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第59話 初めての友
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「ミノ美味しい! 飛竜の胃美味しいっ! モチャ モチャ モチャ モチャ」
クウネルは最初の一口を飲み込んでからも胃壁に齧り付いていた。
「クゥン? おーい、先程は何と言ったのだ?」
「うるさい! 今味わってるの!」
クウネルが威嚇すると、フォレストウルフキングは少し寂しげに黙った。
「ふんっ! 人の食事を邪魔するとはふてぇやろうだ! あれ? そういえば、何でミノ食べてるんだっけ?」
クウネルの言葉にフォレストウルフキングは何か言いたげだが、様子を見ている。
「まぁ、いいや。 もう一口! ガブゥゥゥッ! ミチミチ……ブチッ! モチャモチャ」
胃壁に大きな穴が空いてきた頃、ようやく異変に気づいたのか飛竜の身体が激しく揺れた。
「わわ! 揺れる揺れる! 危ないなー、喉に詰まらせたらどうするの! あ、そうだ。 この飛竜喰い殺すから、とらないでね?」
血まみれの口で笑うクウネルを見て、野生の獣である筈のフォレストウルフキングがドン引きしていた。 それ程までにクウネルの顔は恐ろしい事になっているのだ。
「クゥンっ!? いや、うん、まぁ、そうかい。 飛竜の胃を躊躇無く喰い千切るのだから、本気なんだね」
フォレストウルフキングの返答にクウネルは微笑む。
「うん。 だから、此処で待っててね」
「グルル? なぜだい?」
互いに首を傾げる。
「え? ……奥さんに会いたくないの? まさか、奥さんとは不仲なの? いや、旦那さん助けたらウルフクイーンさん見逃してくれないかな? って思ったのもあるんだけどね」
「クゥン……君は不思議な魔物だね。 私の友のように優しいようだ。 なら、これを持って行きたまえ。 飛竜の心臓迄行く道を切り開いてくれるだろう」
フォレストウルフキングは上半身を起こし、何かの準備を始めた。
「何々、何かくれるの? でも、何も持って無くない? 嘘なん? 嘘なら喰うよ? いい?」
「グガァッ! ふふ、もう1度妻に会えるなら……この残った足等惜しくは無いよ!! ガァァァ!!」
フォレストウルフキングの口から風の刃が飛び出し、残っていた無事な足を斬り落とした。
「ちょっと!? 何やってんの? 馬鹿なの? 死ぬの?」
「グゥ! 私の足の爪なら、飛竜の骨や皮膜を破れるだろう。 さぁ、頼んだよ。 不思議な友よ」
「何か友認定されてる!? 巨人生の初友、森狼王さんなの? でも、ここまでされたら良いよね。 えへへ、友達かぁ~。 前世でも居なかったな。 何だかんだ言って、嬉しいもんだね。 覚えときな友よ! 私みたいな奴は、優しくされたら懐くからね!」
クウネルは小さな声で早口で呟いた。 そして、嬉しそうな顔でフォレストウルフキングと約束をする。
「私の初めての友達だから、死んだら許さないからね。 約束!」
「グルルルル……はっはっはっ、約束しよう友よ。 だが、あまり遅いと分からぬぞ? はっはっはっ!!」
「やれやれ、私の初めての友達はせっかちだね。 仕方ない、行くかー」
友の足を拾い、クウネルは喰い千切った胃の穴に向かって飛び込んだ。
◆◇◆
あれから暫く肉壁を喰い進んだが、目的地には到着していない。
「うーん、絶品絶品! ここは、ハラミかな? 結構進んだけどまだ心臓は見えないな~」
仕方なくクウネルは、ハラミを食い千切りモチャモチャと咀嚼する。 またもや、飛竜の身体が激しく揺れるがもう馴れた物だ。 クウネルは気にせずに齧り付く。
「んぐ、ゴクンッ! おーおー、暴れてるね~。どうだい? 身体の中を喰い千切られる痛みは! 私を飲み込んだのが運の尽きだったね!」
今のところは、友の足の出番は無い。 もし、これが美味しい魔物の足だったら既に完食してしまっていただろう。
「ふっ、命拾いしたね。友の足よ! さて、冗談は此処までにして急ぐか」
食い進んだ下の方にある気配が少し弱まってきているのが分かる。 フォレストウルフキングの限界が近いのだろう。
「急がないと、急がないとまた大切な………いっ?! あー、頭痛い。 そういえば、ステータスの確認して無かったな。 でも、今はそんな状況じゃない」
クウネルは手に持つ友の足で肉や骨を斬り裂く。 そして、上へと急いで向かう。
「もう、自分のせいで……せいで? 家族が死んだのは、殺されたのは、私のせいなの? 違う、違う違う! いっ?! 頭が割れそうだ…… 考えるのは止めとこう。 とにかく、心臓に急がないと!」
