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第200話 駆逐作戦実行と声の主
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「よし、準備はコレで良いね。 気配察知も反応してない……まだ洞穴の中だと思う」
「ガウッ! 友よ、落とし穴はどうやって塞ぐんだい?」
「ん? 勿論、土魔法で薄っすらと塞ぐよ」
ネルとモロは姿勢を低くしながら巨大な落とし穴を作り終えた。 後は塞ぎ、駆逐作戦を実行するのみである。
(作戦はちゃんと立てたし、上手くいけば何も問題無いよね。 もう遅毒は効かないし、ひたすらに気持ち悪いのを我慢するだけ! あ~……鑑定からも特に無い?)
«――肯定。 ネルの立てた作戦であれば、ポイズンスネークの群れは駆逐できると推測。 但し、洞穴の奥にいるのポイズンスネークキングと思われる存在が未知です。 雛達を救出する際はイレギュラーに注意して下さい»
(オッケー! じゃあ、やるね)
ネルは少し身体を起こし、キュウベイにサインを送る。
「よし、キュウベイが洞穴の入り口に向かった。 モロ、やるよ! 土魔法発動!」
「ガルル、準備万端さ友よ!」
ネルは土魔法で巨大な落とし穴に蓋をし、再度地面へと倒れ込む。
其処にモロが風魔法で土を被せ、カモフラージュを終えた。
後はキュウベイがポイズンスネークの群れを引き連れてくるのを待つだけだ。
「キュウベイ……頼んだよ」
◆◇◆
キュウベイは洞穴の入り口近くまで到着し、中を覗いていた。
「さて、刺激しないと出て来ないよな。 う~む……ん?!」
悩んでいると、頭の中に誰かの声が響き渡る。
『キュウベイ、聞こえますか?』
「誰ですかい!? 誰も……居ない?」
即座に弓を構え、周囲を警戒するが誰も姿は見えない。
『私は貴方の主の母』
「まさか……姉御の母君ですかい?」
キュウベイは声が頭の中に直接響いている事に気付き、弓を下ろした。
『そうです。 亜神の眷属たる貴方に使命を与えます』
「へ、へい……何でしょう」
『貴方の主は名をクウとなりました。 そして、貴方が今守っているのはネルです。 真なる主はクウですが、今だけはネルを守りなさい』
キュウベイは声の内容に鬼の形相で叫ぶ。
「姉御の母君……失礼を承知で言わせて下せい。 クウネルの姉御の名前がクウになろうと、ネルになろうと構いやせん。 ですが、どちらの姉御も俺にとっては真の主です! 母君の言い方だと、赤髪の姉御は今だけの存在の様な言い方では無いですか! それはあんまりでしょう!! クウネルという名前すら2つに分かれるのであれば、クウの姉御もネルの姉御も母君の娘では無いのですか!?」
キュウベイは洞穴の入り口近くで憤怒し、その怒りは足下の岩すら砕く。
キュウベイの怒りに驚いたのか、声の主は少し間をおいてから言葉を発した。
『貴方は……本当に忠義者ですね。 ネルが私の娘……考えた事も無かったわね。 はぁ……もう、良いです。 とにかく、まだ知らない様子だったら教えてあげておいて下さい。 いいですか?』
急に喋り方が柔らかくなった声の主に対し、キュウベイは何とか怒りを鎮め聞きたいことを問いかける。
「分かりやした。 ネルの姉御にはお伝えしやす。 それと……クウネル、いやクウの姉御はお元気ですか?」
『ふふ♪ そうね……元気よ? 凄く元気。 強くなる為に修行も頑張ってるから、安心してね』
「……ありがとうございやす」
キュウベイが礼を伝えた直後、頭の中に聞こえた声は完全に消えた。
「姉御……お元気なら良かった。 でも、そうか……クウの姉御が戻って来る時はネルの姉御と別れの時って事ですかい。 俺は……俺は」
キュウベイは掻き回された自分の気持ちに戸惑う。
しかし、そんな場合では無いのだ。
あれ程に大声で叫び、足下の岩を砕いたのだから刺激は充分過ぎる。
「「「「「「シャァァァァァ!」」」」」」
「うぉ?! やべぇ、逃げねぇと!!」
洞穴から埋め尽くす程のポイズンスネーク達が這い出てくるのにようやく気付いたキュウベイは急いで走り出した。
◆◇◆
暫し待っていると、洞穴側の方角が騒がしくなってきた。
「来た! モロ、合図と同時に風魔法でキュウベイを回収してね」
「ワフ! 任せてくれ!」
直ぐにキュウベイの姿が見え、背後からも小山程の大きさに膨れたポイズンスネークの団子が向かって来ていた。
まだネルとモロには気付いて居ないのか、逃げる獲物を追い掛けるポイズンスネーク達は隙だらけだ。
「ネルの姉御ーー! お待たせしやしたー!」
キュウベイは計画通り、巨大な落とし穴の蓋を踏み抜かないように気を付けながら走って来た。
ポイズンスネーク達も巨大な落とし穴の範囲にスッポリと収まり、完璧なタイミングだ。
(へ? 何で……キュウベイが知ってるの?!)
