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第65話 会談終了
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マリの頬は緩み、視線は目の前のグラスに注がれるドワーフしか飲めないとされる鬼殺しに釘付けだ。
女貴族達の顔は青ざめ、将兵達は大広間に広がる鬼殺しの酒気だけで立ち眩みに襲われていた。
流石のキャベルも唾を飲み込み、注がれたグラスに口を付けるのを躊躇った。
少量ですら、人間族が飲めば生死に関わると言われるドワーフ秘蔵の鬼殺し。 ゴルメディア帝国では猛毒酒と女貴族達の間では呼ばれている。
キャベルが意を決してグラスに少量入った鬼殺しを飲み干し、周囲からは称賛の声が上がる。
「流石、女皇帝陛下!」 「あの量を飲み干されるとは!」 「素晴らしいですわ!」
「ふはははは! おぉっ!? ふぅ……どうだ、マリよ。 この飲み比べ、我のか……ち?」
身体をふらつかせたキャベルは周囲の称賛に手を上げ応えた。 そして、勝利を確信したキャベルだがマリの方を見て唖然とした。
「んぐ、んぐ、んぐ、んぐ、ぷはぁー!」
ワイングラスに並々鬼殺しを注いで何度も飲み干すマリの姿があった。
キャベルに注目していた他の参加者達もマリに気付き顔を引き攣らせる。
「マ……マリ? 大丈夫か……?」
少量で生死に関わる鬼殺しをマリはメイドから瓶を奪い自らワイングラスに注いでいた。
「ふえ……? ひくっ、なにがでふか~? ひくっ、あははははは! 美味しい~、やっぱりドワーフさんの作るお酒が一番美味しい~! んぐ、んぐ、んぐ? ありゃ? 無くなっちゃった~!」
明らかに泥酔しているマリはまるで水を飲むかのように鬼殺しの一升瓶を飲み干してしまった。
「ふはは……まさか、勝負にすらならぬとは。 うぅっ、皆の者! 我とマリの飲み比べはマリの勝ちだ! よって、マリの滞在を許可する。 マリよ……うっぷ、すまんまた話そう! 誰か、マリを部屋に案内してやれ」
キャベルは女皇帝の威厳を保つ為に玉座に座り、必死に吐き気と戦っていた。
「えー? ひくっ、でもまだ飲みたいのー! ひくっ、キャベル女皇帝陛下~鬼殺しのお代わりを~」
「ふはははは! お前……凄いな。 おい、マリに一升瓶渡してやれ」
「わ~、ありがとうございますー!ひくっ!」
「マリ女王陛下、こちらでございます」
呆れたキャベルがメイドに指示をすると、1人のメイドが一升瓶を持ちマリを連れて退出した。
周囲の参加者達も、ようやく嵐の様な存在が消えたと食事や酒を飲んでいるとキャベルが玉座の後方にひっそりと合図を飛ばす。
するとキャベルの前に、近衛師団団長カエサルや先程まで姿を隠していたブラック宰相とアバン皇子が姿を現した。
「やれやれ……まさか、酒の強さがここまでとはな。 だが、分かった。 アレは、無能では無いが害の無い女よ。我が可愛い息子アバン、お前が敵視する必要は無いだろう」
「ですが……奴はエナを」
アバンは母親であるキャベルに反論しようとしたが、キャベルに睨まれ押し黙った。
「ブラック……お前はどう評価した」
キャベルに問われたブラック宰相は猛禽類の様な瞳を細ませ答えた。
「はっ、女皇帝陛下の仰った様に無能では無いようですが……たかが小国の元女王です。 ゴルメディア帝国に滞在しようが毒にも薬にもならないでしょう」
ブラック宰相の答えに満足そうに頷いたキャベルはカエサルを呼び、指示をした。
「カエサル、念の為に見張りを増やせ。 確か……今はアマンダ技師1人だったな。 見張りをいきなり増やしても怪しまれるだけだろう。 与える部屋に忍ばせろ。 もし、怪しい動きが有れば報告しな」
「はっ!」
マリが居なくなった後のキャベルは冷徹なゴルメディア女皇帝の顔になっていた。
「よし、とりあえず……私は部屋で寝る。 うっぷ、皆もご苦労! 明日は遅めに起こしてくれ」
口を抑えて退出するキャベルを周囲の参加者達は敬礼し見送る。
ブラック宰相だけは、横目で歯をくいしばり鬼の形相をしているアバン皇子と近衛師団団長カエサルの横顔を見ていた。
女貴族達の顔は青ざめ、将兵達は大広間に広がる鬼殺しの酒気だけで立ち眩みに襲われていた。
流石のキャベルも唾を飲み込み、注がれたグラスに口を付けるのを躊躇った。
少量ですら、人間族が飲めば生死に関わると言われるドワーフ秘蔵の鬼殺し。 ゴルメディア帝国では猛毒酒と女貴族達の間では呼ばれている。
キャベルが意を決してグラスに少量入った鬼殺しを飲み干し、周囲からは称賛の声が上がる。
「流石、女皇帝陛下!」 「あの量を飲み干されるとは!」 「素晴らしいですわ!」
「ふはははは! おぉっ!? ふぅ……どうだ、マリよ。 この飲み比べ、我のか……ち?」
身体をふらつかせたキャベルは周囲の称賛に手を上げ応えた。 そして、勝利を確信したキャベルだがマリの方を見て唖然とした。
「んぐ、んぐ、んぐ、んぐ、ぷはぁー!」
ワイングラスに並々鬼殺しを注いで何度も飲み干すマリの姿があった。
キャベルに注目していた他の参加者達もマリに気付き顔を引き攣らせる。
「マ……マリ? 大丈夫か……?」
少量で生死に関わる鬼殺しをマリはメイドから瓶を奪い自らワイングラスに注いでいた。
「ふえ……? ひくっ、なにがでふか~? ひくっ、あははははは! 美味しい~、やっぱりドワーフさんの作るお酒が一番美味しい~! んぐ、んぐ、んぐ? ありゃ? 無くなっちゃった~!」
明らかに泥酔しているマリはまるで水を飲むかのように鬼殺しの一升瓶を飲み干してしまった。
「ふはは……まさか、勝負にすらならぬとは。 うぅっ、皆の者! 我とマリの飲み比べはマリの勝ちだ! よって、マリの滞在を許可する。 マリよ……うっぷ、すまんまた話そう! 誰か、マリを部屋に案内してやれ」
キャベルは女皇帝の威厳を保つ為に玉座に座り、必死に吐き気と戦っていた。
「えー? ひくっ、でもまだ飲みたいのー! ひくっ、キャベル女皇帝陛下~鬼殺しのお代わりを~」
「ふはははは! お前……凄いな。 おい、マリに一升瓶渡してやれ」
「わ~、ありがとうございますー!ひくっ!」
「マリ女王陛下、こちらでございます」
呆れたキャベルがメイドに指示をすると、1人のメイドが一升瓶を持ちマリを連れて退出した。
周囲の参加者達も、ようやく嵐の様な存在が消えたと食事や酒を飲んでいるとキャベルが玉座の後方にひっそりと合図を飛ばす。
するとキャベルの前に、近衛師団団長カエサルや先程まで姿を隠していたブラック宰相とアバン皇子が姿を現した。
「やれやれ……まさか、酒の強さがここまでとはな。 だが、分かった。 アレは、無能では無いが害の無い女よ。我が可愛い息子アバン、お前が敵視する必要は無いだろう」
「ですが……奴はエナを」
アバンは母親であるキャベルに反論しようとしたが、キャベルに睨まれ押し黙った。
「ブラック……お前はどう評価した」
キャベルに問われたブラック宰相は猛禽類の様な瞳を細ませ答えた。
「はっ、女皇帝陛下の仰った様に無能では無いようですが……たかが小国の元女王です。 ゴルメディア帝国に滞在しようが毒にも薬にもならないでしょう」
ブラック宰相の答えに満足そうに頷いたキャベルはカエサルを呼び、指示をした。
「カエサル、念の為に見張りを増やせ。 確か……今はアマンダ技師1人だったな。 見張りをいきなり増やしても怪しまれるだけだろう。 与える部屋に忍ばせろ。 もし、怪しい動きが有れば報告しな」
「はっ!」
マリが居なくなった後のキャベルは冷徹なゴルメディア女皇帝の顔になっていた。
「よし、とりあえず……私は部屋で寝る。 うっぷ、皆もご苦労! 明日は遅めに起こしてくれ」
口を抑えて退出するキャベルを周囲の参加者達は敬礼し見送る。
ブラック宰相だけは、横目で歯をくいしばり鬼の形相をしているアバン皇子と近衛師団団長カエサルの横顔を見ていた。
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