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第220話 陸地を蹂躙と不屈の修行
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「ふんふん、なるほどね~。 水竜の弱点は火か……でも、私の火炎で焼き殺せる?」
ネルは子トロール達と戻って来たキュウベイから話しを聞いていた。
「いえ、火でヌルヌルの粘膜を落とすんです。 粘膜が消えた場所は攻撃が通るそうなので、姉御の武器やモロ殿の風魔法も効くかと」
「クゥン? しかし……それは本当なのかい? 確認が必要だと私は思うよ。 もし、実戦の時に違いましたは危険だ」
「うん、モロの言う通りだと思う。 ねぇ、何で君達がそんな事を知ってるのか聞いてもいい?」
ネルは顔を近付かせ、3匹の子トロールに問い掛ける。 すると、子トロール達は怯えながらも口を開いた。
「んだ……本当だ」 「ゴォガ! 親父が……食われる前に叫んでたのをオラ達聞いたんだ」 「……火でヌルヌルを落とせる。 銛が刺さるぞ!って……」
「そっか……話してくれてありがとう。 辛いのにごめんね」
ネルが指先で優しく子トロール達を撫でると、警戒を解いたのか子トロール達は照れくさそうに笑う。
「ガウッ! 門番殿、さっきの子トロール達の話しは初耳なのかい?」
近くで様子を見ているトロール達は初耳なのか顔を見合わせている。 しかし、顔を顰める門番は知っていたようだ。
「んだべや……前に聞いただ。 んでも、それを試そうにも成功しようが失敗しようが食われる結末は変わらんでな。 族長達も食われたと思っておったで……今更皆に伝えても仕方ないと思っただ」
どうやら門番は水竜の弱点を聞いていたが、既に絶滅に近い状況のトロールが知っても無駄だと黙っていた様だ。
「姉御、兎にも角にも先ずはこの集落に住むトロール達をオログ殿の大集落まで案内しやしょう! 水竜の事はその後でも……姉御?」
突然武器を手に持って立ち上がったネルの事をキュウベイ達は見上げる。 ネルの表情は堅く、海の方を見つめていた。
「キュウベイ、この集落に住むトロール達はコレで全部?」
「へい! 33匹のトロール達で全部です」
「んだべ、早く族長の所に行きたいと皆が集まったでな。 コレで全部だべ?」
「分かった、早くこの家に入って! 早く!!」
ネルは大きめのあばら家を1軒持ち上げ、トロール達の前に降ろす。 そして、焦った声で入るように促した。
「クゥン? ネル、どうしたんだい?」
「説明してる時間は無いの! 死にたくないなら早く入って!」
「ぜ、全員早く家の中に! 急いでくだせい!」
ネルの気迫に押され、キュウベイ達は狼狽えるトロール達をあばら家に押し込んだ。
すると、何処からとも無く地響きがし地面が大きく揺れ始める。
「うおっ?! 地震!? あ、姉御、行けやす!」
「間に合った! よし、抱えて走るよ! 捕まってて!!」
モロとキュウベイが肩に乗ったのを確認し、ネルは片手にあばら家を抱えて走り出した。
「ワフ? 本当にどうし……なっ?!」
「モロ殿、何が見え……マジですかい!」
「「「「「「シャルルガァァ!!」」」」」」
立ち上がったネルの肩から見えたのは、互いを絡ませながら陸地を蹂躙する水竜達の姿だった。
巨大なネルでも大きく感じる水竜は恐らく成体なのだろう。 太く何処までも長い胴体が見える。
そして、狙いはネル達なのか森を蹂躙しながら真っ直ぐ此方へと向かって来ていた。
「全速力で逃げるから捕まっててねーー!」
ネルは走り出した直後に小さな集落は跡形も無くなり、大口を開けた水竜達がネル達の後ろを追跡するのであった。
◆◇◆
ネル達が陸地を蹂躙する水竜達に追われている頃、クウは傷だらけで地面に倒れていた。
「あー……痛い。 ねぇ、お母さん。 流石にやり過ぎじゃない?」
「あら~? これぐらいまだまだよ~? はい、暴食の食卓」
母の権能により、ボロボロのクウは全回復し立ち上がる。
「ふ~! よし、もう一回!」
「勿論良いわよ~? じゃあ……行くわね♪」
立ち上がり戦闘態勢をとるクウに、母は背後から出した黒い触手を高速で打ちつけ始めた。
「わわ! それ卑怯だよ!! いけ、暴食の口!」
直ぐ様クウも応戦し、母から教わった暴食の技で立ち向かう。 クウの周囲にデフォルメされた小さなクウ達が現れ、ズラリと並ぶ鋭い牙で黒い触手に噛み付いた。
「「「「「「「オナカヘッター!」」」」」」」
「ふふ♪ 小さなクウちゃん達可愛いわね~♪ でも、まだ無理かな?」
母の操る黒い触手が無慈悲にも小さなクウ達を消し飛ばし、本体のクウ諸共打ち付けた。
「にぎゃーー?! いっっったい!」
「ほらほら、今度は自分で治してみなさい。 生き物を食べて回復出来ない時は、瞬時に暴食の食卓が使えないと死ぬわよ~♪」
普段は愛娘のクウに甘い母だが、戦いを教える際にはスパルタであった。 其処には一切の優しさや甘さは無く、クウが強くなれるように徹底的に厳しかった。
「ぐぬぬ……暴食の……食卓! よっしゃー!!」
