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第六章 依存
第六章 依存(後編)ー②
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「ユウヤはん……」
「はっ、はい!」
シノの家の居間で待機していたユウヤは、自分を呼ぶ声にすくみ上がってしまう。
だが、いつまでも隣の部屋にいるシノさんを待たせるわけにも行かない。
ユウヤは深呼吸をして、覚悟を決めて襖を静かに開ける。
「…………」
言葉が出なかった。
行灯の穏やかな明かりが神秘的な雰囲気を醸し出している。
そして、その明かりに照らされる黒髪の美女が、絹製なのだろうか? 白く薄い肌着――襦袢だけを身にまとい座っている。……大きな布団の前で。
「なんて綺麗なんだ……。それに……」
美しいが、それ以上に艶っぽい。
ユウヤは無遠慮に、シノの躰を舐めるように見つめてしまう。
所々が透けて艶めかしい体のラインが分かるのが情欲を煽ってくる。知らずに唾液が溢れてきて、ユウヤはゴクリとそれを飲み込んだ。
「……ユウヤ様。不束者ですが、お情けを頂戴いたします……」
シノはそうユウヤに告げて、両手を畳につけて深々と頭を下げる。
「はっ、はい……」
ユウヤはそう答えて、頭を静かに上げたシノの視線を感じながらも、自分の着物を脱いでいく。
きっと、こういった寝所での作法というものがあるのだろうが、生憎そういった知識はユウヤにはない。
それならば、ファリアとリナを抱く時と同じようにしたほうが少しでも気が楽だと思い、そうした。
ユウヤは着物と下着を畳んで部屋の隅に置くと、ただ毅然とした表情でこちらを見つめるシノに、中膝になって近づく。
そして、
「シノさん……」
ユウヤはシノの顔に手をやり、緊張を解こうと優しく頬を撫でる。
シノに男性経験があるのかは知らない。だが、普段の余裕のある表情が見られない。それならば、少しは経験がある自分がリードしなければ。
そう思っていたのだが……。
「ユウヤはん。この日を待っとりました……」
シノは頬に当てられたユウヤの手を取ったかと思うと、そのままユウヤを強引に抱きしめて、柔らかな唇をユウヤのそれに重なり合わせる。
「んっ、んっ! ……なっ、んんっ……」
唇と舌、そして歯での甘噛を巧みに織り交ぜるあまりにも上手いキスに、ユウヤは喘ぎ声を上げさせられ、なされるがままになってしまう。
僅かな経験などまるで役に立たない。ユウヤは何も考えられなくなり、ただただ与えられる快楽に溺れていく。
キスを続けながら、シノは巧みに躰を動かして位置を調整していたのだろう。ユウヤはいつの間にか布団の上に押し倒されてしまった。
「はぁ、はぁ……。ユウヤはん。うちは……うちはホンマに、ユウヤはんのことを……」
唇を離し、情欲の炎が宿った瞳を向けてくるシノ。
先程までの余裕のない硬い表情は、この溢れんばかりの想いを懸命に堪えていたからだったのだとユウヤは理解した。
「……シノさん……」
今日のデートの間の落ち着いた雰囲気も、ファリアを叱っていたときの余裕を見せていたシノも、全てこの気持ちを隠すための仮面に過ぎなかったのだ。
「この人は、ここまで自分なんかのことを……」
その事実に戸惑い、けれど嬉しくも思ったユウヤだったが、そんな感慨に浸っている時間はなかった。すぐにシノがまた唇を重ね合わせてくる。
そして、ユウヤの裸身を、男の体を入念に確認するかのように、頭を抑えているのとは反対の手で無遠慮に弄ってくる。
「ここも、ここも、ここも。あの娘たちに触らせたんですやろ? 何度も、何度も……」
シノは唇を離したかと思うと、熱のこもった、けれど嫉妬の混じった声でそう言い、ユウヤの胸板を撫で回し、所構わずキスの雨を降らせるばかりか、手を少しずつ下腹部に伸ばしていく。
やがてシノの柔らかな手が、ユウヤの勃起したペニスに触れた。すると、シノはその肉棒に視線を移し、その形を確かめるように両手で優しく弄ぶ。
「……はぁ、はぁ。こっ、この熱くて大きなのが、ユウヤはんの……」
「しっ、シノさん……」
あの憧れだったシノが、マジマジと自分の男性器を見つめ、弄っている事に、ユウヤは羞恥とともになんとも言えない興奮を覚える。
「こんな、こんな卑猥なもんで、毎晩あの二人を泣かせとるんやな。そして、うちのことも手篭めにしようと、こないに固うなって……」
シノは微笑んでいた。情欲に染まった、どこか狂気も含んだかのような笑みを浮かべていた。
ゾクリとした。シノのその顔を見て。
だが、ユウヤはそれを美しいと思う。そして、僅かだが愉悦を覚える。
あの、決して手の届かない存在だと思っていた、美しい憧れの彼女が。ファリアさえも手玉に取り、圧倒的な強さを持つシノが。自分の体を見て我を忘れるほどに興奮している事実に、男としての優越感を感じる。
