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第85話 竜神帝国の退屈巫皇帝様
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どうしてこんな事になったのでしょう。
美味しいご馳走や、楽な暮らしが出来ると聞いて初対面の年配の竜人を信じたのが間違いだったのでしょうか。
ここは、竜神帝国。
帝国等と言っても名前だけ。
大昔の大戦だとかで衰退し、怯えて大きな池の中に建造した臆病者の国。
堅牢な筈の、黒檀で出来た壁や床は、ただただ冷たく感じる。
特に竜人には長い尻尾があるため、尚更冷たい。
元々、竜神帝国とは関係の無い沼で暮らしていた私にある日突如として現れた年配の竜人は言った。
「お主には、竜神様にお仕えする巫女の力が有る。 私の言う事を聞けば、毎日裕福な暮らしを約束しよう」
阿呆な私は、2つ返事で了承してしまったのです。
私に巫皇帝になる力何て、有る筈が無いのに。
そもそも、竜神って実在したの?
はぁ……私を巫皇帝と信じた竜人達に崇められて早数年、既にこの生活には飽き飽きしてしまいましたの。 巫皇帝は、竜神からの御告げを聞きそれを民達に教え導く存在。
でも、私が何かを言って導いた事等一度も無い。 全ては大臣を名乗る、年配の竜人ドルが決め帝国を好きに操ってるのが現実。
あ~……退屈。
私が今居るのは、皇帝の間と呼ばれる無駄に広い部屋。 其処には、黒檀で出来たテーブルに多くの椅子が並んでる。
その椅子には将軍達や文官達が座り、先日行われた討伐任務の報告会議をしているが……私は広間の奥に有る暖簾に隠され、それをただ聞いてるだけ。
退屈、退屈……ドルがまるで皇帝の様に報告を聞いているのに、誰もそれを異常だと思わない。
阿呆は私だけでは無いのだろう。
じゃないと、亜人の英雄トール殿を討伐するのが竜神様からの御告げだと言われてすんなり信じる筈がない。
少し考えたら、わかるだろうに。
「ふわわぁ~……ふぁ」
「おい、ピエル! 私にしか聞こえないとは云え、欠伸等するでないわ。 其処に居るしか無い、アルビノの無能めが」
はいはい、スミマセンネ。
先程、私に文句を垂れてきたのが大臣ドルだ。 茶色の皮膚に茶色の鱗、無駄に豪華な布で出来た服を身に纏っている。
私が着ている巫皇帝の羽衣よりも上等な布使ってるよね? この糞爺め。 後、アルビノって呼ばないでよ糞爺。
何故私がそう呼ばれるか。 竜人は通常皮膚の色や鱗の色が茶色や緑、紫で生まれるのが普通だが、何故か私は真っ白なアルビノで生まれた。
そのせいで両親からは捨てられ、迫害されて1人沼で暮らしていたの。
それが……ふふ。私が巫皇帝になると、とたんに手のひらを返して真っ白な皮膚を帝国の民達は褒め称えた。 本当に……阿呆ばかり。
あ、私が自ら命令した仕事……1つだけ有ったわ。
巫皇帝になってからすり寄ってきた両親を処刑させたのよ。 あれは、我ながら良い仕事だったと思う。
「我等が巫皇帝陛下、以上がこの度の討伐任務戦果報告でございます」
私にと言っても暖簾の前だけど、将軍が跪き何やら言っている。 そんな報告なんか聞いてる訳無いじゃない。
「ボソボソ……」
「えぇ、えぇ、はい。 畏まりました、全ては竜神様と巫皇帝様の御心のままに」
これが、私の仕事よ。
将軍や文官達に何かを言われたら、さも何か御告げがあるかのように大臣ドルに向かって本当にボソボソと言うだけ。
楽な仕事よ? でも、退屈。 すっごく退屈。
「将軍よ! 竜神様より、お褒めのお言葉が有ったぞ!! 悪しき巨人トール討伐に参加し、戦死した者達も生き残った者達も全て死後は竜神様の元へと逝き永遠に鍛練の日々を過ごせるであろうとな!」
「「「「「「「は、ははー!」」」」」」」
将軍や、共に跪いていた兵士達が感動の涙を流してるけど意味がわからない。 え? 本当に頭沸いてる?
