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第60話 会談前の暗躍
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怯えたティナに悪いと思いながらもマリは怒りをコントロールする事が出来なかった。
「ごめんね、ティナ。 元の世界に戻せる? メリーさんと話さないといけないんだ」
『ふ、ふん! またね、マリ。 大丈夫よ、あんたなら未来を変えられる。 この世界をエナが望んだ未来に導く最初の試練よ! 頑張んなさいよ?』
ティナの激励に、ようやくマリは眉間の皺を弛め微笑んだ。
「ありがとう、頑張ってくるね」
少し頬を紅く染めたティナが光ると、元の世界に戻ってきた。
ーーーーーって!? あれ? 陛下?」
メリーがマリの目を覗き込んだ時に戻った事で、マリはあの空間にいる間は時間が止まる事を知った。
(流石、世界に唯一無二の妖精だ。すごっ!)
マリの目が光ったと思った直後に何時もの目に戻った事をメリーは理解できずにオロオロしている。
「あはは、メリーさん……会談前に話があるんだけどいいかな」
マリの真剣な表情にメリーは黙って頷いた。
◆◇◆
「ーー以上が私の見た未来ね。 で、ここから何だけど……まずデランさん一家を助けます。 その時にデランさんをエントン王国側に引き込みたいな。 もちろん、ユリさんとソウタくんも一緒にね」
「かしこまりました、陛下。 メイド暗部部隊総勢10名が現在帝都内にて何時でも動ける様に潜入しております。 会談が終わる迄に、手配させますね」
マリの話を瞬時に理解し、即座に筆を紙に走らせる。メリーにはマリを疑う事など一瞬たりとも無く、聞いた未来の内容を全て記憶し対策を練った。
肩に乗った雀の足に手紙を括ると、チュン丸は地下にある換気口から飛び去る。
「やっぱり会談の時にデランさんが私を庇うのは止めれないかな?」
マリのもっともな質問にメリーは渋い顔をする。
「そうでございますね……未来での事を聞く限りだと会談で何か起こるようですね。 最悪、デランさんに庇われなければ今日中に陛下が処刑される未来になるかもしれません。 リスクが高すぎます」
「うーん、やっぱりそうか。 仕方ない、先ずはデランさん達の無事を確保すべきだね。 ありがとうメリーさん。 そうだ、一応アマンダの故郷だし伝えておこっか……メリーさんアマンダ呼んできて」
早急の案件をメリーと相談したマリは、メリーに耳を塞がされて牢屋から離されていたアマンダを呼んでマリは話し始めた。
「アマンダ聞いて欲しい事があるんだ。 期限は1ヶ月ぐらいが前提になるんだけど、この帝国ぐちゃぐちゃにするね。 後、アマンダの上司の近衛師団団長のカエサルとか云うゴミも始末するから」
凄まじい事を発言しているにも関わらず聖女の様に優しく微笑むマリを見て、アマンダは血の気が引く。
「陛下、アマンダが怯えておりますので……」
「え? あっ、ごめんねアマンダ。 気を付けるね」
「い、いえ! め、滅相もないです……」
メリーに注意され謝罪するもアマンダはまだドン引きだった。 マリはそれだけ自身が憤怒しているのを2人に撒き散らしていたんだと気付き深く反省した。
「あちゃー、メリーさん続きは夜デランさん達を助けてからにしよっか」
「その方がよろしいかと、そろそろ呼ばれそうですしね。アマンダを信用してない訳では無いのですが、事情が事情なのでまた改めて説明しますね」
メリーに優しく諭されたアマンダはまだ元気が無い。
「は、はい……大丈夫です。 でも……そ、その……少しだけ除け者にされたみたいで寂しかったです」
「本当にごめんねー! メリーさん、アマンダに何かオヤツを! 早く!」
「こんな事もあろうかと! どうぞアマンダ、プリンですよ~」
不貞腐れていたアマンダは初めて食べたプリンに頬を緩ませ、一瞬で機嫌が直ったのであった。
「んーーー! むいひいむふー!」
「ごめんね、ティナ。 元の世界に戻せる? メリーさんと話さないといけないんだ」
『ふ、ふん! またね、マリ。 大丈夫よ、あんたなら未来を変えられる。 この世界をエナが望んだ未来に導く最初の試練よ! 頑張んなさいよ?』
ティナの激励に、ようやくマリは眉間の皺を弛め微笑んだ。
「ありがとう、頑張ってくるね」
少し頬を紅く染めたティナが光ると、元の世界に戻ってきた。
ーーーーーって!? あれ? 陛下?」
メリーがマリの目を覗き込んだ時に戻った事で、マリはあの空間にいる間は時間が止まる事を知った。
(流石、世界に唯一無二の妖精だ。すごっ!)
