真巨人転生~腹ペコ娘は美味しい物が食べたい~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
96 / 247

第92話 追ってきた者の正体

しおりを挟む
 「何だ? 後方には反応は無いのに、怯えるように何度も蟷螂達が振り返ってるね。 もしや、モロ達と戦闘になって逃げて来たとか? なら、モロ達とはそんなに距離は離れてないのかも!」

 食用に向かない魔物の出現にクウネルは気落ちしていたが、予想よりも早くモロに会えそうだと気合を入れ直す。

 「サクッと倒して行きますかね。 よっこらしょ!」

 ズボォッ! っと、近くに生えていた手頃な大きさの木を力任せに引き抜いた。

 「私にぴったりサイズな棍棒の出来上がりってね~」

 根っ子には石やら土やらが付いたままなので、土魔法で固くするのを忘れない。

 「枝の方は要らないや。 よし……こんなもんかな」
 
 手刀で枝部分をバッサリと落とし、右肩に即席棍棒を担いだクウネルは蟷螂達に向かって歩き出す。

 クウネルが木を引っこ抜いて、棍棒にしてる間も蟷螂達は後ろばかりを気にして微動だにせず固まっていた。 野生の魔物として有り得ない行動だが混乱しているせいで正常な判断ができないのだろう。

 「そーれ! よいしょー! 叩き割りー!!」

 密集している蟷螂達に棍棒を振り下ろし、戦技の叩き割りで滅多打ちにした。

 地面が抉れ、木々は吹き飛び、蟷螂達が居た場所は瞬時にクレーターと化す。

 「「「「ギギィィイ?! キ……キチキチ……ギィァァ……」」」」

 蟷螂達は、お見せ出来ません状態でクレーターの染みに変わった。

 「ぺっ……ふっ、安心しろ峰打ちだ! ……決まった。 完璧に決まったよ! いやぁ~、一度は言ってみたかったんだよね~」

 «……? クウネル、対象は全テ絶命しテいまス。 峰打チとは言わナいカと»

 「いいの! これは気分の問題なの! やれやれ、鑑定さんは浪漫が分かってないんだからー」

 棍棒を担ぎ直し、鑑定に浪漫を解こうとしていると、気配察知に反応があった。

 「あれ? 鑑定さん、何か来てない?」

 «――訂。クウネルが戦闘中だッタ為、報告ヲ控えマしタ»

 「じゃあ、さっきの峰打ち云々にツッコム前に教えてよ! ちょっ、気配大きくない? 」

 地響きがクウネルの足下を揺らし、棍棒を杖代わりにして耐える。

 「おおおぉぉぉぉ!? 何だー?!」

 「ゴォガァァァァァァァ!」

 巨木を薙ぎ倒しながら向かって来たのは、クウネルの半分程の大きさの四つん這いになったティラノサウルスに酷似した魔物だった。 

 しかし、クウネルの知っているティラノサウルスとは大きく違い、長い手足で巨木を薙ぎ倒しながら向かって来たのだ。 口も大きく、鋭利な歯がズラリと並んでいた。

 そんな大きな口を開き、よだれを垂らしながら真っ直ぐにクウネルへと直進して来る。

 「おいおい、私に何か御用ですかー? でも、何にしろお肉だ! ミート! ミート! しゃっ! やるぞー! 鑑定!」

 ステータス画面

 種族 アース ドラゴン

 年齢 33

 レベル 80

 HP 10000/10000

 FP 2500/2500

 攻撃力 20000

 防御力 4000

 知力 2000

 速力 15000

 スキル 竜鱗Lv5. 土耐性Lv5. 魔物食らい. 魔物殺し. 大物食い. 同胞食い. 餓えし者

 魔法 土魔法Lv6

 戦技 爪連撃Lv7. 噛み付きLv6. 尻尾回転撃Lv4

 状態異常 餓え 空腹 飢餓 

 「アースドラゴン? 日本語にすると、地竜でいいのかな? まぁ、種族名に王が付いてないから雑魚確定だ~! オッケー! コイツをサクッと倒して朝御飯に焼き肉だー! ひゃっはー!」

 クウネルは念願の獲物に歓喜し、棍棒を構えて気合を入れた。

 「ゴォオオオオガァァァァァッッ!!」

 地竜も腹を空かせており、食べ応えのある獲物を見つけた事を喜ぶ様に叫ぶ。

 「いくぞーー! お肉ぅぅぅぅぅ!!!」

 巨木の森で、地竜とクウネルが激突した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...