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第75話 モロVSクウネル?
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◆モロside◆
私は、どれだけの幸運に恵まれたのだろうか。
隠れ家の洞窟の中で、妻と群れの仲間達が穏やかに眠りに付いているのを見て私はそう感じた。
数日前に、突如私の国である縄張りに襲来した巨大な飛竜に敗北し食われてしまった。
だが、幸運な事に私だけが生き残ってしまった。
まぁ、そのお陰で新たな出会いが有ったんだけどね。
不思議な2足型の魔物クウネルだ。黒髪で黒目の不思議な魔物。
身体も私と同じ程の大きさだが、私の知っているトロールとは体つきも肌の色も違う。 知能もかなり高く、何よりこの過酷な森の中で生きるには優し過ぎる魔物だった。
それに、今では巨木と同じ大きさまで突如として成長したのも意味が分からない。
きっと秘密が沢山あるのだろう。 それでも、消化される未来に絶望し、最愛の妻と再開する事も諦めていた私に当然の様に「奥さんに会いたくないの?」と聞いてくれた。
その優しさで私はクウネルの友になりたくなったのさ。
それに、秘密が有るのはお互い様だしね。
そして、クウネルは私との約束を守り巨大な飛竜を食い殺し私を連れて脱出してくれたのだ。
私があの御方に仕える森狼王でなければ、生涯の忠誠を誓うのだがな。
どうやったのか聞くのが楽しみだが、何故か失っていた四肢は元通りになり、身体にあった無数の傷も全て治っていたのには本当に驚いた。
もしや、クウネルは凄腕の魔法使いなのだろうか? いや、それは無いか。そんな高度な魔法使いなら攻撃魔法で飛竜を殺すだろう。
ましてや、いきなり飛竜の胃袋を食い千切り美味しそうに咀嚼していたのだ。 信じられないが、事実としてそのやり方で心臓を喰ったのだろう。
知能の有る2足型種としては信じられない行為だが、クウネルの持つ優しさだけで信頼に値する。
妻に聞く限りだと、私が死にかけていた間クウネルは私を助けるべく恐ろしい速度で走ったり飛竜を転がしたりと謎の行動をとっていたそうだ。
極めつけは、何かを混ぜてネバネバした物を私の口に突っ込んだら治ったと妻が言っていたが……私は何をされたのだ?
まぁ、無事だからいいが。
それに、クウネルに名を貰ったのも最高の幸運の1つだろう。
大昔に死んだ誇り高き王だった父とあの御方の下で戦っていた母ですら、名は持っていなかったのだから。 名を持つのは強者の証、母が確かにそう言っていた。
ふふ……あの御方に聞いた私の好きな種族名、森狼から取ったと聞いた時は嬉しかったなぁ。
モロ……モロか。 いい名だ、ゴブリンの友に聞かせてやるのが今から楽しみだな。
あ~……飛竜の肉が殆どクウネルに喰われたのは不運に入るかな? いや、狩ったクウネルに文句を言うのは筋違いだね。
それに、子狼達には尻尾をお腹いっぱい食べさせてくれたし、固い飛竜の皮膚を剥いでくれてたのも見ていたよ。
……子狼達は怯えていたが。
同胞の群れを食い消化した内蔵を生で食うのに抵抗があると伝えたら、二つ返事で口から火を吹き焼いてくれたし。
信じられない優しさを持つ大切な友だ。
しかし、本当に……クウネルは何者なんだろう?
いや、何かを殺し強くなるは自然の摂理だが。 クウネルは明らかに自然の摂理から外れている様に感じる。
巨大な飛竜を殺したとは云え、巨木程も身体は大きくなり凄まじい強者の匂いを感じた。
まぁ、考えても仕方ない。 クウネルの正体がどうであれ、大切な友なのだ。
おっと、考え事が過ぎた。 私もそろそろ変身を解いて、寝るとしようか……。
飛竜が襲来した時、変身する時間が有ればもっと善戦出来たのだがね……ん? 何だ?
スンスン……クウネル? いや、何だ……この匂いは。
「クゥン……?」 どうしたの? あなた。
おっと、妻が起きてしまったか。
「クルル……フスフス」
大丈夫、少し様子を見てくる。 何があっても群れと洞窟に居なさい。
妻を宥めて、洞窟を出た。
辺りはすっかり真っ暗だ。
私の目をしても、巨木で星明かりが入らないこの森ではうっすらとしか見えない。
洞窟の隣に有るクウネルの建てた掘っ立て小屋からバキバキと音がする。
スンスン……何だこの匂いは。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
クウネル?! いや、何かおかしい。
匂いが、私の知っているクウネルじゃない。
これは何だ……怒り? 深い濃い憎しみの匂いだ!