マリの目が光ったと思った直後に何時もの目に戻った事をメリーは理解できずにオロオロしている。
「あはは、メリーさん……会談前に話があるんだけどいいかな」
マリの真剣な表情にメリーは黙って頷いた。
◆◇◆
「ーー以上が私の見た未来ね。 で、ここから何だけど……まずデランさん一家を助けます。 その時にデランさんをエントン王国側に引き込みたいな。 もちろん、ユリさんとソウタくんも一緒にね」
「かしこまりました、陛下。 メイド暗部部隊総勢10名が現在帝都内にて何時でも動ける様に潜入しております。 会談が終わる迄に、手配させますね」
マリの話を瞬時に理解し、即座に筆を紙に走らせる。メリーにはマリを疑う事など一瞬たりとも無く、聞いた未来の内容を全て記憶し対策を練った。
肩に乗った雀の足に手紙を括ると、チュン丸は地下にある換気口から飛び去る。
「やっぱり会談の時にデランさんが私を庇うのは止めれないかな?」
マリのもっともな質問にメリーは渋い顔をする。
「そうでございますね……未来での事を聞く限りだと会談で何か起こるようですね。 最悪、デランさんに庇われなければ今日中に陛下が処刑される未来になるかもしれません。 リスクが高すぎます」
「うーん、やっぱりそうか。 仕方ない、先ずはデランさん達の無事を確保すべきだね。 ありがとうメリーさん。 そうだ、一応アマンダの故郷だし伝えておこっか……メリーさんアマンダ呼んできて」
早急の案件をメリーと相談したマリは、メリーに耳を塞がされて牢屋から離されていたアマンダを呼んでマリは話し始めた。
「アマンダ聞いて欲しい事があるんだ。 期限は1ヶ月ぐらいが前提になるんだけど、この帝国ぐちゃぐちゃにするね。 後、アマンダの上司の近衛師団団長のカエサルとか云うゴミも始末するから」
凄まじい事を発言しているにも関わらず聖女の様に優しく微笑むマリを見て、アマンダは血の気が引く。
「陛下、アマンダが怯えておりますので……」
「え? あっ、ごめんねアマンダ。 気を付けるね」
「い、いえ! め、滅相もないです……」
メリーに注意され謝罪するもアマンダはまだドン引きだった。 マリはそれだけ自身が憤怒しているのを2人に撒き散らしていたんだと気付き深く反省した。
「あちゃー、メリーさん続きは夜デランさん達を助けてからにしよっか」
「その方がよろしいかと、そろそろ呼ばれそうですしね。アマンダを信用してない訳では無いのですが、事情が事情なのでまた改めて説明しますね」
メリーに優しく諭されたアマンダはまだ元気が無い。
「は、はい……大丈夫です。 でも……そ、その……少しだけ除け者にされたみたいで寂しかったです」
「本当にごめんねー! メリーさん、アマンダに何かオヤツを! 早く!」
「こんな事もあろうかと! どうぞアマンダ、プリンですよ~」
不貞腐れていたアマンダは初めて食べたプリンに頬を緩ませ、一瞬で機嫌が直ったのであった。
「んーーー! むいひいむふー!」
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