2 / 4
プロローグ2
しおりを挟む
「もしもし? お母さん?」
いつもと変わらぬ穏やかな声が返ってきた。
「美咲? もう休みに入ったと?」
しまった、と美咲は渋い顔を浮かべる。
「いや・・・今日は休みをもらったの。一流企業だから毎日忙しいでしょ? だからね、有給ってやつ」
「そうか。それはよかった。たまには体休めんと。どんだけ期待されとっても倒れたら元も子もないとよ」
「わかってる」
美咲は仕事の話を避けた。
「あ、そうそう。ちょうど今、荷物届いたところなんだ」
「そうか。思ったより早かったねぇ」
「いつもいいって言ってるのに。お母さんだって大変じゃない? こっちは大丈夫だよ。結構給料もらってるんだから。それにさ、お菓子はもういいよ。子供じゃあるまいし」
「昔は美味しい美味しい言って食べよったろーもん」
「昔と今は違うんだよ。私はもう大人なの」
「都会に住むだけで、言葉遣いだけやなくて、言う事も変わってきようごたぁね」
「都会は関係ないって」
「東京に行ったきり一度も帰ってこんし」
「忙しいの。それに・・・今大きなプロジェクト任されてるから」
「お母さんそっち行こうか?」
その言葉が一番ヒヤリとする。美咲は強い口調で拒否した。
「いい! 私のことは大丈夫。だから心配しないで。また、電話するね。じゃあ」
母に喋る隙を与えず美咲は電話を切った。ダンボール箱を見つめながらため息を吐き、母に申し訳なさを感じた。
全部嘘だ。母は娘のことを信じているというのに・・・。
二年前、美咲は一流企業に就職が決まり東京へ出てきた。だが、一年も経たないうちにやめてしまった。アパレル関係の仕事だったのだが、思っていたよりも刺激がなく、ただこき使われるだけの日々が続いた。
こんなはずじゃなかった。憧れの東京で仕事して出世して大金持ちになって、母に楽させてやる。そんな夢を描いていたのに。
いつもと変わらぬ穏やかな声が返ってきた。
「美咲? もう休みに入ったと?」
しまった、と美咲は渋い顔を浮かべる。
「いや・・・今日は休みをもらったの。一流企業だから毎日忙しいでしょ? だからね、有給ってやつ」
「そうか。それはよかった。たまには体休めんと。どんだけ期待されとっても倒れたら元も子もないとよ」
「わかってる」
美咲は仕事の話を避けた。
「あ、そうそう。ちょうど今、荷物届いたところなんだ」
「そうか。思ったより早かったねぇ」
「いつもいいって言ってるのに。お母さんだって大変じゃない? こっちは大丈夫だよ。結構給料もらってるんだから。それにさ、お菓子はもういいよ。子供じゃあるまいし」
「昔は美味しい美味しい言って食べよったろーもん」
「昔と今は違うんだよ。私はもう大人なの」
「都会に住むだけで、言葉遣いだけやなくて、言う事も変わってきようごたぁね」
「都会は関係ないって」
「東京に行ったきり一度も帰ってこんし」
「忙しいの。それに・・・今大きなプロジェクト任されてるから」
「お母さんそっち行こうか?」
その言葉が一番ヒヤリとする。美咲は強い口調で拒否した。
「いい! 私のことは大丈夫。だから心配しないで。また、電話するね。じゃあ」
母に喋る隙を与えず美咲は電話を切った。ダンボール箱を見つめながらため息を吐き、母に申し訳なさを感じた。
全部嘘だ。母は娘のことを信じているというのに・・・。
二年前、美咲は一流企業に就職が決まり東京へ出てきた。だが、一年も経たないうちにやめてしまった。アパレル関係の仕事だったのだが、思っていたよりも刺激がなく、ただこき使われるだけの日々が続いた。
こんなはずじゃなかった。憧れの東京で仕事して出世して大金持ちになって、母に楽させてやる。そんな夢を描いていたのに。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる