[完結]転生したのは死が間近の女王様!? ~超可愛い弟が王になれるよう平凡な女王が抗う奮闘記~

秋刀魚妹子

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第70話 最悪な朝食会

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 マリは憂鬱な気分でファーストに連れられ食堂へとやって来た。  

 食堂と言っても、大勢の使用人が使う大食堂の様な部屋では無く。 無駄に豪華な部屋に馬鹿みたいに長い机がある女皇帝専用の食堂だ。

 見栄のためか、朝から大量の料理が長机に所狭しに並んでいる。

 (朝から誰がこんなに食べるんだろ……あ! アマンダ連れて来てあげれば良かったなぁ~、全部ペロッと食べそうだし)

 アマンダが聞いたら全力で首を横に振るような誘いを想像していたマリは不本意ながらもファーストに案内された席に付いた。

 長机の奥には頭を抱えたキャベル女皇帝、左右にはアバン皇子と知らない老人が座っており怪訝な顔で少し離れた席に座ったマリを睨んでいた。

 食堂には近衛師団の団長カエサルは居らず、近衛兵が女皇帝の背後で警備に務めている。

 (カエサル……サードはまだキャベル女皇帝に良く思われてないみたいね。 そりゃそっか、昨日の会談でもデランさんに対する接し方とカエサルへの接し方には雲泥の差があったもんね~。 まぁ、当の本人は既に死んでるんだけどね)

 「おはようございます、女皇帝陛下。 昨晩は楽しい会談でしたね」

 ニコリと笑うマリをキャベルは苦笑いで迎える。

 「ふはは、それは良かった。 まぁ、我の方は昨晩から色々あって最悪な目覚めなんだがな。 ゆっくりも寝れなんだし。 それはとりあえずいい、アバンよマリも揃った朝食を食べるとしよう」

 キャベルが朝食を促すが、アバンは朝食に手を付けずにいた。 老人に至っては、席に朝食すら用意されておらず何故ここに居るのか意味が分からない。 老人から敵意は感じれなかったが、アバン皇子からの殺気は凄まじかった。

 「母上……何故、コイツをここに?」

 不機嫌そうなアバン皇子の言葉にキャベルは苛立ち低い声で答える。 余程、昨晩の騒動がキャベルにストレスを掛けているのだろう。

 「おい、アバン。 貴様……幾ら息子とは云え、我が呼んだ客人を侮辱するのか?」

 「も、申し訳ございません……」

 キャベルに睨まれたアバンは縮こまり、そのままちまちまと朝食を食べ始める。
 
 (うわー……最悪な朝食会だね。 まぁ、あのヘタレ皇子が嫌な目にあうのは大歓迎だけどね)

 マリは内心で愚痴を吐きながら朝食を口に運ぶ。

 「美味しい……でも、お酒が欲しいですね。 案内してくれたメイド長さん、お酒貰える? いや、何でもないです……」

 側でマリの世話をしていたファーストに甘えるが、信じられないモノを見るような目で見られ仕方なく諦めた。

 「ふぇっふぇっふぇっ、キャベル女皇帝のお嬢さん。 そちらの豪胆な女性を儂に紹介してくれい」

 その様子を見ていた老人が口を開き、大笑いした。

 「ふん、そもそもお前をこの朝食会には呼んでおらんのだぞ? その不敬過ぎる態度、我が母の遺言と工房の確たる実績が無ければ即座に死刑にする所だ」

 不機嫌なキャベルに凄まれても老人は笑うばかりだ。

 「ちっ、食えない爺め。 マリよ、一応紹介しとく。 我がゴルメディア帝国の兵器開発の総責任者であり、ドワーフ工房の責任者のクロモト フォル ナオトだ」

 「ふぇっふぇっふぇっ、よろしく頼むよ。 可愛いお嬢さん」

 黒髪に白髪が混じった老人ナオトはニチャぁという擬音が聞こえそうな程にいやらしい笑みを浮かべる。

 マリは背筋に冷たいモノが走り、生理的嫌悪で胸がいっぱいになったが必死に冷静さを保とうとした。

 「エントン王国元女王をしていましたエントン フォル マリと申します。 どうぞ、以後お見知りおきを」

 座ったまま、精一杯丁寧に挨拶をしたマリはこの後のナオトの反応で一気に食欲を失った。

 「ふぇっふぇっふぇっ、そうか! 儂が考えた精霊兵器を貸し出したキャット王国とドック王国に滅ぼされたというエントン王国の女王か! こりゃ愉快愉快、やはり証明された! 未来を変えれる儂が正しいと! この汚れた異世界は儂の手でしか救えんのじゃぁぁぁぁぁ!!」

 老人ナオトは歓喜する。
 その様は正に狂人だ。 反対の席に座るアバン皇子等ビビり過ぎて半泣きになっている。

 「おい! 近衛兵! コイツをさっさと工房に連れて行け!! 二度と兵器工房から出すな!」

 マリに笑いながら近付こうとした所をキャベルが近衛兵に指示し、直ぐ様ナオトを部屋の外へと連行した。

 部屋から出た後も響く笑い声にマリは身体を震わせ、知らない誰かが見たら怯えている様に見える。

 「マリ、すまない! まさか、ナオトがマリにあんな言動をするとは……我のミスだ許せ」

 立ち上がり怯えるマリに頭を下げるキャベルは見ていなかった。

 確殺するべき相手を見定めたマリが冷徹に微笑んでいるのを。
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