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第145話 完全決着
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オールバックにした白髪で立派な髭と裏腹に痩せ細った老人が騎馬に乗り、3万の歩兵大隊を率いて元エントン王国との国境へと馬を進めていた。
猛禽類の様な瞳は鳴りを潜め、胃痛に苦しむのはゴルメディア帝国の宰相ガバムント フォル ブラックだ。
先代女皇帝キャベルを裏切り、愚息を皇帝にしたのも束の間その愚息は殺され。 女貴族達のガス抜きに処刑されるだけの亡国の女王には目茶苦茶にされて逃げられ。 散々な目にあったブラックの胃痛は限界を迎えていた。
「くそぉ……あの小娘めぇ! 哀れんだ私が愚かだった。 ガス抜き等に利用しなければ、私がこんな目に合わなくてすんだのだ!」
そんな怒れるブラックの猛禽類の様な目は片側しか残っていなかった。
同僚の兵器開発の総責任者であり、ドワーフ工房の責任者だったクロモト フォル ナオトの誘いに乗って妖精ティナ、改めルミニスを新たな主とした結果。
幾多の失敗からルミニスの怒りを買い、片目をえぐり取られたのだ。
ルミニスは死んだ者を生き返らせる程の力を持っておきながら、ブラックの片目は治癒せずにそのままを良しとした。
もし、滅んだ国に逃げ込んだ元女王マリを連れて帰れば治すと約束して。
しかし、当初送り込んだ騎士団は逃げ出した大砦の騎士達によって返り討ちにあい。
ようやく国境まで追い付いた歩兵達は赤い死神とやらに強襲され恐怖から瓦解。
「何が、50人程の老騎士達と1人の赤い死神に殺られただ。 10万も居たのに負ける筈が無いだろうが!! 大砦での戦いで、ちょっと苦戦したからと臆病風に吹かれおって!」
この3万の歩兵を率いる指揮官は最悪な事にもうブラックしか残っていない。
指揮官クラスの兵士達は、大砦で軒並み首を刎ねられ。
国境までの強襲を命じていた、最後の指揮官もその赤い死神とやらに首を刎ねられたらしい。
「信じれぬ。 だが……ルミニス様が、あの時吹き飛んできた理由をお話にならなかった事……不可解ではあるな」
ブラックの左右には、万が一の為に新たにクロモトが作った精霊人形10体が歩兵に変装し控えているが不安は拭えない。
「だが、数は裏切った黒騎士達を合わせても1万に届かん。 我等が負ける道理は無い! 進めぇ! 運が良ければ、エントン王国を略奪しているキャット王国やドック王国の兵達も援軍に来るやもしれん! 恐れるな! 勝利は我等不敗のゴルメディア帝国の物である!」
「「「「「「「うぉぉぉぉぉぉ!」」」」」」」
今いる3万の歩兵達は、赤い死神の恐怖に打ち勝ち残った精鋭だ。
ブラックはそう考えていたが、実際は前線に居らず味方が逃げ始めたから理由もわからず撤退した3万の歩兵に過ぎなかった。
前線で赤い死神や老騎士達を見た歩兵達が、再度国境に向かうのは無理だろう。
あれは人に勝てる生き物では無いのだ。
◆◇◆
遂に、元エントン王国の国境が見えてきた。
長年のゴルメディア帝国からの圧力によって、国境には砦の建設も許されず草原が広がるだけの筈だ。
いや、筈だった。
「あれは……何だ?」
ブラックは己の目を疑い、残された片目を擦る。
しかし、現実は変わらなかった。
歩兵達の目の前にはゴルメディア帝国の大砦よりも立派な砦が国境に鎮座している。
国境に向かった歩兵大隊敗走の知らせから、歩兵を再集結させるのに数日。
更に、大砦から此処に来るまで数日とこんな砦を建てる時間等有る筈が無い。
「ははは……馬鹿な。 これは、夢か?」
「ブラック宰相様! 全方に見える砦に向けて進む軍が見えるとの知らせが偵察より有りました!」