血だらけで苦しんでいたクウだったが、何とか自身で回復し再度立ち上がる。
「お母さん、もう一回!」
こうして、クウの修行はまだまだ続く。
ネルは子トロール達と戻って来たキュウベイから話しを聞いていた。
「いえ、火でヌルヌルの粘膜を落とすんです。 粘膜が消えた場所は攻撃が通るそうなので、姉御の武器やモロ殿の風魔法も効くかと」
「クゥン? しかし……それは本当なのかい? 確認が必要だと私は思うよ。 もし、実戦の時に違いましたは危険だ」
「うん、モロの言う通りだと思う。 ねぇ、何で君達がそんな事を知ってるのか聞いてもいい?」
ネルは顔を近付かせ、3匹の子トロールに問い掛ける。 すると、子トロール達は怯えながらも口を開いた。
「んだ……本当だ」 「ゴォガ! 親父が……食われる前に叫んでたのをオラ達聞いたんだ」 「……火でヌルヌルを落とせる。 銛が刺さるぞ!って……」
「そっか……話してくれてありがとう。 辛いのにごめんね」
ネルが指先で優しく子トロール達を撫でると、警戒を解いたのか子トロール達は照れくさそうに笑う。
「ガウッ! 門番殿、さっきの子トロール達の話しは初耳なのかい?」
近くで様子を見ているトロール達は初耳なのか顔を見合わせている。 しかし、顔を顰める門番は知っていたようだ。
「んだべや……前に聞いただ。 んでも、それを試そうにも成功しようが失敗しようが食われる結末は変わらんでな。 族長達も食われたと思っておったで……今更皆に伝えても仕方ないと思っただ」
どうやら門番は水竜の弱点を聞いていたが、既に絶滅に近い状況のトロールが知っても無駄だと黙っていた様だ。
「姉御、兎にも角にも先ずはこの集落に住むトロール達をオログ殿の大集落まで案内しやしょう! 水竜の事はその後でも……姉御?」
突然武器を手に持って立ち上がったネルの事をキュウベイ達は見上げる。 ネルの表情は堅く、海の方を見つめていた。
「キュウベイ、この集落に住むトロール達はコレで全部?」
「へい! 33匹のトロール達で全部です」
「んだべ、早く族長の所に行きたいと皆が集まったでな。 コレで全部だべ?」
「分かった、早くこの家に入って! 早く!!」
ネルは大きめのあばら家を1軒持ち上げ、トロール達の前に降ろす。 そして、焦った声で入るように促した。
「クゥン? ネル、どうしたんだい?」
「説明してる時間は無いの! 死にたくないなら早く入って!」
「ぜ、全員早く家の中に! 急いでくだせい!」
ネルの気迫に押され、キュウベイ達は狼狽えるトロール達をあばら家に押し込んだ。
すると、何処からとも無く地響きがし地面が大きく揺れ始める。
「うおっ?! 地震!? あ、姉御、行けやす!」
「間に合った! よし、抱えて走るよ! 捕まってて!!」
モロとキュウベイが肩に乗ったのを確認し、ネルは片手にあばら家を抱えて走り出した。
「ワフ? 本当にどうし……なっ?!」
「モロ殿、何が見え……マジですかい!」
「「「「「「シャルルガァァ!!」」」」」」
立ち上がったネルの肩から見えたのは、互いを絡ませながら陸地を蹂躙する水竜達の姿だった。
巨大なネルでも大きく感じる水竜は恐らく成体なのだろう。 太く何処までも長い胴体が見える。
そして、狙いはネル達なのか森を蹂躙しながら真っ直ぐ此方へと向かって来ていた。
「全速力で逃げるから捕まっててねーー!」
ネルは走り出した直後に小さな集落は跡形も無くなり、大口を開けた水竜達がネル達の後ろを追跡するのであった。
◆◇◆
ネル達が陸地を蹂躙する水竜達に追われている頃、クウは傷だらけで地面に倒れていた。
「あー……痛い。 ねぇ、お母さん。 流石にやり過ぎじゃない?」
「あら~? これぐらいまだまだよ~? はい、暴食の食卓」
母の権能により、ボロボロのクウは全回復し立ち上がる。
「ふ~! よし、もう一回!」
「勿論良いわよ~? じゃあ……行くわね♪」
立ち上がり戦闘態勢をとるクウに、母は背後から出した黒い触手を高速で打ちつけ始めた。
「わわ! それ卑怯だよ!! いけ、暴食の口!」
直ぐ様クウも応戦し、母から教わった暴食の技で立ち向かう。 クウの周囲にデフォルメされた小さなクウ達が現れ、ズラリと並ぶ鋭い牙で黒い触手に噛み付いた。
「「「「「「「オナカヘッター!」」」」」」」
「ふふ♪ 小さなクウちゃん達可愛いわね~♪ でも、まだ無理かな?」
母の操る黒い触手が無慈悲にも小さなクウ達を消し飛ばし、本体のクウ諸共打ち付けた。
「にぎゃーー?! いっっったい!」
「ほらほら、今度は自分で治してみなさい。 生き物を食べて回復出来ない時は、瞬時に暴食の食卓が使えないと死ぬわよ~♪」
普段は愛娘のクウに甘い母だが、戦いを教える際にはスパルタであった。 其処には一切の優しさや甘さは無く、クウが強くなれるように徹底的に厳しかった。
「ぐぬぬ……暴食の……食卓! よっしゃー!!」
血だらけで苦しんでいたクウだったが、何とか自身で回復し再度立ち上がる。
「お母さん、もう一回!」
こうして、クウの修行はまだまだ続く。
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