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第201話 八咫烏の雛達救出作戦
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「休憩も程々にして、八咫烏の雛達を助けなきゃね。 急がないと、ボスが怒って雛達を食い殺しちゃうかも」
ネルは立ち上がり、隠していた皮袋とハルバードを手に持つ。
巨大な落とし穴の中は真っ黒な炭の塊になり、全てのポイズンスネークが死んだのを確認したネルは再度土魔法で埋めた。
今後、この森に動物や魔物が住む時に誤って落下しないようにだ。 ポイズンスネーク達の毒も、炭になるまで燃やした事で問題無いと鑑定からのお墨付きをもらったネルは安心してその場を離れる。
「へい、直ぐに向かいやしょうネルの姉御」
颯爽とキュウベイとモロはネルの肩に乗り、ネルは洞穴に向けて走り始めた。
「クゥン?? さっきも呼んでたけど、何故クウネルをネルと呼ぶんだいキュウベイ」
「そうだよね。 なんで……キュウベイが私の名前が勝手に変わったの知ってるの?」
モロとネルに問われたキュウベイは、先程洞穴の入り口で起きた事を説明するのであった。
◆◇◆
(何よソレ! ふざけんじゃないわよ! 勝手に名前を分けるとか何考えてんのよ、あの化け物!)
ネルはキュウベイからの説明を聞き終え、憤慨していた。
(私の名前はクウネル。 お祖父ちゃんから貰った大切な名前なのよ? アイツと分けたりするなんて、嫌よ!)
«――進言。 ネル、今は八咫烏の雛達を助ける事に集中すべきです。 暴食の邪神がキュウベイに知らせたのには、何か狙いがあると推測できますが現時点で出来る事は何もありません»
鑑定からの進言にネルは唇を噛み締めて頷く。
(それぐらい私も分かってる。 嫌だけど、それでキュウベイと喧嘩するのはもっと嫌だ。 だから……ネルでいい)
ネルが気持ちを落ち着けたと同時に、洞穴の入り口へと到着した。
「ネルの姉御、まだ雛達は無事ですかい?」
「……ちょっと待っててね。 えっと……うん、まだ気配はする。 勿論、ボスのもね」
「ガルル……じゃあ、計画通り私とキュウベイで雛達を助けて来るよ。 ネルは、私達が無事に脱出した後にボスとやらを頼むよ」
「任せて。 あ、松明がいるよね。 よっ! 火炎!」
ネルは近くの木を引き抜き、キュウベイが持てる大きさにしてから火を付けた。
「遅毒は効かないけど、噛みつかれたり何かの魔法を使うかも。 あの毒蛇達は持ってなかったけど、油断しないでね」
「へい! 必ず雛達を連れて戻りやす」
ネルはキュウベイに松明を渡した後に、洞穴の中に土魔法で階段を作る。
「ワフ、土魔法がかなり上手くなったね。 これなら、安全に下りられるよ」
「これぐらいしか出来ないけどね。 楽勝とか言ったのに、結局キュウベイとモロに危険な役目をさせちゃう……本当に気を付けてね」
モロの背中にキュウベイが乗り、2匹がゆっくりと洞穴を下りるのをネルは心配そうにずっと覗き込むのであった。
◆◇◆
「モロ殿、匂いますか?」
「ガウッ! コッチだね。 しかし……一番下に辿り着いたと思ったら、二手に分かれた巨大な洞窟になるとはね」
「迷ったら終わりですから、注意して進みやしょう」
キュウベイは腰に下げた秘薬玉を確認し、松明の明かりを頼りにモロと共に進み始めた。
暫く真っ暗な洞窟を進むと、大量の骨が散乱した大きな空間に出る。
「クンクン……この先だね。 此処は、ポイズンスネーク達の餌場だったのかな?」