ファリアとリナを抱いた時に感じた不思議な熱がなくても、自分にもこんな加虐的な部分があるのだと、ユウヤは理解した。
「はぁ、はぁ……。ユウヤはんのこの硬い魔羅。舐めてもうたら、どないな味がするんやろ?」
シノはそう言いながらも、ユウヤのペニスを前に行動に移らない。
何かを待ち望むかのように、横目でユウヤに視線を向けてくる。
肌を重ね合わせている最中だからこそ、分かる機微というものもあるようだ。
ユウヤはシノが何を待ち望んでいるのか理解していた。
シノは求められたいのだ。
嫉妬の気持ちと今までずっと堪え続けた反動で、シノは自分を求めてきた。けれど、彼女はもともとおせっかい好きな性分だ。
それは、誰かに頼られたいという性質だということ。誰かのために何かをして喜んでもらいたいという立ち位置なのだ。だから……。
「シノさん。……舐めて下さい……」
ユウヤは優しい声でシノに頼む。自分に快楽を与えるようにと、傲慢にも淫靡な行為をするように命じる。
「……はい。精一杯、ご奉仕させて頂きます」
シノは嬉しそうに頷き、ユウヤのペニスの先端に口づけする。そして、躊躇なくそれを口に含んだ。
「あっ…なっ! くっ……。しっ、シノさん……。もっ、もう少し、やっ、優し……」
あまりにも的確に、ユウヤの男性器の弱い部分を舌で刺激してくるだけではなく、口を巧みに動かして、ペニス全体に快楽を与えてくる。
ファリア、そして彼女の教えを受けてからはリナも、肌を重ね合わせる際には必ず口淫を、フェラチオをしてくれる。だが、その行為が子供だましだと思わされるほどに、シノのそれは卓越していた。
「くっ、もっ、もう……」
「……んっ、んっ……あふっ……」
ユウヤが性を吐き出すのを堪え切れなくなりそうな頃合いを図っていたかのように、シノは静かにユウヤの痛いほどに勃起したペニスを口から抜いてしまう。
後少しで気持ちよく射精できるはずだったのに、ユウヤはお預けを食わされてしまった。
きっとあのまま果てられたのならば、今まで味わったことのない快楽を得られたはずなのに。
「ふふふっ、ユウヤはんのこの魔羅……おちんちん。ええ味ですな。病みつきになってまいそうです。焼けるように熱うて、殿方の濃くていやらしい匂いがたまりまへん……」
シノは口元を上品に手で拭い、けれどそんな卑猥な言葉を微笑みながら投げかけてくる。
「しっ、シノ…さ……ん。もっ、もう、限か……」
ユウヤは一秒でも早く射精したかった。
できることなら、温かくて気持ちのいいシノの口内に欲望の塊を吐き出したかった。だが、
「ふふっ、あきまへんよ。こないなとこで満足してもうたら……」
シノはそれを許してくれない。
ユウヤのペニスが吐精する寸前を維持するように、絶妙のタイミングでそこにキスをしたり、息を吹きかけたりしてくる。
あまりに快楽漬けの時間が続き、頭がチカチカしてくる。
ユウヤは自分でペニスをしごいてでも精を出したいと思ってしまう。
「……蕩けてまうほどに、うちに溺れさせてみせます。せやから、うちがええと言うまで、絶対に精を放ってしもうたらあきまへんよ」
シノはそう言いながら、ユウヤの太ももを撫でる。ただそれだけのことでも、感度が高まっているユウヤは達してしまいそうになる。
「……ふふふっ。やはり殿方の身体は逞しいです。固くてしっかりしとって……。柔くて華奢で頼りない、うちの躰とは大違いです」
襦袢をはだけ、シノは惜しげもなく形の良く大きな乳房を顕にする。
ユウヤは快楽に呆けながらも、白い肌に映える桃色の乳輪に目が惹きつけられてしまう。
「……ほら、こないに柔らかいんです」
シノはその乳房をユウヤの筋張っている足に擦りつけてくる。
大きな乳房の柔らかな感触と、ツンと固くなった乳首の感触の違いが足に伝えられる度に、たまらなくなってしまう。
触りたい。こね回したい。舐めたい。思うがままに貪りたい。
快楽で壊れそうな頭に卑猥な欲望が加わり、ユウヤは呼吸をいっそう乱して懸命に達してしまうのを堪える。
「あっ、うっ!」
乳房を足にこすりつけるのをやめたかと思うと、シノはユウヤの股間に再び顔を近づけて、ペニスの下にある、精液を作り出す睾丸に口づけをした。
思わず、達してしまいそうになり、ユウヤは歯を食いしばる。
「ふふっ。いま、ユウヤはんのこの部分で、たくさん精液が作られとるんやな。女を孕ませるための、いやらしい、白くてネバネバした液体が……」
シノは夢見心地のような陶酔した笑顔をユウヤに向ける。
自分はこんなにも苦しい快楽地獄で苦しんでいるのに、嬉しそうに微笑んでいる。
その事実に、ユウヤの中から黒い衝動が湧き上がってくる。このまま、力づくでこの人を犯してしまおうという気持ちが。
だが、ユウヤはそれを堪える。懸命に、懸命に。
