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スキアとマリー
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─
せっかく海に来れたのに、今日も修行。まぁ、スキアさんと過ごせるのは我ながらこの上ない特権だとは思いますけど。
「甘いです。それでは懐に潜られてしまいますよ」
「うわっ?!」
修練用の武器を手に、なんとか不意打ちを防ぐと飛び退いて武器を構え直した。
「クククッ……貴女の魔装具は大鎌の形状をしています。とても扱いが難しいのは分かりますが、頑張って頂きたいですねぇ」
「そんな事言われたって、マリーは海に気を取られてて身が入らないですぅ、遊びに行きたいですぅ」
悩み抜いて選んだ水着にもノータッチで林の中とはいえ炎天下。泥に塗れるには不満な格好なわけです。少し駄々を捏ねてみようと思いますっ!
「おや、修行も頑張る約束でしたよね?」
「うっ……で、でもでも!そろそろ休憩しても良いんじゃないかなーって!せっかく皆さんと来たのにマリーだけ修行だなんてあんまりですよ!こんなのって無いです!」
「クックックッ……仕方ありませんねぇ。では少し休憩しましょうか」
「やったー!」
武器をしまうと、思い切ってスキアさんの手を取ってみる。砂浜まで連れ出したいけれど、来てくれるかな?
顔を見上げると、私はスキアさんの整った顔にそのまま見惚れてしまった。
「おや、どうしました?」
「あ……えっと、う、海の方に行きたいです」
「そうでしたね。行きましょう」
ふっと微笑んだ表情に顔が熱くなってしまって、やっぱりあたしはこの人が好きなんだなと思いました。
スキアさんが頭をポンポンと優しく撫でてくれて、幸せな気分で見惚れたまま。何も考えられなくなる。
「ククッ。やはり、貴女の瞳は綺麗だ」
「えっ、そ、そうですかね?えへへ……」
何だかんだでワガママも聞いてくれる。気味が悪いと罵られてきた魔眼を、初めて褒めてくれた人。
スキアさんはあたしの眼を見る度に、こうして褒めてくれる。
それが何よりも嬉しかった。
「力が覚醒すればもっと美しくなるのでしょうね、楽しみですよ。さぁ、行きましょう」
手を取ったまま固まっていたあたしの手を引いて、スキアさんと静かな林の中を抜けていく。
さっきまでうんざりしてた木々が、今はなんだか二人だけの空間として素敵に見えてきました!
本当は、彼と二人きりで尚且つ雰囲気が良ければ場所なんてどうでも良かったのかもしれません。
視界が開けて、真っ青な空と海がいっぱいに広がると思わず声が漏れた。
「わぁ……!綺麗ですね、スキアさん」
「ええ。そうですね」
顔が綻んでしまいつつもスキアさんを見上げながらそう言うと、何だか悲しそうな怒ったような何とも言えない、無理矢理笑って誤魔化しているような表情でそう返ってきた。
たまに見せるこの顔の理由はわからないけど、いつか本当の笑顔が見えると良いな。
そんな事を思いつつ林の日陰から陽が照りつける砂浜に駆け出したところで、勇者様にお昼ごはんだと呼ばれてしまい、苦笑いしてしまいました。
せっかく海に来れたのに、今日も修行。まぁ、スキアさんと過ごせるのは我ながらこの上ない特権だとは思いますけど。
「甘いです。それでは懐に潜られてしまいますよ」
「うわっ?!」
修練用の武器を手に、なんとか不意打ちを防ぐと飛び退いて武器を構え直した。
「クククッ……貴女の魔装具は大鎌の形状をしています。とても扱いが難しいのは分かりますが、頑張って頂きたいですねぇ」
「そんな事言われたって、マリーは海に気を取られてて身が入らないですぅ、遊びに行きたいですぅ」
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「クックックッ……仕方ありませんねぇ。では少し休憩しましょうか」
「やったー!」
武器をしまうと、思い切ってスキアさんの手を取ってみる。砂浜まで連れ出したいけれど、来てくれるかな?
顔を見上げると、私はスキアさんの整った顔にそのまま見惚れてしまった。
「おや、どうしました?」
「あ……えっと、う、海の方に行きたいです」
「そうでしたね。行きましょう」
ふっと微笑んだ表情に顔が熱くなってしまって、やっぱりあたしはこの人が好きなんだなと思いました。
スキアさんが頭をポンポンと優しく撫でてくれて、幸せな気分で見惚れたまま。何も考えられなくなる。
「ククッ。やはり、貴女の瞳は綺麗だ」
「えっ、そ、そうですかね?えへへ……」
何だかんだでワガママも聞いてくれる。気味が悪いと罵られてきた魔眼を、初めて褒めてくれた人。
スキアさんはあたしの眼を見る度に、こうして褒めてくれる。
それが何よりも嬉しかった。
「力が覚醒すればもっと美しくなるのでしょうね、楽しみですよ。さぁ、行きましょう」
手を取ったまま固まっていたあたしの手を引いて、スキアさんと静かな林の中を抜けていく。
さっきまでうんざりしてた木々が、今はなんだか二人だけの空間として素敵に見えてきました!
本当は、彼と二人きりで尚且つ雰囲気が良ければ場所なんてどうでも良かったのかもしれません。
視界が開けて、真っ青な空と海がいっぱいに広がると思わず声が漏れた。
「わぁ……!綺麗ですね、スキアさん」
「ええ。そうですね」
顔が綻んでしまいつつもスキアさんを見上げながらそう言うと、何だか悲しそうな怒ったような何とも言えない、無理矢理笑って誤魔化しているような表情でそう返ってきた。
たまに見せるこの顔の理由はわからないけど、いつか本当の笑顔が見えると良いな。
そんな事を思いつつ林の日陰から陽が照りつける砂浜に駆け出したところで、勇者様にお昼ごはんだと呼ばれてしまい、苦笑いしてしまいました。
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