Irregular ~存在を許されざるもの~

トド

文字の大きさ
43 / 85
第六章 依存

第六章 依存(後編)ー②

しおりを挟む
「ユウヤはん……」
「はっ、はい!」

 シノの家の居間で待機していたユウヤは、自分を呼ぶ声にすくみ上がってしまう。
 だが、いつまでも隣の部屋にいるシノさんを待たせるわけにも行かない。
 ユウヤは深呼吸をして、覚悟を決めて襖を静かに開ける。

「…………」
 言葉が出なかった。

 行灯の穏やかな明かりが神秘的な雰囲気を醸し出している。
 そして、その明かりに照らされる黒髪の美女が、絹製なのだろうか? 白く薄い肌着――襦袢だけを身にまとい座っている。……大きな布団の前で。

「なんて綺麗なんだ……。それに……」
 美しいが、それ以上に艶っぽい。
 ユウヤは無遠慮に、シノの躰を舐めるように見つめてしまう。

 所々が透けて艶めかしい体のラインが分かるのが情欲を煽ってくる。知らずに唾液が溢れてきて、ユウヤはゴクリとそれを飲み込んだ。

「……ユウヤ様。不束者ですが、お情けを頂戴いたします……」
 シノはそうユウヤに告げて、両手を畳につけて深々と頭を下げる。

「はっ、はい……」
 ユウヤはそう答えて、頭を静かに上げたシノの視線を感じながらも、自分の着物を脱いでいく。

 きっと、こういった寝所での作法というものがあるのだろうが、生憎そういった知識はユウヤにはない。
 それならば、ファリアとリナを抱く時と同じようにしたほうが少しでも気が楽だと思い、そうした。

 ユウヤは着物と下着を畳んで部屋の隅に置くと、ただ毅然とした表情でこちらを見つめるシノに、中膝になって近づく。

 そして、
「シノさん……」
 ユウヤはシノの顔に手をやり、緊張を解こうと優しく頬を撫でる。

 シノに男性経験があるのかは知らない。だが、普段の余裕のある表情が見られない。それならば、少しは経験がある自分がリードしなければ。
 そう思っていたのだが……。

「ユウヤはん。この日を待っとりました……」
 シノは頬に当てられたユウヤの手を取ったかと思うと、そのままユウヤを強引に抱きしめて、柔らかな唇をユウヤのそれに重なり合わせる。

「んっ、んっ! ……なっ、んんっ……」
 唇と舌、そして歯での甘噛を巧みに織り交ぜるあまりにも上手いキスに、ユウヤは喘ぎ声を上げさせられ、なされるがままになってしまう。

 僅かな経験などまるで役に立たない。ユウヤは何も考えられなくなり、ただただ与えられる快楽に溺れていく。

 キスを続けながら、シノは巧みに躰を動かして位置を調整していたのだろう。ユウヤはいつの間にか布団の上に押し倒されてしまった。

「はぁ、はぁ……。ユウヤはん。うちは……うちはホンマに、ユウヤはんのことを……」
 唇を離し、情欲の炎が宿った瞳を向けてくるシノ。

 先程までの余裕のない硬い表情は、この溢れんばかりの想いを懸命に堪えていたからだったのだとユウヤは理解した。

「……シノさん……」
 今日のデートの間の落ち着いた雰囲気も、ファリアを叱っていたときの余裕を見せていたシノも、全てこの気持ちを隠すための仮面に過ぎなかったのだ。

「この人は、ここまで自分なんかのことを……」
 その事実に戸惑い、けれど嬉しくも思ったユウヤだったが、そんな感慨に浸っている時間はなかった。すぐにシノがまた唇を重ね合わせてくる。

 そして、ユウヤの裸身を、男の体を入念に確認するかのように、頭を抑えているのとは反対の手で無遠慮に弄ってくる。

「ここも、ここも、ここも。あの娘たちに触らせたんですやろ? 何度も、何度も……」
 シノは唇を離したかと思うと、熱のこもった、けれど嫉妬の混じった声でそう言い、ユウヤの胸板を撫で回し、所構わずキスの雨を降らせるばかりか、手を少しずつ下腹部に伸ばしていく。

