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第76話 友との殺し合い
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「ガウッ! 巨木と同じ程の背丈のクウネルの蹴りなんて、直撃したら流石に死ねるね!」
凄まじい風圧が横を通り過ぎ、モロは間一髪の所で回避出来た。 避けた後ろでは風圧に負けて巨木がへし折れる。
「ガァッ! クウネル、私だよ! 君の友モロだ! 私が分からないかい?」
蹴りが不発に終わったクウネルは、忌々しそうにモロを見下ろす。
「モロ? 友? 知らない知らない知らない知らない知らない! お前何か知らない! 暗い、暗い暗い暗い暗い暗い! お祖父ちゃん、お父さん、お母さん……何処? 何処何処何処何処」
クウネルは髪をかきむしり、誰かを探すかのように辺りを見回し始めた。 モロの知っているクウネルとは挙動も言葉の流暢さすら違う。
「クゥン!? いったいどうなってるんだ。 クウネルは明らかに正気じゃない、傷付けたくは無いが……こちらから攻撃して良いものなのか?」
クウネルに蹴られ、殴られてもモロは回避に専念し続けていた。
「クゥン……私だモロだ! 飛竜の腹の中で出会い、友となり私にモロという名をくれたではないか! 」
この時、モロは野生の勘で今クウネルを傷付けたら取り返しのつかない事になると感じ、ひたすら避けて説得を試みる。
「あぅ……? モロ……モロ? 飛竜……出会った? 私の……友達?」
クウネルから怒りと憎しみの匂いが少し薄まり、モロは判断が間違っていなかったと確信した。
しかし、説得に効果が有ると判明したと同時に想定外の事が起こる。 洞窟に響く振動を不安に思ったウルフクイーンが様子を見に出て来てしまったのだ。
「アォーーーーンッ! グルルルル……」
あなた! 大丈夫なの!? お前……やはり、敵なのね!!
そして、クウネルがモロを攻撃していると判断し威嚇をしてしまった。
「ガァッ!? ガァァァァァッ!」
妻よ! 何故出てきた!! 早く洞窟に戻れ!
モロが急いで妻に洞窟へと逃げる様に促したが、既に遅かった。
敵意剥き出しの遠吠えを聞いたクウネルから、先程よりも強い怒りと憎しみの匂いが一気に溢れる。
妻のウルフクイーンはモロに怒鳴られ、急いて洞窟へと逃げ帰ったが状況は最悪だ。
「うぅぅぅっ! 敵、敵敵敵敵!! 暗い、暗い暗い暗い怖い! 焼けば明るい!! 火炎火炎火炎火炎火炎火炎ガァァァァァァァァァッ!」
「クゥン、くそ! 嘘だろ?! 」
クウネルは口から大量の火を吹き、辺りの巨木全てに火を放った。 周囲の巨木は轟々と燃えだし、昼間の様に明るくなる。 洞窟のある山は炎で囲まれ、これでは群れを逃がす事も出来なくなってしまった。
そして、周囲が明るくなった事で、モロはようやくクウネルの決定的な異変に気づく。
クウネルの真っ黒だった黒髪は真っ赤に染まり、黒目だった両目は煌々と炎に当てられ深紅に光っていたのだ。
まるで、クウネルから発する怒りを体現したかのように。
「あはぁ……これで、良く見える。 何が? 見える? 敵が、私から全て奪う敵が、見える見える見える見える見える見える」
クウネルはモロを見つめ、可愛らしい顔で笑い、拳を握り締め、モロに向かって恐ろしい速度で迫る。
スピードにモロは絶対の自信があったが、クウネルの走る速度は更に速かった。
「グルルル……これは、不味いね」
モロとクウネルの突如始まった殺し合いは、まだ続く。
凄まじい風圧が横を通り過ぎ、モロは間一髪の所で回避出来た。 避けた後ろでは風圧に負けて巨木がへし折れる。
「ガァッ! クウネル、私だよ! 君の友モロだ! 私が分からないかい?」
蹴りが不発に終わったクウネルは、忌々しそうにモロを見下ろす。
「モロ? 友? 知らない知らない知らない知らない知らない! お前何か知らない! 暗い、暗い暗い暗い暗い暗い! お祖父ちゃん、お父さん、お母さん……何処? 何処何処何処何処」
クウネルは髪をかきむしり、誰かを探すかのように辺りを見回し始めた。 モロの知っているクウネルとは挙動も言葉の流暢さすら違う。
「クゥン!? いったいどうなってるんだ。 クウネルは明らかに正気じゃない、傷付けたくは無いが……こちらから攻撃して良いものなのか?」
クウネルに蹴られ、殴られてもモロは回避に専念し続けていた。
「クゥン……私だモロだ! 飛竜の腹の中で出会い、友となり私にモロという名をくれたではないか! 」
この時、モロは野生の勘で今クウネルを傷付けたら取り返しのつかない事になると感じ、ひたすら避けて説得を試みる。
「あぅ……? モロ……モロ? 飛竜……出会った? 私の……友達?」
クウネルから怒りと憎しみの匂いが少し薄まり、モロは判断が間違っていなかったと確信した。
しかし、説得に効果が有ると判明したと同時に想定外の事が起こる。 洞窟に響く振動を不安に思ったウルフクイーンが様子を見に出て来てしまったのだ。
「アォーーーーンッ! グルルルル……」
あなた! 大丈夫なの!? お前……やはり、敵なのね!!
そして、クウネルがモロを攻撃していると判断し威嚇をしてしまった。
「ガァッ!? ガァァァァァッ!」
妻よ! 何故出てきた!! 早く洞窟に戻れ!
モロが急いで妻に洞窟へと逃げる様に促したが、既に遅かった。
敵意剥き出しの遠吠えを聞いたクウネルから、先程よりも強い怒りと憎しみの匂いが一気に溢れる。
妻のウルフクイーンはモロに怒鳴られ、急いて洞窟へと逃げ帰ったが状況は最悪だ。
「うぅぅぅっ! 敵、敵敵敵敵!! 暗い、暗い暗い暗い怖い! 焼けば明るい!! 火炎火炎火炎火炎火炎火炎ガァァァァァァァァァッ!」
「クゥン、くそ! 嘘だろ?! 」
クウネルは口から大量の火を吹き、辺りの巨木全てに火を放った。 周囲の巨木は轟々と燃えだし、昼間の様に明るくなる。 洞窟のある山は炎で囲まれ、これでは群れを逃がす事も出来なくなってしまった。
そして、周囲が明るくなった事で、モロはようやくクウネルの決定的な異変に気づく。
クウネルの真っ黒だった黒髪は真っ赤に染まり、黒目だった両目は煌々と炎に当てられ深紅に光っていたのだ。
まるで、クウネルから発する怒りを体現したかのように。
「あはぁ……これで、良く見える。 何が? 見える? 敵が、私から全て奪う敵が、見える見える見える見える見える見える」
クウネルはモロを見つめ、可愛らしい顔で笑い、拳を握り締め、モロに向かって恐ろしい速度で迫る。
スピードにモロは絶対の自信があったが、クウネルの走る速度は更に速かった。
「グルルル……これは、不味いね」
モロとクウネルの突如始まった殺し合いは、まだ続く。
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