「あぁぁぁ……憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い! この世界が……生き物が……憎いよー!」
クウネルは掘っ立て小屋を吹き飛ばし、ゆらりと私の前に立った。
「お前……何? 誰だ? 敵か? 生きてるなら敵だろ、そうなんだろ? 死ね死ね死ね死ね死ねぇっ! 絶対殺してやるぅー!」
真っ暗な中でも、クウネルは寸分違わず私を狙って蹴りを放って来た。
私は、どれだけの幸運に恵まれたのだろうか。
隠れ家の洞窟の中で、妻と群れの仲間達が穏やかに眠りに付いているのを見て私はそう感じた。
数日前に、突如私の国である縄張りに襲来した巨大な飛竜に敗北し食われてしまった。
だが、幸運な事に私だけが生き残ってしまった。
まぁ、そのお陰で新たな出会いが有ったんだけどね。
不思議な2足型の魔物クウネルだ。黒髪で黒目の不思議な魔物。
身体も私と同じ程の大きさだが、私の知っているトロールとは体つきも肌の色も違う。 知能もかなり高く、何よりこの過酷な森の中で生きるには優し過ぎる魔物だった。
それに、今では巨木と同じ大きさまで突如として成長したのも意味が分からない。
きっと秘密が沢山あるのだろう。 それでも、消化される未来に絶望し、最愛の妻と再開する事も諦めていた私に当然の様に「奥さんに会いたくないの?」と聞いてくれた。
その優しさで私はクウネルの友になりたくなったのさ。
それに、秘密が有るのはお互い様だしね。
そして、クウネルは私との約束を守り巨大な飛竜を食い殺し私を連れて脱出してくれたのだ。
私があの御方に仕える森狼王でなければ、生涯の忠誠を誓うのだがな。
どうやったのか聞くのが楽しみだが、何故か失っていた四肢は元通りになり、身体にあった無数の傷も全て治っていたのには本当に驚いた。
もしや、クウネルは凄腕の魔法使いなのだろうか? いや、それは無いか。そんな高度な魔法使いなら攻撃魔法で飛竜を殺すだろう。
ましてや、いきなり飛竜の胃袋を食い千切り美味しそうに咀嚼していたのだ。 信じられないが、事実としてそのやり方で心臓を喰ったのだろう。
知能の有る2足型種としては信じられない行為だが、クウネルの持つ優しさだけで信頼に値する。
妻に聞く限りだと、私が死にかけていた間クウネルは私を助けるべく恐ろしい速度で走ったり飛竜を転がしたりと謎の行動をとっていたそうだ。
極めつけは、何かを混ぜてネバネバした物を私の口に突っ込んだら治ったと妻が言っていたが……私は何をされたのだ?
まぁ、無事だからいいが。
それに、クウネルに名を貰ったのも最高の幸運の1つだろう。
大昔に死んだ誇り高き王だった父とあの御方の下で戦っていた母ですら、名は持っていなかったのだから。 名を持つのは強者の証、母が確かにそう言っていた。
ふふ……あの御方に聞いた私の好きな種族名、森狼から取ったと聞いた時は嬉しかったなぁ。
モロ……モロか。 いい名だ、ゴブリンの友に聞かせてやるのが今から楽しみだな。
あ~……飛竜の肉が殆どクウネルに喰われたのは不運に入るかな? いや、狩ったクウネルに文句を言うのは筋違いだね。
それに、子狼達には尻尾をお腹いっぱい食べさせてくれたし、固い飛竜の皮膚を剥いでくれてたのも見ていたよ。
……子狼達は怯えていたが。
同胞の群れを食い消化した内蔵を生で食うのに抵抗があると伝えたら、二つ返事で口から火を吹き焼いてくれたし。
信じられない優しさを持つ大切な友だ。
しかし、本当に……クウネルは何者なんだろう?
いや、何かを殺し強くなるは自然の摂理だが。 クウネルは明らかに自然の摂理から外れている様に感じる。
巨大な飛竜を殺したとは云え、巨木程も身体は大きくなり凄まじい強者の匂いを感じた。
まぁ、考えても仕方ない。 クウネルの正体がどうであれ、大切な友なのだ。
おっと、考え事が過ぎた。 私もそろそろ変身を解いて、寝るとしようか……。
飛竜が襲来した時、変身する時間が有ればもっと善戦出来たのだがね……ん? 何だ?
スンスン……クウネル? いや、何だ……この匂いは。
「クゥン……?」 どうしたの? あなた。
おっと、妻が起きてしまったか。
「クルル……フスフス」
大丈夫、少し様子を見てくる。 何があっても群れと洞窟に居なさい。
妻を宥めて、洞窟を出た。
辺りはすっかり真っ暗だ。
私の目をしても、巨木で星明かりが入らないこの森ではうっすらとしか見えない。
洞窟の隣に有るクウネルの建てた掘っ立て小屋からバキバキと音がする。
スンスン……何だこの匂いは。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
クウネル?! いや、何かおかしい。
匂いが、私の知っているクウネルじゃない。
これは何だ……怒り? 深い濃い憎しみの匂いだ!
「あぁぁぁ……憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い! この世界が……生き物が……憎いよー!」
クウネルは掘っ立て小屋を吹き飛ばし、ゆらりと私の前に立った。
「お前……何? 誰だ? 敵か? 生きてるなら敵だろ、そうなんだろ? 死ね死ね死ね死ね死ねぇっ! 絶対殺してやるぅー!」
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