全身を血まみれになりながら、クウネルは進む。
初めての友を救う為に。
クウネルは最初の一口を飲み込んでからも胃壁に齧り付いていた。
「クゥン? おーい、先程は何と言ったのだ?」
「うるさい! 今味わってるの!」
クウネルが威嚇すると、フォレストウルフキングは少し寂しげに黙った。
「ふんっ! 人の食事を邪魔するとはふてぇやろうだ! あれ? そういえば、何でミノ食べてるんだっけ?」
クウネルの言葉にフォレストウルフキングは何か言いたげだが、様子を見ている。
「まぁ、いいや。 もう一口! ガブゥゥゥッ! ミチミチ……ブチッ! モチャモチャ」
胃壁に大きな穴が空いてきた頃、ようやく異変に気づいたのか飛竜の身体が激しく揺れた。
「わわ! 揺れる揺れる! 危ないなー、喉に詰まらせたらどうするの! あ、そうだ。 この飛竜喰い殺すから、とらないでね?」
血まみれの口で笑うクウネルを見て、野生の獣である筈のフォレストウルフキングがドン引きしていた。 それ程までにクウネルの顔は恐ろしい事になっているのだ。
「クゥンっ!? いや、うん、まぁ、そうかい。 飛竜の胃を躊躇無く喰い千切るのだから、本気なんだね」
フォレストウルフキングの返答にクウネルは微笑む。
「うん。 だから、此処で待っててね」
「グルル? なぜだい?」
互いに首を傾げる。
「え? ……奥さんに会いたくないの? まさか、奥さんとは不仲なの? いや、旦那さん助けたらウルフクイーンさん見逃してくれないかな? って思ったのもあるんだけどね」
「クゥン……君は不思議な魔物だね。 私の友のように優しいようだ。 なら、これを持って行きたまえ。 飛竜の心臓迄行く道を切り開いてくれるだろう」
フォレストウルフキングは上半身を起こし、何かの準備を始めた。
「何々、何かくれるの? でも、何も持って無くない? 嘘なん? 嘘なら喰うよ? いい?」
「グガァッ! ふふ、もう1度妻に会えるなら……この残った足等惜しくは無いよ!! ガァァァ!!」
フォレストウルフキングの口から風の刃が飛び出し、残っていた無事な足を斬り落とした。
「ちょっと!? 何やってんの? 馬鹿なの? 死ぬの?」
「グゥ! 私の足の爪なら、飛竜の骨や皮膜を破れるだろう。 さぁ、頼んだよ。 不思議な友よ」
「何か友認定されてる!? 巨人生の初友、森狼王さんなの? でも、ここまでされたら良いよね。 えへへ、友達かぁ~。 前世でも居なかったな。 何だかんだ言って、嬉しいもんだね。 覚えときな友よ! 私みたいな奴は、優しくされたら懐くからね!」
クウネルは小さな声で早口で呟いた。 そして、嬉しそうな顔でフォレストウルフキングと約束をする。
「私の初めての友達だから、死んだら許さないからね。 約束!」
「グルルルル……はっはっはっ、約束しよう友よ。 だが、あまり遅いと分からぬぞ? はっはっはっ!!」
「やれやれ、私の初めての友達はせっかちだね。 仕方ない、行くかー」
友の足を拾い、クウネルは喰い千切った胃の穴に向かって飛び込んだ。
◆◇◆
あれから暫く肉壁を喰い進んだが、目的地には到着していない。
「うーん、絶品絶品! ここは、ハラミかな? 結構進んだけどまだ心臓は見えないな~」
仕方なくクウネルは、ハラミを食い千切りモチャモチャと咀嚼する。 またもや、飛竜の身体が激しく揺れるがもう馴れた物だ。 クウネルは気にせずに齧り付く。
「んぐ、ゴクンッ! おーおー、暴れてるね~。どうだい? 身体の中を喰い千切られる痛みは! 私を飲み込んだのが運の尽きだったね!」
今のところは、友の足の出番は無い。 もし、これが美味しい魔物の足だったら既に完食してしまっていただろう。
「ふっ、命拾いしたね。友の足よ! さて、冗談は此処までにして急ぐか」
食い進んだ下の方にある気配が少し弱まってきているのが分かる。 フォレストウルフキングの限界が近いのだろう。
「急がないと、急がないとまた大切な………いっ?! あー、頭痛い。 そういえば、ステータスの確認して無かったな。 でも、今はそんな状況じゃない」
クウネルは手に持つ友の足で肉や骨を斬り裂く。 そして、上へと急いで向かう。
「もう、自分のせいで……せいで? 家族が死んだのは、殺されたのは、私のせいなの? 違う、違う違う! いっ?! 頭が割れそうだ…… 考えるのは止めとこう。 とにかく、心臓に急がないと!」
全身を血まみれになりながら、クウネルは進む。
初めての友を救う為に。
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