[完結]転生したのは死が間近の女王様!? ~超可愛い弟が王になれるよう平凡な女王が抗う奮闘記~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
62 / 231

第60話 会談前の暗躍

しおりを挟む
 怯えたティナに悪いと思いながらもマリは怒りをコントロールする事が出来なかった。

 「ごめんね、ティナ。 元の世界に戻せる? メリーさんと話さないといけないんだ」

 『ふ、ふん! またね、マリ。 大丈夫よ、あんたなら未来を変えられる。 この世界をエナが望んだ未来に導く最初の試練よ! 頑張んなさいよ?』

 ティナの激励に、ようやくマリは眉間の皺を弛め微笑んだ。

 「ありがとう、頑張ってくるね」

 少し頬を紅く染めたティナが光ると、元の世界に戻ってきた。

 ーーーーーって!? あれ? 陛下?」

 メリーがマリの目を覗き込んだ時に戻った事で、マリはあの空間にいる間は時間が止まる事を知った。

 (流石、世界に唯一無二の妖精だ。すごっ!)

 マリの目が光ったと思った直後に何時もの目に戻った事をメリーは理解できずにオロオロしている。

 「あはは、メリーさん……会談前に話があるんだけどいいかな」

 マリの真剣な表情にメリーは黙って頷いた。

 ◆◇◆

 「ーー以上が私の見た未来ね。 で、ここから何だけど……まずデランさん一家を助けます。 その時にデランさんをエントン王国側に引き込みたいな。 もちろん、ユリさんとソウタくんも一緒にね」

 「かしこまりました、陛下。 メイド暗部部隊総勢10名が現在帝都内にて何時でも動ける様に潜入しております。 会談が終わる迄に、手配させますね」

 マリの話を瞬時に理解し、即座に筆を紙に走らせる。メリーにはマリを疑う事など一瞬たりとも無く、聞いた未来の内容を全て記憶し対策を練った。

 肩に乗った雀の足に手紙を括ると、チュン丸は地下にある換気口から飛び去る。

 「やっぱり会談の時にデランさんが私を庇うのは止めれないかな?」

 マリのもっともな質問にメリーは渋い顔をする。

 「そうでございますね……未来での事を聞く限りだと会談で何か起こるようですね。 最悪、デランさんに庇われなければ今日中に陛下が処刑される未来になるかもしれません。 リスクが高すぎます」

 「うーん、やっぱりそうか。 仕方ない、先ずはデランさん達の無事を確保すべきだね。 ありがとうメリーさん。 そうだ、一応アマンダの故郷だし伝えておこっか……メリーさんアマンダ呼んできて」

 早急の案件をメリーと相談したマリは、メリーに耳を塞がされて牢屋から離されていたアマンダを呼んでマリは話し始めた。

 「アマンダ聞いて欲しい事があるんだ。 期限は1ヶ月ぐらいが前提になるんだけど、この帝国ぐちゃぐちゃにするね。 後、アマンダの上司の近衛師団団長のカエサルとか云うゴミも始末するから」

 凄まじい事を発言しているにも関わらず聖女の様に優しく微笑むマリを見て、アマンダは血の気が引く。

 「陛下、アマンダが怯えておりますので……」

 「え? あっ、ごめんねアマンダ。 気を付けるね」 

 「い、いえ! め、滅相もないです……」

 メリーに注意され謝罪するもアマンダはまだドン引きだった。 マリはそれだけ自身が憤怒しているのを2人に撒き散らしていたんだと気付き深く反省した。

 「あちゃー、メリーさん続きは夜デランさん達を助けてからにしよっか」

 「その方がよろしいかと、そろそろ呼ばれそうですしね。アマンダを信用してない訳では無いのですが、事情が事情なのでまた改めて説明しますね」

 メリーに優しく諭されたアマンダはまだ元気が無い。

 「は、はい……大丈夫です。 でも……そ、その……少しだけ除け者にされたみたいで寂しかったです」

 「本当にごめんねー! メリーさん、アマンダに何かオヤツを! 早く!」

 「こんな事もあろうかと! どうぞアマンダ、プリンですよ~」

 不貞腐れていたアマンダは初めて食べたプリンに頬を緩ませ、一瞬で機嫌が直ったのであった。

 「んーーー! むいひいむふー!」
 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

処理中です...