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第61話 王族調停会談
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アマンダのご機嫌とりが成功し、マリ達がひと息ついていると数名の近衛師団の兵士が迎えにやってきた。
「アマンダ技師、エントン王国の女王を会談に移動させる時間が……何か食べてたのか?」
口を抑えて慌てるアマンダに近衛師団の兵士は問いかける。
まだ頬までパンパンにプリンを詰めたアマンダは何も答えれない。 一瞬で飲み込めるが、飲み込みたく無いのだ。
「こほんっ! 近衛師団の皆さん、エントン王国女王陛下の移動が何よりも重要では? それとも、王族調停にはるばるやって来た者に対するこの無礼が帝国の礼儀なのですか?」
メリーの言葉に近衛師団の兵士達は一瞬苛立ちを見せたが、直ぐに移動の準備に入る。
アマンダはメリーからの助けに感謝しながら、ようやく観念してプリンを流し込んだ。
その様子をマリは苦笑いで見ていた。
◆◇◆
黒檀で出来た城の廊下を進む。
壁も床も黒いが、それを豪華なシャンデリアや絵画等で飾られ床も赤い絨毯が何処までも続き何とも華やかな廊下だ。
「着いたぞ、メイドはここで待て。 中には我らがキャベル女皇帝陛下に帝国の重鎮達が勢揃いしているだろう。 不用意な行動を取れば、即座に処されると思え」
案内した近衛師団の兵士が偉そうに説明する。
「ほいほい、案内ありがとう。 じゃあ、メリーさん……行ってくるね」
既に帝国に対して敵対する覚悟を決めたマリの笑みを見て、メリーは深いお辞儀で応えた。
「行ってらっしゃいませ、エントン王国女王マリ陛下」
近衛師団の兵士が重い両扉を開き、マリは躊躇うことなく入った。
入った部屋は途轍もない広さの大広間であった。
長く続く赤い絨毯の先には黒檀に装飾がされた玉座に派手な黒髪の女性が頬杖をついている。
金の刺繍がされた漆黒のガウンコートを羽織り、赤のシャツに黒のズボンにも派手な刺繍が散りばめられておりマリには成金の悪趣味ファッションに見えた。
(アレが……ゴルメディア帝国女皇帝、ゴルメディア フォル キャベルか。 小説の描写では殆ど語られなかったからな~……まっ、なんとかなるかな)
マリが全く怯まずにキャベルへと向かって歩きだすと、キャベルの周囲に立っていた帝国の女貴族達や鎧を着た将兵達がざわめく。
まさか小国の女王が、ましてや少女がこの状況で全く怯まずに進み出てくるとは思っていなかったのだろう。
これにはキャベルも不敵な笑みを浮かべていた。
「ちょっと! 其処で待て! 女皇帝陛下に跪きなさい!」
1人の女貴族が遠慮なく進むマリを制止する。
「……はい? あの~、私は王族調停に来たんですけど? 何故、貴女にそんな事を言われないといけないのかな?」
ニッコリと微笑むマリを見て、制止した女貴族は思わず後ずさりする。
マリの中では既に帝国の重鎮とやらも敵だ。
遠慮する必要も気を使う必要も無い。
「はっはっはっは! すまない、エントン王国女王よ。 至らぬ私のせいだ、その馬鹿を許してやってほしい」
突如として笑ったキャベルはマリに話しかけた。
「いえいえ、至らぬ女貴族が居るのは何処も同じですわ。 少し前にも私の王国にも居ましたから……全員処刑しましたが」
マリの言葉に女貴族は遂には尻もちを付き、後ろへと下がっていった。
「はっはっはっ! 本当に噂は当てにならないね……」
「それはそれは、良い噂だと嬉しいのですが?」
周囲の女貴族達や将兵達はこの状況を呑み込めずにいた。
キャベルは階段の上にある玉座に座り、小国の女王は下でただ立っているだけだ。 上下関係は明らかなのに、まるで対等な者同士のように会話をしているのだ。
「やれやれ、さて……本題の前に幾つか聞いてもいいかしら」
「答えれる事でしたら」
あくまでも対等に会話するマリをキャベルは当初の印象とは違い気に入り始めていた。
現在のゴルメディア帝国には、キャベルに対して対等に話そうとする者など皆無だったからだ。
見た目はか弱い少女なのに、キャベルの目には帝国を喰いに来た化け物のように映っていた。
「このゴルメディア帝国をどう評価する? 牢屋に入る前に街並みや村々を見ただろう?」
この質問には女貴族達も胸を張る。
どう考えても、小国の街並みとは比べ物にならないからだ。 この帝城もこの世界で一番の城だと自負している。
しかし、マリの口から発せられた言葉でこの王族調停の場は大荒れする事になる。
