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12話 忍者はエルフたちとお出かけする
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すきる
と言うものがこの国にはあるらしい。
よくよく話を聞けば我が国における"技能"に類似したものであるらしい。
出来ぬことを出来るようにする力。
条理や理屈を超えて身につけられる能力、それがすきるであり、そしてタランはどうやら普通とは違う方法で物を作ることができるらしい。
「いつもは机とか本棚、とかなんだけど、家を作るのは100年ぶりくらいかな。いっちょ腕がなるぜ」
ごく当たり前のようにそう語るタランと共に俺は、近くの花畑に向かうことになった。
後ろには、ディナとカレナもついてきている。
「お二方にまでお手伝いいただき、かたじけない……」
「いいんですよ。いつまでも穴生活では大変でしょうから」
「たのしそうだけどなー」
物を作るには素材の他に、魔素と呼ばれるものが必要になるらしい。
空気中に目に見えぬ形で充満しており、満ちる場と満ちぬ場が分かれているとのことだ。
「おーっし、この辺りならいいだろ」
と、タランが足を止めた場所には……なるほど、何かしら異様な"気"と呼べるものが渦巻いていた。
「なるほど、魔素とは"気"に概するものか」
「お、クロウも分かるんだ」
「だいたいな」
常人に識別できるかは分からぬが、気を操り忍術を繰り出す俺の一族であれば、感じ取ることは可能であろう。
「この魔素を持ち帰って、クロウの集めてもらった建材を掛け合わせる。で、まあ数日もあれば出来上がりかな」
「ずいぶんと単純だな」
「それが魔術工作《マジッククラフト》のスキルだからね」
なるほど、やはりすきる……スキルというものは、技術を簡略化する術ということか。
例えば、弓矢のスキルを持っておれば、体幹を支えて、弓を持ち上げ、的を狙いながら引き、放つ。
複雑な工程を踏むことになる弓を引くという行為を、何一つ意識せずに実行できる。
行為の簡略化と、精度の上昇。
すきる、とは一種の術であり、身につけるに当たってはきっと並々ならぬ苦労があったのだろう。
「それじゃあ魔素集めといきますか」
「わー」
と、ディナとカレナは何やらカゴのようなものを持って、せっせと動き回っている。
よく見ると、二人が手を伸ばすたびに、何やら光の粒子が渦巻き、カゴの中に収容されてくのがわかる。
「これは……気を集めてるのか」
「うん、ディナは採集《ギャザリング》のスキルが使えるからね」
「ほう」
気を集めて、カゴに入れるのか。
これはさすがに俺もできないな。
なるほど……俺は気を用いて、忍術として戦闘で活かすことはしてきたが、こうして物を作り出したりや、採集したりといった行為ができるのか。
「面白いな」
「クロウもやってみる?」
「試してみよう」
と、俺は気を手元に固める認識で集めだす。
だが、すぐさま霧散して、綺麗な形を保つことが出来ない。
「…………無理だな」
「まーそりゃそうだよね。オレだってできないもん、だから姉ちゃんを呼んで魔素集めお願いしたんだもん」
なるほど、タランにも無理なのか。
とすると、二人がついてきたのはただの見学ではなく、意味のあったことなのか。
「……と、姉?」
「ああ、オレとディナは一応、姉妹? ってことになってるんだ。203年前に生まれて、ディナが――」
「――――タラン?」
と、ディナが怖い顔でずい、と俺たちの前に現れた。
「わ、なんだよ怖い顔して」
「軽々しく年齢のこと言わないの。これだから貴方って子は……」
「うわ、ごめん、ごめんって」
と、平謝りするタランを見てから、ディナはオレを見た。
「…………魔素とやらは集まったのか?」
「はい、たっぷりと。これだけあれば十分ですよっ」
と、よくわからないが、確かにカゴの中には強い気を感じられた。
「なるほど、すごいなディナはこんなことができて」
「いえいえメイドですから」
メイドであれば、採集《ギャザリング》とやらができるのだろうか。
俺は論理関係が分からなかったが、下手に話を戻しても面倒なので納得することにした。
「クロウ、私もとったよっ!」
と、カレナも同じようにカゴを見せてきた。
なるほど……カレナも同じことができるのか。
「さすがですカレナ様」
「おーやるな」
「えへんっ!」
満足そうに可愛らしく胸をはるカレナ。
「カレナも採集《ギャザリング》ができるんだな」
「ぎゃざー?」
と、本人は分かっていないようだった。
「ああ、クロウさん。カレナ様はなんでもできるんです」
「……ほう?」
「ああ、一応、お姫様だからな。魔術工作《マジッククラフト》 も使えるぜ」
「えへんっ! ……くらうとって何?」
…………ほう?
ごく自然のように言ったが、なるほどなるほど……。
これは何というか……こちらの国の言葉で言うところの"ちーと"って物なのではなかろうか?
