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部室で待っているとチハルとサナエはすぐに戻ってきた。
両手いっぱいに衣装を抱えて。二人はコタツの上に綺麗に衣装を並べた。
デザイン画よりも少しフリルが多くなっているような印象を受けた。
「わー! かわいー!!」
「ホントー!!」
マリとチハルは目をキラキラ輝かせて喜んでいた。
「凄い。売り物みたい」
シオリも嬉しい様子で、衣装のスカートに指先で優しく触れていた。
「お、シオリもようやく私の凄さが分かったか」
「被服部の皆さんに感謝しないと」
「いや大半私だからな? 聞いてる?」
サナエはシオリの視線に無理やり入ろうとしていたけど、シオリは完全に無視していた。
「ねぇねぇ着てみようよ!」
「えぇ!? 今!?」
チハルの提案に驚いてしまった。
「なにかあるの?」
「いやこんな可愛い服恥ずかしいなって」
シオリが頷いた。よかった。恥ずかしいのは私だけではなかった。
なにせ衣装は上はノースリーブで下はミニスカート。おまけにフリフリ付き。
私服ではまず着ない。これは相当な覚悟がいる。
サナエがニヤついていた。
「なに言ってんだ。着せるために持って来たんだぞ」
「なんで今?」
「問題がないか確認」
「あぁー」
確かに必要な作業。今度はニコニコのチハルにたしなめられる。
「大体なに恥ずかしがってんの。これからコレ着て活動するんだよ?」
「いやまぁそうなんだけどさぁ、心の準備がさぁ」
またシオリが頷いてくれた。恥ずかしいものは恥ずかしい。
「いいかもー」
「もう着てる!?」
マリが静かにしていると思ったら既に着ていた。いつの間に。
チハルが褒め称える。
「おぉー! 着るともっとよく見えるね!」
「ふっふっふー! 私の魅力が爆発しちゃったかなー?」
うぜぇ。右人差し指を顎に左手を腰にあてて視線を送ってくるマリ。
ハッキリ言って超可愛い。お人形さんかな?
シャボとスカートは綺麗な赤でよく似合っている。今日もお持ち帰りしてやろうか。
だけど明らかに褒められ待ちなのがウザいので何も言わないでおいた。
「なに言ってんだ衣装がいいからに決まってんだろ。着る者を引き立たせんだよ」
ニッコニコのサナエはマリをクルクル回して四方八方を確認して続ける。
「問題は無さそうだな。よし、他も早く着ろ」
「マジっすか……」
「あんまりゴネるなら私が着替えさせてやろうか?」
手をワキワキとされた。変態に詰め寄られて観念する。
「いや着るよ……」
「てめっ、私の服をイヤそうに着るんじゃねーよ!」
素早く私の後ろに回り込んだサナエはチョークスリーパーをかけてきた。
しかも結構本気で。かなり苦しい。締め付けてくる右腕にタップを連打する。
「ぐぇぇぇ! そんなつもりじゃないって! 着るから着るから!」
「やめなさい」
シオリがそう言ってサナエの袖を引っ張り助けてくれた。
そして皆着替えた。
上のノースリーブのシャツは皆白だけど、シャボとスカートは色違い。
マリは赤、チハルはオレンジ、シオリは紫、サナエは緑、私は青だった。
着てみると、皆お揃いだと、高揚するものがあった。
でも、それ以上に、
「恥ずかしい……」
頬が赤くなるのを感じる。シオリも頷いていて頬が赤かった。
二の腕を出すような服は着ないので凄い違和感がある。とりあえず右手で左の二の腕を隠した。
見下ろすとフリフリが付いていて、こんなの絶対似合わない、という想いで頭が沸騰しそうになる。
そんなシオリと私をマリが褒めてくれる。
「いいじゃん! めっちゃ似合ってるよ!」
「あぁいいな……恥じらいも趣があんだな……鼻血が出そうだ……」
「変態発言久しぶりだね」
恥ずかしがるシオリと私がツボにはまったらしいサナエはチハルにツッコまれていた。
変態みたいな笑顔を浮かべていたサナエはいつもの、いや、いつもより満足そうにニシシっと笑った。
「よし! 全員問題ないな! これで衣装は完成だ!」
「お疲れ様でしたー!」
「ホントにありがとう!」
「ありがとね」
皆でお礼を言う。
「礼なんていらねーっつってんだろ。何回言わせんだ」
そうは言ったがニコニコしていた。
「言わせてよ。こんなきれいな衣装をありがとう」
シオリがサナエの目をまっすぐ見て言った。
これは意外。シオリはサナエを敵対視しているのに。
お礼を言うべき時はキッチリ言うんだなぁ、と先輩面して密かに思った。
サナエも意外だったようで、目を丸くして一瞬固まったが、またいつもの笑顔に戻った。
「まぁいいか、これで礼の件は終いな。報酬はもう貰ってるし」
「報酬?」
なんのことかと問いかけると、マリが私に視線を向けて慌てだした。
「まさか知らぬ間に着せ替え人形にされたの!?」
「されてないよ!」
そんなことは一切ない。っていうかそんなことを言ってたことすら忘れてた。
「先生に言いつけてくる」
「おいコラ待て! 何もしてねーよ!」
即部室の扉に向かったシオリをサナエが止める。
シオリは振り返り、サナエに視線を向けた。眼鏡の奥にはゴミを見るような目があった。
「通報にする?」
「なんで重くなってんだよ! ユカリが『されてない』って言ってんじゃねーか!」
いつもニヤけながらシオリをからかうサナエが珍しく半ギレだ。
そんなサナエにチハルが問いかける。
「じゃあ報酬ってなに?」
サナエは私達に向き直って満面の笑顔で言った。
