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第34話 サプライズと実験へ
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クウネルは鑑定結果に怯え震えたが、悪い意味では無いと必死に自身へと言い聞かせる。
(寵愛だもんね。 愛されてるんだもん、悪いようにはしないよね? 暴食の邪神様、会った事無いけど信じますよ? でも、もしかしたらあの時の声の主かな? 小飛竜に噛み付かれて瀕死の時に心の奥から聞こえたあの声! きっとそうだよね?)
心の中でそれとなく話し掛けるが返事は無い様だ。
(巨神様も、確か私の中にいる力とかって言ってたし。 可能性は高いと思うんだけどな~。 もう一回話しかけたら応えてくれないかな? もしもーし! 暴食の邪神様ー? この間はありがとうございましたー! あと、いつもご飯が美味しいですー!)
再度試みても返事は当然無く、クウネルは食事を続ける。
(まぁ、ですよね。 さて、どうしよう。ステータスの確認も終わったし、ステーキは美味しいし。 もぐもぐもぐもぐ、今日はもう訓練もお休みだしねー)
正直な所、ぐっすり寝ていたのでクウネルの体力は全開だ。 身体が動きたいと疼くが、残念ながら無心で走り回れる様な幼い精神では無い為にそれもできない。
言ってしまうと、休みと言われても暇なのだ。
(んー、でも火炎の練習や消化吸収強化の検証もしたいんだよね。 でも1人で外に行ったら、お父さんやお母さんに心配かけるしなー)
クウネルが悩んでいると、天井が音を立てて開いた。
クウネルは少し身構えたが、トールである事を確認し安堵の溜息を吐く。
「はぁ~……お祖父ちゃんか。 びっくりしたぁ~……」
「む? おぉクウネルすまんすまん、驚かせてしもうたの。 こっちも驚く事が有ったぞ、一度の祈りでロスもエルザも祝福を授けられたんじゃ! 信仰が盛んな頃だったら考えられん事じゃ!」
祖父トールが大興奮で話すが、実際に巨神やバザムに会ったクウネルから考えると至極当然な事だ。
(あはは、多分私の願いが届いたとかじゃなくて、お祖母ちゃんが巨神様に授けるように文句言ったんだと思うな。 巨神様、お祖母ちゃんに頭が上がらない様子だったしね。 そういえば混乱してたから、アスカガルドでは鑑定全然出来なかったなー。お祖母ちゃん、どんだけ強いんだろ。 お祖父ちゃんより強いのかもね)
「ん、そっか。 良かった、お母さんとお父さんは?」
「うむ、うむ! おぉ、2人は本当に供え物が消えたり身体が光ったりして驚いての。 巨神様の存在をようやく信じたのか、まだ儂の家で呆然としとるわい! ぐぁっはぁっはぁ!」
(まぁ、そうなりますよね。 でもこれで、何が有っても何時かはアスカガルドに家族が揃う事になる。 勇者達の事も有るしね。 備えあれば憂いなしってやつだよ! 死ぬつもりも、家族を殺させるつもりも無いけど)
クウネルは自身の拳を握り締め、決意を新たにする。
(あいつらが本格的に動き出す前に、強く大きくならないと! お祖父ちゃんは心配しなくていいって言ってたけど、私も戦える歳になったら皆と戦うんだ! よし! そうと決まれば火炎の特訓だ!)
「お祖父ちゃん、ちょうど良かった。 2人で少し魔の森近くに行きたい」
トールは一瞬難色を示したが、直ぐに笑顔で了承し理由を問う。
「む? まぁ、儂が側に居れば大丈夫かの。 ええぞ、しかしどうしたんじゃ?」
「ん、ありがと。 まだ秘密」
天井から伸びたトールの手に乗り、魔の森近くへと移動する。 足音が響き渡り、両親が飛んで来ないかとクウネルは怯えたが今の所は大丈夫の様だ。 まだ祖父の家で放心しているのだろう。
村の中を歩いていると、クウネルを良く知っている近所の年配の女性が話し掛けてきた。 当然ながら、筋骨隆々で両手斧を軽々と担いでいるヴァイキングな容姿の巨人である。
この村に、か弱い住人等は一人も居ないのだ。
「あらまっ! 族長にクウネルちゃんじゃないか! もう外に出て大丈夫なのかい?」
「あ、おばちゃん。 うん、もう平気だよ」
「そうかぃ、良かったよぉ! 本当に大変な思いしたねぇ~、でもその歳で飛竜を倒したんだって? すごいじゃないかぁ!」
クウネルは大分狭くなったトールの肩で照れながら悶える。
(え~、何々めちゃくちゃ心配してくれて褒めてくれるやん。 も~やめてよー、照れるやん)
「えへへ~、ありがとう」
「他の皆もクウネルちゃんが元気になったって知ったら喜ぶわよー。 よし、おばちゃんが皆に教えてくるわ! またねクウネルちゃーん」
「ん、ばいばい」
別れを告げた年配の女性巨人は、家々の壁を揺らしながら走って行った。
(元気だねー。 本当にこの村の皆はパワフルだ。 巨人は皆こんな感じなのかな? 私の知ってる巨人はこの村とアスカガルドの巨人達と~……後は誕生会に来てくれた戦士団長さんかな?)
