93 / 231
第91話 ドワーフ工房到着
しおりを挟む
マリとアマンダはセヴンスに連れられドワーフ工房へと向かっていた。
「女王陛下、帝城内が騒がしくなってる。 多分、部屋に乗り込まれて居なくなってるのに気付かれてるね……それに、ん? いや、今は気にしてる場合じゃないな。 急ぎますよ!」
情報収集力に長けたセヴンスが廊下を走る兵士達の会話から状況を分析する。
「さすがねセヴンス。 でも、なるべく早めに降りてくれると嬉しいかなぁぁぁぁ!」
「た、高いです! 怖いですー!」
セヴンスの両肩から悲鳴が聞こえる。
そう、マリとアマンダはセヴンスの両肩に担がれ廊下の天井近くの壁を移動しているのだ。
近衛師団の兵士が着る鎧を外したセヴンスはメイド暗部部隊の装備である武装したメイド服姿で壁を駆ける。
信じられない事だが、マリはあり得ない程に筋肉が盛り上がったセヴンスの足を見て本当に支援要員なのかと疑った。
そして、セヴンスは目的地に到着すると同時にドワーフ工房の入口を見張っていた2人の兵士を着地する瞬間に蹴り殺す。
「着いたぜ! でも、此処も直ぐに兵士達が来るだろうね。 さっさと地下に向かうよ!」
ようやく下に降ろされたマリとアマンダは廊下にへたり込むが、そんな時間は無い。
「アマンダ、お願い。 ドワーフさん達に兵器や図面の処分をしてもらって、早急にね!」
「は、はい! 行きます!」
3人はドワーフ工房に入り驚くドワーフ達にアマンダが状況を説明した。
「なので、ルーフさん! す、直ぐに兵器と図面を処分して下さい!」
「ちょっと待ってておくれ! おい、あの糞ったれな兵器を壊せ! 図面も全部燃やしちまいな!!」
奴隷にされていたドワーフ達のリーダであるルーフの指示で100人のドワーフ達が一斉に工房を破壊しまくる。
見た目が少年少女のドワーフ達が大暴れしている光景は非常にシュールだ。
余程、造らされていた兵器が憎かったのだろう。
精霊を閉じ込めていた兵器は原型を留めない程にハンマーで粉々にされている。
「あれ……?」
その光景を見ていたマリが、工房内をキラキラとした光が飛んでいるのが見えた。
「ん? どうしました? マリ女王陛下」
「え? セヴンス、アレ見えないの?」
首を横に振るセヴンスを見てマリは首を捻る。
あんなにはっきり見える光の玉達が何故見えないのか疑問に思っていると、その様子を見ていたルーフがマリに近寄ってきた。
「馬鹿な……まさか、アンタ精霊が見えてるの!? 心が清く正しい者にしか見えないのに!!」
物凄く失礼な事を言うルーフにマリは苦笑いするが、光の玉の正体が分かり兵器に閉じ込められていた精霊なのだと理解した。
「い、いや……ルーフさん、流石に失礼過ぎ……あれ? 何か光が沢山飛んでません?」
話を全く聞いていなかったアマンダがルーフに注意しようとしたが、どうやら精霊がアマンダにも見えているようだ。
ルーフがアマンダなら当然だと褒めているのをジト目でマリは見ていたが、セヴンスが床に耳を付けた直後に拳を構えた事でドワーフ達に緊張が走る。
「不味いね。 流石に音を出しすぎたみたいですね女王陛下。 かなりの数の衛兵や近衛師団の兵士達が向かって来ています」
「ヤバいじゃん! ルーフさん、後どれぐらいで終わりそう?!」
「むぅ! まだ半分ぐらいだね! 急ぎなアンタ達!」
マリに話し掛けられたルーフは露骨に嫌な顔をしたが、直ぐに他のドワーフ達に急ぐ様に指示を飛ばす。
「セ、セヴンスさん! わ、私も戦います!」
アマンダが腰の直剣を抜き、セヴンスの隣に立った。
マリ達の耳にも届く程に鎧が擦れる音や足音がドワーフ工房に響き始めた。
「はんっ! こんなに楽しい仕事は久し振りだねぇ! アマンダ、元仲間だとしても絶対に手を抜くなよ? もし、突破されたら女王陛下は死ぬからね」
「と、当然です! 必ず陛下とルーフさん達を守ります!」
直後、鍵を閉めていた出入り口の扉は破られ大勢の兵士達が入って来た。
兵士達は殺気立ち、マリを憎々しげに睨んでいる。
ちょっと勝手に部屋から脱走しただけで、何故こんなに殺気立っているのか理解出来ずに居ると先頭の兵士達の発言で思い知る。
「居たぞ!! 貴様、良くも我等の女皇帝陛下を殺したな!」
「絶対に許せぬ! 即座に処刑せよとのアバン皇帝陛下からの勅命である! 観念せよ!!」
「「「「「うぉぉぉ! キャベル女皇帝陛下の仇を許すなぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」
一斉に襲い掛かる兵士達にマリは叫んだ。
「何の話しぃぃぃぃぃぃぃぃぃ?!」
「女王陛下、帝城内が騒がしくなってる。 多分、部屋に乗り込まれて居なくなってるのに気付かれてるね……それに、ん? いや、今は気にしてる場合じゃないな。 急ぎますよ!」
情報収集力に長けたセヴンスが廊下を走る兵士達の会話から状況を分析する。