«――合図! ネル、今は考えない! 合図を!»
キュウベイの言葉にネルは一瞬硬直しかけたが、鑑定の激で我に返る。
「はっ!? モロ! お願い!! 土魔法発動、崩れろー!」
「アォーーン! ウインドトルネード!!」
飛び出したモロが風魔法でキュウベイを持ち上げ、近くに回収し立ち上がったネルが土魔法で蓋を崩壊させた。
「「「「「「シャァァァァ?!」」」」」」
ポイズンスネーク達は深い落とし穴に落ち、中で蠢く。
「げぇぇぇ! 気持ち悪い! でも、これで終わりだよ!! くらえ、火炎! ボォォォォォォォォ!」
巨大な落とし穴に向かって火炎を放つ。
「ガウッ! 後は任せてくれ! ウインドトルネード!」
そして、ネルの放つ火炎をモロの風魔法が吹き上げ更に火力を増してポイズンスネーク達を包み込んだ。
「まだまだ! 火炎! ボァァァァァァ!!」
それから暫くネルとモロの共同作業は続き。
「はぁはぁはぁ……喉がいだい~!」
「ワフ、あはは! でも、やったね!!」
「流石です! ネルの姉御、モロ殿!」
遂に夥しい数のポイズンスネーク達を全て焼き殺せたのであった。
「ガウッ! 友よ、落とし穴はどうやって塞ぐんだい?」
「ん? 勿論、土魔法で薄っすらと塞ぐよ」
ネルとモロは姿勢を低くしながら巨大な落とし穴を作り終えた。 後は塞ぎ、駆逐作戦を実行するのみである。
(作戦はちゃんと立てたし、上手くいけば何も問題無いよね。 もう遅毒は効かないし、ひたすらに気持ち悪いのを我慢するだけ! あ~……鑑定からも特に無い?)
«――肯定。 ネルの立てた作戦であれば、ポイズンスネークの群れは駆逐できると推測。 但し、洞穴の奥にいるのポイズンスネークキングと思われる存在が未知です。 雛達を救出する際はイレギュラーに注意して下さい»
(オッケー! じゃあ、やるね)
ネルは少し身体を起こし、キュウベイにサインを送る。
「よし、キュウベイが洞穴の入り口に向かった。 モロ、やるよ! 土魔法発動!」
「ガルル、準備万端さ友よ!」
ネルは土魔法で巨大な落とし穴に蓋をし、再度地面へと倒れ込む。
其処にモロが風魔法で土を被せ、カモフラージュを終えた。
後はキュウベイがポイズンスネークの群れを引き連れてくるのを待つだけだ。
「キュウベイ……頼んだよ」
◆◇◆
キュウベイは洞穴の入り口近くまで到着し、中を覗いていた。
「さて、刺激しないと出て来ないよな。 う~む……ん?!」
悩んでいると、頭の中に誰かの声が響き渡る。
『キュウベイ、聞こえますか?』
「誰ですかい!? 誰も……居ない?」
即座に弓を構え、周囲を警戒するが誰も姿は見えない。
『私は貴方の主の母』
「まさか……姉御の母君ですかい?」
キュウベイは声が頭の中に直接響いている事に気付き、弓を下ろした。
『そうです。 亜神の眷属たる貴方に使命を与えます』
「へ、へい……何でしょう」
『貴方の主は名をクウとなりました。 そして、貴方が今守っているのはネルです。 真なる主はクウですが、今だけはネルを守りなさい』
キュウベイは声の内容に鬼の形相で叫ぶ。
「姉御の母君……失礼を承知で言わせて下せい。 クウネルの姉御の名前がクウになろうと、ネルになろうと構いやせん。 ですが、どちらの姉御も俺にとっては真の主です! 母君の言い方だと、赤髪の姉御は今だけの存在の様な言い方では無いですか! それはあんまりでしょう!! クウネルという名前すら2つに分かれるのであれば、クウの姉御もネルの姉御も母君の娘では無いのですか!?」
