ちょっと出かけてきます

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プロローグ

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 六畳の寒くて狭い部屋の隅に置かれたベッドから飛び上がるようにして目覚めた霜月美咲は、あくびを噛み殺しつつ目覚まし時計を確認する。

 午前十時二十三分。いつも八時にセットしているのだが、時間通りに起きたことなど数える程しかない。
 
 上半身を起こした状態から動けない美咲は頭をボリボリとかいた。しばらく布団から出たくない。もう一度夢の中へ・・・。

 夢の世界への餞を邪魔したのはインターホンの音だった。

 まるで頭に水をかけられたかのように、ぼーっとしていた美咲は急いで起き上がり玄関に向かった。薄い気の扉を開くと、外には帽子をかぶった若い男が立っていた。地面には大きなダンボール箱。

「は、はい」

 パジャマ姿にボサボサ頭の美咲に少し驚いた表情を見せた男は、

「霜月さんのお宅ですか?」

 と尋ねてきた。

「はい、そうですけど」

「宅配便です。ハンコがサインお願いします」

「じゃあ・・・サインで」

 美咲は男からボールペンを受け取り、伝票にサインした。

「では、こちらになります」

 男は重そうな荷物を叩きに運んでくれた。

「ど、どうも」

「ありがとうございましたーー!」

 力のこもった挨拶を残し、男は去っていった。ドアを閉めた美咲は、ダンボール箱に貼られた伝票を確認する。

「やっぱそうか」

 予想はついていた。福岡でひとり暮らしているお母さんからだ。中身も想像つく。

 美咲はその場でガムテープを剥がし蓋を開けた。自然と頬が緩んでしまう。中には袋に入った豚骨ラーメンや、スーパーで買ったと思われる十キロの米。そしていくつかのスナック菓子。

「もう子供じゃないんだから」

 突然テーブルに置いてある携帯電話が鳴り出した。誰からだろうと液晶を見ると、『お母さん』と表示されていた。部屋を覗かれているのでは、と思うほどナイスタイミングだった。
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