と言うものがこの国にはあるらしい。
よくよく話を聞けば我が国における"技能"に類似したものであるらしい。
出来ぬことを出来るようにする力。
条理や理屈を超えて身につけられる能力、それがすきるであり、そしてタランはどうやら普通とは違う方法で物を作ることができるらしい。
「いつもは机とか本棚、とかなんだけど、家を作るのは100年ぶりくらいかな。いっちょ腕がなるぜ」
ごく当たり前のようにそう語るタランと共に俺は、近くの花畑に向かうことになった。
後ろには、ディナとカレナもついてきている。
「お二方にまでお手伝いいただき、かたじけない……」
「いいんですよ。いつまでも穴生活では大変でしょうから」
「たのしそうだけどなー」
物を作るには素材の他に、魔素と呼ばれるものが必要になるらしい。
空気中に目に見えぬ形で充満しており、満ちる場と満ちぬ場が分かれているとのことだ。
「おーっし、この辺りならいいだろ」
と、タランが足を止めた場所には……なるほど、何かしら異様な"気"と呼べるものが渦巻いていた。
「なるほど、魔素とは"気"に概するものか」
「お、クロウも分かるんだ」
「だいたいな」
常人に識別できるかは分からぬが、気を操り忍術を繰り出す俺の一族であれば、感じ取ることは可能であろう。
「この魔素を持ち帰って、クロウの集めてもらった建材を掛け合わせる。で、まあ数日もあれば出来上がりかな」
「ずいぶんと単純だな」
「それが魔術工作《マジッククラフト》のスキルだからね」
なるほど、やはりすきる……スキルというものは、技術を簡略化する術ということか。
例えば、弓矢のスキルを持っておれば、体幹を支えて、弓を持ち上げ、的を狙いながら引き、放つ。
複雑な工程を踏むことになる弓を引くという行為を、何一つ意識せずに実行できる。
行為の簡略化と、精度の上昇。
すきる、とは一種の術であり、身につけるに当たってはきっと並々ならぬ苦労があったのだろう。
「それじゃあ魔素集めといきますか」
「わー」
と、ディナとカレナは何やらカゴのようなものを持って、せっせと動き回っている。
よく見ると、二人が手を伸ばすたびに、何やら光の粒子が渦巻き、カゴの中に収容されてくのがわかる。
「これは……気を集めてるのか」
「うん、ディナは採集《ギャザリング》のスキルが使えるからね」
「ほう」
気を集めて、カゴに入れるのか。
これはさすがに俺もできないな。
なるほど……俺は気を用いて、忍術として戦闘で活かすことはしてきたが、こうして物を作り出したりや、採集したりといった行為ができるのか。
「面白いな」
「クロウもやってみる?」
「試してみよう」
と、俺は気を手元に固める認識で集めだす。
だが、すぐさま霧散して、綺麗な形を保つことが出来ない。
「…………無理だな」
「まーそりゃそうだよね。オレだってできないもん、だから姉ちゃんを呼んで魔素集めお願いしたんだもん」
なるほど、タランにも無理なのか。
とすると、二人がついてきたのはただの見学ではなく、意味のあったことなのか。
「……と、姉?」
「ああ、オレとディナは一応、姉妹? ってことになってるんだ。203年前に生まれて、ディナが――」
「――――タラン?」
と、ディナが怖い顔でずい、と俺たちの前に現れた。
「わ、なんだよ怖い顔して」
「軽々しく年齢のこと言わないの。これだから貴方って子は……」
「うわ、ごめん、ごめんって」
と、平謝りするタランを見てから、ディナはオレを見た。
「…………魔素とやらは集まったのか?」
「はい、たっぷりと。これだけあれば十分ですよっ」
と、よくわからないが、確かにカゴの中には強い気を感じられた。
「なるほど、すごいなディナはこんなことができて」
「いえいえメイドですから」
メイドであれば、採集《ギャザリング》とやらができるのだろうか。
俺は論理関係が分からなかったが、下手に話を戻しても面倒なので納得することにした。
「クロウ、私もとったよっ!」
と、カレナも同じようにカゴを見せてきた。
なるほど……カレナも同じことができるのか。
「さすがですカレナ様」
「おーやるな」
「えへんっ!」
満足そうに可愛らしく胸をはるカレナ。
「カレナも採集《ギャザリング》ができるんだな」
「ぎゃざー?」
と、本人は分かっていないようだった。
「ああ、クロウさん。カレナ様はなんでもできるんです」
「……ほう?」
「ああ、一応、お姫様だからな。魔術工作《マジッククラフト》 も使えるぜ」
「えへんっ! ……くらうとって何?」
…………ほう?
ごく自然のように言ったが、なるほどなるほど……。
これは何というか……こちらの国の言葉で言うところの"ちーと"って物なのではなかろうか?
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