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第35話 いざ実験へ
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クウネルはトールの肩から降りて、開けた空き地に立つ。
「お祖父ちゃん、そこで見ててね」
「む? うむ、分かったわい」
何がなんだか分かってないトールを置き去りに、クウネルは魔の森の側で火炎の練習を開始した。
(さて、どうやって出したらいいんだろ? 喉の奥から出す感じかな? ほっ! やっ! おぉっ?! 何か喉の奥がチリチリする。 上手くいってるぞー!)
「お祖父ちゃんいくよー!」
準備が出来たクウネルはトールに話しかけるが、トールはクウネルを見ていなかった。 視線はクウネルを越えた先、魔の森に向けられていた。
(嫌な予感がするぞ)
ガサガサと音か聞こえた直後、クウネルの側の木々から魔物が飛び出した。
(ちくせう! やっぱりか!)
「クウネルっ! 儂の後ろに隠れぃ!」
トールは音が聞こえた直後には動き出し、クウネルを助けに向かう。 魔の森から飛び出したのは、クウネルがまだ見たこと無い魔物だった。 しかし、魔物の容姿だけは前世でも見たことのある姿であり、クウネルの目の前に現れたのは蟷螂であった。
(ぎゃー! 2メートル程の大きさも有るカマキリだー! だが私より小さい! ……但し、鎌が六本も有る)
クウネルは驚くも、怯まずに魔物へと立ち向かう。 先ずは先手として相手の情報を得るべく動いた。
(鑑定)
ステータス画面
種族 シックスハンドマンティス
年齢 2
レベル 3
HP 220/220
FP 0/0
攻撃力 120
防御力 10
知力 8
速力 150
スキル 魔物食らい. 潜伏. 魔物殺し
魔法 無し
戦技 切り裂きLv1
状態異常 空腹
シックスハンドマンティスのステータスを見たクウネルはニヤリと笑った。 今のクウネルからすれば、素手でも余裕で勝てるだろう。
(はい、雑魚ー!)
「お祖父ちゃん! 私にやらせて!」
武器を持ってきていなかったトールは、シックスハンドマンティスに素手で殴りかかろうとしていた。 その姿は、小さな蟷螂に大人が殴りかかっている様な物だ。
(まぁ、お祖父ちゃんからしたら小さな虫だよね。 でも、私に戦わせて欲しいのよ。 実戦で使ってやるのさ! 火炎をね!)
「むぅ?! クウネルならあの羽虫程度大丈夫か……分かった、しかし無理なら直ぐに爺ちゃんが交代するからの。 ええか、油断するでないぞ!」
「うん! 分かってる。私の魔法見てて」
「ん? 魔法じゃと?」
トールと会話してる間にも、シックスハンドマンティスは鎌を構えてジリジリとクウネルの方に近寄ってくる。 本能でトールに勝てないと分かったのか、まだクウネルを狙って餌にしようと飛び掛かる体制でゆっくり接近する。
(いいぞ、いいぞ! そのまま来い!)
クウネルは確実に射程に入るまで我慢し、誘き寄せる。
「チキチキチキチキ、キシャアァァァ!」
涎を垂らしたシックスハンドマンティスがクウネルに向かって飛び掛かった。
(隙有り! 喉の奥から出す感じー! チリチリ、きたぁ!)
クウネルは口を大きく開け、喉の奥に出現した塊を一気に吹き出す。
「くらぇ! 火炎!! ボァアアアアッ!」
クウネルの口から火炎放射の様な火柱が放たれ、シックスハンドマンティスを包み込んだ。
「ギシャァ?! シャアァァァァ……ァァ!!」
炎に飲み込まれたシックスハンドマンティスは、じたばたと苦しんでいたが程なくして事切れた。
(Win! ひゃっほーい! 一方的に勝ったぜー! ふー!)
クウネルが焼けた魔物の側で喜びの舞を踊っている間、トールは顎が外れそうな程に口を開けて驚いていた。
「えへへー! 勝ったよお祖父ちゃん!」
クウネルの巨人生、2度目の戦闘は呆気なく勝利で幕を閉じた。
(いや、初めての戦闘が飛竜だったのが異常なのよ?)
