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第152話 暴食
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「はぁ……はぁ……ひー疲れたー!」
クウネルは疲労感と戦いながらアンデッドワイバーンの顔を粉砕するが、直ぐに再生して噛み付いてくる。
「クルルッ! ガギギガァァァ!」
「まぁ、疲れても動きが遅すぎて噛まれる事は無いんだけどね。 はいはい、分かりましたよ。 そんなに顔を粉砕して欲しいんですね? 乙女パーーーーンッッチ!!」
殴り続けること更に数時間、一向に事態は好転しない。
「ん~、あ! 鑑定さん、暴食の大口は? お母さんにコイツ食べてもらおうよ」
«――確認。 ――残念ですが、無理です。 クウネルが使用出来る様に改変され、戦技という物理攻撃のカテゴリーに括られています。 一時的に消失させても、再生する確率が高過ぎます»
「えぇぇ……じゃあ、土魔法でガチガチに固めて封印するのは?」
«――阻止。 それは、オススメ出来ません。 アンデッドワイバーンから漏れた瘴気が、地面の土や岩を汚染しています。 もし、この地に閉じ込めた場合巨木の森は死滅する可能性大です»
「ぬぐぐぐ、ダメか。 じゃあ、閉じ込めてとんずらも難しいのね。 しかも、何とか倒さないとゴブリンの王国までピンチになると……っていうか、何なのよ不死って。 ダメだよ、こんなチート臭い魔物居たら」
鑑定と相談しながらも殴っていると、クウネルのお腹が鳴り始める。 それだけ長い間戦っていたのだ。
「グギュルル~ってお腹が鳴ってるよー! あぁぁ~……お腹減ったぁ~。 今日の夜、やっとゴブリン料理を食べれる筈だったのに~。 なんか、段々と腹立ってきたな」
«――察知。 クウネル、逃げた筈のゴブリン達が此方に戻って来ています。 ……数が1匹減っているのを確認。 アンデッドはこの1体だけでは無いのかもしれません»
「はぁぁ?! え、やばいじゃん! うわぁぁぁ、其処まで考えて無かった!」
クウネルは考えの至らなかった自分に怒り、自身の頬を殴った。
「1匹減ってるって……つまり、そういう事だよね。 私のせいだ! 私の馬鹿! いっっった!! 」
«――冷静。 クウネル落ち着いて下さい!»
「どっちにしても、このままじゃ此方に逃げてくるゴブリン達がアンデッドワイバーンの瘴気食らったら即死だよ! もう誰も死なせない、絶対死なせない!」
頬に伝わる痛みで、少し冷静になれたクウネルはある事を思い付き微笑む。
「……ねぇ、鑑定さん。 さっきの話しだけど、暴食の大口が物理攻撃に括られて無かったらアンデッドにも効果が有るって意味で良かった」
«――疑問? その通りですが……クウネル何をするつもりですか?»
「よし……決めた。 これ、喰うよ」
«――阻止! 不明な点が多すぎます。 クウネルの胃袋でもどんなリスクがあるか分かりません! 止めて下さい!»
「えへへ、大丈夫だよ。 私お腹壊した事無いから。 ゴブリン達が到着する迄に、コイツを喰い殺さなきゃ! 覚悟しろ、この骨っコがぁぁぁ! 骨までしゃぶってやるぜぇぇぇ!」
クウネルはアンデッドワイバーンの右前足の骨を叩き折り、再生する前に噛み砕く。
「ボリボリボリボリ! マッッズーーイ! いや、最近カルシウムが不足してるから丁度いいかも? お! 再生もしてないし、上手くいくかも!」
「クルルル?! ガァッ!? ガァッ?!」
アンデッドワイバーンは自分の右前足を喰われた事に驚き、更に再生しない事に気付き狼狽えだした。
「やっと効いたな。 お前のせいで、また守れなかったんだ! 観念して喰われロ!」
クウネルは狼狽えるアンデッドワイバーンに掴みかかり、そのまま骨に齧り付く。 口に含んだ骨から漆黒の煙が吹き始めたが、それでもクウネルは食べるのを止めなかった。
大切になったゴブリン達を守る為に。
「ボリボリボリボリ、ガリっ! ロ? あレ? 身体がナンか変ダ……頭がぐらぐらスる」
前足と肋骨を食べるクウネルの目から黒い涙が流れ始め、異変に気付いてもクウネルは食べ続けた。
「ボリボリボリボリ! ガリガリッ!」
«――クウネル、至急食べるのを止めて下さい!»