何よ、死後も永遠に鍛練出来るって。 それ地獄じゃん。 何で、文官達は悔しそうなの?
はぁー、でも終わった終わった。 早く自室に戻って休もう。
「よし、ピエル。 もう自室に戻っていいぞ、次に呼ぶまで部屋から出ぬように」
はいはい、ワカリマシタヨ。
皇帝の間から将軍達や文官達が退出したのを確認し、侍女達を引き連れ自室へと向かう。
私の自室の前で警備を務める兵士の2人が、私に気付かず雑談をしていた。
立派な黒檀の鎧を装備して、黒檀の槍を掲げてる強そうな兵士だが……その顔は阿呆その物だ。 だが、何か暇潰しになるかもと私は聞き耳を立てた。
「聞いたか、戦場に現れたアイドルの話を」
「あぁ、聞いたよ。 煌びやかな光に、不思議な歌。 更に美しい舞踏だろ? しかも、それを歌い踊るのが人間の少女らしい。 俺も見てみたかったなー」
「部隊長の1人が、そのライブっていうのが終わった後に笑顔で握手してもらったそうだ」
「マジで!? いいな~、ヒカリ様かぁ。 良い名前だ、正直な話……会えない竜神様より会えるヒカリ様推しじゃね?」
「それな」
「次の休憩で、ヒカリ様の話聞きに行こうぜ!」
「いいな、そうしよう」
ふーん、面白そうな話してるじゃない。
「巫皇帝陛下、御無礼をお許しを! おい、貴様ら! 巫皇帝様の御前ぞ!」
通りかかった侍女長が雑談していた兵士2人を叱責する。
「いいのよ。 其処の2人、少し部屋で話を聞かせて」
「「は……ははっ!」」
「巫皇帝様!? よろしいのですか……?」
この侍女長は、私が唯一信頼できる竜人。 大臣ドルを毛嫌いしている良い竜人よ。
「よい、大臣ドルには内密にするように」
「……は!」
ふふ、退屈しのぎが出来そう。
ヒカリ様ね……。
竜神帝国からオリジン初のアイドル、ヒカリの伝説が今始まろうとしている。
美味しいご馳走や、楽な暮らしが出来ると聞いて初対面の年配の竜人を信じたのが間違いだったのでしょうか。
ここは、竜神帝国。
帝国等と言っても名前だけ。
大昔の大戦だとかで衰退し、怯えて大きな池の中に建造した臆病者の国。
堅牢な筈の、黒檀で出来た壁や床は、ただただ冷たく感じる。
特に竜人には長い尻尾があるため、尚更冷たい。
元々、竜神帝国とは関係の無い沼で暮らしていた私にある日突如として現れた年配の竜人は言った。
「お主には、竜神様にお仕えする巫女の力が有る。 私の言う事を聞けば、毎日裕福な暮らしを約束しよう」
阿呆な私は、2つ返事で了承してしまったのです。
私に巫皇帝になる力何て、有る筈が無いのに。
そもそも、竜神って実在したの?