「何だと!? もしや、それはキャット王国やドック王国の兵達か!?」
ブラックは久し振りに胃痛を感じず、朗報かと喜んだが直ぐに絶望を味わう。
「い、いえ……違います。 偵察によると、レオン王国の剣獅子団。 ウッド王国の弓騎士団、ウルフ王国の牙狼騎士団、ピッグ共和国の豚鎧騎士団の国旗を確認したとの事です!」
「……はぁ?! 何を言っている! 他の小国全ての軍団では無いか! 何故……此処に?」
ブラックが困惑していると、別の伝令が走ってきた。
「伝令! あの砦に接近していた兵達は、砦に居た兵達と合流!! 砦からは黒騎士団、不明騎士達、それに亜人と思われる兵士達か出撃! ご、合計で3万を越える大軍がむむむむ、向かって来ております!!」
「迎撃の準備をしろ! 此方はゴルメディア帝国の精鋭歩兵隊である事を忘れるな!」
ブラックはパニックに陥る歩兵達に陣列を組ませる。
「間に合いません! 前方より、大砦でも居た例の赤い髪の女騎士が襲来! へ、兵達が小枝の様に吹き飛ばされています!」
「ふざけるな! 何だそれは! 構わん! 迎え撃て! 早く迎え撃てぇぇぇえ!」
ブラックは涎を撒き散らし、歩兵達に突撃を命じる。
赤い騎士の後ろからは、理由のわからない強さの老騎士達が追従しておりそのまま歩兵達は蹂躙され始める。
「報告! 敵の中にキャット王国とドック王国の兵達を発見! エントン王国の騎士達も大勢居ます!」
「何だと!? 一体何が起きているのだ!」
「報告! 亜人達の攻撃凄まじく、相手に損害を与える暇もありません! 対峙した歩兵達は壊滅状態です!」
「報告! 各小国の騎士団により、我が歩兵大隊も壊滅状態! 撤退の許可を!」
「あ、あり得ない……あり得ない!」
次から次へと各小隊長からの絶望的な報告がブラックに届く。
「報告! 黒騎士団により後方の歩兵隊は全滅! もう撤退も出来ません!」
「ははは……馬鹿な」
ブラックは馬からずり落ち、渇いた笑い声を上げた。
直後、指揮官であるブラックの周囲に砦から放たれた大量の精霊魔法が着弾し護衛の精霊人形の全てが吹き飛んだ。
猛禽類の様な瞳は鳴りを潜め、胃痛に苦しむのはゴルメディア帝国の宰相ガバムント フォル ブラックだ。
先代女皇帝キャベルを裏切り、愚息を皇帝にしたのも束の間その愚息は殺され。 女貴族達のガス抜きに処刑されるだけの亡国の女王には目茶苦茶にされて逃げられ。 散々な目にあったブラックの胃痛は限界を迎えていた。
「くそぉ……あの小娘めぇ! 哀れんだ私が愚かだった。 ガス抜き等に利用しなければ、私がこんな目に合わなくてすんだのだ!」
そんな怒れるブラックの猛禽類の様な目は片側しか残っていなかった。
同僚の兵器開発の総責任者であり、ドワーフ工房の責任者だったクロモト フォル ナオトの誘いに乗って妖精ティナ、改めルミニスを新たな主とした結果。
幾多の失敗からルミニスの怒りを買い、片目をえぐり取られたのだ。
ルミニスは死んだ者を生き返らせる程の力を持っておきながら、ブラックの片目は治癒せずにそのままを良しとした。
もし、滅んだ国に逃げ込んだ元女王マリを連れて帰れば治すと約束して。
しかし、当初送り込んだ騎士団は逃げ出した大砦の騎士達によって返り討ちにあい。
ようやく国境まで追い付いた歩兵達は赤い死神とやらに強襲され恐怖から瓦解。
「何が、50人程の老騎士達と1人の赤い死神に殺られただ。 10万も居たのに負ける筈が無いだろうが!! 大砦での戦いで、ちょっと苦戦したからと臆病風に吹かれおって!」
この3万の歩兵を率いる指揮官は最悪な事にもうブラックしか残っていない。
指揮官クラスの兵士達は、大砦で軒並み首を刎ねられ。
国境までの強襲を命じていた、最後の指揮官もその赤い死神とやらに首を刎ねられたらしい。
