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第219話 子トロール達との約束
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「ふ~……何とかなったね。 キュウベイ、モロ無事? 怪我してない?」
ネルは気配察知を頼りに子トロール達を追いかけながら、肩になる2匹を心配していた。
「俺は大丈夫です。 ですが、矢が後1本になりやした」
「クフクフ、私も平気さ。 しかし、困ったね。 あのトロール達が勝てない筈さ……まさか、攻撃が効かないとは」
モロの言う通り、トロール達は水竜達の粘膜を突破出来ずに敗北したのだろう。 トロール達の主な武器が銛や弓なのを考えると無理もない。
「無事なら良かった~……とりあえず、逃げてた子トロール達に追い付いてからどうするか考えようよ」
「へい、そうしやしょう!」
「ガウッ、そうだね。 あの3匹が怪我をしていないかも心配だし」
ネルは大切な2匹が無事なのに安堵し、そのまま子トロール達の気配が止まった場所まで向かった。
◆◇◆
「ゴゴゴォォォ?! な、何だべやお前等! で、でっけぇなぁ!」
たどり着いたのは、ボロボロのあばら家が並ぶ小さな集落だった。
門番らしきトロールが銛を構えながら、接近してきたネルを見上げて叫ぶ。
「あー……私達は怪しい者じゃないよ。 えっと、大集落の族長のオログさんって分かるかな……? 一応知り合いだよ」
「んだべや?! 族長が生きてんだべか!! ちょっと狭ぇけども入ってけろ入ってけろ!」
トロールの族長オログの名前を出すと、敵では無いと判断したのかネルを歓迎してくれた。
しかし、狭すぎるせいでそもそも足すら入らない。
「わわ、ちょっと私には狭すぎるかも……。 キュウベイ、モロ、降りて話して来てくれる?」
「お任せくだせい! 先程の子トロール達の事も聞いてみやすね」
「ワフ、そうだね。 ネルはちょっと此処で待っていてくれ。 直ぐに戻るよ」
「うん、お願いね」
肩に乗る2匹を降ろし、ネルは大人しく小さな集落の側で座って待つ。
(鑑定? ねぇ、鑑定ってば。 まだ現在地の確認してるの?)
暇潰しに鑑定に話しかけるが、応答は無い。
(何よ、時間かかり過ぎじゃない? はぁ……暇だなぁ)
ネルはキュウベイとモロが帰って来るのを待ち続けるのであった。
◆◇◆
「――という事がありやして、とりあえず無事かどうか確認したいんでさぁ」
「ゴォ?! さっき、子共達が銛を持って帰って来たと思ったら大集落の廃墟に行ってただ!? あんの、クソガキ共!」
キュウベイが門番のトロールに事情を話すと、何やら激怒しながら一軒のあばら家に向かった。
「んだべや! お前等、あれ程彼処には行ってはいけねぇって言ったべや!?」
「んぎゃ!」 「んだ!?」 「ゴォッ?!」
あばら家には3匹の子トロール達が居り、門番のトロールは叱りながら拳骨を頭に落とす。
3匹の悲鳴を聞きながらキュウベイとモロは苦笑いだ。
「ゴガ! しかも、助けてくれた方々に礼も言わねぇで! この馬鹿ガキ共が!」
「そ、そのへんで! 俺達は大丈夫ですから!」
更に拳骨が落ちそうな所を見かねたキュウベイが制止し、門番のトロールは怒りの矛を納めた。
「んだべか……恩たる方がそうおっしゃるなら許すべ。 そんで? お前等は彼処に何しに行ったんだべ? 水竜に皆食われたのを忘れただか!?」
「ゴォ……だって、親父の銛が」 「んだべ、親父と母様の仇を討つためだべ!」 「んだべ、んだべ! 兄貴達の言う通り何だべ! オラ達には秘策があるんだべ!」
「ゴガァァ! 馬鹿共が! お前達如きが、オラ達でも太刀打ち出来なかった水竜を倒せる訳ねぇべ! これ以上、若い命を無駄にするでねぇ!!」
3匹の子トロール達と門番の話しを聞きながらキュウベイは眉をひそめる。
「クゥン? キュウベイ、どうしたんだい?」
「いえ……何でも無いです。 ん? 門番殿、外にトロール達が集まって来たようですが」
キュウベイの様子をモロが心配していると、あばら家に他のトロール達が集まって来た。
「んだ! 悪い悪い、ちょっと説明して来るでな! んだべ、さっき聞いた族長達の話しを皆にしねぇと!」
門番は騒がしい外の様子を見て、急いであばら家を出て行った。
残されたキュウベイとモロは怯える3匹の子トロール達に話し掛ける。
「さっきは危なかったですね。 怪我は無いですかい?」
キュウベイは膝を付き、なるべく優しい声色でゆっくりと聞く。
「んだ」 「ゴガ、さっきはあんがと」 「ゴォ! 兄ちゃんと狼、すんげかった!」
すると、助けられた時の事を思い出したのか子トロール達は興奮しながらキュウベイ達に近付いて来た。
「クフクフ、やれやれどの種族でも子供達は元気なのが一番だね。 おっと、背中に乗りたいのかい?」
子トロールの兄弟は大きな狼であるモロにまとわり付き、背中によじ登る。
「……ですね。 あの……聞いても良いですかい? さっき、秘策がどうたらって言ってたですよね? もし、本当にそんな秘策が有るのなら教えて欲しいんでさぁ」
キュウベイが問い掛けると、長男らしき子トロールがモロから降りて呟いた。
「んだべ……もし教えたら、オラ達の親父と母様の敵討ちしてくれるんだべか?」