「……ユウヤはん。もしもや。もしもの話なんやけれど……。こないに我慢して我慢して溜めた濃い子種を……うちの女の部分に注ぎ込まれてもうたら、うちはどうなってまうと思います?」
シノの口から、思わぬ言葉が漏れた。
ユウヤは下を向いて射精を堪えていたが、はっとしてシノを見る。
すると、彼女は静かに立ち上がり、襦袢の胸元だけではなく、股間部分もはだけていく。
行灯の明かりが弱くてもどかしい。だが、見える。シノの女性器が。濡れに濡れて、粘着質で卑猥な女の汁を垂らしている、その部分が。
「……はっ、はっ、はぁ……。しっ、シノさん……」
ユウヤは言葉をかけた。
それは、最後の理性。
この胸の中にうごめく黒い気持ちを、獣欲を解き放ってしまわないように堪える、最後の錠前。
だが、シノは暗に言っている。行動で示している。
それを外して、自分を貪るようにと。
「もしもそないなことをされてもうたら……。うちは、間違いなくユウヤはんのややこを孕んでまうやろな……」
シノの股間からあふれる粘液が垂れて糸を引き、垂れていく。
この上なく卑猥なその光景に、ユウヤの目が据わる。
「せやけど、うちはそう簡単に許可はしまへんよ。……もっと、もっと、ユウヤはんを我慢させ……」
股間を見せつける卑猥な姿のまま、シノは妖艶に微笑んでいた。だが、それが驚きに変わる。
「あっ、ううぁぁっ!」
ユウヤは声を上げて立ち上がり、シノの躰を掴んで体制を入れ替えると、彼女を布団の上に投げ倒した。
全く、加減などできなかった。そんな余裕など、今のユウヤにはないのだ。
だが、シノは痛がる様子もなく、再び妖艶に微笑んでいた。
「ふふふっ。酷いです、ユウヤはん。力任せにうちを押し倒すなんて……」
シノの言葉には媚薬でも混じっているかのようだ。興奮が増していく。限度などないように。
……もう、我慢などできない。
「あんっ、ユウヤはん。うちの足に手を伸ばして、何をするつもりなんです?」
ユウヤはシノの太ももを無遠慮に掴んで、それを強引に開かせる。
倒れた際に閉じられたシノの股を再び顕にする。
貝を連想させる、卑猥な桃色の小陰唇が見えると、ユウヤは自分の熱い肉棒に右手をやり、その部分に近づけていく。
「はっ……はっ、はっ……」
ユウヤのペニスの先端部分からも、透明な汁が垂れている。すでに爆発する寸前だ。
だが、これは、この欲望は、この眼の前の女に注ぎ込んでやる。
挿れる。注ぎ込む。
それだけが、今のユウヤの思考だった。
「あきまへんよ、ユウヤはん。うちはまだ、挿れても良いなんて言う……」
シノの言葉など、興奮で気が狂いそうなユウヤの耳には入らない。
だから、彼女が言葉とは裏腹に、期待の眼差しを向けていることにも気づかない。
そして、ユウヤは思いのままにシノの女性器に自分の分身を一気に挿入した。
「……くっ、う……」
シノが僅かに声を上げたが、それもユウヤの耳には届かない。
「うっ、おおおおおあああっ!」
シノの温かな膣内の感触を感じる日間もなく、ユウヤはそこに自分の欲望を吐き出していく。
脳が焼ける。気を失ってしまいそうだ。けれど、同時にこの上なく気持ちいい。
「あっ、うううっ、あああっ……」
やがて、長く続いた射精が終わる。
ユウヤは極度の疲労感で、力なく前に倒れた。
だが、とても柔らかくて温かなものがクッションになって、ユウヤは布団に激突することはなかった。
「……はっ、はっ。いっ、息が……つっ、つまる……」
顔を横に向けて、懸命に酸素を取り込む。
僅かでも気を抜いたら、間違いなく気絶するとユウヤは思い、呼吸を少しずつ落ち着けていく。
しかし、だんだん呼吸が落ち着いてくるにつれて、ユウヤは吸い込んでいる空気が甘い香りを、女の肌の匂いを含んでいることに気がつく。
そこでユウヤは、自身が誰の上に倒れ込んでいるのかを理解した。
「あっ、ああ……」
ユウヤは自分のしたことを思い出し、大慌てで身体を起こして、シノの身体から離れる。
「…………」
シノは何も言わずに、両目を瞑りながら、乱れてしまった呼吸を懸命に整えている。
自分が上になっていてさぞ苦しかっただろうにと、ユウヤは思い、彼女に謝ろうとした。だが、ユウヤはシノの身体を見て、自分が犯した罪がそれだけではなかったことに気がつく。
シノの股間からは、ユウヤのペニスが吐き出した精液が溢れて逆流して来ていた。そして、その股間の白い液体に、赤いものが混じっている。
「……そっ、そんな。しっ、シノさんも……はっ、初めて……」
あれほど自分を挑発し、誘っていたのに。手慣れていると思うほどの寝所での技術を見せつけていたのに。シノは処女だったのだ。
今の性交が、自分の行った強姦まがいのセックスが、シノさんの初めて……。
「……あっ、当たり前やないですか。うちが、そないに身持ちが軽いと思おとったんですか?」
シノは荒い息を整えながら、顔だけを上げてユウヤに微笑みを向けてくる。
