うつしよの波 ~波およぎ兼光異伝~

春疾風

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関ヶ原の章

第十二話 伏見城の戦い

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 その不安は的中する。
 七月十六日夜。軍勢を率いた輝元が大坂へ到着。
 翌七月十七日。大坂城西の丸へ入った輝元は、嫡子・秀就を秀頼の話し相手として強引に「人質」とし、秀頼を擁立した。
 その上で輝元は、諸将を呼び出し広間に集めていた。上座には秀頼が座し、輝元や秀家、三成らはその手前に座している。
「政を意のままにせんとする逆賊・徳川家康を討伐する為、我は総大将として立つ! 秀頼様の御為、皆立ち上がろうぞ!」
 輝元が立ち上がり、高らかに宣言する。
 やられた。
 広家は苦々しい顔で平伏する。
 俺が使者を出す前に、既に輝元様は動いておられたのだ。この速さ……あの坊主が前もって知らせていたか。
 ぎり、と拳を握る。
 叔父上が懸念しておられたのは、これだったのか。
 そう、輝元が天下を狙わぬ様な穏やかな男であれば、隆景はわざわざ「天下を狙うな」と言い残しはしなかったであろう。
 天下を狙う男だからこそ、天下の騒乱に関わるなと念を押していたのだ。

 平伏する広家の隣で、秀秋は顔を上げていた。
 秀頼様。
 上座に座す秀頼は、どこか不安げな表情をしていた。或いは、その姿はかつての己と同じなのかも知れないと秀秋は思った。
 豊家にとって都合の良いように扱われていた己。そんな己を解き放ってくれたのは隆景だった。息子として、一人の「人間」として扱ってくれたのだ、と。
 輝元はその後も家康を弾劾する条々を読みあげていたようであったが、秀秋にはその最後の一言だけがやたらと明瞭に聞こえた。
「広家、秀秋。毛利一門としての働き、期待しているぞ」
 輝元がにや、と嗤っている。
 私は、お前の思い通りになど成らない。
 秀秋は輝元をただ睨んでいた。

「広家殿! 乱心されたか!」
うるさい坊主! 俺は今、輝元様に話している!」
 諸将が解散となった後、広家は恵瓊が止めるのも聞かず輝元に詰め寄っていた。
「今更遅い。……あっ、何処へ行かれるのですか秀頼様!」
 立ち上がり部屋の外へ掛けていく秀頼を追おうとした輝元だが、広家に襟元を掴み掛かられ取り逃がしてしまう。
「今はそれよりも俺の問いに答えて下さい! 何故、この様な事をなさったのですか!」
「この企てが成功すれば、毛利は政を、天下を差配できる。その為だ」
 何を今更と言わんばかりの輝元の返答に、襟元を掴む広家の拳がわなわなと震える。
「叔父上の……いや、日頼様の教えはどうなったのですか!」
 日頼様とは輝元・広家の祖父、毛利元就の事である。元就は、「今五ヶ国十ヶ国手に入れていたとしても、それは一時の事。子々孫々まで天下を狙う事なかれ」と言い残していた。その息子である元春・隆景もこれを受けて、「天下を狙うな」と常々言い聞かせていたのである。
「私にも譲れぬものがある!」
 突然、輝元が叫ぶ。不意に緩んだ広家の手を振り払い、輝元は背を伸ばし立ち上がった。
「何物にも成れず、朽ちたくは無いのだ!」
 初めて見る目だ、と広家は思った。この方が、この様な眼差しで物を言う事が有っただろうか。
「それにだ」
 眼差しはそのまま、輝元が口角を吊り上げた。
「私が総大将として立った以上、広家、お前には私と共に立つより選択肢は無い」
「……っ!」
 広家が口篭る。
「私は広家の力を買っている。なればこそ、その力を私のために使って欲しい。いや、もうお前には選択肢すらない」
 広家が膝を付いた。そうだ。俺は毛利を守らねばならない。その俺が――毛利に面と向かって反旗を翻す等出来る筈が無い。
「申し上げます!」
 息急き切った伝令が広間に転がり込む。
「何事だ」
 輝元は眉を吊り上げ、伝令に向き直る。
「細川忠興殿の奥方・珠殿が我らの人質となる事を拒み、側近の介錯の元、死を遂げられたと!」

 大坂城の廊下、秀秋は足早に歩いていた。
 早く手を打たなくては。しかし、何を打てと言うのだ。
 頬から冷や汗が落ちる。
 遠くから廊下を駆ける音が聞こえてくる。煩いな、思考の邪魔になる――そう思った秀秋であったが不意にその裾を掴まれ、歩みを止めた。
 振り返る。幼子が己の裾を皺の寄る程しっかりと掴んでいる。
「秀頼様。どうなされたのです?」
 秀頼は無言で秀秋の裾を掴んだまま、その顔を見上げていた。口が真一文字に結ばれている。
 ああ。不安で堪らないのだ、この子は。
 秀秋は秀頼の手を優しく包み裾から放させると、膝を折り目線を合わせた。
「大丈夫です。秀頼様は絶対に私が護って差し上げます」
 優しく秀秋がそう声をかけると、秀頼の張り詰めた気は少し緩んだ様であった。
「何故なのですか」
 ようやく開いた口から、秀頼は明瞭に言葉を紡いだ。
 聡い子だ。恐らく気付いているのだ。己の意思では無く己の意思が使われている事に。
 秀秋はにこ、と微笑み秀頼の肩に手を乗せた。
「兄が弟を護るのに理由が要りますか?」

 夜。大坂・小早川屋敷。
 最早何度目であろうか。秀秋と正成は地図を前に唸っていた。
「輝元殿が立ってしまった。これで我らの軍は奴らに組み込まれたという訳か……」
 顎に手を当て考え込む秀秋。傍らで正成が秀秋に向き直る。
「こうなってしまった以上、いっそ三成殿に与しては」
「それだけは出来ない」
 秀秋は吐き捨てる様に言い放つ。しかし、正成は臆せず続けた。
「三成殿は秀頼様を蔑ろにはしない筈です。三成殿の元、秀頼様をお守りする道も」
「くどいぞ、正成」
 抜き身の刃。正にそう形容するが相応しい剣幕で秀秋は正成を睨みつけた。
「……っ、過ぎた事を申しました」
 正成が頭を垂れる。秀秋は地図に視線を戻し、腰の波およぎ兼光の柄を撫でた。
 天下静謐こそが、秀次義兄上の望みであった。なればこそ謀叛を起こさず自刃という道を選ばれたのだ。
 胸に浮かぶのは優しげな秀次の顔。思い出の中の秀次は何時も笑っていた気がした。
 この様な乱を起こすなど、義兄上の想いを踏みにじっている。
 秀秋の眉間に一際深い皺が刻まれる。
 絶対に、私はあの男に与する訳にはいかない。
「しかし、どうなさるのですか秀秋様。このまま伏見城を攻めるより他に手立ては有るのですか」
 秀秋が額を押さえて俯く。
 三成らは何処までも周到に手を回していた。
 伏見城には会津に向かう際の留守を守るため、家康の家臣である鳥居元忠が居た。この元忠が、伏見城の三成への受け渡しを拒否したのだ。
 この伏見城を奪還せよとの命が秀秋には下っていたのである。
「不用意に反論しては、逆にこちらが潰されますよ」
「分かっている。兵を犬死にさせる訳にはいかぬ。だが迂闊に元忠殿と戦っては、家康殿に仇成すと捉えられる……」
 秀秋の言に、正成が重い溜息を吐いた。
「せめて勝俊殿が伏見城に居られたのならば、まだ手立てはあったのですが」
「言うな。今更過ぎた事を考えても仕方が無い」
 秀秋の実兄・木下勝俊は元忠が留守居を申し付けられた際、城代を申しつけられていた。家康としては、秀吉の正室・おねの実甥を伏見城の城代にする事で諸将や民の反感を和らげたかったのやも知れない。
 しかし、当の勝俊は三成が伏見城の受け渡しを要求すると如何なる訳か城を出てしまっていた。
「何とか、伏見城に入る事さえ出来れば……」
 最早この手しか無いか。秀秋は重々しく息を吐き出した。

 七月二十二日。秀秋は使者として伏見城へと赴いていた。
 三成らとて、出来るなら兵を消耗させたくは無い筈だ。ならば、私が赴いて元忠殿を説き伏せよう――秀秋は少々強引にそう話を持ち出し、元忠との会談を取りつけていたのだ。
 無論、秀秋にその気は全く無かった。
「元忠殿。私も伏見城へ入り、共に戦わせて頂きたい」
 伏見城の広間に通された秀秋は、元忠と向かい合い座していた。
 かつて天下人・秀吉の城であった伏見城。その内装もまた、秀吉好みの煌びやかな装飾で彩られていた。だが、今の伏見城は襖を剥がされ、其処彼処そこかしこに武器が積まれ、如何にも戦城の体を擁していた。
「秀秋殿の申し出、真に有難く候。だが、それだけは承服致しかねる」
 元忠は重々しくかぶりを振った。殆ど白となった頭髪に深い皺の刻まれた厳めしい顔、身を包むは褪せた黒糸おどしの鎧。如何にも歴戦の老将然とした姿であった。
「何ゆえに御座います。やはり家康殿は私を信用なさっていないという事なのですか!」
 秀秋が身を乗り出す。最早その声は叫びであった。
「さに有らず。そうで有れば儂の前に通しはせぬ」
 元忠が秀秋を制するように腕を伸ばし、掌を開く。
「秀秋殿に本気で戦う気は無いのだろう」
「決してその様な事は!」
 元忠の声色は秀秋を責めるでは無く淡々としていた。
「下げておるのでは無い。秀秋殿は我らに与し、良き頃合いで和議に持ち込みたいのだろう」
 秀秋が息を呑む。見透かされていた。なるべく時間を駆け和議に持ち込み、その間に家康の到着を待つ。その算段であった。
「だが、我らにその気は無い。この籠城、我らの全滅を以て終わろう。元より儂らに退く気が無いからだ」
「まさか、勝俊兄上も貴方が……」
 元忠は頷いた。
「その様な戦に若き者を巻き込むは不本意。死ぬるは我ら、戦場にのみ立処有りし老兵に任せて貰えぬか」
 秀秋の口からは、何の言葉も出す事が出来なかった。目前のこの老将を死なせたくは無かった。誰が好き好み目前で散らんとする命を見捨てられようか。しかし、今更若輩者に何が言えると言うのだ。
「秀秋殿は此処で死ぬるべき者では無い」
 元忠の声に秀秋が顔を上げる。視線が交差する。
「貴殿には生きて為さねばならぬ事が有る筈だ」
 意思。そう形容する他に無い老将の顔が秀秋の目に焼き付いていた。
 何時しか、秀秋の頬は涙で濡れていた。

