[完結]転生したのは死が間近の女王様!? ~超可愛い弟が王になれるよう平凡な女王が抗う奮闘記~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
109 / 231

第107話 首狩りメリー

しおりを挟む
  ゴルメディア帝国が建国される以前、大陸の最南端の地には数少ない人間族が住んでいた。

 まだ他の小国群も存在しなかった時代に、フラリと現れたメリーと云う少女とそれに付き従う少女達が人間族を指導し小さな国を建国したそうだ。

 石作りの家々を少女達が瞬く間に作り上げ、その小国は繁栄し人間達の数も劇的に増えていった。 不思議な事にメリー達はその小国の女王になる事を良しとせず、黒髪の女性を初代女王としメイドとして仕えたらしい。

 ん? いや、これでもまとめて話しているのだから黙って聞いていたまえ。

 そして、ある日突然大きな地盤沈下が発生しその小国は滅んだ。

 だが、生き残りが集まり今度は絶対に滅びない硬い最強の国を作ろうと言い始める。

 初代女王も生き残り、言い始めた者達と共に新たな国を作る事を決心した。 それが、このゴルメディア帝国設立の歴史と記されている。 知る者も少ない昔の話だ。

 それからは瞬く間に領土を広げ、新たに出来た小国を滅ぼし強大になっていった。

 ゴルメディア帝国となってからも、何代にも渡って女皇帝にはピンクの髪をしたメリーと云うメイドが仕えその部下であるメイド達も付き従ったそうだ。 何代にも渡ってだ……意味が分かるかね?

 ふっ……そうだ、長い年月が経っても容姿に変化が殆ど無いメイド達を流石に不審に思い始めたのだよ。

 そして、建国に携わり女貴族となった者達の子孫はメイド達を女皇帝から引き剥がそうとした。

 いや、だからだね。
 今話しているだろう? 君が聞いてきたのだから、寝落ちそうになるのはどうかと思うよ? いいかい? 話すよ?

 当然、何代にも渡って女皇帝を支え導いてきたメイド達を引き剥がそうとする事に反発する女貴族達も居た。

 だが、その代の女皇帝はメイド達を良く思っていなかったのだ。 愚かにも女貴族達の話を聞き入れ、大昔から帝国を支えていたメイド達は追放された。

 その時に最後まで反対した女貴族も追放されてね……ホワイト侯爵は影で帝国を支えていた者達を追放すれば必ず帝国は腐ると叫びながら辺境の地で死んだ。

 ははっ……本当に愚か者達だ。

 それからの帝国は悲惨だったと記されている。
 当然、メリー達の監視が無くなった事で強大な権力を持っていた初期女貴族達は己の欲望のままに領地を好き勝手にし始めた。   

 男達を攫い酒池肉林を楽しむ者。

 領民を奴隷とし、税を絞り取る者。

 許可も得ずに、新たに出来た小国に攻め込み略奪する者。

 その代の女皇帝が止めるのも聞かずに女貴族達は腐りきった。

 そしてゴルメディア帝国を揺るがす大事件が起きたのさ。

 ある日、全ての女貴族達の首が帝城の広場に並んだ。

 広場の中央には血まみれのメリーが立っていたそうだ。
 当時の女皇帝が泣きながら追放した事を謝罪したが、メリーは一言だけ言葉を残し帝国から完全に去った。

 ん? 何と残したかと?

 ふっ……残念ながらそれは残されていないのだよ。

 だが、その現場を見た者達や女皇帝が恐怖だけは伝えたのだよ。 悪さをすれば悪政を働けば、首狩りメリーがやって来る……とな。

 どうだね? 少しは暇潰しになったかね?

 あぁ、メリーが魔族だと知った経緯は話せない。 悪いがそれは話せない情報なんだ。 他に聞きたい事はあるかね?

 瞼が重そうだが、眠れるなら眠ってしまいなさい。

 ん? 女貴族達が全員首を狩られたなら、今の貴族はどうなんだって? 

 今の帝国にいる女貴族達はその後に新たに選抜されたのだよ。 ブラック家もその時に選ばれてね、代々宰相としてゴルメディア帝国の為に人生を注いできた。 男である私が宰相を務めているのも、長年の功績があるからと言っていいだろう。

 まぁ、結局新たに選抜された女貴族達も長い年月の後には同じ様に腐ってしまった。

 だから必要なのだ。

 二度と腐らない帝国にする為には、圧倒的で普遍な力が。

 おや? ふっ……眠ったのか。

 君には本当に感謝しているのだよ。

 それと、すまないね。 ……どうか、今だけは安らかに。

 ◆◇◆

 ブラックは眠ったマリに部屋から持ってきた毛布をかけてやり、椅子に座り直した。

 無機質な人形達だけが見ていた。 いつも猛禽類の様な目をした老人が今だけは優しい目でマリや自分達を見ていることに。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

虐げられていた次期公爵の四歳児の契約母になります!~幼子を幸せにしたいのに、未来の旦那様である王太子が私を溺愛してきます~

八重
恋愛
伯爵令嬢フローラは、公爵令息ディーターの婚約者。 しかし、そんな日々の裏で心を痛めていることが一つあった。 それはディーターの異母弟、四歳のルイトが兄に虐げられていること。 幼い彼を救いたいと思った彼女は、「ある計画」の準備を進めることにする。 それは、ルイトを救い出すための唯一の方法──。 そんな時、フローラはディーターから突然婚約破棄される。 婚約破棄宣言を受けた彼女は「今しかない」と計画を実行した。 彼女の計画、それは自らが代理母となること。 だが、この代理母には国との間で結ばれた「ある契約」が存在して……。 こうして始まったフローラの代理母としての生活。 しかし、ルイトの無邪気な笑顔と可愛さが、フローラの苦労を温かい喜びに変えていく。 さらに、見目麗しいながら策士として有名な第一王子ヴィルが、フローラに興味を持ち始めて……。 ほのぼの心温まる、子育て溺愛ストーリーです。 ※ヒロインが序盤くじけがちな部分ありますが、それをバネに強くなります ※「小説家になろう」が先行公開です(第二章開始しました)

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。 人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。 転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。 せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。 少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。

枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉

狭山ひびき
恋愛
ある日、イアナ・アントネッラは父親に言われた。 「来月、フェルナンド・ステファーニ公爵に嫁いでもらう」と。 フェルナンド・ステファーニ公爵は御年六十二歳。息子が一人いるが三十年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。 対してイアナは二十歳。さすがに年齢が離れすぎているが、父はもっともらしい顔で続けた。 「ジョルジアナが慰謝料を請求された。ステファーニ公爵に嫁げば支度金としてまとまった金が入る。これは当主である私の決定だ」 聞けば、妹のジョルジアナは既婚者と不倫して相手の妻から巨額の慰謝料を請求されたらしい。 「お前のような年頃の娘らしくない人間にはちょうどいい縁談だろう。向こうはどうやらステファーニ公爵の介護要員が欲しいようだからな。お前にはぴったりだ」 そう言って父はステファーニ公爵の肖像画を差し出した。この縁談は公爵自身ではなく息子が持ちかけてきたものらしい。 イオナはその肖像画を見た瞬間、ぴしゃーんと雷に打たれたような衝撃を受けた。 ロマンスグレーの老紳士。なんて素敵なのかしら‼ そう、前世で六十歳まで生きたイオナにとって、若い男は眼中にない。イオナは枯れ専なのだ! イオナは傷つくと思っていた両親たちの思惑とは裏腹に、喜び勇んでステファーニ公爵家に向かった。 しかし……。 「え? ロマンスグレーの紳士はどこ⁉」 そこでイオナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

処理中です...