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第112話 ゴブリン弓兵長の戦い
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時間を遡り、クウネルがゴブリン王国に到着する前。
ゴブリン王国の城壁上では門を守る為に、多くのゴブリン弓兵達が奮闘していた。
◆◇◆
平和だった筈の俺の王国は、現在夥しい数の魔物達に囲まれ滅亡の一途を辿っている。
「ガァッ! 其処のお前! 何度言ったら分かる! 城壁から身を乗り出しすぎるな、スライムとジャイアントアントの溶解液で死ぬぞ!」
部下達に檄を飛ばしながらも矢を射続けるが、本当に数が減っているのかどうかも怪しいな。
「ギガ! 弓兵長! 弓兵の損耗が既に3割を超えております。 突破されるのも時間の問題かと」
ちっ、そろそろ本当にヤバいな。
魔物共は城門に殺到しているが、もし守りきれずに突破されれば一瞬で王国内は地獄だぞ。
「ギギ、分かった。 暫し此処は頼む、俺は将軍に報告して来る」
「ギガガギ! はっ!」
俺は部下に任せて城の前に有る広場へと走る。
広場には多くの下級兵と、精鋭であるインペリアル近衛兵まで城から出て待機していた。
……いよいよって感じだな。
広場の中央には我等が最強の将軍ギドが、下級兵達に指示を飛ばしている所だった。
「ギゲァッ! おい、其処のお前! 裏門に増援を送れ! 正門は我等が守る!」
「キガァッ! 了解です! 将軍、ご武運を!」
鉄の質素な鎧を着た小柄な兵士が返答し、他の兵士達と共に走っていくのを俺は遠目で見送る。
「ギガガガ! お前もな!」
将軍ギドが笑っているが、その胸中は曇っているのが俺には分かった。 この後の俺の報告で更に曇らせる事になるだろう。
だが、報告しない訳には行かない。
「ギゲァ! ギド将軍、正門の弓兵の消耗が想定より早いです!」
案の定、ギド将軍の顔が歪む。 それと同時に、表情に死地に赴く覚悟も窺えた。
深呼吸した将軍が、待機していたインペリアル近衛兵達に激を飛ばす。
「ギガァァァ! よし、我が出よう! インペリアル近衛兵! 我に続けえっ!」
鉄の盾と槍を掲げ味方を鼓舞する将軍の背中には、死地に赴く者特有の雰囲気を俺は感じ取った。 文字通り死ぬ気なのだろう。
「ギガァ! 民の為に! 王の為に!」
「「「「ギガァッ! 民の為に! 王の為にぃぃぃ!」」」」
我が王国が誇る精鋭、インペリアル近衛兵達。 これから死地に赴くというのに、誰1人として怯えは感じられない。
一介の弓兵長の俺なんかとは、実力も覚悟も違うな。
だが、城壁外での白兵戦がどれだけ無謀かは一目瞭然だ。 正門を守る弓兵数百に対して、魔物達は数千なんだぞ!? 向こう側の門を攻める魔物達を入れたら万は超えているだろう。
インペリアル近衛兵達の数は200体。 精鋭である事を考えれば多いが、今は少なすぎる。
これじゃ、ただの時間稼ぎじゃないか! 滅亡迄の時間を伸ばすだけで何の解決にもならないのは将軍なら分かりきってるだろうに……いや、単純に他に手が無いのか。
「ギギガァ、出るぞ! 正門を開けよ!」
鉄の門が重く悲鳴を上げながら開いた。
門より外には、シックスハンドマンティス達が蠢く姿が見ええる。 全く、何でこんなに色んな魔物達が集まって攻めて来やがるんだ!?