 七月二十三日。結局、宇喜多秀家が大将、小早川秀秋が副将となり伏見城を攻める事となった。
 秀秋の心にはただ陰鬱とした暗雲が立ち込めていた。
 見知った者との戦い。それは秀秋にとって初めての戦であった。小田原の役も、慶長の役も、相手は見ず知らずの「敵」であった。
 唯、目の前の敵を倒せば良かった。だが今は。
 或いは、元忠と会談を持っていなければまだ注力出来たのやも知れない。
 だが、秀秋は知ってしまった。この城に篭る老将の声を、姿を、生き様を。
「腑抜けた顔をしておるな」
 怜悧な声が耳を打つ。毛利秀包であった。鉄砲を携えている。雨夜手拍子。秀包愛用の火縄銃であった。使い込まれた銃身が黒く艶めいている。
 秀包もまた、この攻城戦に攻め手として加わっていた。
「私は……!」
 言い返そうとする秀秋であったが、その声は散々泣き腫らした後の様に乾いていた。
 秀包が鼻を鳴らす。
「別に貴様がどう動こうが俺の知った事では無い。だがな」
 秀秋の肩に指が食い込む程きつく掴まれる。細身の秀包に似つかわしく無い剛力であった。
「斯様な腑抜けた出様でざま。元忠殿に対し無礼極まりない。戦気が無いのなら下がっていろ」
 息が止まる。胸が詰まる。焼き付いた元忠の顔が瞼に浮かぶ。
 あの老将の意思を遂げさせたい。それが率直な気持ちであった。
 覚悟を、決める。
 無言で秀包の手を振りほどき、波およぎ兼光を抜く。伏見城へと刃を向ける。号令を掛ける。
「漸く心を決めたか。……宗茂さえ居れば斯様な苦戦を強いられなかったものを。何をしておるのだ、あの男は」
 伏見城を遠く眺めながら、秀包はまた鼻を鳴らした。

 陣幕の内、吉継と三成は床几に腰掛けていた。
 三成らとて籠城衆を根切り――皆殺しにしたい訳ではない。伏見城の奪還さえ果たす事が出来ればそれで良かった。故に、城の一手は包囲せず攻撃を加えていた。しかし、元忠らは微塵も退く気配を見せなかったのである。
「一刻も早くあの城を落とさねば」
 三成は腕を組み思案していた。家康は必ず軍勢を引き返すだろう。その前に伏見城を奪取し、東方に軍勢を展開、防衛線を張る必要があった。
「一刻も早く、か」
 ふむ、と吉継が思案した素振りを見せる。
「手立ては有るのか」
 吉継が示指を立てた。
「城内には甲賀衆がおる。正家殿の手を使い、内応せねば奴らの妻子を磔にすると脅す。内応すればそれに乗じて攻め落とす。さに有らずとも城内の士気は落ちるだろう」
 甲賀衆は本能寺の変の際、家康の伊賀越えを助けたと言い、その縁もあり今回の籠城にあたり駆けつける者も居た。
 三成らと共に立った奉行の一人・長束正家はこの甲賀衆が多く属する近江国水口の城主であり、家臣にもまた甲賀衆を擁していた。
「……他に手は無いのか?」
 あまりに非情かつ効果的な手段。故に、三成は躊躇した。
「三成、お主にもまた守らねばならぬ物があるだろう」
 三成の眉間に皺が寄る。吉継の示指がその三成の眉間を差した。
「急場ゆえ我と正家殿の独断で事を進めるが、お主もそろそろ覚悟を決めよ。天下は屍の上に立つ事を知れ」

 かくして、甲賀衆は家族を守る道を選んだ。
 伏見城に火が放たれ、攻城軍はそれに乗じて城へと攻め入った。
 八月一日。かくなる上は止む無しと元忠は自刃し、後世「伏見城の戦い」と呼ばれる戦は終結した。
 尚、京の僧侶・西洞院時慶の日記『時慶記』によれば、城を攻め落としたのは秀秋の手柄であったと言う。
 灰と瓦礫。かつて天下人の城として栄華を誇った伏見城は、見る影も無く灰燼と帰した。

 少年は唯、焼跡に佇んでいた。
 完成したばかりの城を前に、秀吉が満面の笑みを浮かべていたこと。
 秀次が死に、秀吉と秀頼への忠誠を誓う起請文に血判を押したこと。
 渡海の餞別として波およぎ兼光を賜ったこと。
 帰参した後秀吉に叱責されたこと。
 藤四郎吉光と安宅貞宗を拝領したこと。
 秀吉の涙。
 様々な出来事が浮かんでは燃えていった。
「秀秋様、お具合が……」
 傍らに歩み寄った正成が、秀秋の身を案じる様に声を掛ける。
「大事無い。……ありがとう」
 秀秋は正成に向き直り、柔らかな笑顔を向けた。
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