私の手のひらに貴方のオイル

ぐるもり

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ちかく、とおく、ふたりで、いっしょに

思春期パロディ 二人がもし学生だったら?

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⚠️診断メーカーさんより、どの紗江ちゃんが欲しい?により、出てきた「ロリータな紗江ちゃん」から連想して出来たお話です。彰人視点かつ、完全なるパロディです!なんでもいいよ!という方向け。























 麻子義母の悪阻も落ち着き、精神的に安定してきた所を見計らって、彰人は部屋の整理をしていた。麻子の悪阻は酷く、物音一つに敏感になることもあったためだ。元あった部屋は、産まれてくる子供に譲ることにしていた。父親と麻子は反対していた。けれども、彰人は、自分がそうしたいと言って、最終的には二人に認めさせた。

 
「わ、彰人、これ、卒業アルバム?」

 片付けを手伝いに来ていた紗江の楽しそうな声が、本棚の前から聞こえてきた。不要になった雑誌を纏めていた彰人は、紗枝の声に反応して振り向いた。

「ね、ね、彰人!これ見てもいい?」
「いいよ」

 しかし、彰人が返事をするよりも先に紗江がアルバムを開くのが視界に入った。

「何組?」
「六組だよ」

 ろっくみ、ろっくみ……呟きながらとページを捲る紗江を横目に、彰人は纏めた雑誌を廊下に置く。額に浮き出た汗を拭い、彰人は部屋に戻った。

「わかーい! かわいいー! 髪が短い! なんかやんちゃそうー!」
「見つかったか?」

 彰人の声に振り向いた紗江は、アルバムから目を離さずに「うん!」と返事をする。本物が目の前にいるのに、見向きもしない紗枝の態度は、彰人を少しだけ苛立たせた。

「若い方がいい?」
「え?! ちが、そんなんじゃないよ」

 アルバムから目を離さない紗江の肩に、彰人は顎を乗せる。昔の自分に嫉妬するなんてと情けないとも思ったが、彰人は自分の感情に忠実に従った。

「こんなに近くにいるのに」
「あ、ん……ちょ、っん、んん」

 少し顔を横に向けると、紗江の白い首が見えた。彰人は迷わず舌を這わせた。紗江の肩が小さく震える。明確な拒否は見られない。それをいいことに、彰人の行動は大胆さを増した。

「ん、んんっ……あき、と」

 風が吹くたびに、揺れるシフォンブラウス。ひらひらと揺れるブラウスは、彰人の欲望を刺激した。遠慮なく裾から手を侵入させる。絹のような滑らかな素肌が、彰人の手に熱を伝える。感触と、紗江の反応を楽しみながら、彰人は少しずつ手を動かす。

「あ、んっ」
「……紗江は、ここが弱いな」

 彰人の手が探り当てた胸の先端は、ぷっくりと膨らみ、彰人待っていた。下着の上からも分かるほどだった。小さく弾けば、紗江の声も弾けた。彰人は、仕返しをするように、何度も、何度も紗江の乳首を虐めた。

「あ、あっ、や、やだぁ……ん」

 布越しの刺激では飽き足らず、彰人の手は、紗江の柔らかな膨らみを直接揉みしだいていた。紗江の口から不満が漏れる。彰人はこの不満が何なのかを知っていた。けれども、知らないふりをする。そして、低い声で紗江に尋ねた。もちろん、乳首を甚振るのも忘れなかった。

「いやなの? やめる」
「あ、あ、ちが、」
「違うの? 教えて」
「ん、ん、あ、あき……とぉ」

 紗江の小さな口から、彰人の名が何度も紡がれる。紗江、と名前を呼ぶ。振り向いた紗江の口は、だらしなく開かれていた。彰人は命令した。

「舌、出して」

 頬を朱に染めた紗江は、同じ朱に染まった小さな舌をゆっくりと出してきた。彰人は、すかさず、自分の舌を絡める。
 今の自分を見てほしい。そんな事は言えない。
 自分に嫉妬する日が来るなど、彰人は思いもしなかった。紗江の柔らかさを堪能しながら、彰人は自身を皮肉った。













「あ、れ?」

 先程まで、紗江と部屋にいたはずの彰人は何故か外にいた。しかも、自宅付近ではない。彰人の知らない景色だった。
 言い知れぬ不安が彰人を襲った。背中に嫌な汗が流れる。いつもはポケットに入っているスマートフォンも無い。

「あーーっ! もーーう!!」

 途方に暮れかけたその時だった。聞き覚えのある声が彰人の耳に飛び込んできた。声のした方に、彰人は振り返る。
 誰よりも愛しい人の声を間違えるはずがない。彰人は心細さを抱えたまま走り出す。何故か、彰人は身体が軽く感じられる。何処へでも走っていけそうな気がして仕方が無かった。

「チェーンが外れてる! 信じられない!」

 角を曲がると地面にしゃがみこんでいる人影が見えた。しかし、想像していた人物の姿とはかけ離れていた。


「さ、え?」

 自分が愛しい人の声を間違えることなど無いと彰人は思っていた。しかし、目の前の人物は、彰人知っている紗江とは違っていた。真っ黒な髪は肩で切りそろえられ、頬は彰人が知っている紗江よりも少しふっくらとしていた。透き通るような白さは変わらない。けれども、冬風に当たっているせいか頬は真っ赤になっていた。そして、極めつけは、紗江がセーラー服を纏っていることだった。彰人は驚きを隠せず、立ち竦んだ。

