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第203話 殺す気かい!?
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「ふしゅー……ふしゅー……殺す殺す殺す殺す! 逃がすかぁぁぁぁ!!」
ネルの燃える髪と両手の拳から発される熱気で、洞穴の温度が一気に上昇する。
«――スキルの使用を確認。 まさか、怒る事が発動条件?! ネル、憤怒の拳が強制的に発動されています。 どんなデメリットが起こるか分かりません! 冷静になって下さい!»
ネルは鑑定の声を無視し、洞穴の壁をよじ登って逃走しようと首を伸ばしていた八つ首のポイズンスネークへと高速で迫る。
そして、燃える拳で一つの首を打ち付けた。
「ギジャァ?!」
殴られた首は粉々に吹き飛び、先端の頭は悲鳴を上げながら一気に燃え上がる。
「「「「「「「シャァルルルル!」」」」」」」
同胞を失った怒りからか、逃走を止めた七つ首のポイズンスネークは一斉に口を開き大量の石礫が射出された。
«――ネル! 土魔法の石礫です。 まともに当たらない様に注意して下さい!»
「うるさい! うるさいうるさいうるさい! 殺さないと、早く殺さないと今度はキュウベイが食べれられちゃう!」
鑑定の警告が頭の中に響くが、怒り狂っているネルには届かない。
「ネルの姉御! 危険です!」
キュウベイはネルに叫びながら岩陰に隠れ、何とか危機を逃れるが今のネルにはキュウベイの声も届かなかった。
至近距離で放たれた石礫はネルの身体に直撃し、露出している肌を貫く。
身体中に穴が空き、血が噴き出すがネルは構わずに燃え盛る拳で七つ首のポイズンスネークを滅多打ちにした。
「あぁぁぁぁ! こんなの痛くない! 大切な友達を食われた事に比べたらかすり傷よ! 死ね! 早く死ね! 今直ぐに死ねぇぇぇぇ!」
七つの首全てを粉々になるまで連打していると、激しい衝撃が洞穴の壁に伝わったせいかひび割れ崩れ始めた。
「「「「「「ギジャァァァ!?」」」」」」
殴られた箇所が砕け散り、燃え上がるポイズンスネークは抵抗をする暇も無く滅多打ちにされる。
「「「「「ギャジャァァ!!」」」」」
断末魔の数が減るが、ネルは止まらない。
ポイズンスネークは尻尾を鞭のようにしならせ、殴るネルに打ち付けたがびくともしなかった。
燃える拳がネルの手首すら焼き、肉が焦げる匂いや煙が上がってもネルは止まれない。
「よくもモロを! 私の大切な友達だったのに! ちくしょう! 私のせいだ! 私のせいだ!!」
身体から溢れる憤怒が強くなる程にネルの赤髪は燃え盛る。
「「「「ギャジャ……」」」」
「私が洞穴に行かせたから! 雛達を見捨てれなかったから! 私のせいで!」
「「「ギャ……」」」
「消えろ消えろ消えろ消えろ! 私の前から消えろぉぉぉー!!」
遂に断末魔が消え去り、残ったのは首を全て失ったポイズンスネークの胴体だけとなった。
そして、壁に打ち付けられていた胴体が地面へと落ちる。
「はぁはぁはぁ……死んだ。 やっと……でも、モロが。 うわぁぁぁぁ……モロぉぉぉ! ごめんね、私のせいでごめんね」
«――気配。 ネル、聞こえますか? ネル!»
ネルの瞳から大粒の涙がこぼれ落ち、ようやく火が消えた。 赤髪は元通りになり、両手は肘まで焼け焦げている。
激痛の筈だが、モロを失った悲しみでネルは痛みも鑑定の声にも気付けない。
「ネルの姉御! な、なんて酷い怪我を! 直ぐに秘薬玉を取りに……うぉっ?!」
ネルが重傷なのに気付いたキュウベイが急いで地上へと向かおうとするが、死んでいる筈の首を失ったポイズンスネークの胴体が大きく跳ねた。
「キュウベイ離れて! 痛たた……嘘でしょ? あれでまだ生きてるの?! あがっ!? ……ダメだ、両手使えないや」
«――ネル! 聞いて下さい! 攻撃をしてはダメです!»