「はぁっ、はぁっ……。知識はいくらおおても、実際に経験してみないことには分からないもんです。うっ、うちの躰が……こっ、こないに、なってまうなんて、思いもしまへんでした」
シノは立ち上がろうとしているようだが、足腰に力が入らないようだ。
「……シノさん、その……」
「ふふっ。力強くて素敵でしたよ。……それに、女の躰は、殿方を受け止めるようにできとります。大丈夫です」
シノはそう言ってなんとか躰を動かすと、襦袢を着直し、居住まいを正して正座する。
「……シノさん。でっ、でも、初めてだったのに……。もっと優しく……」
ユウヤは後悔の言葉を口にするが、シノは笑みを浮かべる。
「うちは、ホンマに優しいユウヤはんに、あないに力ずくで求めてもらえて嬉しゅう思おとります」
シノは静かににじり寄ってくると、顔を俯けるユウヤの頭を胸の前で抱きしめてくる。
柔らかな腕と、それ以上に柔らかさと弾力を感じる乳房に挟まれて、ユウヤはその心地の良さに気持ちが楽になる。
「ユウヤはん。ユウヤはんが女というものに苦手意識を持っているのは分かっとります。そして、あの二人の娘を抱いても、その気持ちはなかなか変えられへんことも。
せやけど、どうですか? うちは人様よりも強い力を持っていると自負しとりますが、こないに簡単に、ユウヤはんに負けてしまいました。……もううちは完全に、貴方様の物になってしまいましたんよ?」
「…………」
ユウヤは心地良さに身を委ね、ただ黙ってシノの言葉を聞いている。
「何も、少しも、苦手意識を保つことなどないのです。決して恐れる必要などありまへん。女など所詮はこの程度。ユウヤはんが少しその気になれば、簡単に屈服させられるんです」
「……でも、これは……。シノさんが僕なんかに好意を抱いてくれたからで……」
ユウヤがそう反論すると、しかしシノは穏やかに微笑んだ。
「どうして、『なんか』と自分を卑下するんです? 自分の魅力が、うちをこないに骨抜きにさせたとは考えられまへんか? 一人の殿方として、ユウヤはんはこの上なく魅力的です。せやから、うちも、あの娘達も、ユウヤはんの妻になりたいと思ったのです。この躰も心もすべてをもらってほしいと願ったんやよ」
シノは幼子に言い聞かせる母のような口調で、ユウヤに自分の言葉を染み込ませていく。
「ユウヤはん。貴方は立派な、魅力的な人間です。そして、もううちは完全に貴方のもの。貴方の女です。気を使う気持ちを持ってくれはるのもユウヤはんの大きな魅力の一つですが、その根底には恐れが隠れています。その気持ちを、うちは取り払いたいと思います」
シノはそう言って少しだけユウヤの頭を胸元から離すと、整えた襦袢の胸元を開き、もう一度ユウヤの頭を抱え込む。
「どないです? この胸はもちろん、うちの躰の全てはユウヤはんのものなんです。ユウヤはんの好きにしてええんですよ」
「……あっ、ああ。シノさん……」
ユウヤは眼前の美しい桃色の乳首を口に含んだ。そして、それを舌で舐めたり、吸ったりして思うがままに弄ぶ。
「んっ、んんっ。きっ、気持ちええです。ユウヤはんに乳を弄ってもらえて、うちは幸せです」
上目遣いにシノの顔を見ると、本当に気持ちよさそうに頬を赤く染めて悦んでいる。自分が、あのシノに快楽を与えているという事実が、ユウヤをまた興奮させていく。
それは、すぐにユウヤの股間の一物に影響を与える。萎えてしまっていたそれが、むくむくと隆起して固くなっていく。
「……シノさん。その、まだ痛いのは分かっているんですが……」
ユウヤがそう尋ねると、シノは小さく首を横に振った。だが、それはユウヤの行為を否定する意味ではなかった。
「うちはもう、ユウヤはんのものやと言うたはずです。自分のものに触るときに、どうして許可を取る必要があるんです?」
シノの言葉に、ユウヤは身体を動かしてシノの唇に自分のそれを重ね合わせる。
優しく、けれど自分の欲のままにシノの美しい女体を貪っていく。そのすべての行為を、シノは喜々として受け入れてくれた。
そして、頃合いを見計らって、もう一度、いや、その後にも何度も、何度も気が済むまで、シノの女の部分に自分の精を、子種を流し込んだ。
そして、ユウヤはようやくこの素晴らしい女性の全てが自分のものになったのだと思うことができたのだった。
これで三人。
あと少しで『資格』を手に入れることができる。
手にしてしまうことになる。
残された時間は刻々と減っていく。
カウントダウンもなしに、非情に。冷徹に。
事の中心にいるにも関わらず、何も気づいていないユウヤ。
見えない敵に不安を募らせる、ファリアとリナ。
全てを知っていながら、決してそれを語らないシノ。
家族というものになっても、いや、なったからこそ余計に、相手を思うばかりに話し合うことができない。
もしも、資格を手に入れてしまえば、きっと後悔する。
どうしてこの時に話し合いをしておかなかったのだと。