「最高に楽しいってことだ!」
両手いっぱいに衣装を抱えて。二人はコタツの上に綺麗に衣装を並べた。
デザイン画よりも少しフリルが多くなっているような印象を受けた。
「わー! かわいー!!」
「ホントー!!」
マリとチハルは目をキラキラ輝かせて喜んでいた。
「凄い。売り物みたい」
シオリも嬉しい様子で、衣装のスカートに指先で優しく触れていた。
「お、シオリもようやく私の凄さが分かったか」
「被服部の皆さんに感謝しないと」
「いや大半私だからな? 聞いてる?」
サナエはシオリの視線に無理やり入ろうとしていたけど、シオリは完全に無視していた。
「ねぇねぇ着てみようよ!」
「えぇ!? 今!?」
チハルの提案に驚いてしまった。
「なにかあるの?」
「いやこんな可愛い服恥ずかしいなって」
シオリが頷いた。よかった。恥ずかしいのは私だけではなかった。
なにせ衣装は上はノースリーブで下はミニスカート。おまけにフリフリ付き。
私服ではまず着ない。これは相当な覚悟がいる。
サナエがニヤついていた。
「なに言ってんだ。着せるために持って来たんだぞ」
「なんで今?」
「問題がないか確認」
「あぁー」
確かに必要な作業。今度はニコニコのチハルにたしなめられる。
「大体なに恥ずかしがってんの。これからコレ着て活動するんだよ?」
「いやまぁそうなんだけどさぁ、心の準備がさぁ」
またシオリが頷いてくれた。恥ずかしいものは恥ずかしい。
「いいかもー」
「もう着てる!?」
マリが静かにしていると思ったら既に着ていた。いつの間に。
チハルが褒め称える。
「おぉー! 着るともっとよく見えるね!」
「ふっふっふー! 私の魅力が爆発しちゃったかなー?」
うぜぇ。右人差し指を顎に左手を腰にあてて視線を送ってくるマリ。
ハッキリ言って超可愛い。お人形さんかな?
シャボとスカートは綺麗な赤でよく似合っている。今日もお持ち帰りしてやろうか。
だけど明らかに褒められ待ちなのがウザいので何も言わないでおいた。
「なに言ってんだ衣装がいいからに決まってんだろ。着る者を引き立たせんだよ」
ニッコニコのサナエはマリをクルクル回して四方八方を確認して続ける。
「問題は無さそうだな。よし、他も早く着ろ」
「マジっすか……」
「あんまりゴネるなら私が着替えさせてやろうか?」
手をワキワキとされた。変態に詰め寄られて観念する。
「いや着るよ……」
「てめっ、私の服をイヤそうに着るんじゃねーよ!」
素早く私の後ろに回り込んだサナエはチョークスリーパーをかけてきた。
しかも結構本気で。かなり苦しい。締め付けてくる右腕にタップを連打する。
「ぐぇぇぇ! そんなつもりじゃないって! 着るから着るから!」
「やめなさい」
シオリがそう言ってサナエの袖を引っ張り助けてくれた。
そして皆着替えた。
上のノースリーブのシャツは皆白だけど、シャボとスカートは色違い。
マリは赤、チハルはオレンジ、シオリは紫、サナエは緑、私は青だった。
着てみると、皆お揃いだと、高揚するものがあった。
でも、それ以上に、
「恥ずかしい……」
頬が赤くなるのを感じる。シオリも頷いていて頬が赤かった。
二の腕を出すような服は着ないので凄い違和感がある。とりあえず右手で左の二の腕を隠した。
見下ろすとフリフリが付いていて、こんなの絶対似合わない、という想いで頭が沸騰しそうになる。
そんなシオリと私をマリが褒めてくれる。
「いいじゃん! めっちゃ似合ってるよ!」
「あぁいいな……恥じらいも趣があんだな……鼻血が出そうだ……」
「変態発言久しぶりだね」
恥ずかしがるシオリと私がツボにはまったらしいサナエはチハルにツッコまれていた。
変態みたいな笑顔を浮かべていたサナエはいつもの、いや、いつもより満足そうにニシシっと笑った。
「よし! 全員問題ないな! これで衣装は完成だ!」
「お疲れ様でしたー!」
「ホントにありがとう!」
「ありがとね」
皆でお礼を言う。
「礼なんていらねーっつってんだろ。何回言わせんだ」
そうは言ったがニコニコしていた。
「言わせてよ。こんなきれいな衣装をありがとう」
シオリがサナエの目をまっすぐ見て言った。
これは意外。シオリはサナエを敵対視しているのに。
お礼を言うべき時はキッチリ言うんだなぁ、と先輩面して密かに思った。
サナエも意外だったようで、目を丸くして一瞬固まったが、またいつもの笑顔に戻った。
「まぁいいか、これで礼の件は終いな。報酬はもう貰ってるし」
「報酬?」
なんのことかと問いかけると、マリが私に視線を向けて慌てだした。
「まさか知らぬ間に着せ替え人形にされたの!?」
「されてないよ!」
そんなことは一切ない。っていうかそんなことを言ってたことすら忘れてた。
「先生に言いつけてくる」
「おいコラ待て! 何もしてねーよ!」
即部室の扉に向かったシオリをサナエが止める。
シオリは振り返り、サナエに視線を向けた。眼鏡の奥にはゴミを見るような目があった。
「通報にする?」
「なんで重くなってんだよ! ユカリが『されてない』って言ってんじゃねーか!」
いつもニヤけながらシオリをからかうサナエが珍しく半ギレだ。
そんなサナエにチハルが問いかける。
「じゃあ報酬ってなに?」
サナエは私達に向き直って満面の笑顔で言った。
「最高に楽しいってことだ!」
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