見慣れた土地までやってきた
「あと少し....」
数分後
「着いた...」
インターホンを押す
ピンポーン
その音の後、スピーカー越しに海音の声が聞こえた
「海音....」
「未来!夜遅くにどうしたの?今行くからちょっと待ってて」
ほんの少しした後にドアが開いた
「どうしたの?取り敢えず入りな」
未来は小さな足取りで踏み出そうとした時足元がおぼついて海音に寄りかかった、その時未来は抱え込んでた物が溢れていくような気がして恐怖や不安で体が震えてしまった。
「大丈夫だ、未来、安心して」
海音は自分に寄りかかっている未来をそっと抱きしめて背中をさすってくれた。
「ずっと一緒にいて.....」
未来は震えながら掠れそうな小さな声でそう言った。
「わかった、ずっと一緒にいよう」
海音は優しくそう言ってくれた
ゆっくり歩いて海音の部屋に入った
「いったい何があったんだ?」
「えっと...その..聞かないで..」
未来は何も言いたくなかった、それより何て言えば良いのかわからなかった。
「じゃあ言いたくなったら言ってくれ」
海音はそう言ってくれた
「じゃあお茶でも持ってくるね」
海音はそう言うと部屋を出ようとドアノブに手を掛けた
「待って」
未来は後ろから海音に抱きついた
「えっ」
海音は不意の未来の行動に驚いていた
「嫌だ、行かないで」
未来は海音の背中に顔をうめながら言った
「わかった、一緒にいよう」
「うん、ありがとう」
「未来、安心して、もう離れようとしたりしないから」
海音の言葉に未来は安心した
「ごめんね、海音、ごめんなさい」
「どうして謝るの?」
「だって迷惑でしょ、急に訪ねてきて一緒にいてとか言われて」
「確かに最初はびっくりしたけど、迷惑なんかじゃない」
「ありがとう、そう言ってくれて」
ガチャ
一階で玄関のドアが開いた音がした。
「ただいま、海音誰かいるの?」
海音のお母さんだった
「どうする未来?隠れるか、隠れないか」
(隠れたいけど、後の事を考えたら素直に出た方が良い)
未来は迷った末に
「隠れない」
と、答えた
「わかった」
海音は頷くと
「今彼女来てる」
と、一階にいるお母さんに大きな声で言った
(えっ!待って、彼女!?いや、間違ってはないけど..改まって言われると照れくさくなっちゃう)
未来は赤くなった顔を見られたくなくてそっと俯いた。
「へー、てっ、え!」
海音のお母さんは予想もしなかった回答に驚きの声をあげていた
ドタバタと階段を駆け上がる音が聴こえる
「えっ!もしかして海音のお母さんこっちに来てる!?」
海音が止めようとしたけどもう遅かった
部屋のドアが"ガチャ"と音を立てて開いた
「こんにちは!海音の母です」
とてもテンションが高い
「ちょっ!急に入ってこないでよ」
海音が言うもそれを無視して続けた
「へー!まさか海音にこんな可愛い彼女がいるなんて!!」
どうやらお母さんは海音に彼女がいたことを知って喜んでいるようだった
「未来が困ってんだろ」
「えーいいじゃん、ねーねー海翔のどこが好きになったの?」
未来は急に質問を振られて戸惑いを隠せずにいると
「未来が困ってるからやめてあげて」
「えーつまんないの」
海音のお母さんはそういうと物憂げなさそうな顔で部屋を出て行った
「ごめんね、うちのお母さんいつもあんな感じだから」
「ううん、大丈夫」
「あのさ...私、逃げてきたんだ」
「無理に..言わなくても良いよ」
海音は未来の言葉を遮るように言った
「未来は周りに気を使いすぎなんだよ、自分がどんなに辛くても周りを気にして言い出せない、ねえ未来、思いっきり叫んでみてよ心の底から、そうしたら少しは楽になるかもよ」
「ダメだよ、そんなことしたら、また迷惑をかける」
「良いんだよかけて、いっぱい迷惑かけろ、僕にも凛にも好亜にも、それでみんなが未来の事を嫌いになるなんて事は絶対にないから安心して」
「いいの?こわいよ、私、また迷惑をかける、また死にたくなる、また消えたくなる、だから.....」
「大丈夫だから」
海音はそう言いながら未来を抱きしめた
「じゃあ僕に向かって、思いっきり叫んでみろ」
「本当に...良いの?」
「うん」
「わかった、やってみる」
未来は海音を抱きしめた