けれど、資格を手に入れなければ、後悔する時間さえないのだ……。
「はっ、はい!」
シノの家の居間で待機していたユウヤは、自分を呼ぶ声にすくみ上がってしまう。
だが、いつまでも隣の部屋にいるシノさんを待たせるわけにも行かない。
ユウヤは深呼吸をして、覚悟を決めて襖を静かに開ける。
「…………」
言葉が出なかった。
行灯の穏やかな明かりが神秘的な雰囲気を醸し出している。
そして、その明かりに照らされる黒髪の美女が、絹製なのだろうか? 白く薄い肌着――襦袢だけを身にまとい座っている。……大きな布団の前で。
「なんて綺麗なんだ……。それに……」
美しいが、それ以上に艶っぽい。
ユウヤは無遠慮に、シノの躰を舐めるように見つめてしまう。
所々が透けて艶めかしい体のラインが分かるのが情欲を煽ってくる。知らずに唾液が溢れてきて、ユウヤはゴクリとそれを飲み込んだ。
「……ユウヤ様。不束者ですが、お情けを頂戴いたします……」
シノはそうユウヤに告げて、両手を畳につけて深々と頭を下げる。
「はっ、はい……」
ユウヤはそう答えて、頭を静かに上げたシノの視線を感じながらも、自分の着物を脱いでいく。
きっと、こういった寝所での作法というものがあるのだろうが、生憎そういった知識はユウヤにはない。
それならば、ファリアとリナを抱く時と同じようにしたほうが少しでも気が楽だと思い、そうした。
ユウヤは着物と下着を畳んで部屋の隅に置くと、ただ毅然とした表情でこちらを見つめるシノに、中膝になって近づく。
そして、
「シノさん……」
ユウヤはシノの顔に手をやり、緊張を解こうと優しく頬を撫でる。
シノに男性経験があるのかは知らない。だが、普段の余裕のある表情が見られない。それならば、少しは経験がある自分がリードしなければ。
そう思っていたのだが……。
「ユウヤはん。この日を待っとりました……」
シノは頬に当てられたユウヤの手を取ったかと思うと、そのままユウヤを強引に抱きしめて、柔らかな唇をユウヤのそれに重なり合わせる。
「んっ、んっ! ……なっ、んんっ……」
唇と舌、そして歯での甘噛を巧みに織り交ぜるあまりにも上手いキスに、ユウヤは喘ぎ声を上げさせられ、なされるがままになってしまう。
僅かな経験などまるで役に立たない。ユウヤは何も考えられなくなり、ただただ与えられる快楽に溺れていく。
キスを続けながら、シノは巧みに躰を動かして位置を調整していたのだろう。ユウヤはいつの間にか布団の上に押し倒されてしまった。
「はぁ、はぁ……。ユウヤはん。うちは……うちはホンマに、ユウヤはんのことを……」
唇を離し、情欲の炎が宿った瞳を向けてくるシノ。
先程までの余裕のない硬い表情は、この溢れんばかりの想いを懸命に堪えていたからだったのだとユウヤは理解した。
「……シノさん……」
今日のデートの間の落ち着いた雰囲気も、ファリアを叱っていたときの余裕を見せていたシノも、全てこの気持ちを隠すための仮面に過ぎなかったのだ。
「この人は、ここまで自分なんかのことを……」
その事実に戸惑い、けれど嬉しくも思ったユウヤだったが、そんな感慨に浸っている時間はなかった。すぐにシノがまた唇を重ね合わせてくる。
そして、ユウヤの裸身を、男の体を入念に確認するかのように、頭を抑えているのとは反対の手で無遠慮に弄ってくる。
「ここも、ここも、ここも。あの娘たちに触らせたんですやろ? 何度も、何度も……」
シノは唇を離したかと思うと、熱のこもった、けれど嫉妬の混じった声でそう言い、ユウヤの胸板を撫で回し、所構わずキスの雨を降らせるばかりか、手を少しずつ下腹部に伸ばしていく。
やがてシノの柔らかな手が、ユウヤの勃起したペニスに触れた。すると、シノはその肉棒に視線を移し、その形を確かめるように両手で優しく弄ぶ。
「……はぁ、はぁ。こっ、この熱くて大きなのが、ユウヤはんの……」
「しっ、シノさん……」
あの憧れだったシノが、マジマジと自分の男性器を見つめ、弄っている事に、ユウヤは羞恥とともになんとも言えない興奮を覚える。
「こんな、こんな卑猥なもんで、毎晩あの二人を泣かせとるんやな。そして、うちのことも手篭めにしようと、こないに固うなって……」
シノは微笑んでいた。情欲に染まった、どこか狂気も含んだかのような笑みを浮かべていた。
ゾクリとした。シノのその顔を見て。
だが、ユウヤはそれを美しいと思う。そして、僅かだが愉悦を覚える。
あの、決して手の届かない存在だと思っていた、美しい憧れの彼女が。ファリアさえも手玉に取り、圧倒的な強さを持つシノが。自分の体を見て我を忘れるほどに興奮している事実に、男としての優越感を感じる。
ファリアとリナを抱いた時に感じた不思議な熱がなくても、自分にもこんな加虐的な部分があるのだと、ユウヤは理解した。
「はぁ、はぁ……。ユウヤはんのこの硬い魔羅。舐めてもうたら、どないな味がするんやろ?」