ネルはハルバードを拾おうとしたが、両手は動かない。 肘から下が殆ど炭になっているせいだ。
「うぐぐ……え? 鑑定?! キュウベイ待って!」
「姉御、後は俺が! 離れていてください!」
キュウベイは弓を構え、蠢く胴体へと狙いを絞る。
そしてネルがキュウベイを止めたと同時に胴体の一部が吹き飛び、中から何かが飛び出してきた。
キュウベイは重傷のネルを守る為に、即座に矢を放つ。
「速射!」
「キャウンッ?! キュウベイ、危ないじゃないか! 殺す気かい!?」
だが、その矢は2足型のモロに蹴落とされた。
「モロ殿!?」
「モロ!! 生きてたの!?」
「ガウッ! 勿論さ。 こう見えて、私は飛竜王の腹の中でも死ななかったからね。 戦っている最中に、奴の腹から八咫烏の雛達の声が聞こえたのさ。 丸呑みにされて生きてるのに気付いてね、助ける為に口に飛び込んだんだけど……ちょっと待ってくれるかい。 さっきまでの凄い振動で酔っちゃって……うっぷ!!」
吐きそうになっているモロの背後から数十羽もの八咫烏の雛達がドロドロの状態で空いた穴から出て来た。
ネル達が洞穴に到着する前に食われていたのか、衰弱しているが直ぐに治療すれば助かりそうだ。
「も、もぉぉぉぉ! 無茶して! モロが死んじゃったと思って、私、私、うわぁぁぁぁん!!」
安堵したネルは号泣し、モロはネルの怪我に驚く。
「クゥン!? ネル、酷い怪我じゃないか! 早く治療しよう。 キュウベイ! 雛達を頼む、私だけでは運び切れないんだ」
「わ、分かりやした!」
キュウベイは急いで雛達を捕まえ、洞穴を出ようとするが先程の戦闘で階段は崩れてしまっていた。
「モロ殿ダメです! 階段が崩れて上がれやせん!」
「ガウッ! 友よ、洞穴が崩れてる。 早く脱出しないと不味いよ!」
「分かっ……あぐ?! 両手が使えないと土魔法が発動しない……あぎっ!?」
モロに言われ、泣き止んだネルが再度階段を作ろうとするが発動出来なかった。
洞窟は既に崩壊し、直ぐに拡張された洞穴も崩れて埋まってしまうだろう。
一刻の猶予も無い中、突如として洞穴にネルの皮袋が落ちて来た。
ネルの燃える髪と両手の拳から発される熱気で、洞穴の温度が一気に上昇する。
«――スキルの使用を確認。 まさか、怒る事が発動条件?! ネル、憤怒の拳が強制的に発動されています。 どんなデメリットが起こるか分かりません! 冷静になって下さい!»
ネルは鑑定の声を無視し、洞穴の壁をよじ登って逃走しようと首を伸ばしていた八つ首のポイズンスネークへと高速で迫る。
そして、燃える拳で一つの首を打ち付けた。
「ギジャァ?!」
殴られた首は粉々に吹き飛び、先端の頭は悲鳴を上げながら一気に燃え上がる。
「「「「「「「シャァルルルル!」」」」」」」
同胞を失った怒りからか、逃走を止めた七つ首のポイズンスネークは一斉に口を開き大量の石礫が射出された。
«――ネル! 土魔法の石礫です。 まともに当たらない様に注意して下さい!»
「うるさい! うるさいうるさいうるさい! 殺さないと、早く殺さないと今度はキュウベイが食べれられちゃう!」
鑑定の警告が頭の中に響くが、怒り狂っているネルには届かない。
「ネルの姉御! 危険です!」
キュウベイはネルに叫びながら岩陰に隠れ、何とか危機を逃れるが今のネルにはキュウベイの声も届かなかった。
至近距離で放たれた石礫はネルの身体に直撃し、露出している肌を貫く。
身体中に穴が空き、血が噴き出すがネルは構わずに燃え盛る拳で七つ首のポイズンスネークを滅多打ちにした。
「あぁぁぁぁ! こんなの痛くない! 大切な友達を食われた事に比べたらかすり傷よ! 死ね! 早く死ね! 今直ぐに死ねぇぇぇぇ!」
七つの首全てを粉々になるまで連打していると、激しい衝撃が洞穴の壁に伝わったせいかひび割れ崩れ始めた。
「「「「「「ギジャァァァ!?」」」」」」
殴られた箇所が砕け散り、燃え上がるポイズンスネークは抵抗をする暇も無く滅多打ちにされる。
「「「「「ギャジャァァ!!」」」」」
断末魔の数が減るが、ネルは止まらない。
ポイズンスネークは尻尾を鞭のようにしならせ、殴るネルに打ち付けたがびくともしなかった。
燃える拳がネルの手首すら焼き、肉が焦げる匂いや煙が上がってもネルは止まれない。
「よくもモロを! 私の大切な友達だったのに! ちくしょう! 私のせいだ! 私のせいだ!!」
身体から溢れる憤怒が強くなる程にネルの赤髪は燃え盛る。
「「「「ギャジャ……」」」」
「私が洞穴に行かせたから! 雛達を見捨てれなかったから! 私のせいで!」
「「「ギャ……」」」
「消えろ消えろ消えろ消えろ! 私の前から消えろぉぉぉー!!」
遂に断末魔が消え去り、残ったのは首を全て失ったポイズンスネークの胴体だけとなった。
そして、壁に打ち付けられていた胴体が地面へと落ちる。
「はぁはぁはぁ……死んだ。 やっと……でも、モロが。 うわぁぁぁぁ……モロぉぉぉ! ごめんね、私のせいでごめんね」
«――気配。 ネル、聞こえますか? ネル!»