「さすがねセヴンス。 でも、なるべく早めに降りてくれると嬉しいかなぁぁぁぁ!」
「た、高いです! 怖いですー!」
セヴンスの両肩から悲鳴が聞こえる。
そう、マリとアマンダはセヴンスの両肩に担がれ廊下の天井近くの壁を移動しているのだ。
近衛師団の兵士が着る鎧を外したセヴンスはメイド暗部部隊の装備である武装したメイド服姿で壁を駆ける。
信じられない事だが、マリはあり得ない程に筋肉が盛り上がったセヴンスの足を見て本当に支援要員なのかと疑った。
そして、セヴンスは目的地に到着すると同時にドワーフ工房の入口を見張っていた2人の兵士を着地する瞬間に蹴り殺す。
「着いたぜ! でも、此処も直ぐに兵士達が来るだろうね。 さっさと地下に向かうよ!」
ようやく下に降ろされたマリとアマンダは廊下にへたり込むが、そんな時間は無い。
「アマンダ、お願い。 ドワーフさん達に兵器や図面の処分をしてもらって、早急にね!」
「は、はい! 行きます!」
3人はドワーフ工房に入り驚くドワーフ達にアマンダが状況を説明した。
「なので、ルーフさん! す、直ぐに兵器と図面を処分して下さい!」
「ちょっと待ってておくれ! おい、あの糞ったれな兵器を壊せ! 図面も全部燃やしちまいな!!」
奴隷にされていたドワーフ達のリーダであるルーフの指示で100人のドワーフ達が一斉に工房を破壊しまくる。
見た目が少年少女のドワーフ達が大暴れしている光景は非常にシュールだ。
余程、造らされていた兵器が憎かったのだろう。
精霊を閉じ込めていた兵器は原型を留めない程にハンマーで粉々にされている。
「あれ……?」
その光景を見ていたマリが、工房内をキラキラとした光が飛んでいるのが見えた。
「ん? どうしました? マリ女王陛下」
「え? セヴンス、アレ見えないの?」
首を横に振るセヴンスを見てマリは首を捻る。
あんなにはっきり見える光の玉達が何故見えないのか疑問に思っていると、その様子を見ていたルーフがマリに近寄ってきた。
「馬鹿な……まさか、アンタ精霊が見えてるの!? 心が清く正しい者にしか見えないのに!!」
物凄く失礼な事を言うルーフにマリは苦笑いするが、光の玉の正体が分かり兵器に閉じ込められていた精霊なのだと理解した。
「い、いや……ルーフさん、流石に失礼過ぎ……あれ? 何か光が沢山飛んでません?」
話を全く聞いていなかったアマンダがルーフに注意しようとしたが、どうやら精霊がアマンダにも見えているようだ。
ルーフがアマンダなら当然だと褒めているのをジト目でマリは見ていたが、セヴンスが床に耳を付けた直後に拳を構えた事でドワーフ達に緊張が走る。
「不味いね。 流石に音を出しすぎたみたいですね女王陛下。 かなりの数の衛兵や近衛師団の兵士達が向かって来ています」
「ヤバいじゃん! ルーフさん、後どれぐらいで終わりそう?!」
「むぅ! まだ半分ぐらいだね! 急ぎなアンタ達!」
マリに話し掛けられたルーフは露骨に嫌な顔をしたが、直ぐに他のドワーフ達に急ぐ様に指示を飛ばす。
「セ、セヴンスさん! わ、私も戦います!」
アマンダが腰の直剣を抜き、セヴンスの隣に立った。
マリ達の耳にも届く程に鎧が擦れる音や足音がドワーフ工房に響き始めた。
「はんっ! こんなに楽しい仕事は久し振りだねぇ! アマンダ、元仲間だとしても絶対に手を抜くなよ? もし、突破されたら女王陛下は死ぬからね」
「と、当然です! 必ず陛下とルーフさん達を守ります!」
直後、鍵を閉めていた出入り口の扉は破られ大勢の兵士達が入って来た。
兵士達は殺気立ち、マリを憎々しげに睨んでいる。
ちょっと勝手に部屋から脱走しただけで、何故こんなに殺気立っているのか理解出来ずに居ると先頭の兵士達の発言で思い知る。
「居たぞ!! 貴様、良くも我等の女皇帝陛下を殺したな!」
「絶対に許せぬ! 即座に処刑せよとのアバン皇帝陛下からの勅命である! 観念せよ!!」
「「「「「うぉぉぉ! キャベル女皇帝陛下の仇を許すなぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」
一斉に襲い掛かる兵士達にマリは叫んだ。
「何の話しぃぃぃぃぃぃぃぃぃ?!」
17
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!
碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった!
落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。
オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。
ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!?
*カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる