真巨人転生~腹ペコ娘は美味しい物が食べたい~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
36 / 247

第36話 美味しくない魔物と実験の成果

しおりを挟む
 ―――――っていうスキルと加護が解放されて、食い殺した相手の力を奪えるようになったみたい。 だから、そのスキルの検証もしたくて森の側に連れて来てもらったんだ」

 「うぅむ、にわかには信じられんが……火を吹いたしのぅ……そうじゃ! それなら、ちと待っておれクウネル」

 トールはクウネルにそう伝えた後、魔の森へと消えて行った。

 (え? 何? もしかして、検証に付き合ってくれるの? じゃあ、美味しそうな魔物でお願いしますー!)

 それから暫くしてもトールは戻らず、暇になったクウネルは自身のステータスを確認する事にした。

 「ステータスオープン」

 ステータス画面

 名前 クウネル

 年齢 1

 職業 戦士見習い

 種族 グラトニーベビージャイアント

 レベル 6

 HP 747/750

 FP 80/170

 攻撃力 660+1000

 防御力 110

 知力 65

 速力 150

 スキル 鑑定Lv2. 暴食. 消化吸収強化. 竜鱗Lv1. 火耐性Lv1. 竜殺しLv1. 魔物食らい

 魔法 火炎Lv1

 戦技 叩き割りLv2. 槍突きLv1. 噛み付きLv1

 状態異常 火傷小

 加護 暴食の邪神の寵愛. 巨神の愛し子

 変動していないステータスを確認し、クウネルは予想通りである事に頷く。

 (うん、やっぱり倒すだけじゃダメか~。 ステータスは変動無しだね。 でもレベルの経験値は入ってるのかな? 実験したかった火炎の消費FPが分かったのが、一番の成果だね)

 クウネルは家で吐いた回数と、先程の実験で使用した火炎を計算し一回に使用するFPが幾らなのか導き出す。

 (ほーん、1回FP30も消費するのか。連発したら直ぐに枯渇しそうだな。 っていうか、そもそもFPってどうやって回復するの? 時間経過? でも、カマキリ倒してから結構経つけどまだ1も回復して無い……う~ん、これも忘れずに検証しとかなきゃ)

 クウネルが今後すべき事を整理していると、地面が揺れだしトールが戻って来た事に気付いた。

 (お? お祖父ちゃんが帰って来たね。 わーお、右手に狼っぽい魔物を掴んでいる)

 「クウネル待たせたのぅ! コヤツが中々に逃げ足が早いでな、生きたまま捕まえるのに苦労したわい」

 トールは指先で摘んた魔物をクウネルに見せた。

 「お~、やっぱり魔物を捕って来てくれたんだね。 ありがとう、お祖父ちゃん。 さてさて、どんなステータスかな。 鑑定!」

 ステータス画面

 種族 フォレストウルフ

 年齢 9

 レベル 18

 HP 60/850

 FP 0/120

 攻撃力 300

 防御力 150

 知力 90

 速力 250

 スキル 魔物食らい. 魔物殺し. 気配察知Lv1. 連携Lv1

 魔法 無し

 戦技 噛み付きLv2

 状態異常 衰弱 瀕死

 ピクピクと痙攣するフォレストウルフを見て、クウネルは苦笑いをする。

 (うん、死にかけだね。 狼の大きさは2mも無いかな? かなり苦しそうだし早く楽にしてあげよう)

 実験の為とは云え、突如巨大なトールに追い掛けられた魔物に同情を禁じ得ないクウネルは早速動き出す。

 「ありがとうお祖父ちゃん。 スキルの検証してみるね」

 「うむ。 じゃが、噛み付きで殺すだけでそのまま食べてはいかんぞ?  生肉は腹を下すでな」

 至極最もな意見だが、クウネルは不服そうにする。 それを見てトールは苦笑いするが、生肉を食うなと言うのは当たり前であり普通は食あたりをして死んでも不思議では無いのだ。