「本当は助けてほしいのに、愛してほしいのに、過去に囚われて、それを言い訳にして、みんなを拒絶して、それなのに死にたいとか消えたいとか言ってみんなに迷惑かけて、それでもみんなは私を"好き"って言ってくれて、なのに、なのに私は...本当に..バカだ、今まで何回も手を差し伸べてくれたのに、気づいてたはずなのに...はずなのに..」
未来は泣いた、思いっきり泣いた。泣いて泣いて泣き叫んだ
ひとしきり泣いた所で未来はもう一度海音を抱きしめた
「好きって言って」
「好き」
「私も好き」
未来はもっと強く海音を抱きしめて顔をうずくめた
その、まだ涙が拭いきれていない瞳で、未来は笑っていた。
「ぱ..パパ...ママ....私、二人と一緒に..暮らしてみたい」
両親と話す好亜はとても緊張していた、未来は隣でそっと好亜を見守っていた
好亜が言葉に詰まった時は優しく背中をさすってあげた。
好亜の両親は嬉しそうに笑って好亜に近づこうとしたけど好亜は少し後退りをした、それに気付いた未来は好亜代わりに言った
「好亜はあなた達のことをすごくこわがっています、無理もないです」
「そ..そうだよな」
両親は少し悲しそうな顔をして好亜から離れた
「好亜、ゆっくりで良いからね」
好亜の母親がそう言うと好亜は少し安心したのかちょっとだけ笑みを浮かべた気がした
「それと、初音未来さんだったわよね?」
「はい、そうですけど」
未来は好亜の母親に話しかけられて内心驚きながら返事をした
「初音さん、好亜の事本当にありがとうございました」
そう言って、好亜の両親は未来に向かって深く頭を下げた
未来は何も言えなかった
「私もありがとう、未来」
未来の耳元で未来にしか聞こえないくらいの小さな声で好亜はそう囁いた。
その後すぐに好亜は未来の前に出て
「一緒に帰ろう!パパ、ママ」
そう言って手を差し出した
好亜の両親は嬉しそうに笑って好亜の手を掴んだ。
その手はずっと求めていた物をようやく手に入れたかのような喜びに溢れていた。
好亜は笑っていたけれど、どこか不安な表情にも見えた。
「好亜、また遊ぼうね」
未来は笑顔で好亜を見送った
「絶対だよっ!!」
好亜も大きく手を振り返しながら言った
「私も強くならないとな...」
未来は小さく呟いた。
自分の病室に戻った未来は自分のスマホを手に取りメッセージアプリをタップした
「海音、ごめんね。たくさん迷惑掛けて」
「凛、ごめんね。たくさん迷惑掛けて」
「お母さん、ごめんね。たくさん迷惑掛けて」
と、メッセージを送った。
次に未来は日記帳を開いてシャーペンを走らせた
「今まで何回も次は大丈夫って思っては後悔して、その度にたくさんの人に迷惑を掛けてきた。私なんか生まれてこない方が良かったって思ってた、でもそんな私を"好き"って言ってくれる人がいる、なんだか不思議な気持ちになる。嬉しさでも悲しさでもない、これが"恋"ってやつなのかな?って思ったり。笑っちゃうよね、苛められて独りで泣いてずっと死にたいって思ってた私が誰かを好きになるなんて、でも、もうこの気持ちに嘘はつきたくない。お母さん、凛、好亜、そして海音大好きだよ、あの時勇気を出して海音の下駄箱に手紙を入れて返事が帰ってきた時は本当に嬉しかった、私に生きる意味をくれた。ありがとう、本当にありがとう。きっとこれからもいろんなことがあると思う、でもその時は一緒に手を繋いで乗り越えていきたい。こんなこと恥ずかしくて面と向かって言えないけどね。ねえ海音、一緒に星を見に行こうよ、それでね展望台がある山の近くにあるご飯屋さんのおばあちゃんがすっごく優しい人でね海音にも会わせてあげたいんだ...ってここに書いても意味ないか....」
そこで、ふと未来の手が止まった
「あれ、どうして私泣いてるの?」
手元の日記帳には未来の瞳から零れ落ちた涙で所々文字が滲んでいた
「でも、書きたい。今しか書けない気持ちを全て」
未来は止まらない涙を無視して手を動かした
「意味なんて無くったって良い、それでも私は好きな人に好きと言いたい、抱きしめたい、抱きしめてもらいたい。ねえ海音、好き、大好き。初めて海音が私を助けてくれた時、本当に嬉しかった。苛めっ子達から守ってくれて初めて"好き"って言ってくれた時、胸が熱くなって、顔も赤くなっちゃったっけ、あの時は今以上に自分の事が嫌いで、いっそのこと苛めっ子達に殺されてしまいたいって思ってた。なのに.....」