 やがてシノの柔らかな手が、ユウヤの勃起したペニスに触れた。すると、シノはその肉棒に視線を移し、その形を確かめるように両手で優しく弄ぶ。

「……はぁ、はぁ。こっ、この熱くて大きなのが、ユウヤはんの……」
「しっ、シノさん……」

 あの憧れだったシノが、マジマジと自分の男性器を見つめ、弄っている事に、ユウヤは羞恥とともになんとも言えない興奮を覚える。

「こんな、こんな卑猥なもんで、毎晩あの二人を泣かせとるんやな。そして、うちのことも手篭めにしようと、こないに固うなって……」
 シノは微笑んでいた。情欲に染まった、どこか狂気も含んだかのような笑みを浮かべていた。
 ゾクリとした。シノのその顔を見て。

 だが、ユウヤはそれを美しいと思う。そして、僅かだが愉悦を覚える。
 あの、決して手の届かない存在だと思っていた、美しい憧れの彼女が。ファリアさえも手玉に取り、圧倒的な強さを持つシノが。自分の体を見て我を忘れるほどに興奮している事実に、男としての優越感を感じる。

 ファリアとリナを抱いた時に感じた不思議な熱がなくても、自分にもこんな加虐的な部分があるのだと、ユウヤは理解した。

「はぁ、はぁ……。ユウヤはんのこの硬い魔羅。舐めてもうたら、どないな味がするんやろ?」
 シノはそう言いながらも、ユウヤのペニスを前に行動に移らない。

 何かを待ち望むかのように、横目でユウヤに視線を向けてくる。
 肌を重ね合わせている最中だからこそ、分かる機微というものもあるようだ。
 ユウヤはシノが何を待ち望んでいるのか理解していた。

 シノは求められたいのだ。
 嫉妬の気持ちと今までずっと堪え続けた反動で、シノは自分を求めてきた。けれど、彼女はもともとおせっかい好きな性分だ。

 それは、誰かに頼られたいという性質だということ。誰かのために何かをして喜んでもらいたいという立ち位置なのだ。だから……。

「シノさん。……舐めて下さい……」
 ユウヤは優しい声でシノに頼む。自分に快楽を与えるようにと、傲慢にも淫靡な行為をするように命じる。

「……はい。精一杯、ご奉仕させて頂きます」
 シノは嬉しそうに頷き、ユウヤのペニスの先端に口づけする。そして、躊躇なくそれを口に含んだ。

「あっ…なっ! くっ……。しっ、シノさん……。もっ、もう少し、やっ、優し……」
 あまりにも的確に、ユウヤの男性器の弱い部分を舌で刺激してくるだけではなく、口を巧みに動かして、ペニス全体に快楽を与えてくる。

 ファリア、そして彼女の教えを受けてからはリナも、肌を重ね合わせる際には必ず口淫を、フェラチオをしてくれる。だが、その行為が子供だましだと思わされるほどに、シノのそれは卓越していた。

「くっ、もっ、もう……」
「……んっ、んっ……あふっ……」

 ユウヤが性を吐き出すのを堪え切れなくなりそうな頃合いを図っていたかのように、シノは静かにユウヤの痛いほどに勃起したペニスを口から抜いてしまう。

 後少しで気持ちよく射精できるはずだったのに、ユウヤはお預けを食わされてしまった。
 きっとあのまま果てられたのならば、今まで味わったことのない快楽を得られたはずなのに。

「ふふふっ、ユウヤはんのこの魔羅……おちんちん。ええ味ですな。病みつきになってまいそうです。焼けるように熱うて、殿方の濃くていやらしい匂いがたまりまへん……」
 シノは口元を上品に手で拭い、けれどそんな卑猥な言葉を微笑みながら投げかけてくる。

「しっ、シノ…さ……ん。もっ、もう、限か……」
 ユウヤは一秒でも早く射精したかった。
 できることなら、温かくて気持ちのいいシノの口内に欲望の塊を吐き出したかった。だが、
「ふふっ、あきまへんよ。こないなとこで満足してもうたら……」
 シノはそれを許してくれない。

 ユウヤのペニスが吐精する寸前を維持するように、絶妙のタイミングでそこにキスをしたり、息を吹きかけたりしてくる。
 あまりに快楽漬けの時間が続き、頭がチカチカしてくる。
 ユウヤは自分でペニスをしごいてでも精を出したいと思ってしまう。