「そうですね、正直に申し上げて……ゴミですね。 いえ、ゴミに失礼でした。 ゴミ以下です」
キャベルのこめかみに血管が浮き出た。
「アマンダ技師、エントン王国の女王を会談に移動させる時間が……何か食べてたのか?」
口を抑えて慌てるアマンダに近衛師団の兵士は問いかける。
まだ頬までパンパンにプリンを詰めたアマンダは何も答えれない。 一瞬で飲み込めるが、飲み込みたく無いのだ。
「こほんっ! 近衛師団の皆さん、エントン王国女王陛下の移動が何よりも重要では? それとも、王族調停にはるばるやって来た者に対するこの無礼が帝国の礼儀なのですか?」
メリーの言葉に近衛師団の兵士達は一瞬苛立ちを見せたが、直ぐに移動の準備に入る。
アマンダはメリーからの助けに感謝しながら、ようやく観念してプリンを流し込んだ。
その様子をマリは苦笑いで見ていた。
◆◇◆
黒檀で出来た城の廊下を進む。
壁も床も黒いが、それを豪華なシャンデリアや絵画等で飾られ床も赤い絨毯が何処までも続き何とも華やかな廊下だ。
「着いたぞ、メイドはここで待て。 中には我らがキャベル女皇帝陛下に帝国の重鎮達が勢揃いしているだろう。 不用意な行動を取れば、即座に処されると思え」
案内した近衛師団の兵士が偉そうに説明する。
「ほいほい、案内ありがとう。 じゃあ、メリーさん……行ってくるね」
既に帝国に対して敵対する覚悟を決めたマリの笑みを見て、メリーは深いお辞儀で応えた。
「行ってらっしゃいませ、エントン王国女王マリ陛下」
近衛師団の兵士が重い両扉を開き、マリは躊躇うことなく入った。
入った部屋は途轍もない広さの大広間であった。
長く続く赤い絨毯の先には黒檀に装飾がされた玉座に派手な黒髪の女性が頬杖をついている。
金の刺繍がされた漆黒のガウンコートを羽織り、赤のシャツに黒のズボンにも派手な刺繍が散りばめられておりマリには成金の悪趣味ファッションに見えた。
(アレが……ゴルメディア帝国女皇帝、ゴルメディア フォル キャベルか。 小説の描写では殆ど語られなかったからな~……まっ、なんとかなるかな)
マリが全く怯まずにキャベルへと向かって歩きだすと、キャベルの周囲に立っていた帝国の女貴族達や鎧を着た将兵達がざわめく。
まさか小国の女王が、ましてや少女がこの状況で全く怯まずに進み出てくるとは思っていなかったのだろう。
これにはキャベルも不敵な笑みを浮かべていた。
「ちょっと! 其処で待て! 女皇帝陛下に跪きなさい!」
1人の女貴族が遠慮なく進むマリを制止する。
「……はい? あの~、私は王族調停に来たんですけど? 何故、貴女にそんな事を言われないといけないのかな?」
ニッコリと微笑むマリを見て、制止した女貴族は思わず後ずさりする。
マリの中では既に帝国の重鎮とやらも敵だ。
遠慮する必要も気を使う必要も無い。
「はっはっはっは! すまない、エントン王国女王よ。 至らぬ私のせいだ、その馬鹿を許してやってほしい」
突如として笑ったキャベルはマリに話しかけた。
「いえいえ、至らぬ女貴族が居るのは何処も同じですわ。 少し前にも私の王国にも居ましたから……全員処刑しましたが」
マリの言葉に女貴族は遂には尻もちを付き、後ろへと下がっていった。
「はっはっはっ! 本当に噂は当てにならないね……」
「それはそれは、良い噂だと嬉しいのですが?」
周囲の女貴族達や将兵達はこの状況を呑み込めずにいた。
キャベルは階段の上にある玉座に座り、小国の女王は下でただ立っているだけだ。 上下関係は明らかなのに、まるで対等な者同士のように会話をしているのだ。
「やれやれ、さて……本題の前に幾つか聞いてもいいかしら」
「答えれる事でしたら」
あくまでも対等に会話するマリをキャベルは当初の印象とは違い気に入り始めていた。
現在のゴルメディア帝国には、キャベルに対して対等に話そうとする者など皆無だったからだ。
見た目はか弱い少女なのに、キャベルの目には帝国を喰いに来た化け物のように映っていた。
「このゴルメディア帝国をどう評価する? 牢屋に入る前に街並みや村々を見ただろう?」
この質問には女貴族達も胸を張る。
どう考えても、小国の街並みとは比べ物にならないからだ。 この帝城もこの世界で一番の城だと自負している。
しかし、マリの口から発せられた言葉でこの王族調停の場は大荒れする事になる。
「そうですね、正直に申し上げて……ゴミですね。 いえ、ゴミに失礼でした。 ゴミ以下です」
キャベルのこめかみに血管が浮き出た。
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