コンコン
病室のドアがノックされた、未来がドアに目をやると、そっとドアが開いた
そこには苛めっ子達がいた
「どうしたの?」
未来は止まらない涙を指で拭おうとしながら言った。
「ごめんなさい、酷い事をたくさんして。この前はちゃんと最後まで謝れなかったから今度はちゃんと謝らせてほしい。本当にごめんなさい。謝って済む事じゃないって事はわかってる。でも....本当に申し訳ない事をしたと思っている」
苛めっ子達はずっと頭を下げている
「なんでさ、私を苛めたの?」
「楽しかった?」
未来は苛めっ子達を質問攻めにした
「それは.....」
「どんな事でも良いから正直に話して」
未来は言葉に詰まっていた苛めっ子達にそう言った。
「嫌い......」
未来は小さく呟いた。
「お前らのせいで私は何回も死のうとした、消えたかった、今もそう思ってる。」
「用が済んだなら早く帰って」
未来は窓越しに空を見上げながら言った。
苛めっ子達も黙って部屋から出て行くしかなかった。
数十分後
「未来、元気か?」
「海音?」
未来が問いかけると
「そうだよ」
「そっか、来てくれたんだ、ありがとう」
「なんかあったのか?」
いつもと様子が違う未来に気付いた海音はそう言った。
「別に」
「未来がそう言う時はなんかある時だろ」
「よくわかってるね、その通りだよ、いっぱいあった」
「ねえ海音、私ね消えたいんだ」
「そっか.....」
海音は未来に近づいて未来を抱きしめた
「ちょっと、やめてっ!」
海音は未来の言う事を聞かずにより強く未来の事を抱きしめた
「未来、何か嫌な事とか不安な事があったら全部僕に話してくれ、もう二度と未来が悲しんでるところは見たくないんだ」
「じゃあ...聞いてくれる?」
未来は優しい声で海音にそう言った
未来は海音の答えを聞く前に話し始めた
「さっきね苛めっ子達が来たの、謝ってくれた、なのに私は"嫌い"って苛めっ子達に向かって言っちゃった、酷い事をしちゃった....本当最低だよね、私」
「そんなことない、未来は...最低なんかじゃない、だって...あいつらは未来を苦しめた、未来があいつらの事を嫌いになるのも無理はない」
「私....」
未来はそれ以上何も言わず、ただひたすらに海音を抱きしめた
「ずっとこうしていたい」
数秒後、未来はそう言った。
長い長い沈黙の後、そっと抱き合った手を離して二人は見つめ合った
二人は思わず笑い出した、たくさん笑った、疲れるくらい笑った。
一区切りついたところで海音が言った
「やっぱり、これが未来だ」
「私もそんな気がする」
不意に病室のドアがノックされた、二人は揃ってドアに振り返った
ゆっくりとドアが開いて見えたのは好亜だった
「あれ、どうしたの?」
未来が首を傾げると好亜は笑った
「言いたい事ができたの!私が行く中学校の話、未来と同じだって!」
それを聞いた未来は嬉しくて自然と笑みが溢れた
「やった!じゃあこれからは同級生だね!」
「えっと..海音君もよろしくね!」
好亜は二人にそう言った後小走りで病院から出て行った。
「僕もそろそろ帰らないと」
「そっか...またね」
「うん、じゃあまた明日」
海音が病室から出た後未来は棚の引き出しから日記帳とシャーペンを取り出した
「やっぱり私ってバカだ、何回も見せてくれたじゃないか、それなのにその度に私は目を逸らしていた、きっと...怖かったんだ、自分が生きたいと思える世界が、自分が嫌いで自分が好きな物も嫌いになった、そんな事はおかしいって解ってたはずなのに、本当にあの時の私は何もかも嫌いでどうでも良かった、でも、海音と出逢ってから変わった、海音の事をもっと知りたかった、だからラブレターを海音の下駄箱に入れたんだと思う、苛めっ子達が海音の事を馬鹿にした時も...許せなかった、どうでも良いって思ってたはずなのに....どうしたのかな?私。またわかんなくなっちゃいそうだよ。でも....もし、そういう事があったら...頼って良いのかな?みんな。」
「未来入って良い?」
「お母さん?」
「そうだよ」
「良いよ」
「ありがとう」
ゆっくりとドアが開いた。
「未来、なにしてたの?」
「秘密」
未来の日記帳にはいろんな思いが綴られている、そんな日記を自分の親に読まれるなんて思春期の女の子にとっては恥ずかしすぎる
「そっか」