「信じれぬ。 だが……ルミニス様が、あの時吹き飛んできた理由をお話にならなかった事……不可解ではあるな」
ブラックの左右には、万が一の為に新たにクロモトが作った精霊人形10体が歩兵に変装し控えているが不安は拭えない。
「だが、数は裏切った黒騎士達を合わせても1万に届かん。 我等が負ける道理は無い! 進めぇ! 運が良ければ、エントン王国を略奪しているキャット王国やドック王国の兵達も援軍に来るやもしれん! 恐れるな! 勝利は我等不敗のゴルメディア帝国の物である!」
「「「「「「「うぉぉぉぉぉぉ!」」」」」」」
今いる3万の歩兵達は、赤い死神の恐怖に打ち勝ち残った精鋭だ。
ブラックはそう考えていたが、実際は前線に居らず味方が逃げ始めたから理由もわからず撤退した3万の歩兵に過ぎなかった。
前線で赤い死神や老騎士達を見た歩兵達が、再度国境に向かうのは無理だろう。
あれは人に勝てる生き物では無いのだ。
◆◇◆
遂に、元エントン王国の国境が見えてきた。
長年のゴルメディア帝国からの圧力によって、国境には砦の建設も許されず草原が広がるだけの筈だ。
いや、筈だった。
「あれは……何だ?」
ブラックは己の目を疑い、残された片目を擦る。
しかし、現実は変わらなかった。
歩兵達の目の前にはゴルメディア帝国の大砦よりも立派な砦が国境に鎮座している。
国境に向かった歩兵大隊敗走の知らせから、歩兵を再集結させるのに数日。
更に、大砦から此処に来るまで数日とこんな砦を建てる時間等有る筈が無い。
「ははは……馬鹿な。 これは、夢か?」
「ブラック宰相様! 全方に見える砦に向けて進む軍が見えるとの知らせが偵察より有りました!」
「何だと!? もしや、それはキャット王国やドック王国の兵達か!?」
ブラックは久し振りに胃痛を感じず、朗報かと喜んだが直ぐに絶望を味わう。
「い、いえ……違います。 偵察によると、レオン王国の剣獅子団。 ウッド王国の弓騎士団、ウルフ王国の牙狼騎士団、ピッグ共和国の豚鎧騎士団の国旗を確認したとの事です!」
「……はぁ?! 何を言っている! 他の小国全ての軍団では無いか! 何故……此処に?」
ブラックが困惑していると、別の伝令が走ってきた。
「伝令! あの砦に接近していた兵達は、砦に居た兵達と合流!! 砦からは黒騎士団、不明騎士達、それに亜人と思われる兵士達か出撃! ご、合計で3万を越える大軍がむむむむ、向かって来ております!!」
「迎撃の準備をしろ! 此方はゴルメディア帝国の精鋭歩兵隊である事を忘れるな!」
ブラックはパニックに陥る歩兵達に陣列を組ませる。
「間に合いません! 前方より、大砦でも居た例の赤い髪の女騎士が襲来! へ、兵達が小枝の様に吹き飛ばされています!」
「ふざけるな! 何だそれは! 構わん! 迎え撃て! 早く迎え撃てぇぇぇえ!」
ブラックは涎を撒き散らし、歩兵達に突撃を命じる。
赤い騎士の後ろからは、理由のわからない強さの老騎士達が追従しておりそのまま歩兵達は蹂躙され始める。
「報告! 敵の中にキャット王国とドック王国の兵達を発見! エントン王国の騎士達も大勢居ます!」
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「報告! 亜人達の攻撃凄まじく、相手に損害を与える暇もありません! 対峙した歩兵達は壊滅状態です!」
「報告! 各小国の騎士団により、我が歩兵大隊も壊滅状態! 撤退の許可を!」
「あ、あり得ない……あり得ない!」
次から次へと各小隊長からの絶望的な報告がブラックに届く。
「報告! 黒騎士団により後方の歩兵隊は全滅! もう撤退も出来ません!」
「ははは……馬鹿な」
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