「あ! 彰人ー!丁度いいところに!」

 彰人が名を呼んだためか、彰人の記憶よりもずっと若い紗江が振り返る。発せられた声で、彰人は確信した。これは、幼い時の紗江だと。そして、彰人は紗江の言葉で、自分の身体を見下ろした。そこには、高校時代に着ていた、学ラン。しかも紗江は、彰人を知っているかのような口ぶりだった。

「……マジかよ」

 彰人の呟きを拾ったのか、紗江は胡乱な視線を彰人に向けた。

「……彰人?」
「あ、ああ、紗江、だよな?」

 その視線に気がついた彰人は、確認せずにはいられなかった。何言っているの?と笑う紗江は、彰人の知っている紗江と酷似していた。何が起きたか理解できない彰人は、紗江から視線を逸らす。すると、赤い自転車が目に入った。よく見ると、チェーンが外れている。

「叫んでた理由、これ?」

 彰人が自転車を指す。紗江は待ってましたとばかりに、彰人に詰め寄った。近い距離に、彰人は一歩後ずさる。白い肌に浮かぶ小さなそばかすに、彰人は何故か背徳感を感じた。幼い紗江に、抱いてはいけない感情を抱いてしまった。

「そうなのー! これから塾なのに。遅れちゃう……」
「……直してやるよ」
「え? 出来るの?」
「おう。簡単だよ」

 自分の置かれている立場に違和感を感じながらも、彰人は困っている紗江をほおっておけなかった。建前ではそう言いつつも、本音は、幼い紗江に抱いた邪な思いを振り払うためだった。
地面にしゃがみこみ、彰人は自転車をひっくり返した。

「え?! ちょっと!」
「まーまー。見てろって」

 彰人は、ペダルをゆっくりと回しつつ、チェーンを元の位置にはめていく。

「わ、すごい」
「保護カバーがあると、こっちからのが入れやすいんだ」
「へぇー! ありがとう! 助かっちゃった」

 彰人知る紗江では無い。けれども、笑う紗江は、彰人の知っている紗江だった。

「よし、直った」
「わ! すごい!ね、途中まで行ける? 久しぶりに会えて嬉しくなっちゃった」
「あ、あぁ」

 直った自転車を彰人が引き、隣を紗江が歩く。少し頬を赤らめ、興奮した声色で紗江が彰人に話しかける。紗江の頬が赤くなればなるほど、小さなそばかすが目立つ。彰人はいたたまれない気持ちで、紗江から目をそらした。


「彰人と同じ高校行きたいんだ。三歳差だから一緒に通えないって知ってるけど……彰人がいた空間で私も過ごしたいんだ」
「紗江……」

 ふふふ、と紗江は笑みを浮かべる。彰人は目の前の人物が紗江だと分かっていても、現実を受け入れられずにいた。

「あ、もう遅れちゃう! また、メールするね。ちゃんと返事ちょうだいね?」
「あ、あぁ……」

 余程急いでいたのか、紗江の姿はあっという間に見えなくなった。もし、お互いが学生だったらこんな出会いもあったのかもしれないと彰人は考えた。
 じっと、彰人は自分の手を見つめる。チェーンの潤滑油のせいで黒くなってはいたが、瑞々しい若い手だった。握って、開いて、握って、開いてを数回繰り返す。このまま、若い自分でいれば、劣等感を味わずにすむのではないかと。けれども、彰人の脳裏に浮かぶのは、全てを受け入れてくれた紗江だった。ぐっと、目を瞑り、呟く。


「俺は、やっぱり今の紗江がいい」








「私だって、今の彰人が大好きだよ」

 紗江の声が聞こえた。その声に誘われるように、彰人は目を開いた。
 
「疲れてた? 急に寝るからびっくりしたよ」

 そう言って彰人の顔を覗く紗江が、彰人の視界いっぱいにうつる。少し痩せた、彰人の知っている紗江だった。

「……ゆ、め?」
「夢見てたの? どんな夢?」
「……いや、大したことじゃ。……そばかす、無いんだな」
「やだ! 消えたはずなのに!?」

 身体を起こし、彰人は、目を擦る。視界に入った手の黒い汚れに、微睡から一気に覚醒した。
 しかし、よく見ると、チェーンを直したことによって付いた汚れではなく、普段から見慣れたオイル汚れだった。

「紗江、こっちきて」
「なぁに?」

 寄ってきた紗江を彰人は抱きしめる。柔らかな感触に、夢ではないと知ることが出来た。
 
「はぁ、よかった。やっぱりこっちがいい」
「あ、彰人」
「ん?」
「あの、アルバムではしゃいじゃったけど……私は今の彰人の方がいいからね?」

 窺うような視線を寄越す紗江に、彰人は口元を緩ませた。

「俺だって。……今の紗江が一番好きだ」

 笑顔が変わらない紗枝が好きだ。
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