ネルの瞳から大粒の涙がこぼれ落ち、ようやく火が消えた。 赤髪は元通りになり、両手は肘まで焼け焦げている。
激痛の筈だが、モロを失った悲しみでネルは痛みも鑑定の声にも気付けない。
「ネルの姉御! な、なんて酷い怪我を! 直ぐに秘薬玉を取りに……うぉっ?!」
ネルが重傷なのに気付いたキュウベイが急いで地上へと向かおうとするが、死んでいる筈の首を失ったポイズンスネークの胴体が大きく跳ねた。
「キュウベイ離れて! 痛たた……嘘でしょ? あれでまだ生きてるの?! あがっ!? ……ダメだ、両手使えないや」
«――ネル! 聞いて下さい! 攻撃をしてはダメです!»
ネルはハルバードを拾おうとしたが、両手は動かない。 肘から下が殆ど炭になっているせいだ。
「うぐぐ……え? 鑑定?! キュウベイ待って!」
「姉御、後は俺が! 離れていてください!」
キュウベイは弓を構え、蠢く胴体へと狙いを絞る。
そしてネルがキュウベイを止めたと同時に胴体の一部が吹き飛び、中から何かが飛び出してきた。
キュウベイは重傷のネルを守る為に、即座に矢を放つ。
「速射!」
「キャウンッ?! キュウベイ、危ないじゃないか! 殺す気かい!?」
だが、その矢は2足型のモロに蹴落とされた。
「モロ殿!?」
「モロ!! 生きてたの!?」
「ガウッ! 勿論さ。 こう見えて、私は飛竜王の腹の中でも死ななかったからね。 戦っている最中に、奴の腹から八咫烏の雛達の声が聞こえたのさ。 丸呑みにされて生きてるのに気付いてね、助ける為に口に飛び込んだんだけど……ちょっと待ってくれるかい。 さっきまでの凄い振動で酔っちゃって……うっぷ!!」
吐きそうになっているモロの背後から数十羽もの八咫烏の雛達がドロドロの状態で空いた穴から出て来た。
ネル達が洞穴に到着する前に食われていたのか、衰弱しているが直ぐに治療すれば助かりそうだ。
「も、もぉぉぉぉ! 無茶して! モロが死んじゃったと思って、私、私、うわぁぁぁぁん!!」
安堵したネルは号泣し、モロはネルの怪我に驚く。
「クゥン!? ネル、酷い怪我じゃないか! 早く治療しよう。 キュウベイ! 雛達を頼む、私だけでは運び切れないんだ」
「わ、分かりやした!」
キュウベイは急いで雛達を捕まえ、洞穴を出ようとするが先程の戦闘で階段は崩れてしまっていた。
「モロ殿ダメです! 階段が崩れて上がれやせん!」
「ガウッ! 友よ、洞穴が崩れてる。 早く脱出しないと不味いよ!」
「分かっ……あぐ?! 両手が使えないと土魔法が発動しない……あぎっ!?」
モロに言われ、泣き止んだネルが再度階段を作ろうとするが発動出来なかった。
洞窟は既に崩壊し、直ぐに拡張された洞穴も崩れて埋まってしまうだろう。
一刻の猶予も無い中、突如として洞穴にネルの皮袋が落ちて来た。
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