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お清めが終わり、聖女の衣装を身にまとうと、簡単な食事が用意されていた。
晩餐は改めて招待されるそうだ。正式な謁見までの時間があるため、食べても食べなくてもいいらしい。
「慣れない場所で……緊張しているので、食事の間は一人にしていただけますか?」
準備してくれた侍女たちに言うと、少し困った顔をして部屋の中で待機している聖騎士を見た。
「かまいません。私は立場上離れることはできませんが、他の者は下がらせましょう」
私は頷く。
この国では、護衛騎士であっても密室で未婚女性と二人きりになることは許されないが、聖女と聖騎士は特別な関係の為それが認められている。
「かしこまりました」と侍女たちが部屋を出て行くと、聖騎士シルヴァンと私は二人きりになった。
それから暫くして――。
「大変お待たせいたしました」
と、やって来たのは、私を召喚した神官ガエルと二人の聖騎士。
「国王陛下に謁見する前に、聖痕を確認させていただきたく」
「嫌です」
「……えっ!?」
「男性に見られては恥ずかしい場所なので、神官様以外は……この部屋から出てほしいです」
もじもじと言うと、高齢のガエルは快諾する。貴族女性が肌を露わにしないのは一般常識。異世界からの聖女の機嫌を損ねるわけにはいかない。
「それでは」と、ガエルが大事そうに抱えていた水晶に触れるように言う。触れることで、聖痕が輝くと説明して。
私は素直に頷くと、水晶に触れることなく神官ガエルの手を触り『解呪』と唱えた。
ハッとしたガエルは、キョロキョロと辺りを見回す。
「どうかなさいましたか?」
「あ、いえ……大変失礼いたしました。ではもう一度」
「聖痕って、これですよね?」
私は後ろ髪を上げ、うなじを見せた。
晩餐は改めて招待されるそうだ。正式な謁見までの時間があるため、食べても食べなくてもいいらしい。
「慣れない場所で……緊張しているので、食事の間は一人にしていただけますか?」
準備してくれた侍女たちに言うと、少し困った顔をして部屋の中で待機している聖騎士を見た。
「かまいません。私は立場上離れることはできませんが、他の者は下がらせましょう」
私は頷く。
この国では、護衛騎士であっても密室で未婚女性と二人きりになることは許されないが、聖女と聖騎士は特別な関係の為それが認められている。
「かしこまりました」と侍女たちが部屋を出て行くと、聖騎士シルヴァンと私は二人きりになった。
それから暫くして――。
「大変お待たせいたしました」
と、やって来たのは、私を召喚した神官ガエルと二人の聖騎士。
「国王陛下に謁見する前に、聖痕を確認させていただきたく」
「嫌です」
「……えっ!?」
「男性に見られては恥ずかしい場所なので、神官様以外は……この部屋から出てほしいです」
もじもじと言うと、高齢のガエルは快諾する。貴族女性が肌を露わにしないのは一般常識。異世界からの聖女の機嫌を損ねるわけにはいかない。
「それでは」と、ガエルが大事そうに抱えていた水晶に触れるように言う。触れることで、聖痕が輝くと説明して。
私は素直に頷くと、水晶に触れることなく神官ガエルの手を触り『解呪』と唱えた。
ハッとしたガエルは、キョロキョロと辺りを見回す。
「どうかなさいましたか?」
「あ、いえ……大変失礼いたしました。ではもう一度」
「聖痕って、これですよね?」
私は後ろ髪を上げ、うなじを見せた。
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