「クウネル今、口から出した火は何じゃ!? 大丈夫なのか?」
トールが凄まじい剣幕でクウネルの顔を覗き込む。
「ん、ちょっと口の中熱いけど大丈夫。 さっきも言ったけど、魔法の火炎が使えるようになった」
(あれだね、子飛竜が火炎放った後直ぐに追撃して来なかった理由がわかったよ。 口の中があっっっついのよ! 追撃とか無理無理。 頻繁に使ってたら火耐性のLvが上がって、楽になるとは思うんだけどね~)
クウネルが口の中を冷やそうとパタパタしていると、トールが驚いた顔で呟いた。
「な、なんじゃと……あり……えんわい」
トールが小さく呟いた後、その場で尻餅を着き地面が大きく揺れる。
その様子を見たクウネルは首を傾げた。
(え? どしたの、何故にそんなに驚くの。 この世界は魔法が普通に有るんで無いの? お祖父ちゃんから聞いた魔王様も凄腕の魔法使いだったんでしょ?)
「何があり得ないの? お祖父ちゃん」
「さすが儂の孫じゃ。 まさか、魔法が使えない巨人で有りながら使えるようになるとは……」
トールの言葉にクウネルは驚愕する。
(何それ、初耳何ですけど?! 巨人って魔法使えないの?! あ! そういえば、お祖父ちゃんのステータスにも魔法は無しってなってたね。 お父さんやお母さん、村の皆も魔法の所は無しになってた筈だ)
「魔法が使えないって、種族として覚えれないって事?」
「うぅむ、クウネルの賢さなら可能性は有ると思っておったが。 そうじゃ、巨人は総じて知力が低い種族じゃ。 どんなに賢い巨人でも魔法の理を知り魔力を操る事は誰にもできなんだ。 儂の知る限りではの」
トールの言葉にクウネルは飛び跳ねて喜ぶ。
(じゃあ、私が巨人初の魔法使いって事ですか?! まぁ……魔法って言っても火吹けるだけなんだけどね。 でも嬉しいやーん!)
「もしや、クウネルが転生者で有る事にも起因が有るのかもしれんのぅ。 何か思い当たる事は有るのか?」
(うーん、お祖父ちゃんになら教えてもいっか。 スキルの事と加護の事を言っても……)
「実はね……」
「お祖父ちゃん、そこで見ててね」
「む? うむ、分かったわい」
何がなんだか分かってないトールを置き去りに、クウネルは魔の森の側で火炎の練習を開始した。
(さて、どうやって出したらいいんだろ? 喉の奥から出す感じかな? ほっ! やっ! おぉっ?! 何か喉の奥がチリチリする。 上手くいってるぞー!)
「お祖父ちゃんいくよー!」
準備が出来たクウネルはトールに話しかけるが、トールはクウネルを見ていなかった。 視線はクウネルを越えた先、魔の森に向けられていた。
(嫌な予感がするぞ)
ガサガサと音か聞こえた直後、クウネルの側の木々から魔物が飛び出した。
(ちくせう! やっぱりか!)
「クウネルっ! 儂の後ろに隠れぃ!」
トールは音が聞こえた直後には動き出し、クウネルを助けに向かう。 魔の森から飛び出したのは、クウネルがまだ見たこと無い魔物だった。 しかし、魔物の容姿だけは前世でも見たことのある姿であり、クウネルの目の前に現れたのは蟷螂であった。
(ぎゃー! 2メートル程の大きさも有るカマキリだー! だが私より小さい! ……但し、鎌が六本も有る)
クウネルは驚くも、怯まずに魔物へと立ち向かう。 先ずは先手として相手の情報を得るべく動いた。
(鑑定)
ステータス画面
種族 シックスハンドマンティス
年齢 2
レベル 3
HP 220/220
FP 0/0
攻撃力 120
防御力 10
知力 8
速力 150
スキル 魔物食らい. 潜伏. 魔物殺し
魔法 無し
戦技 切り裂きLv1
状態異常 空腹
シックスハンドマンティスのステータスを見たクウネルはニヤリと笑った。 今のクウネルからすれば、素手でも余裕で勝てるだろう。
(はい、雑魚ー!)