シノはそう言いながらも、ユウヤのペニスを前に行動に移らない。
何かを待ち望むかのように、横目でユウヤに視線を向けてくる。
肌を重ね合わせている最中だからこそ、分かる機微というものもあるようだ。
ユウヤはシノが何を待ち望んでいるのか理解していた。
シノは求められたいのだ。
嫉妬の気持ちと今までずっと堪え続けた反動で、シノは自分を求めてきた。けれど、彼女はもともとおせっかい好きな性分だ。
それは、誰かに頼られたいという性質だということ。誰かのために何かをして喜んでもらいたいという立ち位置なのだ。だから……。
「シノさん。……舐めて下さい……」
ユウヤは優しい声でシノに頼む。自分に快楽を与えるようにと、傲慢にも淫靡な行為をするように命じる。
「……はい。精一杯、ご奉仕させて頂きます」
シノは嬉しそうに頷き、ユウヤのペニスの先端に口づけする。そして、躊躇なくそれを口に含んだ。
「あっ…なっ! くっ……。しっ、シノさん……。もっ、もう少し、やっ、優し……」
あまりにも的確に、ユウヤの男性器の弱い部分を舌で刺激してくるだけではなく、口を巧みに動かして、ペニス全体に快楽を与えてくる。
ファリア、そして彼女の教えを受けてからはリナも、肌を重ね合わせる際には必ず口淫を、フェラチオをしてくれる。だが、その行為が子供だましだと思わされるほどに、シノのそれは卓越していた。
「くっ、もっ、もう……」
「……んっ、んっ……あふっ……」
ユウヤが性を吐き出すのを堪え切れなくなりそうな頃合いを図っていたかのように、シノは静かにユウヤの痛いほどに勃起したペニスを口から抜いてしまう。
後少しで気持ちよく射精できるはずだったのに、ユウヤはお預けを食わされてしまった。
きっとあのまま果てられたのならば、今まで味わったことのない快楽を得られたはずなのに。
「ふふふっ、ユウヤはんのこの魔羅……おちんちん。ええ味ですな。病みつきになってまいそうです。焼けるように熱うて、殿方の濃くていやらしい匂いがたまりまへん……」
シノは口元を上品に手で拭い、けれどそんな卑猥な言葉を微笑みながら投げかけてくる。
「しっ、シノ…さ……ん。もっ、もう、限か……」
ユウヤは一秒でも早く射精したかった。
できることなら、温かくて気持ちのいいシノの口内に欲望の塊を吐き出したかった。だが、
「ふふっ、あきまへんよ。こないなとこで満足してもうたら……」
シノはそれを許してくれない。
ユウヤのペニスが吐精する寸前を維持するように、絶妙のタイミングでそこにキスをしたり、息を吹きかけたりしてくる。
あまりに快楽漬けの時間が続き、頭がチカチカしてくる。
ユウヤは自分でペニスをしごいてでも精を出したいと思ってしまう。
「……蕩けてまうほどに、うちに溺れさせてみせます。せやから、うちがええと言うまで、絶対に精を放ってしもうたらあきまへんよ」
シノはそう言いながら、ユウヤの太ももを撫でる。ただそれだけのことでも、感度が高まっているユウヤは達してしまいそうになる。
「……ふふふっ。やはり殿方の身体は逞しいです。固くてしっかりしとって……。柔くて華奢で頼りない、うちの躰とは大違いです」
襦袢をはだけ、シノは惜しげもなく形の良く大きな乳房を顕にする。
ユウヤは快楽に呆けながらも、白い肌に映える桃色の乳輪に目が惹きつけられてしまう。
「……ほら、こないに柔らかいんです」
シノはその乳房をユウヤの筋張っている足に擦りつけてくる。
大きな乳房の柔らかな感触と、ツンと固くなった乳首の感触の違いが足に伝えられる度に、たまらなくなってしまう。
触りたい。こね回したい。舐めたい。思うがままに貪りたい。
快楽で壊れそうな頭に卑猥な欲望が加わり、ユウヤは呼吸をいっそう乱して懸命に達してしまうのを堪える。
「あっ、うっ!」
乳房を足にこすりつけるのをやめたかと思うと、シノはユウヤの股間に再び顔を近づけて、ペニスの下にある、精液を作り出す睾丸に口づけをした。
思わず、達してしまいそうになり、ユウヤは歯を食いしばる。
「ふふっ。いま、ユウヤはんのこの部分で、たくさん精液が作られとるんやな。女を孕ませるための、いやらしい、白くてネバネバした液体が……」
シノは夢見心地のような陶酔した笑顔をユウヤに向ける。
自分はこんなにも苦しい快楽地獄で苦しんでいるのに、嬉しそうに微笑んでいる。
その事実に、ユウヤの中から黒い衝動が湧き上がってくる。このまま、力づくでこの人を犯してしまおうという気持ちが。
だが、ユウヤはそれを堪える。懸命に、懸命に。
「……ユウヤはん。もしもや。もしもの話なんやけれど……。こないに我慢して我慢して溜めた濃い子種を……うちの女の部分に注ぎ込まれてもうたら、うちはどうなってまうと思います?」
シノの口から、思わぬ言葉が漏れた。
ユウヤは下を向いて射精を堪えていたが、はっとしてシノを見る。
