[完結]転生したのは死が間近の女王様!? ~超可愛い弟が王になれるよう平凡な女王が抗う奮闘記~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
169 / 231

第167話 反乱分子摘発

しおりを挟む
 ルーデウスがキャミやドーラと仲睦まじく幸せな時間を過ごしていると、扉が叩かれた。

 「誰ですか?」

 ルーデウスが問うと、扉の向こうから返事が返ってくる。

 「私でございます、代理国王陛下」

 ルーデウスは扉を開き執事長ウォンバットを入れた。

 「ウォンバット、どうしたんだ? 今日は朝から居なかったようだけど」

 「ドーラ様、並びにキャミ様、大切なお時間にお邪魔し申し訳ありません。 陛下……緊急でお話が」

 「分かった、ごめんよ2人共。 必ずこの埋め合わせはするから」

 ウォンバットに急かされるルーデウスは、本当に緊急事態が起きたことを察知しキャミ達に別れを告げた。

 「妾は大丈夫なのじゃ、ルーデウス様」 「私達は何時でも待ってる。 気を付けて」

 ルーデウスは2人の頭を撫で、部屋を出た。

 「ウォンバット、説明してくれ」

 廊下を早足で進むウォンバットに付いて行きながら質問する。

 「反乱分子が王国内におります」

 「……何だと」

 まさかの返答にルーデウスは眉をひそめ、執務室へと向かった。

 ◆◇◆

 「姉上が建てた劇場とか云う大きな建物に地下が……?」

 「左様です。 目撃した者によると、ルーデウス代理国王陛下を支持する民達がその地下に頻繁に出入りしているとの事」

 ルーデウスは執務室の椅子に座り、頭を抱える。

 「まさか……女王の座に居る姉上を亡き者にしようと、その民達が計画していると?」

 「まだ憶測でございます。 ですが、陛下を支持する女性達が地下へと集まって居るそうで……。 女性の持つ妬みや殺意は侮れないものです。 その可能性は捨てきれません」

 ウォンバットの話にルーデウスは聞き覚えがあった。 王国の英雄ルーデウス代理国王を熱狂的に支持する女性ばかりの団体が、戦争の後から王都で発生していると報告が以前からあったのだ。

 「それで、頻繁に集まっているのに今日は緊急だと言ったのは何故だ」

 「今日、今までの比にならない数の女達が劇場の地下に集まっていると王都で情報を収集している者達から報告があったからです」

 ルーデウスは目を見開き驚く。

 「つまり……今日、動くつもりかもしれないって事か。 待て……姉上は今何処に居る? ウォンバット、知ってるか」

 「はっ、女王陛下は早朝よりメリーや直属のメイド部隊達と王都に出掛けております。 あれだけの精鋭に守られていれば、女王陛下は安全でしょう。 それよりも、動く前に叩くべきかと」

 「その通りだ、ウォンバット。 良く知らせてくれた。 直ぐに騎士団に連絡を! 私も出よう、話し合いで止めれるなら私が話すべきだ」

 「はっ! 直ぐに支度させます!! おい、代理国王陛下に鎧を!」

 「「「畏まりました」」」

 ウォンバットは足早に退出し、ルーデウスは執務室で待機するメイド達に助けられ鎧を纏う。 剣を腰に差し、もしかしたら民に振るう事になるかもしれない予感に身震いした。 それでも、その時は躊躇するつもりは無い、大切な姉を守る為なのだから。

 ◆◇◆

 「彼処か……ウォンバット」

 「左様です。 お、丁度良い所に……」

 ルーデウスとウォンバットは騎士団を引き連れ、新しく建てられた劇場と呼ばれる建物の近くで待機していた。

 高くそびえ立つ劇場の一角に、地下へと通じる扉が見えた。 其処に1人の女性が近付きノックをする。

 「推しは……?」 「尊い」 「よし、入れ」

 離れた距離のルーデウス達には聞こえなかったが、どうやら合言葉で正解しないと入れないようだった。

 扉が開けられ、女性が入り閉められる途中一瞬だけ扉が止まった。 直ぐに閉められたので、常人なら分からないだろうが歴戦の執事であるウォンバットは見逃さない。

 「どうするか……」 「陛下、気付かれましたぞ。 この距離で気付くとは……かなりの手練れが見張りにおりますな」 

 「なっ?! では、逃げられる前に行かないと!」

 「陛下は私の後ろに。 騎士達は陛下を囲み守れ、突撃しますぞ!」

 「「「「「「了解!!」」」」」」

 約50名の騎士を引き連れ、扉へと走る。 ウォンバットは筋肉を膨張させ、地下へと通じる扉を走る勢いのまま蹴破った。

 「ぬっはぁぁぁ! 居ない、奥へと下がったか。 皆、油断するな! 下手したら、ボルガス騎士団長並の奴がおるぞ!!」

 「ウォンバット進もう! そんな相手が姉上の命を狙っているなら逃げられたら不味い!」

 ウォンバットを先頭に、ルーデウス達は薄暗い地下を突き進む。 暫く進むと通路の先から光が見え、油断無く突入した。

 「王国騎士団だ! 全員動くな!!」

 ルーデウス達が突入すると、広く大きな空間には大勢の女性達が並んでおり。 その先にはルーデウスを見て、頭を抱えて悶えるマリの姿が会った。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった! 落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。 オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。 ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!? *カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

処理中です...