鑑定の制止する声が聞こえても、クウネルは意地でも食べ続ける。
「ボリボリボリボリボリボリボリボリ! イやだ! 早ク、しなイとゴブリン達ガ死んじゃウ……。 ボリボリボリボリ! 食べル、こイツを……。 後……少シ! ガリガリ、ガキッ!」
暴れる為、最後に残していた頭部にクウネルは齧り付き噛み砕く。
「ガァァァァァアアッ! ガァァァァ……」
全身の骨を食われ怨嗟の声を上げていたアンデッドワイバーンはクウネルに飲み込まれ、辺りに立ち込めていた死の瘴気と共に消えた。
«――アンデッドワイバーンの消滅を確認、クウネル? クウネル、聞こえますか?!»
顔の穴という穴から黒い液体が流れ出し、クウネルは地面に膝をついた。
「へへ……喰イ殺セたよ……鑑定サん」
自身と同じ大きさの骨を完食したにも関わらず、クウネルの腹がけたたましく鳴り始める。
ゴギュルル……!
「あ……? 脳ガ、身体ガ震エる……」
ゴギュルルルルルルルル……!!
「あ、コれ……マジでヤバいカも……」
ゴギュルルルルルルルルルルルルルルルル!
「ウぐ……グあぁァぁあァァァァッ!!!」
凄まじい空腹と、脳を焼く痛みが激しくなった瞬間。
頭の中で声が聞こえた。
――ったく、偽者のくせに何なのよ。 知り合ったばっかりのゴブリンを救うのに命掛けるなんてバカじゃない!? もういい、替わりなさい!!』
虚ろなクウネルの意識は完全に途絶えてしまうのであった。
クウネルは疲労感と戦いながらアンデッドワイバーンの顔を粉砕するが、直ぐに再生して噛み付いてくる。
「クルルッ! ガギギガァァァ!」
「まぁ、疲れても動きが遅すぎて噛まれる事は無いんだけどね。 はいはい、分かりましたよ。 そんなに顔を粉砕して欲しいんですね? 乙女パーーーーンッッチ!!」
殴り続けること更に数時間、一向に事態は好転しない。
「ん~、あ! 鑑定さん、暴食の大口は? お母さんにコイツ食べてもらおうよ」
«――確認。 ――残念ですが、無理です。 クウネルが使用出来る様に改変され、戦技という物理攻撃のカテゴリーに括られています。 一時的に消失させても、再生する確率が高過ぎます»
「えぇぇ……じゃあ、土魔法でガチガチに固めて封印するのは?」
«――阻止。 それは、オススメ出来ません。 アンデッドワイバーンから漏れた瘴気が、地面の土や岩を汚染しています。 もし、この地に閉じ込めた場合巨木の森は死滅する可能性大です»
「ぬぐぐぐ、ダメか。 じゃあ、閉じ込めてとんずらも難しいのね。 しかも、何とか倒さないとゴブリンの王国までピンチになると……っていうか、何なのよ不死って。 ダメだよ、こんなチート臭い魔物居たら」
鑑定と相談しながらも殴っていると、クウネルのお腹が鳴り始める。 それだけ長い間戦っていたのだ。
「グギュルル~ってお腹が鳴ってるよー! あぁぁ~……お腹減ったぁ~。 今日の夜、やっとゴブリン料理を食べれる筈だったのに~。 なんか、段々と腹立ってきたな」
«――察知。 クウネル、逃げた筈のゴブリン達が此方に戻って来ています。 ……数が1匹減っているのを確認。 アンデッドはこの1体だけでは無いのかもしれません»
「はぁぁ?! え、やばいじゃん! うわぁぁぁ、其処まで考えて無かった!」
クウネルは考えの至らなかった自分に怒り、自身の頬を殴った。
「1匹減ってるって……つまり、そういう事だよね。 私のせいだ! 私の馬鹿! いっっった!! 」
«――冷静。 クウネル落ち着いて下さい!»