「かもしれやせん。 凄まじい量の骨だ。 どれだけの動物や魔物を喰い荒らしたらこんな事に……ん!?」
山のように積まれた骨を踏み砕きながら進んでいると、キュウベイの耳に微かな鳴き声が聞こえた。
「ワフ! キュウベイあっちだ!」
2匹が鳴き声の方へと進み、巨大な空間の壁が見えた時。
足下の小さな隙間からはっきりと鳴き声が聞こえた。
「こんな隙間に……? モロ殿、自分が矢で穴を開けやす。 松明を咥えておいていただけやすか?」
「ガフ、勿論さ。 しかし……隙間の周囲が傷だらけだ。 もしや、雛達は生かされたのでは無く自ら隙間に逃げ込んだのかもしれないね」
モロの言う通り、雛達が居るであろう岩の隙間には夥しい数の歯形や毒液が付着した痕跡が残っていた。
恐らく、攫われた雛達は食われる寸前に岩の隙間へと身を隠しずっと生き永らえていたのだろう。
「速射!」
キュウベイの弓から矢が放たれ、寸分の狂いも無く雛達が隠れる隙間の上に突き刺さり丸い穴が開いた。
「「「「「ぴー!? ぴー!」」」」」
松明で穴の中を照らすと中には5羽の雛が震えており、明らかに衰弱している。
「良かった……まだ生きてやす」
「クンクン……キュウベイ、何かが動き出した匂いがする。 早く出ないと不味いね」
「なっ!? 分かりやした。 とりあえず……えっと、秘薬玉を潰して」
キュウベイは腰から秘薬玉を取り出し潰して怯える雛達の口に入れる。
するとみるみる雛達は元気を取り戻し、助けられた事を理解出来たのかキュウベイの足下まで歩み寄ってきた。
「抜群の効き目ですね。 よし、雛達は抱えました。 モロ殿、お願いします!」
「ガウッ! 急ぐからしっかり乗っていてくれよ!」
そして、雛達を抱えたキュウベイはモロの背中に乗り急いで洞穴の出口へと走る。
だが、既に遅かった。
広い空間の出入り口に向けて走っていると、山の様に積まれた骨が突如として吹き飛んだ。
「モロ、殿回避を!」
間一髪で避けると、長い鞭のような何かが何本も地面を叩いた。
地面は抉れ、骨が粉々に砕け散る。
回避した勢いのまま出入り口へとモロは向かおうとしたが、行く手を塞ぐ様に目の前に紫の斑模様のある太く巨大な蛇の胴体が現れた。
「ガルル……遅かったみたいだね」
キュウベイが天井に向けて松明を向けると、頭が八つある巨大なポイズンスネークらしき魔物が舌をチロチロと出しながらモロ達の方を睨んでいた。
ネルは立ち上がり、隠していた皮袋とハルバードを手に持つ。
巨大な落とし穴の中は真っ黒な炭の塊になり、全てのポイズンスネークが死んだのを確認したネルは再度土魔法で埋めた。
今後、この森に動物や魔物が住む時に誤って落下しないようにだ。 ポイズンスネーク達の毒も、炭になるまで燃やした事で問題無いと鑑定からのお墨付きをもらったネルは安心してその場を離れる。
「へい、直ぐに向かいやしょうネルの姉御」
颯爽とキュウベイとモロはネルの肩に乗り、ネルは洞穴に向けて走り始めた。
「クゥン?? さっきも呼んでたけど、何故クウネルをネルと呼ぶんだいキュウベイ」
「そうだよね。 なんで……キュウベイが私の名前が勝手に変わったの知ってるの?」
モロとネルに問われたキュウベイは、先程洞穴の入り口で起きた事を説明するのであった。
◆◇◆
(何よソレ! ふざけんじゃないわよ! 勝手に名前を分けるとか何考えてんのよ、あの化け物!)
ネルはキュウベイからの説明を聞き終え、憤慨していた。
(私の名前はクウネル。 お祖父ちゃんから貰った大切な名前なのよ? アイツと分けたりするなんて、嫌よ!)