はぁ……私を巫皇帝と信じた竜人達に崇められて早数年、既にこの生活には飽き飽きしてしまいましたの。 巫皇帝は、竜神からの御告げを聞きそれを民達に教え導く存在。
でも、私が何かを言って導いた事等一度も無い。 全ては大臣を名乗る、年配の竜人ドルが決め帝国を好きに操ってるのが現実。
あ~……退屈。
私が今居るのは、皇帝の間と呼ばれる無駄に広い部屋。 其処には、黒檀で出来たテーブルに多くの椅子が並んでる。
その椅子には将軍達や文官達が座り、先日行われた討伐任務の報告会議をしているが……私は広間の奥に有る暖簾に隠され、それをただ聞いてるだけ。
退屈、退屈……ドルがまるで皇帝の様に報告を聞いているのに、誰もそれを異常だと思わない。
阿呆は私だけでは無いのだろう。
じゃないと、亜人の英雄トール殿を討伐するのが竜神様からの御告げだと言われてすんなり信じる筈がない。
少し考えたら、わかるだろうに。
「ふわわぁ~……ふぁ」
「おい、ピエル! 私にしか聞こえないとは云え、欠伸等するでないわ。 其処に居るしか無い、アルビノの無能めが」
はいはい、スミマセンネ。
先程、私に文句を垂れてきたのが大臣ドルだ。 茶色の皮膚に茶色の鱗、無駄に豪華な布で出来た服を身に纏っている。
私が着ている巫皇帝の羽衣よりも上等な布使ってるよね? この糞爺め。 後、アルビノって呼ばないでよ糞爺。
何故私がそう呼ばれるか。 竜人は通常皮膚の色や鱗の色が茶色や緑、紫で生まれるのが普通だが、何故か私は真っ白なアルビノで生まれた。
そのせいで両親からは捨てられ、迫害されて1人沼で暮らしていたの。
それが……ふふ。私が巫皇帝になると、とたんに手のひらを返して真っ白な皮膚を帝国の民達は褒め称えた。 本当に……阿呆ばかり。
あ、私が自ら命令した仕事……1つだけ有ったわ。
巫皇帝になってからすり寄ってきた両親を処刑させたのよ。 あれは、我ながら良い仕事だったと思う。
「我等が巫皇帝陛下、以上がこの度の討伐任務戦果報告でございます」
私にと言っても暖簾の前だけど、将軍が跪き何やら言っている。 そんな報告なんか聞いてる訳無いじゃない。
「ボソボソ……」
「えぇ、えぇ、はい。 畏まりました、全ては竜神様と巫皇帝様の御心のままに」
これが、私の仕事よ。
将軍や文官達に何かを言われたら、さも何か御告げがあるかのように大臣ドルに向かって本当にボソボソと言うだけ。
楽な仕事よ? でも、退屈。 すっごく退屈。
「将軍よ! 竜神様より、お褒めのお言葉が有ったぞ!! 悪しき巨人トール討伐に参加し、戦死した者達も生き残った者達も全て死後は竜神様の元へと逝き永遠に鍛練の日々を過ごせるであろうとな!」
「「「「「「「は、ははー!」」」」」」」
将軍や、共に跪いていた兵士達が感動の涙を流してるけど意味がわからない。 え? 本当に頭沸いてる?
何よ、死後も永遠に鍛練出来るって。 それ地獄じゃん。 何で、文官達は悔しそうなの?
はぁー、でも終わった終わった。 早く自室に戻って休もう。
「よし、ピエル。 もう自室に戻っていいぞ、次に呼ぶまで部屋から出ぬように」
はいはい、ワカリマシタヨ。
皇帝の間から将軍達や文官達が退出したのを確認し、侍女達を引き連れ自室へと向かう。
私の自室の前で警備を務める兵士の2人が、私に気付かず雑談をしていた。
立派な黒檀の鎧を装備して、黒檀の槍を掲げてる強そうな兵士だが……その顔は阿呆その物だ。 だが、何か暇潰しになるかもと私は聞き耳を立てた。
「聞いたか、戦場に現れたアイドルの話を」
「あぁ、聞いたよ。 煌びやかな光に、不思議な歌。 更に美しい舞踏だろ? しかも、それを歌い踊るのが人間の少女らしい。 俺も見てみたかったなー」
「部隊長の1人が、そのライブっていうのが終わった後に笑顔で握手してもらったそうだ」
「マジで!? いいな~、ヒカリ様かぁ。 良い名前だ、正直な話……会えない竜神様より会えるヒカリ様推しじゃね?」
「それな」
「次の休憩で、ヒカリ様の話聞きに行こうぜ!」
「いいな、そうしよう」
ふーん、面白そうな話してるじゃない。
「巫皇帝陛下、御無礼をお許しを! おい、貴様ら! 巫皇帝様の御前ぞ!」
通りかかった侍女長が雑談していた兵士2人を叱責する。
「いいのよ。 其処の2人、少し部屋で話を聞かせて」
「「は……ははっ!」」
「巫皇帝様!? よろしいのですか……?」
この侍女長は、私が唯一信頼できる竜人。 大臣ドルを毛嫌いしている良い竜人よ。
「よい、大臣ドルには内密にするように」
「……は!」
ふふ、退屈しのぎが出来そう。
ヒカリ様ね……。
竜神帝国からオリジン初のアイドル、ヒカリの伝説が今始まろうとしている。
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