キュウベイは真剣な顔で子トロールの手を握り頷いた。
「約束しやす。 必ず、水竜達を殺すと」
ネルは気配察知を頼りに子トロール達を追いかけながら、肩になる2匹を心配していた。
「俺は大丈夫です。 ですが、矢が後1本になりやした」
「クフクフ、私も平気さ。 しかし、困ったね。 あのトロール達が勝てない筈さ……まさか、攻撃が効かないとは」
モロの言う通り、トロール達は水竜達の粘膜を突破出来ずに敗北したのだろう。 トロール達の主な武器が銛や弓なのを考えると無理もない。
「無事なら良かった~……とりあえず、逃げてた子トロール達に追い付いてからどうするか考えようよ」
「へい、そうしやしょう!」
「ガウッ、そうだね。 あの3匹が怪我をしていないかも心配だし」
ネルは大切な2匹が無事なのに安堵し、そのまま子トロール達の気配が止まった場所まで向かった。
◆◇◆
「ゴゴゴォォォ?! な、何だべやお前等! で、でっけぇなぁ!」
たどり着いたのは、ボロボロのあばら家が並ぶ小さな集落だった。
門番らしきトロールが銛を構えながら、接近してきたネルを見上げて叫ぶ。
「あー……私達は怪しい者じゃないよ。 えっと、大集落の族長のオログさんって分かるかな……? 一応知り合いだよ」
「んだべや?! 族長が生きてんだべか!! ちょっと狭ぇけども入ってけろ入ってけろ!」
トロールの族長オログの名前を出すと、敵では無いと判断したのかネルを歓迎してくれた。
しかし、狭すぎるせいでそもそも足すら入らない。
「わわ、ちょっと私には狭すぎるかも……。 キュウベイ、モロ、降りて話して来てくれる?」
「お任せくだせい! 先程の子トロール達の事も聞いてみやすね」
「ワフ、そうだね。 ネルはちょっと此処で待っていてくれ。 直ぐに戻るよ」
「うん、お願いね」
肩に乗る2匹を降ろし、ネルは大人しく小さな集落の側で座って待つ。
(鑑定? ねぇ、鑑定ってば。 まだ現在地の確認してるの?)
暇潰しに鑑定に話しかけるが、応答は無い。
(何よ、時間かかり過ぎじゃない? はぁ……暇だなぁ)
ネルはキュウベイとモロが帰って来るのを待ち続けるのであった。
◆◇◆
「――という事がありやして、とりあえず無事かどうか確認したいんでさぁ」
「ゴォ?! さっき、子共達が銛を持って帰って来たと思ったら大集落の廃墟に行ってただ!? あんの、クソガキ共!」
キュウベイが門番のトロールに事情を話すと、何やら激怒しながら一軒のあばら家に向かった。
「んだべや! お前等、あれ程彼処には行ってはいけねぇって言ったべや!?」
「んぎゃ!」 「んだ!?」 「ゴォッ?!」
あばら家には3匹の子トロール達が居り、門番のトロールは叱りながら拳骨を頭に落とす。
3匹の悲鳴を聞きながらキュウベイとモロは苦笑いだ。
「ゴガ! しかも、助けてくれた方々に礼も言わねぇで! この馬鹿ガキ共が!」
「そ、そのへんで! 俺達は大丈夫ですから!」
更に拳骨が落ちそうな所を見かねたキュウベイが制止し、門番のトロールは怒りの矛を納めた。
「んだべか……恩たる方がそうおっしゃるなら許すべ。 そんで? お前等は彼処に何しに行ったんだべ? 水竜に皆食われたのを忘れただか!?」
「ゴォ……だって、親父の銛が」 「んだべ、親父と母様の仇を討つためだべ!」 「んだべ、んだべ! 兄貴達の言う通り何だべ! オラ達には秘策があるんだべ!」
「ゴガァァ! 馬鹿共が! お前達如きが、オラ達でも太刀打ち出来なかった水竜を倒せる訳ねぇべ! これ以上、若い命を無駄にするでねぇ!!」
3匹の子トロール達と門番の話しを聞きながらキュウベイは眉をひそめる。
「クゥン? キュウベイ、どうしたんだい?」
「いえ……何でも無いです。 ん? 門番殿、外にトロール達が集まって来たようですが」
キュウベイの様子をモロが心配していると、あばら家に他のトロール達が集まって来た。
「んだ! 悪い悪い、ちょっと説明して来るでな! んだべ、さっき聞いた族長達の話しを皆にしねぇと!」
門番は騒がしい外の様子を見て、急いであばら家を出て行った。
残されたキュウベイとモロは怯える3匹の子トロール達に話し掛ける。
「さっきは危なかったですね。 怪我は無いですかい?」
キュウベイは膝を付き、なるべく優しい声色でゆっくりと聞く。
「んだ」 「ゴガ、さっきはあんがと」 「ゴォ! 兄ちゃんと狼、すんげかった!」
すると、助けられた時の事を思い出したのか子トロール達は興奮しながらキュウベイ達に近付いて来た。
「クフクフ、やれやれどの種族でも子供達は元気なのが一番だね。 おっと、背中に乗りたいのかい?」
子トロールの兄弟は大きな狼であるモロにまとわり付き、背中によじ登る。
「……ですね。 あの……聞いても良いですかい? さっき、秘策がどうたらって言ってたですよね? もし、本当にそんな秘策が有るのなら教えて欲しいんでさぁ」
キュウベイが問い掛けると、長男らしき子トロールがモロから降りて呟いた。
「んだべ……もし教えたら、オラ達の親父と母様の敵討ちしてくれるんだべか?」
キュウベイは真剣な顔で子トロールの手を握り頷いた。
「約束しやす。 必ず、水竜達を殺すと」
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