「そういえばさ、ずっと気になってたんだけど、海音君とどうやって知り合ったの?」
「えっ!」
未来は不意に海音との馴れ初めを聞かれて顔が真っ赤になったのを感じてとっさに両手で顔を隠した
「可愛い」
お母さんにそう言われて未来はもっと顔が赤くなった気がして深く俯いた
「助けてくれたの、苛められてた私を」
未来は話し始めた、よくよく考えると苛められていた事を自分からちゃんと話すのは初めてかもしれない
「私ね苛められてたの、辛かった、毎日夜な夜な独りで泣いて、死にたかった、いっその事苛めっ子達に殺されてしまいたいと思ってた、でもね海音が助けてくれた、初めて人を信じても良いんだって思った、これが"好き"って事なのかなって思ったりして海音の下駄箱にラブレターを入れたのそしたら私の下駄箱に返事の手紙が入ってて、嬉しかった、嬉しくて自分の部屋で何度も読みかえしていたら突然お母さんが入って来てバレそうになった事をあった。それでも苛められてる時の事が突然フラッシュバックしてきたりして今でも恐怖に駆られる事がある」
「そっか、ごめんね。気付いてあげられなくて」
「そんなことないよ、私も隠してた。でも、これからは....助けてくれる?」
「もちろん、何でも言って」
「そういえばさ受け付けのところに未来と同じくらいの年齢っぽい子が何人かいたけど、あの子達は友達?」
「苛めっ子達だよ」
「えっ?どうしてここに?」
「謝りに来てくれたの、追い返しちゃったけどね」
「無理もないわ」
「でも.....」
「何かあったの?」
「あの子達...脅されてた」
「誰に?」
「よく分からなかったけど、たぶん先輩とかだと思う、お金を要求されてた」
「どうしてそれを知ってるの?」
「えっと...この前学校で道徳の授業があって、自分の事が好きか嫌いかみたいな事を聞かれて、私耐えられなくて、その場は凛が助けてくれて保健室に行ったのそしたら保健室の先生が私の所為で悲しんでて、また自分が嫌いになった、結局その日はずっと保健室に居たんだけど、帰り道に考えてたの"何で生きてるんだろう"ってそしたら偶然苛めっ子達を見つけて、知らない人に追い詰められてて、その知らない人達は今にも苛めっ子達に殴りかかりそうだった、私はもう生きたくなかったからせめて最期ぐらいは人の役に立って死のうと思って止めに走ったのそしたらちょうど相手の殴り拳がちょうど私に当たって....」
「そっか...大変だったね」
「でもさ、私思うんだよね。未来、あなたはすごいよ」
「どうして?」
「だって、自分を苛めてた人を身を挺して助けたって事でしょ」
「嫌...やめて、その話」
「えっ.....」
「やめて!」
未来は手で両耳を塞いで震えていた。
「ちょっと...独りにさせて」
未来のお母さんは黙って病室から出て行った
未来は布団にくるまって俯いていた
(何で.....)
(凛と海音に会いたい....)
未来はそっとベットから立ち上がって入院着のまま病院の出口に向かった
途中、看護師さんに止められたけど無視して歩いた、腕を掴まれて無理やり押さえ込まれそうになっても一心不乱に振り払った
看護師さん一人では手に負えない事がわかり、たくさんの人が未来を抑えに来た。
でも未来は止まるどころかその人達に向かって叫ぶように言った
「私に指一本でも触ったら私はこの刃を首に突き刺す!」
未来はポケットからカッター取り出して刃を見せた
「私は...」
未来は何かを言い残したまま病院を飛び出した
感覚だけで海音の家までの道を辿った。
どれくらい歩いたかも分からないくらい歩いてようやく見慣れた土地までやってきた
「あと少し....」
数分後
「着いた...」
インターホンを押す
ピンポーン
その音の後、スピーカー越しに海音の声が聞こえた
「海音....」
「未来!夜遅くにどうしたの?今行くからちょっと待ってて」
ほんの少しした後にドアが開いた
「どうしたの?取り敢えず入りな」
未来は小さな足取りで踏み出そうとした時足元がおぼついて海音に寄りかかった、その時未来は抱え込んでた物が溢れていくような気がして恐怖や不安で体が震えてしまった。
「大丈夫だ、未来、安心して」
海音は自分に寄りかかっている未来をそっと抱きしめて背中をさすってくれた。
「ずっと一緒にいて.....」