トールの肩で足をパタパタしながら考えていると、嬉しそうにトールが笑い始めた。
「ぐぁっはぁっはぁ! 良かったのぉ、クウネルや」
「ん、皆優しい。 無事に村に帰って来れて良かった」
「実は……クウネルが寝てる間にの、王都の鍛冶屋にクウネルが狩った飛竜の素材を持って行って来たんじゃ。 これで、誕生日にはクウネルの初めての鎧が出来る筈じゃ。 楽しみにしておれ!」
(えー何そのサプライズ! 超嬉しいじゃーん!)
「ありがとう、お祖父ちゃん。 凄く嬉しい」
「ぐぁっはぁっはぁ! 喜んでもらえたなら、良かったわぃ! 鍛冶屋のヤツも驚いておったぞぉ、2歳にもなってない孫が飛竜を狩ったんじゃ。偉業と言ってええじゃろう」
(くはー、もうやめてよ。恥ずかしい。 それに、後もう少しで2歳だし。 精神は19歳になるんだよ?)
トールの肩から遠い景色を見渡し、クウネルは想いに耽る。
(この世界は気になる事が沢山あるな~。 不安要素は有るけど何時かは色々見て周りたいな……アスカガルドの皆にたくさん土産話を作っておかなきゃ)
「クウネルや、着いたぞ」
(あ、考え事してる間に着いちゃった。 さてさて、火炎の練習するかね。 お祖父ちゃんを驚かせてやろう。 いっしっしっし!)
(寵愛だもんね。 愛されてるんだもん、悪いようにはしないよね? 暴食の邪神様、会った事無いけど信じますよ? でも、もしかしたらあの時の声の主かな? 小飛竜に噛み付かれて瀕死の時に心の奥から聞こえたあの声! きっとそうだよね?)
心の中でそれとなく話し掛けるが返事は無い様だ。
(巨神様も、確か私の中にいる力とかって言ってたし。 可能性は高いと思うんだけどな~。 もう一回話しかけたら応えてくれないかな? もしもーし! 暴食の邪神様ー? この間はありがとうございましたー! あと、いつもご飯が美味しいですー!)
再度試みても返事は当然無く、クウネルは食事を続ける。
(まぁ、ですよね。 さて、どうしよう。ステータスの確認も終わったし、ステーキは美味しいし。 もぐもぐもぐもぐ、今日はもう訓練もお休みだしねー)
正直な所、ぐっすり寝ていたのでクウネルの体力は全開だ。 身体が動きたいと疼くが、残念ながら無心で走り回れる様な幼い精神では無い為にそれもできない。
言ってしまうと、休みと言われても暇なのだ。
(んー、でも火炎の練習や消化吸収強化の検証もしたいんだよね。 でも1人で外に行ったら、お父さんやお母さんに心配かけるしなー)
クウネルが悩んでいると、天井が音を立てて開いた。
クウネルは少し身構えたが、トールである事を確認し安堵の溜息を吐く。
「はぁ~……お祖父ちゃんか。 びっくりしたぁ~……」
「む? おぉクウネルすまんすまん、驚かせてしもうたの。 こっちも驚く事が有ったぞ、一度の祈りでロスもエルザも祝福を授けられたんじゃ! 信仰が盛んな頃だったら考えられん事じゃ!」
祖父トールが大興奮で話すが、実際に巨神やバザムに会ったクウネルから考えると至極当然な事だ。
(あはは、多分私の願いが届いたとかじゃなくて、お祖母ちゃんが巨神様に授けるように文句言ったんだと思うな。 巨神様、お祖母ちゃんに頭が上がらない様子だったしね。 そういえば混乱してたから、アスカガルドでは鑑定全然出来なかったなー。お祖母ちゃん、どんだけ強いんだろ。 お祖父ちゃんより強いのかもね)
「ん、そっか。 良かった、お母さんとお父さんは?」
「うむ、うむ! おぉ、2人は本当に供え物が消えたり身体が光ったりして驚いての。 巨神様の存在をようやく信じたのか、まだ儂の家で呆然としとるわい! ぐぁっはぁっはぁ!」
(まぁ、そうなりますよね。 でもこれで、何が有っても何時かはアスカガルドに家族が揃う事になる。 勇者達の事も有るしね。 備えあれば憂いなしってやつだよ! 死ぬつもりも、家族を殺させるつもりも無いけど)
クウネルは自身の拳を握り締め、決意を新たにする。
(あいつらが本格的に動き出す前に、強く大きくならないと! お祖父ちゃんは心配しなくていいって言ってたけど、私も戦える歳になったら皆と戦うんだ! よし! そうと決まれば火炎の特訓だ!)