すると、彼女は静かに立ち上がり、襦袢の胸元だけではなく、股間部分もはだけていく。
行灯の明かりが弱くてもどかしい。だが、見える。シノの女性器が。濡れに濡れて、粘着質で卑猥な女の汁を垂らしている、その部分が。
「……はっ、はっ、はぁ……。しっ、シノさん……」
ユウヤは言葉をかけた。
それは、最後の理性。
この胸の中にうごめく黒い気持ちを、獣欲を解き放ってしまわないように堪える、最後の錠前。
だが、シノは暗に言っている。行動で示している。
それを外して、自分を貪るようにと。
「もしもそないなことをされてもうたら……。うちは、間違いなくユウヤはんのややこを孕んでまうやろな……」
シノの股間からあふれる粘液が垂れて糸を引き、垂れていく。
この上なく卑猥なその光景に、ユウヤの目が据わる。
「せやけど、うちはそう簡単に許可はしまへんよ。……もっと、もっと、ユウヤはんを我慢させ……」
股間を見せつける卑猥な姿のまま、シノは妖艶に微笑んでいた。だが、それが驚きに変わる。
「あっ、ううぁぁっ!」
ユウヤは声を上げて立ち上がり、シノの躰を掴んで体制を入れ替えると、彼女を布団の上に投げ倒した。
全く、加減などできなかった。そんな余裕など、今のユウヤにはないのだ。
だが、シノは痛がる様子もなく、再び妖艶に微笑んでいた。
「ふふふっ。酷いです、ユウヤはん。力任せにうちを押し倒すなんて……」
シノの言葉には媚薬でも混じっているかのようだ。興奮が増していく。限度などないように。
……もう、我慢などできない。
「あんっ、ユウヤはん。うちの足に手を伸ばして、何をするつもりなんです?」
ユウヤはシノの太ももを無遠慮に掴んで、それを強引に開かせる。
倒れた際に閉じられたシノの股を再び顕にする。
貝を連想させる、卑猥な桃色の小陰唇が見えると、ユウヤは自分の熱い肉棒に右手をやり、その部分に近づけていく。
「はっ……はっ、はっ……」
ユウヤのペニスの先端部分からも、透明な汁が垂れている。すでに爆発する寸前だ。
だが、これは、この欲望は、この眼の前の女に注ぎ込んでやる。
挿れる。注ぎ込む。
それだけが、今のユウヤの思考だった。
「あきまへんよ、ユウヤはん。うちはまだ、挿れても良いなんて言う……」
シノの言葉など、興奮で気が狂いそうなユウヤの耳には入らない。
だから、彼女が言葉とは裏腹に、期待の眼差しを向けていることにも気づかない。
そして、ユウヤは思いのままにシノの女性器に自分の分身を一気に挿入した。
「……くっ、う……」
シノが僅かに声を上げたが、それもユウヤの耳には届かない。
「うっ、おおおおおあああっ!」
シノの温かな膣内の感触を感じる日間もなく、ユウヤはそこに自分の欲望を吐き出していく。
脳が焼ける。気を失ってしまいそうだ。けれど、同時にこの上なく気持ちいい。
「あっ、うううっ、あああっ……」
やがて、長く続いた射精が終わる。
ユウヤは極度の疲労感で、力なく前に倒れた。
だが、とても柔らかくて温かなものがクッションになって、ユウヤは布団に激突することはなかった。
「……はっ、はっ。いっ、息が……つっ、つまる……」
顔を横に向けて、懸命に酸素を取り込む。
僅かでも気を抜いたら、間違いなく気絶するとユウヤは思い、呼吸を少しずつ落ち着けていく。
しかし、だんだん呼吸が落ち着いてくるにつれて、ユウヤは吸い込んでいる空気が甘い香りを、女の肌の匂いを含んでいることに気がつく。
そこでユウヤは、自身が誰の上に倒れ込んでいるのかを理解した。
「あっ、ああ……」
ユウヤは自分のしたことを思い出し、大慌てで身体を起こして、シノの身体から離れる。
「…………」
シノは何も言わずに、両目を瞑りながら、乱れてしまった呼吸を懸命に整えている。
自分が上になっていてさぞ苦しかっただろうにと、ユウヤは思い、彼女に謝ろうとした。だが、ユウヤはシノの身体を見て、自分が犯した罪がそれだけではなかったことに気がつく。
シノの股間からは、ユウヤのペニスが吐き出した精液が溢れて逆流して来ていた。そして、その股間の白い液体に、赤いものが混じっている。
「……そっ、そんな。しっ、シノさんも……はっ、初めて……」
あれほど自分を挑発し、誘っていたのに。手慣れていると思うほどの寝所での技術を見せつけていたのに。シノは処女だったのだ。
今の性交が、自分の行った強姦まがいのセックスが、シノさんの初めて……。
「……あっ、当たり前やないですか。うちが、そないに身持ちが軽いと思おとったんですか?」
シノは荒い息を整えながら、顔だけを上げてユウヤに微笑みを向けてくる。
「はぁっ、はぁっ……。知識はいくらおおても、実際に経験してみないことには分からないもんです。うっ、うちの躰が……こっ、こないに、なってまうなんて、思いもしまへんでした」
シノは立ち上がろうとしているようだが、足腰に力が入らないようだ。
