ニートの俺がサイボーグに改造されたと思ったら異世界転移させられたンゴwwwwwwwww

刺狼(しろ)

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File.5

ペニーワイズ

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コイツが能力を奪える条件も、今後の対策として知りたいところだが、それを探るには力量差的に厳しい。
倒せれば万々歳だが、最低でも退いて貰いたいものだ。

そんなことを考えつつ、容赦なく繰り出される連撃を盾で対応しながら、僅かな隙を縫って俺も斬撃を返している。
だが、どれも決定打には程遠く浅いものばかりだ。

「どうした?!その程度か、タカト・サカキッ!」

「っるせぇ……!」

マモンの速すぎる攻撃速度は逆に反撃していた筈の隙を突かれ、次々に俺へ裂傷を増やしていく。気付けばボロボロにされていた。
武具化召喚による盾の回復でさえ、追いついていない。

のろすぎるな、貴様は」

──ザシュッ!!

「がぁ……ッ!!」

一際鋭い一撃が、俺の左肩へ深々と突き刺さる。冷たい切っ先が入り込み、焼けるような痛みと共に飾られた絵画や美術品を巻き込んで壁へ叩き付けられる。

粉塵と瓦礫が降り注ぐ中で、剣を支えにしようと踏ん張った瞬間、エンチャント・ドラグノフで俺の体を駆け巡っていた魔力も霧散した。
反動による激痛も重なって、意識が飛びそうになる。

「満身創痍だな、勇者のなり損ないよ」

「はぁ……ッ、あが、はぁ……!!」

まともに体が動きそうもない。ラファエルを直接召喚しようにも、マモンが回復を許すとは思えない。
マモンは楽しげに口角を吊り上げると、その場で俺を見据えている。余裕かましやがって。

「この程度で追い詰められるとは拍子抜けだ、脆弱過ぎる。やはり人間はゴミだ。そんな貴様らが、我が物顔で世界に溢れかえっている……魔族が、我々が生きることを否定している……」

「だったら何で、人間の姿なんか……!」

言った途端、大腿部に剣が突き立てられる。
声にならない悲鳴が喉で詰まって、痛みに体を折った。

「黙れッ!」

怒りの形相で振り上げられた剣が、俺の脳天に狙いを定める。指先一つ動かせないこの状況では、最早諦めるしかないと悲観したその時だった。

──ピシッ、バキッ!

「は……?」

俺の隣の位置にある床が、幾本も亀裂を走らせて罅割れた。

「何が起こっている……?!」

人の頭一つ分程の穴が空いたそこには黒い籠手でぶら下がった何者かが、真紅の複眼を俺に向けている。

「ハァイ、ジョージィwwwwww」

「テメ……まさか……っ」

予測不能の事態に、マモンでさえも動きを止めて固まってしまっているようだ。

「お前に仮面ライダーZOの素晴らしさを説いてやるwwwまずはVHS、DVD、HDリマスターを多々買えwww」

「この状況で何を言ってんだお前は?!」

「単発作品なのに異常なまでのシナリオ完成度、秀逸なアクション、洗練されたデザインとそれに反比例するクソダサライダーキックの対比の虜になるがいいwwwwww」

「ペニワイムーヴすんなバカ!!腕引っ張るなお前!!」

「ふざけた奴だ……!まずは貴様から殺してやるぞ!!」

狙いを俺から床へ、マモンが剣を振り下ろした瞬間、床をぶち抜いてペニーワイズみたいな事を言う奴が飛び出してきた。

「暮れぇええええの元気なご挨拶ぅうううううう!!!!ハムのぉおおおおお!!!!WRYYYYYYYYウリィイイイイイイイ!!!!」

──ドギャァァァアアアアアッ!!!!