「……蕩けてまうほどに、うちに溺れさせてみせます。せやから、うちがええと言うまで、絶対に精を放ってしもうたらあきまへんよ」
 シノはそう言いながら、ユウヤの太ももを撫でる。ただそれだけのことでも、感度が高まっているユウヤは達してしまいそうになる。

「……ふふふっ。やはり殿方の身体は逞しいです。固くてしっかりしとって……。柔くて華奢で頼りない、うちの躰とは大違いです」
 襦袢をはだけ、シノは惜しげもなく形の良く大きな乳房を顕にする。

 ユウヤは快楽に呆けながらも、白い肌に映える桃色の乳輪に目が惹きつけられてしまう。

「……ほら、こないに柔らかいんです」
 シノはその乳房をユウヤの筋張っている足に擦りつけてくる。
 大きな乳房の柔らかな感触と、ツンと固くなった乳首の感触の違いが足に伝えられる度に、たまらなくなってしまう。

 触りたい。こね回したい。舐めたい。思うがままに貪りたい。

 快楽で壊れそうな頭に卑猥な欲望が加わり、ユウヤは呼吸をいっそう乱して懸命に達してしまうのを堪える。

「あっ、うっ!」
 乳房を足にこすりつけるのをやめたかと思うと、シノはユウヤの股間に再び顔を近づけて、ペニスの下にある、精液を作り出す睾丸に口づけをした。
 思わず、達してしまいそうになり、ユウヤは歯を食いしばる。

「ふふっ。いま、ユウヤはんのこの部分で、たくさん精液が作られとるんやな。女を孕ませるための、いやらしい、白くてネバネバした液体が……」
 シノは夢見心地のような陶酔した笑顔をユウヤに向ける。

 自分はこんなにも苦しい快楽地獄で苦しんでいるのに、嬉しそうに微笑んでいる。
 その事実に、ユウヤの中から黒い衝動が湧き上がってくる。このまま、力づくでこの人を犯してしまおうという気持ちが。
 だが、ユウヤはそれを堪える。懸命に、懸命に。

「……ユウヤはん。もしもや。もしもの話なんやけれど……。こないに我慢して我慢して溜めた濃い子種を……うちの女の部分に注ぎ込まれてもうたら、うちはどうなってまうと思います?」
 シノの口から、思わぬ言葉が漏れた。

 ユウヤは下を向いて射精を堪えていたが、はっとしてシノを見る。

 すると、彼女は静かに立ち上がり、襦袢の胸元だけではなく、股間部分もはだけていく。
 行灯の明かりが弱くてもどかしい。だが、見える。シノの女性器が。濡れに濡れて、粘着質で卑猥な女の汁を垂らしている、その部分が。

「……はっ、はっ、はぁ……。しっ、シノさん……」

 ユウヤは言葉をかけた。
 それは、最後の理性。
 この胸の中にうごめく黒い気持ちを、獣欲を解き放ってしまわないように堪える、最後の錠前。
 だが、シノは暗に言っている。行動で示している。
 それを外して、自分を貪るようにと。

「もしもそないなことをされてもうたら……。うちは、間違いなくユウヤはんのややこを孕んでまうやろな……」
 シノの股間からあふれる粘液が垂れて糸を引き、垂れていく。
 この上なく卑猥なその光景に、ユウヤの目が据わる。

「せやけど、うちはそう簡単に許可はしまへんよ。……もっと、もっと、ユウヤはんを我慢させ……」
 股間を見せつける卑猥な姿のまま、シノは妖艶に微笑んでいた。だが、それが驚きに変わる。

「あっ、ううぁぁっ!」
 ユウヤは声を上げて立ち上がり、シノの躰を掴んで体制を入れ替えると、彼女を布団の上に投げ倒した。

 全く、加減などできなかった。そんな余裕など、今のユウヤにはないのだ。

 だが、シノは痛がる様子もなく、再び妖艶に微笑んでいた。
「ふふふっ。酷いです、ユウヤはん。力任せにうちを押し倒すなんて……」
 シノの言葉には媚薬でも混じっているかのようだ。興奮が増していく。限度などないように。

 ……もう、我慢などできない。

「あんっ、ユウヤはん。うちの足に手を伸ばして、何をするつもりなんです?」
 ユウヤはシノの太ももを無遠慮に掴んで、それを強引に開かせる。
 倒れた際に閉じられたシノの股を再び顕にする。