«――進言。 ネル、今は八咫烏の雛達を助ける事に集中すべきです。 暴食の邪神がキュウベイに知らせたのには、何か狙いがあると推測できますが現時点で出来る事は何もありません»
鑑定からの進言にネルは唇を噛み締めて頷く。
(それぐらい私も分かってる。 嫌だけど、それでキュウベイと喧嘩するのはもっと嫌だ。 だから……ネルでいい)
ネルが気持ちを落ち着けたと同時に、洞穴の入り口へと到着した。
「ネルの姉御、まだ雛達は無事ですかい?」
「……ちょっと待っててね。 えっと……うん、まだ気配はする。 勿論、ボスのもね」
「ガルル……じゃあ、計画通り私とキュウベイで雛達を助けて来るよ。 ネルは、私達が無事に脱出した後にボスとやらを頼むよ」
「任せて。 あ、松明がいるよね。 よっ! 火炎!」
ネルは近くの木を引き抜き、キュウベイが持てる大きさにしてから火を付けた。
「遅毒は効かないけど、噛みつかれたり何かの魔法を使うかも。 あの毒蛇達は持ってなかったけど、油断しないでね」
「へい! 必ず雛達を連れて戻りやす」
ネルはキュウベイに松明を渡した後に、洞穴の中に土魔法で階段を作る。
「ワフ、土魔法がかなり上手くなったね。 これなら、安全に下りられるよ」
「これぐらいしか出来ないけどね。 楽勝とか言ったのに、結局キュウベイとモロに危険な役目をさせちゃう……本当に気を付けてね」
モロの背中にキュウベイが乗り、2匹がゆっくりと洞穴を下りるのをネルは心配そうにずっと覗き込むのであった。
◆◇◆
「モロ殿、匂いますか?」
「ガウッ! コッチだね。 しかし……一番下に辿り着いたと思ったら、二手に分かれた巨大な洞窟になるとはね」
「迷ったら終わりですから、注意して進みやしょう」
キュウベイは腰に下げた秘薬玉を確認し、松明の明かりを頼りにモロと共に進み始めた。
暫く真っ暗な洞窟を進むと、大量の骨が散乱した大きな空間に出る。
「クンクン……この先だね。 此処は、ポイズンスネーク達の餌場だったのかな?」
「かもしれやせん。 凄まじい量の骨だ。 どれだけの動物や魔物を喰い荒らしたらこんな事に……ん!?」
山のように積まれた骨を踏み砕きながら進んでいると、キュウベイの耳に微かな鳴き声が聞こえた。
「ワフ! キュウベイあっちだ!」
2匹が鳴き声の方へと進み、巨大な空間の壁が見えた時。
足下の小さな隙間からはっきりと鳴き声が聞こえた。
「こんな隙間に……? モロ殿、自分が矢で穴を開けやす。 松明を咥えておいていただけやすか?」
「ガフ、勿論さ。 しかし……隙間の周囲が傷だらけだ。 もしや、雛達は生かされたのでは無く自ら隙間に逃げ込んだのかもしれないね」
モロの言う通り、雛達が居るであろう岩の隙間には夥しい数の歯形や毒液が付着した痕跡が残っていた。
恐らく、攫われた雛達は食われる寸前に岩の隙間へと身を隠しずっと生き永らえていたのだろう。
「速射!」
キュウベイの弓から矢が放たれ、寸分の狂いも無く雛達が隠れる隙間の上に突き刺さり丸い穴が開いた。
「「「「「ぴー!? ぴー!」」」」」
松明で穴の中を照らすと中には5羽の雛が震えており、明らかに衰弱している。
「良かった……まだ生きてやす」
「クンクン……キュウベイ、何かが動き出した匂いがする。 早く出ないと不味いね」
「なっ!? 分かりやした。 とりあえず……えっと、秘薬玉を潰して」
キュウベイは腰から秘薬玉を取り出し潰して怯える雛達の口に入れる。
するとみるみる雛達は元気を取り戻し、助けられた事を理解出来たのかキュウベイの足下まで歩み寄ってきた。
「抜群の効き目ですね。 よし、雛達は抱えました。 モロ殿、お願いします!」
「ガウッ! 急ぐからしっかり乗っていてくれよ!」
そして、雛達を抱えたキュウベイはモロの背中に乗り急いで洞穴の出口へと走る。
だが、既に遅かった。
広い空間の出入り口に向けて走っていると、山の様に積まれた骨が突如として吹き飛んだ。
「モロ、殿回避を!」
間一髪で避けると、長い鞭のような何かが何本も地面を叩いた。
地面は抉れ、骨が粉々に砕け散る。
回避した勢いのまま出入り口へとモロは向かおうとしたが、行く手を塞ぐ様に目の前に紫の斑模様のある太く巨大な蛇の胴体が現れた。
「ガルル……遅かったみたいだね」
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