漆黒の鎧を纏ったその人物は、素顔を見るまでもなく。

「馬鹿な!!床を直接破壊して上階へ登るとは……ッ!!誰だ貴様!!」

「当ててみなwwwwww世界一周旅行に招待してやんよwwwwwwwヴィジュアル系野郎wwwwうはwwwwwライブツアーかよwwwくたばれwwwwww」

心底人をバカにしたような腹の立つ口調は紛れもなく、アイツだ。

「カルラ……!!」

「タカトきゅんおっつーwww足と肩から血出てんじゃんwwwwあと絆創膏あるけどいる?」

「いらねーよカス」

漆黒の鎧は恐らくカルラの魔装具だろう。こいつらしい出来映えで感心したが、相手は七刃将の一人。油断は出来ない。

窮地に立たされた俺への増援。それがコイツだったのは心強いことこの上ない筈なのだが、なんだか無性に悔しくもあった。

「そうか、貴様が勇者カルラか……。俺様は運が良いな、貴様のチカラも奪わせてもらうぞ」

「やってみろやボケwwwwww」

「気を付けろ!そいつの剣は……!」

流麗な動作で剣を構えるマモンに対し、カルラは両腕に銀色の魔力を帯びて飛び込んでいく。

──ガギィィッ!!

魔力を纏った籠手に刃が通り、そこから血が滴る。その圧倒的な切れ味はカルラの魔装具を持ってしても防ぎきれなかった。腕を切り落とされなかっただけラッキーだろうとは思うが。

「なんだその切れ味wwwテケテケかよwwwwww」

カルラはそれに怯むことなく切られた方の籠手で剣を掴むと、もう片方で拳を引いた。

「くっ……!動けん……!!」

「肉を切らせてボーンをセイバーってやつだwwwwww歯ァ食いしばれよwwwオサレバンドマンwwww」

──ボギャァァァアアッ!!!!

激しく揺らめく銀色の魔力を帯びた拳が、マモンの体へ深々とめり込み、その身体を壁面に激しく叩き付けた。

「がはぁ゛ッ!!」

「ふぃー。終わった終わったwww」

何事もなかったかのように鎧を解除したカルラは、俺の方へ歩み寄ってきた。マモンは気を失っているのか、微動だにしない。

「助かった。すまねぇな」

「困ったときはお互い様ってことでwwwそれにしてもアイツの剣ヤバくね?下ろしたての魔装具パックリいかれたんですけどwwwwエグいってwwwwww」

「ああ。あいつの持ってる剣は、どうやら俺の得るはずだった【勇者の力】ってやつらしい」

「マ?泥棒やんけwwwwww」

気を失っている今でさえ戻ってくる気配は無いが、今の内に取り戻す事は出来ないだろうかと、あまり力の入らない腕で身体を支えて立ち上がる。
だが……。

「ふっ、ふっふっふっ……成る程。デタラメな力だ……素晴らしい」

「タフネスwwww」

「マジかよ……!」

マモンが立ち上がって俺達を見据えている。未だ魔力も衰えておらず、驚愕に目を見開いた。

「流石だ。ヒトの身でこれほど俺様を追い詰めた事、素直に恐れ入ったぞ……ここは退散するのが得策だろう。貴様とやり合ってはタダでは済まないだろうしな」

「逃がすと思ってんのか?wwwしっかり成敗されろwwww」

カルラは腕を変質させ、そこに電気を帯びさせて肉薄する。

「ふん、さらばだ」

一瞬の差で、カルラの拳は空を切った。
一部の魔族達の使う、痕跡の残らない転移魔法だろう。転移魔法は始点と終点に魔素が残るものだが、こいつらの使うソレには魔素が残らず、追跡が出来ない仕様になっている。

「あー、クソッ!逃したwww」

「でもまぁ、とりあえず二人撃破ってことでいいのか?」

「そうだなwww」

そんなことを話していると、床に魔法陣が浮かび上がる。赤が2つと、緑が5つ。
刺客の居ない階が恐らく赤だろう。

「次の階へ行けるみたいだな。どうする?」

「とりあえず緑で適当に行くかwwwお前も怪我治したらどっか加勢してやってくれwwww」

「おう、わかった。ありがとな」

軽いノリで、カルラはまた次の階に移動していった。
緊張の糸が切れた俺は、その場に座り込むとラファエルを呼び出した。

「回復、頼んだ……」

嫌嫌ながらも、この規模の怪我はラファエルが直接手を出さないと完治に時間がかかる。苦渋の選択だった。

「はーい♡うわっ、タカトくんボロボロで可哀想~!お姉さんが今すぐ癒やしてあげるからねぇ♪」

「無駄口しか吐けねぇのか?お前の口は」

怪我の治療が済んだら、俺も誰かの加勢に行くことを念頭に置き、ラファエルのウザ絡みに耐えるのだった。
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