 貝を連想させる、卑猥な桃色の小陰唇が見えると、ユウヤは自分の熱い肉棒に右手をやり、その部分に近づけていく。

「はっ……はっ、はっ……」
 ユウヤのペニスの先端部分からも、透明な汁が垂れている。すでに爆発する寸前だ。
 だが、これは、この欲望は、この眼の前の女に注ぎ込んでやる。
 挿れる。注ぎ込む。
 それだけが、今のユウヤの思考だった。

「あきまへんよ、ユウヤはん。うちはまだ、挿れても良いなんて言う……」
 シノの言葉など、興奮で気が狂いそうなユウヤの耳には入らない。
 だから、彼女が言葉とは裏腹に、期待の眼差しを向けていることにも気づかない。

 そして、ユウヤは思いのままにシノの女性器に自分の分身を一気に挿入した。

「……くっ、う……」
 シノが僅かに声を上げたが、それもユウヤの耳には届かない。

「うっ、おおおおおあああっ!」
 シノの温かな膣内の感触を感じる日間もなく、ユウヤはそこに自分の欲望を吐き出していく。

 脳が焼ける。気を失ってしまいそうだ。けれど、同時にこの上なく気持ちいい。
「あっ、うううっ、あああっ……」
 やがて、長く続いた射精が終わる。

 ユウヤは極度の疲労感で、力なく前に倒れた。
 だが、とても柔らかくて温かなものがクッションになって、ユウヤは布団に激突することはなかった。

「……はっ、はっ。いっ、息が……つっ、つまる……」

 顔を横に向けて、懸命に酸素を取り込む。
 僅かでも気を抜いたら、間違いなく気絶するとユウヤは思い、呼吸を少しずつ落ち着けていく。

 しかし、だんだん呼吸が落ち着いてくるにつれて、ユウヤは吸い込んでいる空気が甘い香りを、女の肌の匂いを含んでいることに気がつく。

 そこでユウヤは、自身が誰の上に倒れ込んでいるのかを理解した。

「あっ、ああ……」
 ユウヤは自分のしたことを思い出し、大慌てで身体を起こして、シノの身体から離れる。

「…………」
 シノは何も言わずに、両目を瞑りながら、乱れてしまった呼吸を懸命に整えている。

 自分が上になっていてさぞ苦しかっただろうにと、ユウヤは思い、彼女に謝ろうとした。だが、ユウヤはシノの身体を見て、自分が犯した罪がそれだけではなかったことに気がつく。

 シノの股間からは、ユウヤのペニスが吐き出した精液が溢れて逆流して来ていた。そして、その股間の白い液体に、赤いものが混じっている。

「……そっ、そんな。しっ、シノさんも……はっ、初めて……」
 あれほど自分を挑発し、誘っていたのに。手慣れていると思うほどの寝所での技術を見せつけていたのに。シノは処女だったのだ。

 今の性交が、自分の行った強姦まがいのセックスが、シノさんの初めて……。

「……あっ、当たり前やないですか。うちが、そないに身持ちが軽いと思おとったんですか?」
 シノは荒い息を整えながら、顔だけを上げてユウヤに微笑みを向けてくる。

「はぁっ、はぁっ……。知識はいくらおおても、実際に経験してみないことには分からないもんです。うっ、うちの躰が……こっ、こないに、なってまうなんて、思いもしまへんでした」
 シノは立ち上がろうとしているようだが、足腰に力が入らないようだ。

「……シノさん、その……」
「ふふっ。力強くて素敵でしたよ。……それに、女の躰は、殿方を受け止めるようにできとります。大丈夫です」
 シノはそう言ってなんとか躰を動かすと、襦袢を着直し、居住まいを正して正座する。

「……シノさん。でっ、でも、初めてだったのに……。もっと優しく……」
 ユウヤは後悔の言葉を口にするが、シノは笑みを浮かべる。

「うちは、ホンマに優しいユウヤはんに、あないに力ずくで求めてもらえて嬉しゅう思おとります」
 シノは静かににじり寄ってくると、顔を俯けるユウヤの頭を胸の前で抱きしめてくる。