「ギゲァ! ご武運を、将軍」
正門を守る兵士達が、まるで道の様に左右に別れて敬意を示していた。
城門周辺を守る兵士達はその実力の低さから下級兵士と呼ばれる階級の兵士達だ。
もし、将軍やインペリアル近衛兵達の覚悟を目の当たりにしてなければ直ぐにパニックを起こしていた事だろう。
しかし、今は全員に怯えは無い。
将軍達が死んで城門が突破されても死守するつもりなんだろうな。
「ギガァ! 後は頼む! ゴブリン王国と、その民の為に! 突撃ぃぃぃぃ!」
将軍ギドとインペリアル近衛隊は迷うこと無く、盾を構え槍を突きだし、敵へと突撃して行った。
やれやれ、俺も城壁に戻って仕事をしますか。
どうかご武運を……将軍。
ゴブリン王国の城壁上では門を守る為に、多くのゴブリン弓兵達が奮闘していた。
◆◇◆
平和だった筈の俺の王国は、現在夥しい数の魔物達に囲まれ滅亡の一途を辿っている。
「ガァッ! 其処のお前! 何度言ったら分かる! 城壁から身を乗り出しすぎるな、スライムとジャイアントアントの溶解液で死ぬぞ!」
部下達に檄を飛ばしながらも矢を射続けるが、本当に数が減っているのかどうかも怪しいな。
「ギガ! 弓兵長! 弓兵の損耗が既に3割を超えております。 突破されるのも時間の問題かと」
ちっ、そろそろ本当にヤバいな。
魔物共は城門に殺到しているが、もし守りきれずに突破されれば一瞬で王国内は地獄だぞ。
「ギギ、分かった。 暫し此処は頼む、俺は将軍に報告して来る」
「ギガガギ! はっ!」
俺は部下に任せて城の前に有る広場へと走る。
広場には多くの下級兵と、精鋭であるインペリアル近衛兵まで城から出て待機していた。
……いよいよって感じだな。
広場の中央には我等が最強の将軍ギドが、下級兵達に指示を飛ばしている所だった。
「ギゲァッ! おい、其処のお前! 裏門に増援を送れ! 正門は我等が守る!」
「キガァッ! 了解です! 将軍、ご武運を!」
鉄の質素な鎧を着た小柄な兵士が返答し、他の兵士達と共に走っていくのを俺は遠目で見送る。
「ギガガガ! お前もな!」
将軍ギドが笑っているが、その胸中は曇っているのが俺には分かった。 この後の俺の報告で更に曇らせる事になるだろう。
だが、報告しない訳には行かない。
「ギゲァ! ギド将軍、正門の弓兵の消耗が想定より早いです!」
案の定、ギド将軍の顔が歪む。 それと同時に、表情に死地に赴く覚悟も窺えた。
深呼吸した将軍が、待機していたインペリアル近衛兵達に激を飛ばす。
「ギガァァァ! よし、我が出よう! インペリアル近衛兵! 我に続けえっ!」
鉄の盾と槍を掲げ味方を鼓舞する将軍の背中には、死地に赴く者特有の雰囲気を俺は感じ取った。 文字通り死ぬ気なのだろう。
「ギガァ! 民の為に! 王の為に!」
「「「「ギガァッ! 民の為に! 王の為にぃぃぃ!」」」」
我が王国が誇る精鋭、インペリアル近衛兵達。 これから死地に赴くというのに、誰1人として怯えは感じられない。
一介の弓兵長の俺なんかとは、実力も覚悟も違うな。
だが、城壁外での白兵戦がどれだけ無謀かは一目瞭然だ。 正門を守る弓兵数百に対して、魔物達は数千なんだぞ!? 向こう側の門を攻める魔物達を入れたら万は超えているだろう。
インペリアル近衛兵達の数は200体。 精鋭である事を考えれば多いが、今は少なすぎる。
これじゃ、ただの時間稼ぎじゃないか! 滅亡迄の時間を伸ばすだけで何の解決にもならないのは将軍なら分かりきってるだろうに……いや、単純に他に手が無いのか。
「ギギガァ、出るぞ! 正門を開けよ!」
鉄の門が重く悲鳴を上げながら開いた。
門より外には、シックスハンドマンティス達が蠢く姿が見ええる。 全く、何でこんなに色んな魔物達が集まって攻めて来やがるんだ!?
「ギゲァ! ご武運を、将軍」
正門を守る兵士達が、まるで道の様に左右に別れて敬意を示していた。
城門周辺を守る兵士達はその実力の低さから下級兵士と呼ばれる階級の兵士達だ。
もし、将軍やインペリアル近衛兵達の覚悟を目の当たりにしてなければ直ぐにパニックを起こしていた事だろう。
しかし、今は全員に怯えは無い。
将軍達が死んで城門が突破されても死守するつもりなんだろうな。
「ギガァ! 後は頼む! ゴブリン王国と、その民の為に! 突撃ぃぃぃぃ!」
将軍ギドとインペリアル近衛隊は迷うこと無く、盾を構え槍を突きだし、敵へと突撃して行った。
やれやれ、俺も城壁に戻って仕事をしますか。
どうかご武運を……将軍。
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