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第171話 赤髪の変化
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◆赤髪のクウネルSide◆
(あ~……なんか頭がスッキリした。 こんなに良い目覚めは何時ぶりだろう……)
邪神らしき魔族と遭遇し、意識を失ってから数日が経過した。
«――おはようございます。 あれから3日経過しました。 クウネル 体調はどうですか?»
「そっか……私、あの時に気絶してからずっと寝てたのか。 あ~、お腹減った。 体調は良さげかな? でも、地面で寝てたから身体はバキバキよ」
身体を起こし、ボキボキと鳴る関節を解す。
腹の虫に急かされ周囲を見渡すが、モロの元王国跡地であり食べ物は何も無さそうだ。
「姉御、目覚めたんですね! 安心しました……あ、朝食ですか? モロ殿が王国で姉御が作っていた干し肉を持って来てくれてやすよ」
クウネルの声に気付いたのか、キュウベイが戻って来た。
「おはよ、キュウベイ。 ……ありがとう」
キュウベイは干し肉を山盛りに積み上げ、クウネルは噛み千切りながら咀嚼する。
(ん~……固い。 それに、味付けもしてないからそんなに美味しくない……。 これ地竜のお肉だよね? ステーキにしたら、絶対に美味しいのにな~)
「モロ殿は、王国の方に戻っています。 此処に居るのはしんどそうでしたから」
「ふーん……そっか。 まぁ、私はキュウベイが側に居てくれるならそれで良い……し? あ、待って、今の無し!」
まだ寝ぼけているのか、本音が洩れたクウネルは慌てて言い訳するがキュウベイの顔は既に真っ赤だ。
「お、俺も……姉御の側に居れるなら……あれ? 姉御、目の色が……」
何かを言い掛けたキュウベイだったが、クウネルの顔を見つめながら異変に気付く。
「……え? 目の色?? 水魔法発動」
クウネルは手のひらに水を生み出し、反射する自分の顔を見た。
すると、髪と同じ真っ赤だった瞳の色が黒に戻っていた。
大切な家族達と暮らしていた、あの頃と同じに。
「あ……あ、あれ? どうしたんだろ、なんで? でも、嬉しいなぁ」
ぽろぽろ流れる涙がクウネルの頬を伝う。
「姉御大丈夫ですか!? 目が痛むんですか?!」
突然泣き始めたクウネルにキュウベイは驚き、心配する。 そんな優しいキュウベイの姿が死んでしまった家族と重なった。
「あはは、ごめんね。 ……大丈夫、大丈夫だから。 嬉しいの。 ……嬉しいだけ」
「……分かりやした。 でも、どうして急に目の色が変わったんでしょう?」
(なんでだろ、もしかしてアイツに何かあった? でも、向こうにはアイツの事が大好きな化け物が居る筈。 鑑定、何か分かる?)
«――不明です。 寝ている間に変化したと推測出来ますが、原因は分かりません。 体調等にも問題は有りませんか?»
(そっか、ありがと……大丈夫)
「キュウベイ、大丈夫だよ。 原因は分かんないけど、私の瞳は元々この色だから」
(考えても仕方無いなら、別に良いよね。 今はキュウベイと一緒に居れるなら、なんでもいいや)
無邪気に笑うクウネルを見て安心したのか、キュウベイも微笑む。
「了解です。 でも、何かあれば直ぐに癒しの族長の所に行きやしょうね? あ、朝食を終えたら王国に戻りましょう。 癒やしの族長殿達も心配されてやしたから」
「……うん、分かった。 キュウベイがそう言うなら、そうする」
«――推奨。 王国に戻る前にステータスを確認して下さい»
(はぁ~、はいはい。 ちゃんとするよ、前の失敗もあるしね)
「キュウベイ、少しする事あるから出発の準備だけお願いできる?」
「了解です! 直ぐに戻って来やすから」
キュウベイが荷物の準備を始めたのを見送り、クウネルはステータスを確認する。
「ステータスオープン!」
ステータス画面
名前 クウネル
年齢 2
職業 %$#€の女神
種族 女巨神
レベル 261
HP 156225/156225
FP 52645/52645
攻撃力 102110+1000
防御力 84260+500
知力 52107
速力 252402
スキル 鑑定. 竜鱗LvMax. 火耐性Lv4. 竜殺しLvMax. 魔物食らい. 気配察知Lv2. 連携Lv1. 酸耐性LvMax. 即死耐性LvMax. 隠密Lv2. Hey鑑定. 錬金術Lv3. 土耐性LvMax. 亜神に到達せし者. アンデッド殺し(new)
魔法 火炎Lv3. 土魔法LvMax. 水魔法Lv1
戦技 叩き割りLv3. 槍突きLv4(up). 噛み付きLvMax
状態異常 無し
加護 %$#€の女巨神の恩恵Lv1
(ふんふん、ステータスは変わって……無いね。 でもスキルが増えて……見にくっ!! え?! こんなごちゃごちゃしてどうやって把握するのよ!)
改めて自身のステータスを見たクウネルは、密集したスキル欄を見てその乱雑さに辟易する。
«――編集。 スキルは編集が可能……ですが、今の赤髪のクウネルには出来ません»
(はぁぁぁ!? じゃあ、さっさとやっておきなさいよ! アイツ、本当に馬鹿なの?)
«――戦闘中にお知らせしたので、覚えていない可能性が大です»
(じゃあ……鑑定のせいでもあるのね。 まぁ、どうでもいいけど。 あ、槍突きのLvが上がってる! 嬉しいけど……アイツどんだけ使って無かったのよ。 折角……お母さんが教えてくれたのに)
クウネルは少し寂しげにしながら、ステータス画面を下までスクロールした。
(ふぅ……状態異常にもなって無いし。 もういいよね?)
«――聞いて下さり、ありがとうございます»
(ふんっ! 別に大したことしてないから)
脳内で鑑定とのやり取りが終わった直後、準備を終えたキュウベイが戻って来た。
「……姉御? 俺は準備終えました。 行けますか?」
キュウベイは背中に大弓と腰に大きな矢筒を装備しており、歴戦の弓兵士らしい風格が漂っていた。
「ん。 私も、良いよ。 ほら、肩に乗って」
キュウベイを手のひらに乗せて、肩に移動させる。
「し、失礼します! では、ゴブリン王国に帰りましょう」
「ごめんねキュウベイ。 その時の事、私は知らないの。 王国の方角を教えてくれる?」
「了解です! 姉御……その、すいやせん。 では、あの方角へお願いします」
キュウベイに道案内され、クウネルは頬を膨らませながら歩き始めた。
(むー……なんか分かんないけど、腹立つ。 でも、いいもん。 これからは、キュウベイとずっと一緒なんだもん)
クウネルは気付かない。
自身の精神が記憶よりも幼くなっている事に。
(今は……復讐は我慢。 私が復讐に向かうと、キュウベイはきっと付いてくる。 それで、もし……キュウベイが殺されたら私は耐えれない。 もう、あんな思いは絶対に嫌)
だが、それに気付いている鑑定はクウネルに報告しなかった。
(あ……そっか、だからアイツは復讐に固執してないんだ。 大切な存在が出来たから……。 ふんっ! でも、アイツが私の体をずっと使ってたのは許してないもん。 ふー……よし、ゴブリン王国に帰ろう。 あれ? もしかして、もしかすると、これは……デートなのでは?)
何故なら、その変化は怒りや憎しみに囚われている時に比べれて良い変化だからだ。
クウネルはキュウベイを肩に乗せたまま、ご機嫌でゴブリン王国へと帰るのであった。
(あ~……なんか頭がスッキリした。 こんなに良い目覚めは何時ぶりだろう……)
邪神らしき魔族と遭遇し、意識を失ってから数日が経過した。
«――おはようございます。 あれから3日経過しました。 クウネル 体調はどうですか?»
「そっか……私、あの時に気絶してからずっと寝てたのか。 あ~、お腹減った。 体調は良さげかな? でも、地面で寝てたから身体はバキバキよ」
身体を起こし、ボキボキと鳴る関節を解す。
腹の虫に急かされ周囲を見渡すが、モロの元王国跡地であり食べ物は何も無さそうだ。
「姉御、目覚めたんですね! 安心しました……あ、朝食ですか? モロ殿が王国で姉御が作っていた干し肉を持って来てくれてやすよ」
クウネルの声に気付いたのか、キュウベイが戻って来た。
「おはよ、キュウベイ。 ……ありがとう」
キュウベイは干し肉を山盛りに積み上げ、クウネルは噛み千切りながら咀嚼する。
(ん~……固い。 それに、味付けもしてないからそんなに美味しくない……。 これ地竜のお肉だよね? ステーキにしたら、絶対に美味しいのにな~)
「モロ殿は、王国の方に戻っています。 此処に居るのはしんどそうでしたから」
「ふーん……そっか。 まぁ、私はキュウベイが側に居てくれるならそれで良い……し? あ、待って、今の無し!」
まだ寝ぼけているのか、本音が洩れたクウネルは慌てて言い訳するがキュウベイの顔は既に真っ赤だ。
「お、俺も……姉御の側に居れるなら……あれ? 姉御、目の色が……」
何かを言い掛けたキュウベイだったが、クウネルの顔を見つめながら異変に気付く。
「……え? 目の色?? 水魔法発動」
クウネルは手のひらに水を生み出し、反射する自分の顔を見た。
すると、髪と同じ真っ赤だった瞳の色が黒に戻っていた。
大切な家族達と暮らしていた、あの頃と同じに。
「あ……あ、あれ? どうしたんだろ、なんで? でも、嬉しいなぁ」
ぽろぽろ流れる涙がクウネルの頬を伝う。
「姉御大丈夫ですか!? 目が痛むんですか?!」
突然泣き始めたクウネルにキュウベイは驚き、心配する。 そんな優しいキュウベイの姿が死んでしまった家族と重なった。
「あはは、ごめんね。 ……大丈夫、大丈夫だから。 嬉しいの。 ……嬉しいだけ」
「……分かりやした。 でも、どうして急に目の色が変わったんでしょう?」
(なんでだろ、もしかしてアイツに何かあった? でも、向こうにはアイツの事が大好きな化け物が居る筈。 鑑定、何か分かる?)
«――不明です。 寝ている間に変化したと推測出来ますが、原因は分かりません。 体調等にも問題は有りませんか?»
(そっか、ありがと……大丈夫)
「キュウベイ、大丈夫だよ。 原因は分かんないけど、私の瞳は元々この色だから」
(考えても仕方無いなら、別に良いよね。 今はキュウベイと一緒に居れるなら、なんでもいいや)
無邪気に笑うクウネルを見て安心したのか、キュウベイも微笑む。
「了解です。 でも、何かあれば直ぐに癒しの族長の所に行きやしょうね? あ、朝食を終えたら王国に戻りましょう。 癒やしの族長殿達も心配されてやしたから」
「……うん、分かった。 キュウベイがそう言うなら、そうする」
«――推奨。 王国に戻る前にステータスを確認して下さい»
(はぁ~、はいはい。 ちゃんとするよ、前の失敗もあるしね)
「キュウベイ、少しする事あるから出発の準備だけお願いできる?」
「了解です! 直ぐに戻って来やすから」
キュウベイが荷物の準備を始めたのを見送り、クウネルはステータスを確認する。
「ステータスオープン!」
ステータス画面
名前 クウネル
年齢 2
職業 %$#€の女神
種族 女巨神
レベル 261
HP 156225/156225
FP 52645/52645
攻撃力 102110+1000
防御力 84260+500
知力 52107
速力 252402
スキル 鑑定. 竜鱗LvMax. 火耐性Lv4. 竜殺しLvMax. 魔物食らい. 気配察知Lv2. 連携Lv1. 酸耐性LvMax. 即死耐性LvMax. 隠密Lv2. Hey鑑定. 錬金術Lv3. 土耐性LvMax. 亜神に到達せし者. アンデッド殺し(new)
魔法 火炎Lv3. 土魔法LvMax. 水魔法Lv1
戦技 叩き割りLv3. 槍突きLv4(up). 噛み付きLvMax
状態異常 無し
加護 %$#€の女巨神の恩恵Lv1
(ふんふん、ステータスは変わって……無いね。 でもスキルが増えて……見にくっ!! え?! こんなごちゃごちゃしてどうやって把握するのよ!)
改めて自身のステータスを見たクウネルは、密集したスキル欄を見てその乱雑さに辟易する。
«――編集。 スキルは編集が可能……ですが、今の赤髪のクウネルには出来ません»
(はぁぁぁ!? じゃあ、さっさとやっておきなさいよ! アイツ、本当に馬鹿なの?)
«――戦闘中にお知らせしたので、覚えていない可能性が大です»
(じゃあ……鑑定のせいでもあるのね。 まぁ、どうでもいいけど。 あ、槍突きのLvが上がってる! 嬉しいけど……アイツどんだけ使って無かったのよ。 折角……お母さんが教えてくれたのに)
クウネルは少し寂しげにしながら、ステータス画面を下までスクロールした。
(ふぅ……状態異常にもなって無いし。 もういいよね?)
«――聞いて下さり、ありがとうございます»
(ふんっ! 別に大したことしてないから)
脳内で鑑定とのやり取りが終わった直後、準備を終えたキュウベイが戻って来た。
「……姉御? 俺は準備終えました。 行けますか?」
キュウベイは背中に大弓と腰に大きな矢筒を装備しており、歴戦の弓兵士らしい風格が漂っていた。
「ん。 私も、良いよ。 ほら、肩に乗って」
キュウベイを手のひらに乗せて、肩に移動させる。
「し、失礼します! では、ゴブリン王国に帰りましょう」
「ごめんねキュウベイ。 その時の事、私は知らないの。 王国の方角を教えてくれる?」
「了解です! 姉御……その、すいやせん。 では、あの方角へお願いします」
キュウベイに道案内され、クウネルは頬を膨らませながら歩き始めた。
(むー……なんか分かんないけど、腹立つ。 でも、いいもん。 これからは、キュウベイとずっと一緒なんだもん)
クウネルは気付かない。
自身の精神が記憶よりも幼くなっている事に。
(今は……復讐は我慢。 私が復讐に向かうと、キュウベイはきっと付いてくる。 それで、もし……キュウベイが殺されたら私は耐えれない。 もう、あんな思いは絶対に嫌)
だが、それに気付いている鑑定はクウネルに報告しなかった。
(あ……そっか、だからアイツは復讐に固執してないんだ。 大切な存在が出来たから……。 ふんっ! でも、アイツが私の体をずっと使ってたのは許してないもん。 ふー……よし、ゴブリン王国に帰ろう。 あれ? もしかして、もしかすると、これは……デートなのでは?)
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