「お祖父ちゃん、ちょうど良かった。 2人で少し魔の森近くに行きたい」
トールは一瞬難色を示したが、直ぐに笑顔で了承し理由を問う。
「む? まぁ、儂が側に居れば大丈夫かの。 ええぞ、しかしどうしたんじゃ?」
「ん、ありがと。 まだ秘密」
天井から伸びたトールの手に乗り、魔の森近くへと移動する。 足音が響き渡り、両親が飛んで来ないかとクウネルは怯えたが今の所は大丈夫の様だ。 まだ祖父の家で放心しているのだろう。
村の中を歩いていると、クウネルを良く知っている近所の年配の女性が話し掛けてきた。 当然ながら、筋骨隆々で両手斧を軽々と担いでいるヴァイキングな容姿の巨人である。
この村に、か弱い住人等は一人も居ないのだ。
「あらまっ! 族長にクウネルちゃんじゃないか! もう外に出て大丈夫なのかい?」
「あ、おばちゃん。 うん、もう平気だよ」
「そうかぃ、良かったよぉ! 本当に大変な思いしたねぇ~、でもその歳で飛竜を倒したんだって? すごいじゃないかぁ!」
クウネルは大分狭くなったトールの肩で照れながら悶える。
(え~、何々めちゃくちゃ心配してくれて褒めてくれるやん。 も~やめてよー、照れるやん)
「えへへ~、ありがとう」
「他の皆もクウネルちゃんが元気になったって知ったら喜ぶわよー。 よし、おばちゃんが皆に教えてくるわ! またねクウネルちゃーん」
「ん、ばいばい」
別れを告げた年配の女性巨人は、家々の壁を揺らしながら走って行った。
(元気だねー。 本当にこの村の皆はパワフルだ。 巨人は皆こんな感じなのかな? 私の知ってる巨人はこの村とアスカガルドの巨人達と~……後は誕生会に来てくれた戦士団長さんかな?)
トールの肩で足をパタパタしながら考えていると、嬉しそうにトールが笑い始めた。
「ぐぁっはぁっはぁ! 良かったのぉ、クウネルや」
「ん、皆優しい。 無事に村に帰って来れて良かった」
「実は……クウネルが寝てる間にの、王都の鍛冶屋にクウネルが狩った飛竜の素材を持って行って来たんじゃ。 これで、誕生日にはクウネルの初めての鎧が出来る筈じゃ。 楽しみにしておれ!」
(えー何そのサプライズ! 超嬉しいじゃーん!)
「ありがとう、お祖父ちゃん。 凄く嬉しい」
「ぐぁっはぁっはぁ! 喜んでもらえたなら、良かったわぃ! 鍛冶屋のヤツも驚いておったぞぉ、2歳にもなってない孫が飛竜を狩ったんじゃ。偉業と言ってええじゃろう」
(くはー、もうやめてよ。恥ずかしい。 それに、後もう少しで2歳だし。 精神は19歳になるんだよ?)
トールの肩から遠い景色を見渡し、クウネルは想いに耽る。
(この世界は気になる事が沢山あるな~。 不安要素は有るけど何時かは色々見て周りたいな……アスカガルドの皆にたくさん土産話を作っておかなきゃ)
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