「お祖父ちゃん! 私にやらせて!」
武器を持ってきていなかったトールは、シックスハンドマンティスに素手で殴りかかろうとしていた。 その姿は、小さな蟷螂に大人が殴りかかっている様な物だ。
(まぁ、お祖父ちゃんからしたら小さな虫だよね。 でも、私に戦わせて欲しいのよ。 実戦で使ってやるのさ! 火炎をね!)
「むぅ?! クウネルならあの羽虫程度大丈夫か……分かった、しかし無理なら直ぐに爺ちゃんが交代するからの。 ええか、油断するでないぞ!」
「うん! 分かってる。私の魔法見てて」
「ん? 魔法じゃと?」
トールと会話してる間にも、シックスハンドマンティスは鎌を構えてジリジリとクウネルの方に近寄ってくる。 本能でトールに勝てないと分かったのか、まだクウネルを狙って餌にしようと飛び掛かる体制でゆっくり接近する。
(いいぞ、いいぞ! そのまま来い!)
クウネルは確実に射程に入るまで我慢し、誘き寄せる。
「チキチキチキチキ、キシャアァァァ!」
涎を垂らしたシックスハンドマンティスがクウネルに向かって飛び掛かった。
(隙有り! 喉の奥から出す感じー! チリチリ、きたぁ!)
クウネルは口を大きく開け、喉の奥に出現した塊を一気に吹き出す。
「くらぇ! 火炎!! ボァアアアアッ!」
クウネルの口から火炎放射の様な火柱が放たれ、シックスハンドマンティスを包み込んだ。
「ギシャァ?! シャアァァァァ……ァァ!!」
炎に飲み込まれたシックスハンドマンティスは、じたばたと苦しんでいたが程なくして事切れた。
(Win! ひゃっほーい! 一方的に勝ったぜー! ふー!)
クウネルが焼けた魔物の側で喜びの舞を踊っている間、トールは顎が外れそうな程に口を開けて驚いていた。
「えへへー! 勝ったよお祖父ちゃん!」
クウネルの巨人生、2度目の戦闘は呆気なく勝利で幕を閉じた。
(いや、初めての戦闘が飛竜だったのが異常なのよ?)
「クウネル今、口から出した火は何じゃ!? 大丈夫なのか?」
トールが凄まじい剣幕でクウネルの顔を覗き込む。
「ん、ちょっと口の中熱いけど大丈夫。 さっきも言ったけど、魔法の火炎が使えるようになった」
(あれだね、子飛竜が火炎放った後直ぐに追撃して来なかった理由がわかったよ。 口の中があっっっついのよ! 追撃とか無理無理。 頻繁に使ってたら火耐性のLvが上がって、楽になるとは思うんだけどね~)
クウネルが口の中を冷やそうとパタパタしていると、トールが驚いた顔で呟いた。
「な、なんじゃと……あり……えんわい」
トールが小さく呟いた後、その場で尻餅を着き地面が大きく揺れる。
その様子を見たクウネルは首を傾げた。
(え? どしたの、何故にそんなに驚くの。 この世界は魔法が普通に有るんで無いの? お祖父ちゃんから聞いた魔王様も凄腕の魔法使いだったんでしょ?)
「何があり得ないの? お祖父ちゃん」
「さすが儂の孫じゃ。 まさか、魔法が使えない巨人で有りながら使えるようになるとは……」
トールの言葉にクウネルは驚愕する。
(何それ、初耳何ですけど?! 巨人って魔法使えないの?! あ! そういえば、お祖父ちゃんのステータスにも魔法は無しってなってたね。 お父さんやお母さん、村の皆も魔法の所は無しになってた筈だ)
「魔法が使えないって、種族として覚えれないって事?」
「うぅむ、クウネルの賢さなら可能性は有ると思っておったが。 そうじゃ、巨人は総じて知力が低い種族じゃ。 どんなに賢い巨人でも魔法の理を知り魔力を操る事は誰にもできなんだ。 儂の知る限りではの」
トールの言葉にクウネルは飛び跳ねて喜ぶ。
(じゃあ、私が巨人初の魔法使いって事ですか?! まぁ……魔法って言っても火吹けるだけなんだけどね。 でも嬉しいやーん!)
「もしや、クウネルが転生者で有る事にも起因が有るのかもしれんのぅ。 何か思い当たる事は有るのか?」
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「実はね……」
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