「……シノさん、その……」
「ふふっ。力強くて素敵でしたよ。……それに、女の躰は、殿方を受け止めるようにできとります。大丈夫です」
シノはそう言ってなんとか躰を動かすと、襦袢を着直し、居住まいを正して正座する。
「……シノさん。でっ、でも、初めてだったのに……。もっと優しく……」
ユウヤは後悔の言葉を口にするが、シノは笑みを浮かべる。
「うちは、ホンマに優しいユウヤはんに、あないに力ずくで求めてもらえて嬉しゅう思おとります」
シノは静かににじり寄ってくると、顔を俯けるユウヤの頭を胸の前で抱きしめてくる。
柔らかな腕と、それ以上に柔らかさと弾力を感じる乳房に挟まれて、ユウヤはその心地の良さに気持ちが楽になる。
「ユウヤはん。ユウヤはんが女というものに苦手意識を持っているのは分かっとります。そして、あの二人の娘を抱いても、その気持ちはなかなか変えられへんことも。
せやけど、どうですか? うちは人様よりも強い力を持っていると自負しとりますが、こないに簡単に、ユウヤはんに負けてしまいました。……もううちは完全に、貴方様の物になってしまいましたんよ?」
「…………」
ユウヤは心地良さに身を委ね、ただ黙ってシノの言葉を聞いている。
「何も、少しも、苦手意識を保つことなどないのです。決して恐れる必要などありまへん。女など所詮はこの程度。ユウヤはんが少しその気になれば、簡単に屈服させられるんです」
「……でも、これは……。シノさんが僕なんかに好意を抱いてくれたからで……」
ユウヤがそう反論すると、しかしシノは穏やかに微笑んだ。
「どうして、『なんか』と自分を卑下するんです? 自分の魅力が、うちをこないに骨抜きにさせたとは考えられまへんか? 一人の殿方として、ユウヤはんはこの上なく魅力的です。せやから、うちも、あの娘達も、ユウヤはんの妻になりたいと思ったのです。この躰も心もすべてをもらってほしいと願ったんやよ」
シノは幼子に言い聞かせる母のような口調で、ユウヤに自分の言葉を染み込ませていく。
「ユウヤはん。貴方は立派な、魅力的な人間です。そして、もううちは完全に貴方のもの。貴方の女です。気を使う気持ちを持ってくれはるのもユウヤはんの大きな魅力の一つですが、その根底には恐れが隠れています。その気持ちを、うちは取り払いたいと思います」
シノはそう言って少しだけユウヤの頭を胸元から離すと、整えた襦袢の胸元を開き、もう一度ユウヤの頭を抱え込む。
「どないです? この胸はもちろん、うちの躰の全てはユウヤはんのものなんです。ユウヤはんの好きにしてええんですよ」
「……あっ、ああ。シノさん……」
ユウヤは眼前の美しい桃色の乳首を口に含んだ。そして、それを舌で舐めたり、吸ったりして思うがままに弄ぶ。
「んっ、んんっ。きっ、気持ちええです。ユウヤはんに乳を弄ってもらえて、うちは幸せです」
上目遣いにシノの顔を見ると、本当に気持ちよさそうに頬を赤く染めて悦んでいる。自分が、あのシノに快楽を与えているという事実が、ユウヤをまた興奮させていく。
それは、すぐにユウヤの股間の一物に影響を与える。萎えてしまっていたそれが、むくむくと隆起して固くなっていく。
「……シノさん。その、まだ痛いのは分かっているんですが……」
ユウヤがそう尋ねると、シノは小さく首を横に振った。だが、それはユウヤの行為を否定する意味ではなかった。
「うちはもう、ユウヤはんのものやと言うたはずです。自分のものに触るときに、どうして許可を取る必要があるんです?」
シノの言葉に、ユウヤは身体を動かしてシノの唇に自分のそれを重ね合わせる。
優しく、けれど自分の欲のままにシノの美しい女体を貪っていく。そのすべての行為を、シノは喜々として受け入れてくれた。
そして、頃合いを見計らって、もう一度、いや、その後にも何度も、何度も気が済むまで、シノの女の部分に自分の精を、子種を流し込んだ。
そして、ユウヤはようやくこの素晴らしい女性の全てが自分のものになったのだと思うことができたのだった。
これで三人。
あと少しで『資格』を手に入れることができる。
手にしてしまうことになる。
残された時間は刻々と減っていく。
カウントダウンもなしに、非情に。冷徹に。
事の中心にいるにも関わらず、何も気づいていないユウヤ。
見えない敵に不安を募らせる、ファリアとリナ。
全てを知っていながら、決してそれを語らないシノ。
家族というものになっても、いや、なったからこそ余計に、相手を思うばかりに話し合うことができない。
もしも、資格を手に入れてしまえば、きっと後悔する。
どうしてこの時に話し合いをしておかなかったのだと。
けれど、資格を手に入れなければ、後悔する時間さえないのだ……。
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