ガルテナ ~私の一番の音楽~

茂庭

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〈雑談〉軽音部イヌネコ戦争

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 翌日の放課後、練習前に部室で西川と二人きりになった。

 コタツのいつもの定位置に座るとお互いが対角線上になる。
西川はなにやら熱心にスマホを見ていた。

「なに見てるの?」

 尋ねるとスマホの画面をこちらに向けてくれた。
ベース講座の動画だった。少し興味がある。

「一緒に見てもいい?」

 頷いてくれたので西川の右、いつもは立花の指定席に座って見せてもらった。
見ていた動画サイトは動画の終わりに過去の閲覧履歴からおススメの動画を表示するサイトだった。
その表示にはベース動画とイヌ動画しか表示されていなかった。
どうにもそっちが気になってきてしまう。

「おススメにやたらイヌ動画出てくるけどイヌ好きなの?」

 尋ねると西川はニッコリと笑って頷いた。もう一つ尋ねる。

「ネコの方が可愛くない?」

 ビシリ、と逆鱗に触れた音が聞こえた気がした。西川の目は吊り上がっていた。
しまった。あの笑顔から相当なイヌ好きなのは分かったはずなのに、地雷を踏み抜いてしまった。
私はネコの方が好きなのでつい口が滑ってしまった。なんて言おう。

 しばらく沈黙が流れ、西川が表情に怒りを湛えたまま口を開いた。

「……ネコ派のイヌめ」
「ネコ派のイヌ!?」

 なにがなんでもイヌしたいのか、妙な言い回しをされた。

「ちゃんとイヌ派のイヌになりましょうね」

 ベース講座そっちのけでイヌ動画を再生する。
どうやらお気に入りのイヌ動画を見せて私を洗脳する気らしい。

「お、そっちがその気なら次は私のお気に入りのネコ動画見てよ。ねこ鍋の具にしてあげるから」

 ネコ派を代表して応戦する決心をした。




 お互いのおススメの動画を見せ合い、しばらく経って。

「液体なのー?」

 西川は私おススメのネコ動画を見て満面の笑み。

「からぶってるー!」

 私は西川おススメのイヌ動画を見て満面の笑み。

 お互いの好きな動物の良さを理解しあっていた。
そこで部室の扉が開き、マリが入っていた。

「ちーっす。幸せそうだな君達」

 どうやら相当楽しそうに見えたらしい。
軽音部イヌネコ戦争は平和に幕を閉じた。
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