未来は震えながら掠れそうな小さな声でそう言った。
「わかった、ずっと一緒にいよう」
海音は優しくそう言ってくれた
ゆっくり歩いて海音の部屋に入った
「いったい何があったんだ?」
「えっと...その..聞かないで..」
未来は何も言いたくなかった、それより何て言えば良いのかわからなかった。
「じゃあ言いたくなったら言ってくれ」
海音はそう言ってくれた
「じゃあお茶でも持ってくるね」
海音はそう言うと部屋を出ようとドアノブに手を掛けた
「待って」
未来は後ろから海音に抱きついた
「えっ」
海音は不意の未来の行動に驚いていた
「嫌だ、行かないで」
未来は海音の背中に顔をうめながら言った
「わかった、一緒にいよう」
「うん、ありがとう」
「未来、安心して、もう離れようとしたりしないから」
海音の言葉に未来は安心した
「ごめんね、海音、ごめんなさい」
「どうして謝るの?」
「だって迷惑でしょ、急に訪ねてきて一緒にいてとか言われて」
「確かに最初はびっくりしたけど、迷惑なんかじゃない」
「ありがとう、そう言ってくれて」
ガチャ
一階で玄関のドアが開いた音がした。
「ただいま、海音誰かいるの?」
海音のお母さんだった
「どうする未来?隠れるか、隠れないか」
(隠れたいけど、後の事を考えたら素直に出た方が良い)
未来は迷った末に
「隠れない」
と、答えた
「わかった」
海音は頷くと
「今彼女来てる」
と、一階にいるお母さんに大きな声で言った
(えっ!待って、彼女!?いや、間違ってはないけど..改まって言われると照れくさくなっちゃう)
未来は赤くなった顔を見られたくなくてそっと俯いた。
「へー、てっ、え!」
海音のお母さんは予想もしなかった回答に驚きの声をあげていた
ドタバタと階段を駆け上がる音が聴こえる
「えっ!もしかして海音のお母さんこっちに来てる!?」
海音が止めようとしたけどもう遅かった
部屋のドアが"ガチャ"と音を立てて開いた
「こんにちは!海音の母です」
とてもテンションが高い
「ちょっ!急に入ってこないでよ」
海音が言うもそれを無視して続けた
「へー!まさか海音にこんな可愛い彼女がいるなんて!!」
どうやらお母さんは海音に彼女がいたことを知って喜んでいるようだった
「未来が困ってんだろ」
「えーいいじゃん、ねーねー海翔のどこが好きになったの?」
未来は急に質問を振られて戸惑いを隠せずにいると
「未来が困ってるからやめてあげて」
「えーつまんないの」
海音のお母さんはそういうと物憂げなさそうな顔で部屋を出て行った
「ごめんね、うちのお母さんいつもあんな感じだから」
「ううん、大丈夫」
「あのさ...私、逃げてきたんだ」
「無理に..言わなくても良いよ」
海音は未来の言葉を遮るように言った
「未来は周りに気を使いすぎなんだよ、自分がどんなに辛くても周りを気にして言い出せない、ねえ未来、思いっきり叫んでみてよ心の底から、そうしたら少しは楽になるかもよ」
「ダメだよ、そんなことしたら、また迷惑をかける」
「良いんだよかけて、いっぱい迷惑かけろ、僕にも凛にも好亜にも、それでみんなが未来の事を嫌いになるなんて事は絶対にないから安心して」
「いいの?こわいよ、私、また迷惑をかける、また死にたくなる、また消えたくなる、だから.....」
「大丈夫だから」
海音はそう言いながら未来を抱きしめた
「じゃあ僕に向かって、思いっきり叫んでみろ」
「本当に...良いの?」
「うん」
「わかった、やってみる」
未来は海音を抱きしめた
「本当は助けてほしいのに、愛してほしいのに、過去に囚われて、それを言い訳にして、みんなを拒絶して、それなのに死にたいとか消えたいとか言ってみんなに迷惑かけて、それでもみんなは私を"好き"って言ってくれて、なのに、なのに私は...本当に..バカだ、今まで何回も手を差し伸べてくれたのに、気づいてたはずなのに...はずなのに..」
未来は泣いた、思いっきり泣いた。泣いて泣いて泣き叫んだ
ひとしきり泣いた所で未来はもう一度海音を抱きしめた
「好きって言って」
「好き」
「私も好き」
未来はもっと強く海音を抱きしめて顔をうずくめた
その、まだ涙が拭いきれていない瞳で、未来は笑っていた。
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