 「ん、分かった。 では、命に感謝して頂きます! 噛み付き!」

 クウネルは戦技噛み付きを使用し、思いっきり狼の首元に齧り付いた。

 「グルルッ! ガァッ!? ァ…ァ」

 狼の首を力任せにそのまま捻り、首の骨を折る。

 噛み付きのスキルのお陰か、狼の毛や皮膚を歯で貫き口の中に血と肉の味が広がった。 クウネルは期待するも、その不味さに顔を顰める。

 (うん、美味しくなーい。 飛竜だから血も肉も美味しかったのかな? 狼の肉は固いし、血も不味いよ~)

 完全に動かなくなった狼からクウネルは離れる。

 「う、うむ。 孫が魔物にかぶり付くのを見るのは中々心臓に悪いわい。 して、どうじゃクウネル。 ステータスとやらに変動は有ったのか?」

 「あ、そうだ! 確認してみるね。 ステータスオープン」

 ステータス画面

 名前 クウネル

 年齢 1

 職業 戦士見習い

 種族 グラトニーベビージャイアント

 レベル 24

 HP 1600/1600

 FP 290/290

 攻撃力 960+1000

 防御力 260

 知力 155

 速力 400

 スキル 鑑定Lv2. 暴食.  消化吸収強化. 竜鱗Lv1. 火耐性Lv1. 竜殺しLv1. 魔物食らい. 気配察知Lv1(new). 連携Lv1(new)

 魔法 火炎Lv1

 戦技 叩き割りLv2. 槍突きLv1. 噛み付きLv3(up)

 状態異常 無し

 加護 暴食の邪神の寵愛. 巨神の愛し子

 クウネルは確認したステータスを見て大喜びした。

 「すごーい! ステータスめちゃくちゃ上がってる!」

 (HPもFPも増えた上に全回復になってる! もしや、ステータスが増えるタイミングで全回復ってパターンか! なら、ピンチな時に魔物を食い殺したら回復出来るやん! 私最強じゃない? いや、まだ検証が必要か……自惚れは身を滅ぼすからね)

 自身の力に感激するも、戒めを忘れずにクウネルは気を引き締める。

 「ん、成功したよ! ステータスは軒並みさっきの狼の力を全て吸収して上がってる。 スキルも、気配察知と連携が増えた」

 「なんと! そうか、良かったのぉ。 じゃがなクウネル……さっき少し食ったじゃろ」

 トールはクウネルの成果に喜んだが、噛み付いた時に少し狼の肉を咀嚼していた事に気付いていた。

 (あちゃ~、バレてたか。 不味いのは当たり前なんだってさ、狼のお肉は煮ないと固くて食べれないらしい。 これは持って帰って、お母さんに煮込んでもらおっと)

 トールが神妙な顔で唸った後に、クウネルへと忠告した。

 「これは……そうじゃな。 クウネル、そのスキルと邪神の加護の事は他の者には絶対に話すでないぞ? 余りに強力過ぎる力は、時に他者から余計な誤解を招くでな」

 「ん、ちゃんと分かってる。 お祖父ちゃんだから話した」

 「ぐぁっはぁっはぁ! そうか、それは爺ちゃん嬉しいのぅ! 儂が言わずとも、クウネルなら大丈夫じゃな」

 (お祖父ちゃんなら話して大丈夫だと思ったけど、やっぱり結局は心配してくれる。 私は義理の息子であるお父さんとの子だから、正確には血は繋がってないのにね)

 「さぁて、クウネルや。 そろそろ家に帰るとするか?  腹が空いたと顔に書いて有るぞ?  狼は不味かったしの」

 「うん、帰ろ。 お祖父ちゃんよくわかったね~」

 クウネルはトールの肩に登り、遠くの景色を眺めながら帰路に着く。

 もう、魔の森の空に飛竜は飛んでない。 穏やかな景色に心を癒やしながらクウネルは微笑んだ。

 (むふふ、私も今日で更に強くなったし。 明日からまた訓練と勉強頑張りますかね~)

 そろそろ家に着く頃、クウネルは不思議な感覚に襲われた。

 (ん? 家の方から気配が2つ凄いスピードで近づいてくるぞ? この感覚がスキルの気配察知なのかな。 これは、馴れるのに時間かかりそうだ。 ってアレは……)

 「「クウネル! いったい何処に行ってたんだ! 」の!」

 「やっばぁっ! お父さんとお母さんがお怒りだ!」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...