真巨人転生~腹ペコ娘は美味しい物が食べたい~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
212 / 247

第206話 八咫烏のアタ

しおりを挟む
 (どうか、このお祖父ちゃん八咫烏が空を自由に飛べてますように……。 鑑定)

 ネルは永遠に眠る白い八咫烏に手を合わせ、鑑定を使用した。

 ステータス画面

 種族 八咫烏王神 ヤタ

 年齢 360

 レベル 489

 HP 0/400000

 FP  100000/100000

 攻撃力 250000

 防御力 150000

 知力 400000

 速力 500000

 スキル 飛行LvMax. 隠密LvMax. 風耐性LvMax. 雷耐性LvMax. 魔物食らい. 魔物殺し. 大物食い. 群れを率いし者. 王に到達せし者. 大陸を渡りし王. 八咫烏の王. 亜神に到達せし者. 知恵を蓄えし者. 名を与えられし者. 敗北者 

 魔法 風魔法LvMax. 雷魔法LvMax

 戦技 嘴突貫LvMax. 切り裂きLvMax. 音速飛行LvMax

 状態異常 死亡

 (このお祖父ちゃん八咫烏……ヤタって名前なのね。 それに、凄いステータス……。 何時ぞやに私を攫った飛竜に比べたら雲泥の差ね)

 ネルは八咫烏王神ヤタのステータスを確認しながら唸る。

 (大陸を渡りし王? 他に大陸があるなんてお祖父ちゃんは言ってなかったよね……どういう事?)

 スキル欄に目を通し、気になる項目を見ていると鑑定の急かす声が頭の中に響いた。

 «――名付け。 ネル、気掛かりは沢山あるかと思いますが今は名付けをどうするか優先すべきです»

 (え? でも……うーん、分かったわよ。 でも……何か私に隠してないでしょうね?)

 «――黙秘»

 (はぁ……? ったく、何よそれ。 まぁ良いわよ……いい名前が思い付いたから)

 ネルは待っている八咫烏の下に四つん這いで近付く。

 「お待たせ、貴方のお父さんはヤタって名前なんだね」

 新しい長となった八咫烏は目を見開いて驚く。

 「カァー!? な、何故父の名を?! 俺以外には話していない筈ですが……」

 「細かい事は良いの! だからね……名前を決めました。 気に入るかどうかは知らないけど……名前はアタでどうかな? お父さんの名前ヤタをもじってアタ。 私が知ってる神話で八咫烏をアタとも呼んでたらしくて、神の使いらしいよ」

 ネルは前世の朧気な記憶を探り、自身では良いセンスだと思える名前を伝えた。

 「カァァ……アタ。 父の名に似ている……それに、神の使い! 気に入りましたネル様! 俺はアタ!! アタだーーー!」

 アタは嬉しそうに飛び立ち、そのまま群れの上空を旋回しながら自身の名前を叫んだ。

 「「「「カァァァァァァァァ!!」」」」

 それを聞いた八咫烏達は新たな長誕生を祝うように鳴き声を上げた。

 「ふふ、喜んでもらえたなら良かったよ」

 «――鑑定。 ネル、アタを鑑定してみてはどうですか?»

 (ん? あぁ、そうだね鑑定してなかったし名前が付いたか観とかないと……鑑定!)

 ステータス画面

 種族 八咫烏王 アタ

 年齢 66 

 レベル 101

 HP 58000/58000

 FP  25000/25000

 攻撃力 33000

 防御力 20000 

 知力 11000 

 速力 75000

 スキル 飛行Lv6. 隠密Lv6. 風耐性Lv4. 雷耐性Lv4. 魔物食らい. 魔物殺し. 大物食い. 群れを率いし者(new). 王に到達せし者(new). 八咫烏の王(new). 名を与えられし者(new)

 魔法 風魔法Lv3. 雷魔法Lv2

 戦技 嘴突貫Lv4. 切り裂きLv4. 音速飛行Lv1

 状態異常 なし

 (うん、ちゃんと名前が付いてる! それにヤタに比べたら可愛らしいステータスだけど、やっぱりそれなりに強いね)

 ネルはアタの名前を確認し、ちゃんと名付けができたのだと安堵した。

 ◆◇◆

 「へへ、流石ネルの姉御でさぁ!」

 「え~? それほどでも……えへへ」

 ネルはキュウベイと共にモロがゴブリン王国への手紙を書き終えるのを待っていた。

 「ワフ、これで友は理解し君達を受け入れてくれるだろう」

 皮袋に直接書き終えた手紙をモロはアタの前へと置く。

 「カァァ! かたじけない、森狼王殿。 世話になる以上、我等八咫烏はゴブリン王国を守護すると約束しよう」

 「クフクフ、よろしく頼むよ」

 アタはネルの方と近付き頭を下げる。

 「カァァ、ネル様。 父ヤタの埋葬、心より感謝します」

 「別にいいよ。 本意では無いけど、八咫烏達は私に仕えるんでしょ? なら、私の身内だもん。 気にしないで」

 「カァァ、父ヤタの検眼は正しかったです。 俺は当初、奴等を屠るのは無理だとネル様達を侮っていた。 だが、今は己を恥じるばかりです。 ネル様、キュウベイ殿、森狼王殿。 本当に感謝します」

 アタが3本ある足で皮袋を持つと、他の八咫烏達も飛び立ち始めた。

 「気にしないでいいってば。 ゴブリン王国に着いたら皆の事お願いね。 食べ物は魔物や動物を狩ればある筈だから」

 「アタ殿、ネルの姉御の事は俺が必ず守りやす。 姉御の大切なゴブリン王国をお願いしやす!」

 「ガウッ! 方角を守れば巨大な城が見える筈さ。 また会おう、新しき友よ!」

 「カァァー! 我等が主ネル様。 もし、我等の羽が必要とあらば主の印を掲げて下さい! 直ぐに駆け付け、御身の力となります! それでは、暫しの別れですが御武運を!!」

 アタは飛び立ち、群れを率いてゴブリン王国へと飛び去った。

 「さて、お腹も空いたし早く旅を再開しよっか~」

 「そうですね、流石にお腹が空いてしょうがないです」

 「クフクフ、ポイズンスネーク達が荒らした縄張りを出たら直ぐに何か食べれるさ。 さぁ、行こう!」

 ネル達も巨大な岩山を降り、旅を再開したのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...