キュウベイは洞穴の入り口近くで憤怒し、その怒りは足下の岩すら砕く。
キュウベイの怒りに驚いたのか、声の主は少し間をおいてから言葉を発した。
『貴方は……本当に忠義者ですね。 ネルが私の娘……考えた事も無かったわね。 はぁ……もう、良いです。 とにかく、まだ知らない様子だったら教えてあげておいて下さい。 いいですか?』
急に喋り方が柔らかくなった声の主に対し、キュウベイは何とか怒りを鎮め聞きたいことを問いかける。
「分かりやした。 ネルの姉御にはお伝えしやす。 それと……クウネル、いやクウの姉御はお元気ですか?」
『ふふ♪ そうね……元気よ? 凄く元気。 強くなる為に修行も頑張ってるから、安心してね』
「……ありがとうございやす」
キュウベイが礼を伝えた直後、頭の中に聞こえた声は完全に消えた。
「姉御……お元気なら良かった。 でも、そうか……クウの姉御が戻って来る時はネルの姉御と別れの時って事ですかい。 俺は……俺は」
キュウベイは掻き回された自分の気持ちに戸惑う。
しかし、そんな場合では無いのだ。
あれ程に大声で叫び、足下の岩を砕いたのだから刺激は充分過ぎる。
「「「「「「シャァァァァァ!」」」」」」
「うぉ?! やべぇ、逃げねぇと!!」
洞穴から埋め尽くす程のポイズンスネーク達が這い出てくるのにようやく気付いたキュウベイは急いで走り出した。
◆◇◆
暫し待っていると、洞穴側の方角が騒がしくなってきた。
「来た! モロ、合図と同時に風魔法でキュウベイを回収してね」
「ワフ! 任せてくれ!」
直ぐにキュウベイの姿が見え、背後からも小山程の大きさに膨れたポイズンスネークの団子が向かって来ていた。
まだネルとモロには気付いて居ないのか、逃げる獲物を追い掛けるポイズンスネーク達は隙だらけだ。
「ネルの姉御ーー! お待たせしやしたー!」
キュウベイは計画通り、巨大な落とし穴の蓋を踏み抜かないように気を付けながら走って来た。
ポイズンスネーク達も巨大な落とし穴の範囲にスッポリと収まり、完璧なタイミングだ。
(へ? 何で……キュウベイが知ってるの?!)
«――合図! ネル、今は考えない! 合図を!»
キュウベイの言葉にネルは一瞬硬直しかけたが、鑑定の激で我に返る。
「はっ!? モロ! お願い!! 土魔法発動、崩れろー!」
「アォーーン! ウインドトルネード!!」
飛び出したモロが風魔法でキュウベイを持ち上げ、近くに回収し立ち上がったネルが土魔法で蓋を崩壊させた。
「「「「「「シャァァァァ?!」」」」」」
ポイズンスネーク達は深い落とし穴に落ち、中で蠢く。
「げぇぇぇ! 気持ち悪い! でも、これで終わりだよ!! くらえ、火炎! ボォォォォォォォォ!」
巨大な落とし穴に向かって火炎を放つ。
「ガウッ! 後は任せてくれ! ウインドトルネード!」
そして、ネルの放つ火炎をモロの風魔法が吹き上げ更に火力を増してポイズンスネーク達を包み込んだ。
「まだまだ! 火炎! ボァァァァァァ!!」
それから暫くネルとモロの共同作業は続き。
「はぁはぁはぁ……喉がいだい~!」
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