「どっちにしても、このままじゃ此方に逃げてくるゴブリン達がアンデッドワイバーンの瘴気食らったら即死だよ! もう誰も死なせない、絶対死なせない!」
頬に伝わる痛みで、少し冷静になれたクウネルはある事を思い付き微笑む。
「……ねぇ、鑑定さん。 さっきの話しだけど、暴食の大口が物理攻撃に括られて無かったらアンデッドにも効果が有るって意味で良かった」
«――疑問? その通りですが……クウネル何をするつもりですか?»
「よし……決めた。 これ、喰うよ」
«――阻止! 不明な点が多すぎます。 クウネルの胃袋でもどんなリスクがあるか分かりません! 止めて下さい!»
「えへへ、大丈夫だよ。 私お腹壊した事無いから。 ゴブリン達が到着する迄に、コイツを喰い殺さなきゃ! 覚悟しろ、この骨っコがぁぁぁ! 骨までしゃぶってやるぜぇぇぇ!」
クウネルはアンデッドワイバーンの右前足の骨を叩き折り、再生する前に噛み砕く。
「ボリボリボリボリ! マッッズーーイ! いや、最近カルシウムが不足してるから丁度いいかも? お! 再生もしてないし、上手くいくかも!」
「クルルル?! ガァッ!? ガァッ?!」
アンデッドワイバーンは自分の右前足を喰われた事に驚き、更に再生しない事に気付き狼狽えだした。
「やっと効いたな。 お前のせいで、また守れなかったんだ! 観念して喰われロ!」
クウネルは狼狽えるアンデッドワイバーンに掴みかかり、そのまま骨に齧り付く。 口に含んだ骨から漆黒の煙が吹き始めたが、それでもクウネルは食べるのを止めなかった。
大切になったゴブリン達を守る為に。
「ボリボリボリボリ、ガリっ! ロ? あレ? 身体がナンか変ダ……頭がぐらぐらスる」
前足と肋骨を食べるクウネルの目から黒い涙が流れ始め、異変に気付いてもクウネルは食べ続けた。
「ボリボリボリボリ! ガリガリッ!」
«――クウネル、至急食べるのを止めて下さい!»
鑑定の制止する声が聞こえても、クウネルは意地でも食べ続ける。
「ボリボリボリボリボリボリボリボリ! イやだ! 早ク、しなイとゴブリン達ガ死んじゃウ……。 ボリボリボリボリ! 食べル、こイツを……。 後……少シ! ガリガリ、ガキッ!」
暴れる為、最後に残していた頭部にクウネルは齧り付き噛み砕く。
「ガァァァァァアアッ! ガァァァァ……」
全身の骨を食われ怨嗟の声を上げていたアンデッドワイバーンはクウネルに飲み込まれ、辺りに立ち込めていた死の瘴気と共に消えた。
«――アンデッドワイバーンの消滅を確認、クウネル? クウネル、聞こえますか?!»
顔の穴という穴から黒い液体が流れ出し、クウネルは地面に膝をついた。
「へへ……喰イ殺セたよ……鑑定サん」
自身と同じ大きさの骨を完食したにも関わらず、クウネルの腹がけたたましく鳴り始める。
ゴギュルル……!
「あ……? 脳ガ、身体ガ震エる……」
ゴギュルルルルルルルル……!!
「あ、コれ……マジでヤバいカも……」
ゴギュルルルルルルルルルルルルルルルル!
「ウぐ……グあぁァぁあァァァァッ!!!」
凄まじい空腹と、脳を焼く痛みが激しくなった瞬間。
頭の中で声が聞こえた。
――ったく、偽者のくせに何なのよ。 知り合ったばっかりのゴブリンを救うのに命掛けるなんてバカじゃない!? もういい、替わりなさい!!』
虚ろなクウネルの意識は完全に途絶えてしまうのであった。
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