 柔らかな腕と、それ以上に柔らかさと弾力を感じる乳房に挟まれて、ユウヤはその心地の良さに気持ちが楽になる。

「ユウヤはん。ユウヤはんが女というものに苦手意識を持っているのは分かっとります。そして、あの二人の娘を抱いても、その気持ちはなかなか変えられへんことも。
 せやけど、どうですか? うちは人様よりも強い力を持っていると自負しとりますが、こないに簡単に、ユウヤはんに負けてしまいました。……もううちは完全に、貴方様の物になってしまいましたんよ?」
「…………」
 ユウヤは心地良さに身を委ね、ただ黙ってシノの言葉を聞いている。

「何も、少しも、苦手意識を保つことなどないのです。決して恐れる必要などありまへん。女など所詮はこの程度。ユウヤはんが少しその気になれば、簡単に屈服させられるんです」
「……でも、これは……。シノさんが僕なんかに好意を抱いてくれたからで……」
 ユウヤがそう反論すると、しかしシノは穏やかに微笑んだ。

「どうして、『なんか』と自分を卑下するんです? 自分の魅力が、うちをこないに骨抜きにさせたとは考えられまへんか? 一人の殿方として、ユウヤはんはこの上なく魅力的です。せやから、うちも、あの娘達も、ユウヤはんの妻になりたいと思ったのです。この躰も心もすべてをもらってほしいと願ったんやよ」
 シノは幼子に言い聞かせる母のような口調で、ユウヤに自分の言葉を染み込ませていく。

「ユウヤはん。貴方は立派な、魅力的な人間です。そして、もううちは完全に貴方のもの。貴方の女です。気を使う気持ちを持ってくれはるのもユウヤはんの大きな魅力の一つですが、その根底には恐れが隠れています。その気持ちを、うちは取り払いたいと思います」
 シノはそう言って少しだけユウヤの頭を胸元から離すと、整えた襦袢の胸元を開き、もう一度ユウヤの頭を抱え込む。

「どないです? この胸はもちろん、うちの躰の全てはユウヤはんのものなんです。ユウヤはんの好きにしてええんですよ」
「……あっ、ああ。シノさん……」
 ユウヤは眼前の美しい桃色の乳首を口に含んだ。そして、それを舌で舐めたり、吸ったりして思うがままに弄ぶ。

「んっ、んんっ。きっ、気持ちええです。ユウヤはんに乳を弄ってもらえて、うちは幸せです」

 上目遣いにシノの顔を見ると、本当に気持ちよさそうに頬を赤く染めて悦んでいる。自分が、あのシノに快楽を与えているという事実が、ユウヤをまた興奮させていく。

 それは、すぐにユウヤの股間の一物に影響を与える。萎えてしまっていたそれが、むくむくと隆起して固くなっていく。

「……シノさん。その、まだ痛いのは分かっているんですが……」
 ユウヤがそう尋ねると、シノは小さく首を横に振った。だが、それはユウヤの行為を否定する意味ではなかった。

「うちはもう、ユウヤはんのものやと言うたはずです。自分のものに触るときに、どうして許可を取る必要があるんです?」
 シノの言葉に、ユウヤは身体を動かしてシノの唇に自分のそれを重ね合わせる。

 優しく、けれど自分の欲のままにシノの美しい女体を貪っていく。そのすべての行為を、シノは喜々として受け入れてくれた。

 そして、頃合いを見計らって、もう一度、いや、その後にも何度も、何度も気が済むまで、シノの女の部分に自分の精を、子種を流し込んだ。

 そして、ユウヤはようやくこの素晴らしい女性の全てが自分のものになったのだと思うことができたのだった。




 これで三人。
 あと少しで『資格』を手に入れることができる。
 手にしてしまうことになる。

 残された時間は刻々と減っていく。
 カウントダウンもなしに、非情に。冷徹に。

 事の中心にいるにも関わらず、何も気づいていないユウヤ。
 見えない敵に不安を募らせる、ファリアとリナ。
 全てを知っていながら、決してそれを語らないシノ。

 家族というものになっても、いや、なったからこそ余計に、相手を思うばかりに話し合うことができない。

 もしも、資格を手に入れてしまえば、きっと後悔する。
 どうしてこの時に話し合いをしておかなかったのだと。

 けれど、資格を手に入れなければ、後悔する時間さえないのだ……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

処理中です...